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2015年3月29日日曜日

ノートパソコン「Endeavor NY2400S」の感想


 先日、プリンタでお馴染みのエプソンからノートPCの「Endeavor NY2400S」を購入しました。一通り操作を試してみたので、今日はこのパソコンに対する私の感想というかレビューを書こうと思います。
 それにしても、昨日は大塚家具を書いてその前はマッドシティを書いて今日はノートPCのレビューと、相変わらず統一感のないブログだと我ながら呆れてきます。

Endeavor NY2400S(エプソン公式販売サイト)

 このパソコンは上記のエプソンによる公式販売サイトを通じて購入しました。CPUやメモリといったスペックはこの記事では省略するので、これらのスペック情報を見たい方は上記サイトを訪れてください。
 まずなんでこのパソコンを購入しようとしたのかというと、それまで中国の職場でASUSのノートPCを使っていましたがこれだとOSは海賊版だしシステム言語は中国語のため、一応表示言語は日本語に変えられるものの一部の言語は中国語で表示され続けるのもあり、そして何よりOfficeのソフトが中国語版、しかも2003年度版とやけに古い仕様だったのでこの際日本で新しいのを買ってしまおうと思い立ったわけです。

 購入するに当たって重視したのは画面サイズと価格でした。仕事で使用するノートPCのため出張時に持ち運ぶことも多く、サイズと重量的には14インチが案外ちょうどいいと考えていました。現在主流の15.6インチは人の頭を殴ったりするのにはちょうどいい重さと大きさですがこれだとビジネスバッグに入れると結構嵩張り、重量もそれなりにあるので私個人的には14インチが仕事用として理想的だと考えています。
 ただこの14インチ、一時期はたくさん販売されていたもののこのところは各社ともラインナップに入れるサイズから外す傾向にあり、意外とこのサイズでノートPCを売るメーカーは少なかったりします。その中でエプソンがちょうど廉価モデルで用意してくれており、価格も私の購入時は46,000円とBTOパソコンらしく手ごろだったので、ほとんど一択のような感じでこのパソコンを選びました。
 なお、私はこれ以前にも2012年にエプソンでネットブックのノートPCを購入しています。その時の製品も納得のいく仕上がりだったことからエプソンへの信頼感も今回の購入の要因です。

 それでは早速レビューを始めます。画面サイズに関しては先ほども述べた通りに14インチで、可もなく不可もないサイズです。ではハード性能に関してはどうかですが。CPU、メモリともに現在における個人用ノートPCとしては一般的な性能を満たしており、少なくともオフィスワークで使うに当たっては全く問題ない水準にあると言えます。
 むしろ、1990年代であればハードの性能によってパソコンの動作速度は大きく変わりましたが、現在は各部品の技術革新も進んでよっぽど低い性能でない限りは動作速度にほとんど差がないのではないかと思います。IT関連技術者であれば話は別でしょうが普通にネット見て、文章書いて、エクセル使ってというレベルであれば大差はないでしょう。

 次にデザイン面についてですが、こちらに関しては文句なしに太鼓判を押します。製品写真からは判別できませんが実際の製品表面にはに薄く「擦り」が効かせられており、特にキーボード脇の部分ではうっすらと紋様めいた模様が浮かんでいます。またタッチバッド表面も幾重もの輪が重なっている模様が入れられており、パソコンは普段からよう使うものだけにこうした意匠があるのは私個人としては非常にうれしい仕様です。
 ただ一つだけ欠点もあり、それはズバリ言うと色です。BTOパソコンでなおかつ価格を抑えた製品なのですからしょうがないとは思うもののボディ色が黒一色しか選択できないというのは少し残念なところで、せめてもう一色くらいほかに選べたらなと思えてきます。なお私がノートPCの色で好むのは白か赤で、何気に黒が一番嫌いです。何故嫌いかというとほかの人も黒いのばっかで同じ黒だと個性が出ない気がして、この際黒でなければ青でも茶でもピンクでもいいのが本音です。

