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2024年2月3日土曜日

伊東選手を巡る週間新潮報道を見て思いだされる赤報隊事件誤報

 文春の松本人志氏の報道に続こうとしたのか週刊新潮は先日、作家日本代表の伊東純也選手が性加害を過去に起こしていたとする報道を行いました。この報道を受け対応が一時二転三転したものの日本代表チームから伊東選手は離脱することとなり、その影響は彼本人だけでなくサッカー日本代表にも及んでいます。
 一連の報道に関して伊東選手は事実無根だとして被害告発者に対し提訴を行い、これを受けて新潮側は加害を認めず逆に相手を貶める行為だとして、伊東選手への批判を強めています。双方ともに自らの認識に対し強い自身と証拠を持っていると主張しており、今後は報道よりも裁判を通して事実関係を争っていくことになるでしょう。

 その双方の根拠や証拠などを詳しく拝見していないため、現時点ではどちらの言い分が正しいのか、または真実味があるのかについては判断しかねるのですが、今回の報道を見て自分が真っ先に思い出したのは、2009年に週刊新潮がやらかした赤報隊事件に関する誤報です。


 上の記事はまさにその誤報があった当時に自分がまとめた記事ですが、赤報隊事件こと朝日新聞社襲撃事件について犯人が名乗り出たとして、週刊新潮は2009年にこの犯人に対する記事を掲載しました。しかしその実態は全く無関係の人物に新潮側が報酬となる金を渡して犯人に仕立て上げていたにすぎず、荒唐無稽な主張を繰り返し続けたものの当事者である朝日新聞を含む世間の批判を受け、最終的に誤報を認めた事件です。
 なおこの時に犯人と自称した人物はこのすぐ後に自殺しています。

 この事件は初報掲載時より新潮を買って自分も追っていましたが、初報時の時点で違和感のある内容が多く、朝日新聞の批判に反論する形で出した第二報の時点ではっきり誤報というか捏造であることが素人目にもわかる内容でした。自分のブログ記事にもある通り、悪だくみがばれた後に新潮は「自分たちも犯人自称者に騙された」という論調を取り、担当編集者は飛ばしましたが明らかに捏造を主導した立場であったにもかかわらず、新潮側も被害者であるというスタンスを取り、反省から程遠い態度を見せていました。

 言うまでもなく、この赤報隊事件の誤報は今回の伊東選手の報道とは全く無関係であり、結び付けるべき内容でもありません。ただ新潮には上記のような前科があるということは事実であり、それだけに自分も文春と比べるなら新潮の報道に対しては、記事内で明確な根拠が示されない限りは額面通りには受け取れません。
 それにといっては何ですが、伊東選手側の反論に対する新潮の弁明を見ていると、何となく赤報隊事件の時と同様に反論内容を否定するのではなく、被害者に対する配慮がないなどと、論点をずらすような主張のように見え、印象的にもなんか苦しそうな逆反論でした。まぁあくまで私の印象ですが。

 そのうえで、赤報隊事件も射殺された記者の遺族がいるにもかかわらず恥知らずな報道でしたが、今回の伊東選手に関しては現役のスポーツ選手であるということを考えると、ことによっては赤報隊事件の誤報以上に誤報であったら取り返しがつかないほどの事態に発展すると予想します。
 それを踏まえ新潮に対しては、変に世論におもねる(期待する)のではなく、あくまで記事内容で勝負し続ける、即ち論理的根拠を持った報道できちんと勝負すべきだと言いたいです。

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