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2025年11月16日日曜日

台湾統合を自ら遠のかせている中国


 昨日買ってきて早速作ったMig-27です。知らない人に説明するとこの機体、米国のF-14などをまねてロシアが作った可変翼機で、機体はすごいコンパクトなのはいいけど逆を言えばコンパクトだから可変翼にする必要性があまり感じられない機体です。

 話は本題ですが若干クマニュースに負けている感がある例の中国との存立事態発言問題ですが、そもそもの話というか発端はやはり台湾有事です。この台湾有事ですが、中国が習近平政権に入ってから周りを気にせず台湾に対する軍事統一を主張するようになってきたことから、徐々に米国や日本で警戒されるようになってきました。中国側は米国や日本が台湾に対する危機を煽っていると主張していますが、少なくとも私の目から見て一番危機を煽って台湾周辺を賑やかしているのは中国自身にほかなりません。
 そんな現在と比べると、習近平政権の前の胡錦涛政権の頃はまだ穏やかなものであったとともに、ある意味で台湾統合の可能性が最も高い時期であったように思えます。具体的な時期で言えば、2010年前後です。

 2010年頃、既に大陸と台湾の経済関係は非常に色濃く、互いになくてはならない経済パートナー関係になっていました。そのため以前は大陸との直行便がなく、ビジネス関係者が台湾と行き来するにはわざわざ香港を経由するしかなかったのですが、2003年からは台湾と中国本土の間で直行便も飛び交うようになり、人的交流もどんどん盛んとなっていきました。
 当時のある台湾人の話を引用すると、旅行で外国に行って入国審査でパスポートを見せると中国本土のパスポート違うことから、担当官によっては「これは偽造だろう!」と言われることも多いだけに、この際早く中国本土と統合してほしいという意見を述べていた人もいました。台湾人の側でも、もう一緒の中国になってもいいのではと思っている人が、全員とは言わずともかなり多くなってきていたじきだったという気がします。

 そのように和やかなムードが醸成されていたのが一変したのは2014年に起きた、香港での反政府デモ事件です。この事件で香港の民主派主義者が弾圧され、保護するとしていた自治権もほぼ骨抜き化され、自分の知る限り「一国二制度」という単語はこれ以降、日系メディアから見ることがなくなった気がします。
 一応、インターネットの自由など大陸本土と比べ香港にはまだ自由の幅が広いものの、2014年以前と比べると締め付け、特にメディアへの規制は明らかに強くなっており、また経済力の低下もあって香港のフェードアウトはこの10年でかなり進んだ気がします。

 2010年くらいまでは台湾に対して中国も、香港のような一国二制度方式での統合を内々で示唆していたような気もしました。そして台湾人も、一国二制度方式ならもう一緒になってもいいやという雰囲気だったように見えます。
 しかし前述の香港の事件を受け、台湾の人たちも考え方を一変させたというか風向きが変わった気がします。そこへきて習近平が軍事的制圧も辞さないことを公に発言するようになり、台湾人の独立意識を強めるとともに米国も台湾への支援をそれ以前よりも強化していくようになってきています。

 こう言っては何ですが、習近平は何がしたいのか見ていてわかりません。占領を目論む地域には普通、硬軟合わせた手法を用いるのが当然で、ロシアもウクライナに対しては長年そのような工作を続けてきました。飴と鞭のように軍事的な恫喝をする傍らで「素直に従ったらいいことあるかもよ」と、甘い顔を同時にするのが常套です。具体的には先の一国二制度や自治権などが台湾にあってもいいなどと匂わせたり、少なくとも台湾統合を果たすまでは香港には手を出さないなど、やっと伽良かったと思う手法はいくらでもあったのに、今の台湾の指導者を指名手配するなど、恫喝だけを強めています。これで従おうとする人間がいるとしたら、プライドも根性もない犬のような人間だけでしょう。

 前述の通り、2010年ごろは台湾にも統合の機運が確かに高まっていました。あのまま経済交流を強化し続け自治権の確約などを打ち出していれば、もしかしたら今頃は統合もなっていたのではないかと思う節すらあります。
 しかし習近平政権以後の恫喝によって、実際に台湾に行ったこともなければ詳しく調査していませんが、少なくとも2010年と比べると今は大陸への統合機運はかなりしぼんでいるように見えます。そのため、今中国が台湾を統合しようなら本当に軍事制圧しか手段がなくなってきているように見えます。

 しかしこの10年で見ても、ドローンの活用も含め軍事上では防御側がそれ以前よりますます有利になってきている気がします。また米国もF-16を台湾に供与するなど台湾側装備もどんどん良くなってきており、中国も兵器開発を強めているものの、私の見立てではロシアみたく市街地にバンバンミサイルを飛ばすことはできない気がします。
 以上を踏まえると、平和的な統合の可能性をかなぐり捨てた上に、軍事的イニシアチブもどんどん弱める中で台湾有事を叫び、日本や米国を批判する中国は一周回って滑稽であるように見えます。前述の通りきちんと硬軟織り交ぜる工作を取るならともかく無意味に危機感だけ煽って対策準備する時間を相手に与えるなど、何考えてるのか意味わかりません。やるんだったら何も言わず、むしろ「台湾有事なんて起きるわけないじゃん(*^▽^*)」なんて言いながら不意打ち的に行動を開始すべきであり、中途半端な手法を取って自ら台湾統合を遠のかせているのが今の中国である気がします。

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