 話は変わり今度は外部接続の配置に関してですが、これははっきり言いますが非常に問題があり、低い水準にあるとしか言いようがありません。まずUSB端子はUSB2.0の端子が1個、USB3.0の端子が2個ついていますが、これらがすべて本体左右の手前部分にあるのはどうにかならなかったのかと不満を覚えます。左手前はまだ理解できますが右手前部分だとUSBメモリなんかを指し込むと本体から端子が飛び出すので、右手でマウスを動かしてたりすると手がぶつかりやしないかとどうしても気になってしまいます。私が自宅で使っているNECのLaVieなんかは左手前こそ同じ配置であるものの右側面のUSB端子は手前ではなく奥にあり、そのかわりCDの挿入箇所が手前に来るなどエプソンとは対照的です。
 ただこのUSB端子ならば左手前部分の端子だけを使うことによってまだ我慢できますが、本当にどうにもならないのはキーボードの配置です。まず下記の画像をご覧ください。


 注目してもらいたいのは右端近くにある「Enter」キーです。写真からだとわかり辛いかもしれませんが、実物で見るとこれが非常に小さく、何で一番打鍵回数の多いこのEnterキーをわざわざ小さいサイズにしたのか不思議でしょうがありません。しかもその左手前にある鍵括弧の『「』と『」』キーも、何故かこれだけほかのキーに比べ2/3程度の大きさにされており、ブラインドタッチで叩いていると通常のキーボードと感触が違ってすごい迷うし実際にミスタイプすることが多いです。真面目な話、文字入力で変換後に確定しようとEnterキーを押そうとしたらその右隣の「PgUp」、「PgDn」を押してしまうミスタイプなんて、このノートPCに触れて初めてやらかしました。
 このキー配置の仕方は本当に不思議で、ボディを見る限りだとキーボードの両側面はまだ幅があるように思えるし、キーボード幅が変えられないにしても左端の「Tab」キーと「Caps Lock」のキーの方が打鍵回数は少ないのだからこっちを逆に小さくすればいいのではないかと思えて仕方ありません。私のようにやたらキーボードを叩く回数の多い人間からしたらこのキー配置は閉口するよりほかなく、無線接続キーボードでも使おうかなと検討してます。

 以上がこのノートPCに対する主だった評価ですが、総合して評価を下すならばコストパフォーマンスには非常に優れたパソコンだと言って間違いありません。キーボードの配置だけは本当にひどいものですがそれ以外であれば同クラスの他社製ノートPCに大きく劣ることはなく、それでいてこの値段であれば個人のネット観賞用、オフィスワーク用であれば十分実用に耐えうるでしょう。

 あと隠れた長所として、パソコンの初期設定が他社製と比べて格段に優れています。エプソンのパソコンはすべてネットを通して注文を受けてから組み立てられて出荷されるBTO(Build to order)パソコンなのですが、製品が家に届いた段階でOSなどはすぐ使用できる状態にされており、そして何より余計なアプリケーションソフトが一切入れられていません
 この辺り、NECや東芝、あと富士通辺りのパソコンに顕著なのですが、新品を買うとまず使うことがないであろう余計な補助ツールやセキュリティー、写真編集ソフトなどがやたらめったらインストールされており、開梱後はこれらのソフトを全部アンインストールするところから始めなければなりません。しかしエプソンのパソコンに関してはユーザー登録を促すアプリを除いて余計なソフトは一切なく、文字通り受け取り後にすぐ使用できるので地味に使い勝手がいいです。

 そういうわけでこのパソコンの各ポイントをA~Eの5段階評価でまとめると以下のようになります。

PC性能:C 可もなく不可もなく使用に当たって全く問題ないレベル
デザイン:B シンプルながら意匠が行き届いている。ボディ色さえ選択できれば文句なし
外部接続:D 壊滅的とまではいかないがあのキー配置だけは理解し難い
初期設定:A これ以上の水準は多分ないであろう
コストパフォーマンス:B この性能でこの価格なら十分お得

ただ単純に価格だけを追い求めるのであればLenovoやASUS、、Acerといった中華系メーカー、そして米国のDELLの方が安くてPC性能も高いラインナップを揃えているので、コストパフォーマンスではエプソンがナンバー1ってわけにはなりません。それでもこのエプソンのパソコンを私が選んだ理由を挙げるとまずはデザイン性、そしてこれは変な話ですがレアリティです。エプソンのパソコンは先ほどにも書いたようにBTOなので出回っている数が少なく、持ってるだけで一つの個性つを発揮できるくらいです。実際に中国に持って帰ってきて事務所の複合機の設定を業者の人間呼んでやらせたところ、「何このブランド?見たことない」って驚いてくれました。

