和食にも必要な「おいしければそれでいい」の大らかさ(JBpress)
前略、今日上の記事が配信されました。そこそこ当たっているようで、過去に書いた中国と料理に関する関連記事のアクセスも好調で、現時点でJBpressのアクセスランキング一位から三位を独占しちゃってます。記事内容については非常に平和的でシンプルかつストレートなもので特に解説はいりませんが、この記事を書くに至った過程は紹介するに足るので、その辺について少し書いていきます。
最初に断っておくと、この記事に書かれた要素は時系列的には実は完全にバラバラです。最初から「日本初の中華料理」というテーマで記事を書く予定はなく、なんとなくイベントが重なった成り行きから書いてみたら当たったというのが実情です。
この記事で書いている内容で一番最初に得られたトピックというのは、実は中盤の中国人の知人へのインタビューでした。先にも書いた通りに当初、このテーマで記事を書く予定なんかなく意図的に尋ねたわけではなかったのですが、友人らと集まって広東料理屋で食事している際、「日本には天津には存在しない天津料理がある」と冗談めかして自分が言ったことがきっかけでした。
日本に留学経験のある友人とともに天津飯がどんな料理かを説明し、ほかにも中華丼とか冷やし中華とか、誰もが由来は知らないけど中国人の知らない中華料理が日本で生まれていることを話し、その際に得た反応を今回の記事に反映することとしました。
この友人との食事会があってから約二週間後、最近通い始めた日本料理屋で見た番組というのが記事冒頭で書いてある日本のグルメレポート番組でした。時間帯は昼過ぎで客も少なく、お店の奥さんと何故か二人してテレビ見ていて、「こんなの食べたことある?」などと言い合ったことからその場で話し込んでいきました。
その奥さんは飲食店関係者なだけにやはり料理関連の話題に詳しく、同じ日系メーカーであっても日本売られる醤油と中国で売られる醤油は微妙に味付けが異なるなどいろいろ教わり、食べ終わって店を出てお菓子用にピザパン買って自転車に乗ったところで、「このネタ、前の友人らの反応と組み合わせれば使えるかもな。前にもあんな記事書いたし」という考えがよぎりました。
・上海の洋食事情
「あんな記事」とは上の記事のことです。この記事は私の友人がネタ振りした記事でしたが、異文化間の料理事情に関心の強い友人なだけに、日中間の中華料理事情などはいかにも彼が喜びそうなネタだと思い、他の人にも一定層受けるかもなぁと思い始めて、JBpress用の記事としても検討し始めました。
ただこの時点では調味料の味付けの違いとか、食材や調理法の違いなどややディープな、悪く言えば友人受けしそうな内容で記事を書こうかと考えていました。先ほどの奥さんに話を聞けばまだまだ出てくるだろうし、それなら文字数的にも足りるなと算盤を弾いてました。
こうした記事構想を今度は冷凍たこ焼き好きの友人に「次はこんなの考えている」と話したところ、「そんなもんじゃJBpressの読者はきっと満足しないぞ!(#゚Д゚)ゴルァ!!」と言って、今回の記事結論部に書いた「ぶっこみジャパニーズ」への批判や農林水産省の海外の和食調理師認定制度などを教えて来た、もとい入れ知恵してきました。ここだけの話、件の「ぶっこみジャパニーズ」を私は見ていません。
ただこうした視点や考え、そして懸念は私も以前から感じていたものであり、確かに結論として持っていくのなら和風中華料理を全く気にする素振りのない中国人の対比として悪くないと思え、そのまま友人の意見通りに結論を書くことにしました。ドラフトが出来上がった際に先にこの友人へ見せたところ、自分の思想が反映されたこともあってか「今までの君の記事の中で最高傑作だ!( ;∀;) 」等と、気味悪いくらい絶賛されました。
書き上げた際の私の感想はというと、内容が身近で込み入ったものでないことから非常にスムーズに書け、話題の移り変わりが非常に自然だから文字数の割に読み手もサラサラ読めるだろうなというような印象を覚えていました。ただ割とありふれた身近なネタであり、また意図的にミスリードを起こさせる煽るようなネタはないことから、果たしてアクセスが伸びるかについては正直やや不安でした。
なお私の作った見出しは「日本発?中国人の知らない中華料理 中国人曰く、『おいしければそれでいい』」でした。結構苦しみながら作った見出しで、「もう孔明っぽく中国人曰くでいいやっ」とばかりにつけました。
このように、今回の記事の要素である「中国人の知らない日本料理」、「それに対する中国人の反応」、「和食とともに考える食の寛容性」の三つは意図的に集めたものではなく、割と時系列も入手先もバラバラで、なんか偶然同じ時期に転がってきたから記事として一つにまとまったという偶然の産物だったりします。仮に上海の洋食記事に関する友人のネタ振りを含めどれか一つでも欠けていたら記事を書いていなかったろうし、書いていたとしても記事内容は大きく変わっていた可能性があります。そう思うとなかなか書くまでの過程が特殊だった記事のように思えてきます。
さて最初に内容については書くことはないと書きましたが、記事につけられたコメントに関連する箇所については少し補足しようと思います。
まず今回の記事で一番コメントが多く集まった箇所というのは、
「中国の料理をベースに日本人が発明した料理を『中華料理』と呼ぶことについては、『ちゃんと中華料理に敬意を払ってくれているような気がする。なにより、どこかの国みたいに中華料理も自分の国が発祥だなんて言わないのがいい』との感想を洩らしていました。」
まず間違いなく上の部分でしょう。この箇所について少し補足すると、私が言わせた訳でもなければ言うように誘導したわけでもありません。私自身も普通に話をしていて急にこんな発言が知人から出てきてびっくりしたとともに、「おいしいコメントやな」と思っていつかどこかで使おうと心に刻み込みました。今回うまく消化できたのですっきりです。
なお少し真面目な話をしておくと、このような見方をする中国人は確かに存在し、また私から見てその人数も少なくないということを日本にいる人にも伝えようという考えもあっての記述です。
次に、これはもうダイレクトにコメント引っ張ります。
oxf*****
|このコメントを見た時、飛び上がらんばかりにうれしかったです。というのも、完全に予測通りのコメントが得られた上、うまいこと罠にかかったと考えられたからです。もうこのコメントがあったかなかったで、今日の私の幸福係数は一味違いました。
ここに出てくる天津飯とは料理ではなく、例の三つ目で気功砲を放つアイツです。記事中でまさに上の発言をした知人に天津飯を説明する際に検索したらアイツしか出てこなかったというエピソードを書いていますが、この箇所を書いている時、こういうコメント書く人がきっと出てくるだろうなと予想していました。というのも「百度」で文字検索すると確かに料理の天津飯の中国語解説ページが上に出てくるのですが、先ほどの私と友人が行った検索というのはあくまで画像検索です。
行動説明的には「検索」とはしょって書いても問題ないけど、絶対こういう無駄なツッコミ入れて優越感に浸ろうとする人が出てくるだろうから、逆にきちんと記事を読んでいないという晒し者にするため、意図的に「『天津飯』と入力して画像検索をかけたところ」という文言を、なるべく目立たないようカギ括弧まみれの文章の中に潜り込ませておきました。
なお、一応証拠として実際に百度に「天津飯」で画像検索をかけると、
こんな盛り沢山な画像が展開されます。天津飯のこと説明しようと友人と一緒にスマホで検索かけたらいきなりこんなの出てきて、二人してマジ爆笑していました。
1 件のコメント:
昔、天津港から卵を大量に日本へ輸出されたことが天津飯のネーミング背景ですわ。
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