2018年2月26日月曜日

関西地域における人材流出

 先日、関西出身の後輩に対し、「関西地方ほど人材の流出が激しい地域はない」ということを話しました。具体的な内容とは、大阪を中心とした関西は人口も多くそれなりに優秀な人材も輩出しているが、残念ながらその優秀な人材は大半が東京など関東へ移動し、下手すれば海外に出て行ってしまう傾向があり、結果的にクズみたいな人材が沈殿するかのように残ってしまっている、という話でした。
 主な沈殿先は大阪市役所を始めとする官公庁で、その理由としては「関西から出たくない」という理由からこうしたところ就職先として選ぶ傾向からです。その上でどうして人材流出が起こるのかというと、単純に政治や経済の中心が東京に集中していることと、大阪を本社とする大企業がほとんどいなくなるか、かつて本社とした企業も東京へ移っていることが一番大きいと説明しました。

 上記の内容は何も私の意見というわけではなく、実をいうと名古屋に左遷されたうちの親父の聞きかじりです。ただ言っている内容には私も同感するとともに、実際に関西地方で就職活動したりして現地で働いている人とか見る限りだと、あながち的外れな意見ではないなと実感することが多かったです。特に一番違和感を持った点として、話す内容に「東京とは違う」とその差を強調することが極端に多く、バカボンの反対の反対じゃないですが、合理的か否かよりも東京の流儀の反対を追うことに必死そうであることが目につきました。
 一方、東京の人間は自分の頭で考える人間が極端に少ないという特徴はありますが、その一方で優秀な人材が全国から集まってきやすいという利点があるだけに、やはりこの方面のリードは揺るがないでしょう。

 ただこう書いておきながらですが、このところの日本を見ていてほんの十年前と比べてもこれはと思う人材が目につかなくなってきています。社会全体を通してみてもなんか問題ありそうな人物ほど前に出て(そして問題起こして消える)くるだけで、スポーツ選手なんかだと大谷選手や羽生選手など人格的にもしっかりした人が増えていますが、実業界や政界、論壇、あと一般サラリーマンを見ていても面白いと感じる人間が減ってきています。

 敢えて見出しは関西としましたが、実は関西と同じことがもう日本全体のレベルで起きているのでは、日本全体から人材が海外に流出しているのではないかと言いたいのがこの記事の趣旨です。実際にITなど理工学系ではこうした傾向が激しく、ロボット関連などは日本よりも米国、下手すりゃ中国の方が開発資金を募集しやすく、ゲーム業界でも海外の方が今は環境いいんじゃないかという風に見えてきました。
 このように考えるのも日本の報道や議論の質がほんの少し前と比べても明らかに低レベルな内容に落ち込んでおり、現在の裁量制労働議論はもとより、つい先日書き終えた新エネ車市場についても、日系メディアがどこも世界販売台数や主要車種などについてどこも触れていないという事実を知って誇張ではなく強い寒気を覚えました、風邪気味だったからかもしれませんが。

 なんとなくですが、特に私が得意とする経済分野だから目につくだけかもしれませんが、このところの日本の経済報道は日本国内の数字しか出てこず、世界単位の数字やグローバル市場でのシェア解説などが減ってきているような気がします。欧州自動車市場の話なんてまるで見ないし、北米と南米市場の動向は、トランプの壁対策はどうなのかとか、本当にこれでいいのかと疑問に覚えます。
 自分の心配は杞憂に過ぎなく、報道業界においてのみ人材が不足しているのならそれで問題はありませんが、内心で私は同じことが日本の全分野・業界で起きているのではないかという懸念があります。皮肉な話ですが、先ほど挙げた大谷選手と羽生選手は世界レベルで競争が繰り広げられているスポーツ業界の人間ということも頭をもたげます。

 仮に日本で人材不足が本当に起きていると前提した場合、本当に議論すべきは、人材が流出しているのか、育たないのか、表に出てこないのか、この三つのうちのどれかではなく、この三つのどれがどれくらいの割合なのかを分析するべきなのかもしれません。個人的には、現代の日本の若者はゆとりとは言われながら高いポテンシャルを持っていることは間違いないと思っているだけに三番目じゃないかとは思いますが、ある専門職の同僚が、「最近できる子は増えている一方、とんでもなく低レベルな人材も入ってくることが増えた」と語っていたことから、一概には言い切れないかもしれません。

 昔ある野球選手が、「僕は英語を学びに行くんじゃない。野球をしにアメリカに行くんだ」と言って旅立ちましたが、海外流出が起きているとしたらきっとこういう若者が増えているということになり、それはそれで非常に頼もしく見えます。真に問題なのは、そういった人材を扱いきれない日本の環境なのかと、このところ頭をもたげさせながら考える機会が多いです。

3 件のコメント:

  1. 初めまして。たまたま検索で見つけて以降、以前より拝見させて頂いています。
    これまで政財界や金融、マスコミ業界などと仕事で接点を持った際に思ったのですが、この辺の日本の中枢とも呼べる業界は文系が支配しすぎているなと思います。その中でもあまりにも理系分野に疎すぎ、専門分野じゃないからと疎んでる、総務人事しか知らないタイプが人事権を握って問題を引き起こしているなぁと。
    そうなると優秀な理系ほど国内から去っていくのは仕方のないことかなと思いますね。
    この国の問題の一つは、縁故採用からネット採用が主流に切り替わった後に、適切に必要な人材を選び育てる仕組みができていないことだと思っています。

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    1.  ルロイさん、コメントありがとうございます。
       偶然かもしれませんが、この記事の続きとして考えていた内容に近いコメントが書かれてあり、一読して非常に驚きました。理系、というより理工学系知識に対する幹部人材の疎さについてまた近く書く予定ですが、恐らく考え方などの点で一致できるかと思います。
       また「縁故採用からネット採用」の言葉については、今までになかった視点だったので強く新鮮に感じました。言われてみるとまさにそうで、インターネットを使用した大量応募時代になってそれ以前と何が変わったのかに関する分析が不足しているようにも感じます。この点についても、今後思いつくことがあったら書いてみようと思うので、今後ともお気づきの点があればご指摘お願いします。

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  2. キミも関西出身ですか?何とか大阪人の匂いがしますわ。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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