 最後にこのノートPCの価格について、通常価格は46000円(税抜き)ですがちょうど今セールをやっていて3000円がここから差っ引かれます。なおこのセールはちょうど私が購入した直後に始まったもんだから、「デスクリムゾン」に出てくる伝説の傭兵「コンバット越前」のように「やりやがったな!」などと口走ってました。

大塚家具の一連の騒動について

 やっとというべきか、先月頃から各種の報道を騒がせ世間の関心を一手にかっさらっていた大塚家具の親子対決が昨日、ようやく決着がつきました。

 もはや説明する必要はないでしょうが後年を見越して簡単に説明しておくと、家具販売大手の大塚家具で、創業者でもあり会長である大塚勝久氏とその娘で現社長の大塚久美子氏が社長職を巡り昨日の株主総会で激しく争い合いました。結果は株主から多くの支持を得た久美子氏の勝利となり、敗北した勝久氏はそのまま期間満了ということから取締役が解任され、事実上経営から追い出されることとなりました。
 両者の対決はそこそこ年季が入っているというか結構まだるっこしい所があるので、年表にして簡単にまとめてみましょう

<2007年5月>
 勝久氏が行った自社株のインサイダー取引に対し金融庁から追徴課税を受ける。
<2009年3月>
 インサイダー問題の引責として勝久氏が社長職から退き、久美子氏が社長に就任する。
<2014年7月>
 て勝久氏の提案から久美子氏が社長職から解任され、勝久氏が社長に再就任する。
<2015年1月>
 4期ぶりの営業赤字となったことから取締役会で、4対3の僅差ながら勝久氏の社長職解任が決議され、久美子氏が社長に再就任する。取締役会の翌日、勝久氏は3月の株主総会で久美子氏の解任動議提案を出す方針を明らかにし、久美子氏側も勝久氏を含まない新役員の任命提案を出し、株主委任状の争奪戦が勃発する。

 以上が両者の争いの大雑把な流れです。最終的には先ほど述べた通り株主からの支持数で勝った久美子氏の提案が株主総会で通り、この壮大な親子喧嘩は娘の勝利で終わったと言えます。
 両者のケンカの種ともいうべき経営方針の違いとは、細かく説明するのは野暮なので簡単に言えば、父親が従来の営業方法を重視したのに対して娘なよりカジュアルに変革しようとするなどいわば保守VS変革と呼べるような違いからの対立だったと言われています。

 このニュースに対する私の意見を述べると、まず一言で言うと見ていてすっごく面白かったです。仮に自分が大塚家具の社員だったらこんな風には言えませんが、縁もゆかりもない傍観者の立場からするとこの因縁深くリアルタイムで物事が動いた両者の争いはエンターテイメントとしてこの上なく、当事者たちには本当に申し訳ないのですが堪能させていただきました。
 中にはそんな言い方は不謹慎だなんていう人もおられるかも知れませんが、死者を冒涜したり他人の人生をふいにさせるなど度を越したものでなければ楽しいと思えるニュースは素直に楽しんだ方がいいと個人的に考えています。

 ただ一連の騒動に対する事前報道からすると、今回の結果はやや意外さを覚える結果でした。というのも株主総会前の報道を見ているとほぼすべてのメディアで、「父親が有利」という下馬評が出ており、蓋を開けてみたら娘の久美子氏が勝ったもんだから、「あれ、予想報道と全然違うじゃん」なんて拍子抜けました。票読みが難しい案件であったことは確かですが、それならそれで「どっちに転ぶかわからない」という報道をすべきだったのではないか、一体日系メディアは何を根拠に父親有利説を出したのかとすこし憤りを感じます。もっとも、反省もしないでしょうし検証もしないでしょうが。

 その上で今回の結果に対する感想を述べると、久美子氏が勝利して良かったのではないかと私個人としては考えています。やはりどう考えてみてもインサイダーやらかしたり、業績をまた悪化させたりと勝久氏の経営能力や人物は如何なものかと思え、久美子氏のカジュアル路線が今後成功するかどうかはまだわかりませんが、少なくとも勝久氏の保守路線はどのみち駄目だろうという気がしてなりません。その上で、久美子氏のやり方が成功すればそれはそれでいいでしょうが、失敗すれば恐らく勝久氏が再就任していたよりも早く潰れるだろうし、業界全体の発展にとってもその結果はいい効果を生むはずだと見ています。

 こうした意見は今回見ていてほかに誰も言っていなかったのですが、良くなる会社はどんどん良くなって売上げや利益を増やすだけ増やした方がいいと思いますが、逆に駄目な会社はどんどん駄目になってなるべく早く潰れてくれた方がいいと私は考えています。何故なら経営方法が悪い会社が潰れればその分の売上げが経営のいい会社に流れ、経済合理性ともいうべきか業界や社会全体に取っていいサイクルが加速するからです。逆に経営の悪いゾンビみたいな会社がしぶとく生き残れば業界の足を引っ張ることとなり、実質それが失われた十年を生む要因になりました。

 そういう意味で今回久美子氏が勝利したことによって、大塚家具はまた久美子氏流のカジュアル路線への変革に突き進むでしょう。変革には投資も必要で、失敗した場合は何もしなかった場合よりも間違いなく寿命を縮めます。成功すればもちろんいうことなしですし失敗すれば早く潰れる可能性が高まるのだから、やや皮肉っぽい言い方ですが私は今回久美子氏が勝って家具販売業界全体にとっては間違いなくプラスだろうなという風に今回の結果を見ています。もちろん、誰が言い出したか知りませんが「家具屋姫」こと久美子氏には無事変革を成し遂げ、立派に成功してもらいたいとは祈ってはいますが。

 最後にこれは私ではなく友人の意見ですが、今回の騒動を見ていて大塚家具は詰めが甘いという指摘が来ています。今回の騒動中、勝久氏も久美子氏も揃って何度も会見を開きメディアを通して自身の正当性を訴えてきましたが、そのどれもがオフィスとか普通の会見場だったそうです。その友人曰く、「折角家具のショールームを持っているのだからそこで会見し、自社の商品を映像に流して大きく宣伝するべきだった」と述べ、ややみっともない内輪もめとはいえそれすらもビジネスチャンスにつなげる努力が足りないと話していました。
 その上で友人はソフトバンクの孫正義社長が一時期流行った「アイスバケツチャレンジ」を行った際、きっちり自社の「SOFT BANK」という会社ロゴの前でやってみせてその画像をツイッターで流すという抜け目のなさを見せたことと比較し、経営者としての格の違いが出ていると断じています。私もこの友人の意見に至極同感なのですが、孫社長のアイスバケツチャレンジの写真を見て最初に思ったのは、「やっぱこの人が水被ると頭の方が余計みすぼらしくなるな……」ってことで、会社ロゴよりも孫社長の頭の方に目が行ってました。

2015年3月27日金曜日

千葉のマッドシティ~縁のある有名人

 また本題と関係ありませんが昨日勤務先の工場に警官二人が来て、何でも先日に工場近くの川で死体が見つかったので何か心当たりはないかと尋ねて情報提供を呼びかけるチラシを置いて行きました。チラシによると死体は壮年男性で身長は162センチ。赤いジャンパーを着ていてその写真もついていましたが、有力情報提供者には1万元(約20万円)を出すと書かれてあったので殺害されたような跡でもあったのかもしれません。ちなみに同僚たちは、「うわー死体だって。どうしよー」などと女子高生みたいにちょっと盛り上がってました。

 そういうわけでまたマッドシティ。毎回、地元の人間以外を置き去りにしたネタばかりを展開しているので今日はもうちょっととっつきやすく松戸市に縁のある有名人をいくつか紹介しようと思います。

松戸市出身もしくはゆかりの有名人(Wikipedia)

 正直な所、私の記事読むくらいなら上のウィキペディアの記事読んだ方が早いだろうし詳しいでしょうが、ひとまず松戸市に縁があって私もそこそこ知っている人を幾人かピックアップして紹介します。

 まずスポーツ選手の枠で語れば、阪神タイガースの現監督である和田豊氏の名前が私の中で真っ先に挙がってきます。和田氏は松戸市出身ですが高校は別の市の高校に通っており、その高校では「ガンダムF91」の主役であるシーブックの声優をしていた辻谷耕史氏と、「少年アシベ」にでてくるアザラシのゴマちゃんの声をしていたこおろぎさとみ氏と同級生だったようです。ちなみにこおろぎ氏はゴマちゃんの収録中、喉から血を出したと聞いております。
 同じ野球枠だとかつての西武のエースで現在は千葉ロッテに在籍する涌井秀章選手も地味に松戸市出身です。また松戸市出身ではないものの、新松戸にあったスケートリンクにはこの前引退したフィギュアスケートの男子選手の町田樹氏が幼少の頃に通っていました。

 次に芸能人枠だと私が反応できる名前は安倍サダヲ氏、高木美保氏、あとラッシャー板前氏がウィキペディアのリストから上がってきます。なんでこの三人なんだろうという気もしますが、この三人以外だといまいちピンと来ないのが本音です。あと押切もえ氏も一応反応できるが、彼女は今どこで何やってるんだろう?
 文化人の枠だともう少し反応できる人が増え、「どうぶつ奇想天外」などで活躍された千石先生こと千石正一、女性宇宙飛行士の山崎直子氏など著名な人物も名を連ねています。特に山崎氏に関しては松戸市も地元の英雄のような扱いをしていて、松戸駅内の通路には常に山崎氏が写ったポスターが貼られてあるくらいです。

 そんな有名どころの下、既にウィキペディアのリンク先を見た方ならもう察しが付くでしょうが、先の二人を軽く凌ぐような超大物の名前がさりげなく書かれています。そう、小保方晴子氏です。去年の騒動の際には彼女が松戸出身であることがネットの掲示板に書かれるたびに、「またマッドシティ出身かよ」などと書かれることもあり、「またってなんだよ……」なんて妙な感想を覚えました。
 それにしても去年の今頃はSTAP細胞でちょうど大騒ぎし始めた頃でしたが、今年も既にみつきも過ぎているにもかかわらず、佐村河内、野々村前議員といった世間の関心を一挙にさらうような人物が一人も出てきていません。当時からも実感していましたが去年はなんかこう、十年や二十年に一度歩かないかってくらいの人材の当たり年だったんだなぁとしみじみ思います。

2015年3月26日木曜日

文章は口ほどに物を言う

 この頃、初赴任地が金沢だったので飲めないのにヤケ酒するほど落ち込んだことのあるうちの親父から送られてくるメールに、「ブログの文章が荒れているが何か嫌なことでもあったの?」とか、「最近ブログが落ち着いてて調子良さそうだね」などという文言が書かれてあり、どうやらこのブログの文章から勝手に私のメンタルチェックを行っているもようです。文章からメンタルチェックをするというと多分大半の人が「なんやねんそれ」とか思うかもしれませんが、私個人としてはあながち親父のこの行動を的外れなものだとは考えておらず、私自身もよく他人の文章を読んで書き手の性格、知識、当時の心境などを分析してます。そんな私に言わせれば文章というのは書き手の人間性を強く出すもので、時と場合によっては書き手の意図しない部分まで見せることもあると考えております。

 実際にこのブログを定期的に読んでいる方ならわかるでしょうが、私の文章は書いた当時の気分を割とストレートに出しているので、記事ごとにどんな気分で書かれたのかがわかりやすいと思います。しょうもない内容を嬉々として書いていることもあれば明らかにやる気がなく何か義務的に書いている感じもする文章もあり、叩き甲斐のある相手を見つけて多少の正義感と共にニヤニヤした感情剥き出しで書いてある文章なんかは、「ああ、あるある」って具合で思い当たることも多いことでしょう。また私に限らずとも他の人でも、ブログの文章にプライベートで切羽詰っていそうな印象を覚えることもあれば、本気で悩んでそうだったり、逆にうれしくてしょうがなそうだったりと、表現力の差はありますが多かれ少なかれ書かれた当時の心境が出てきてしまっています。

 しかし、文章から読み取れるのは何も書かれた当時の心境だけでなく、読み方によってはそれ以外のパーソナリティも一瞬で喝破することができると断言します。その一例と言ってはなんですが先日、友人が「こんなメールが来たんだけど」と一通のメールを見せてくれました。そのメールの内容は友人がやっているサイドビジネスに関する問い合わせで、何かコラボできないかと提案した上で今度お会いしたいと書かれていたのですがこのメール文を一読して言った私の返答はなんだったのかというと、

「メール文を読む限りこの人はそんなに頭が良くないから、提携する、しないという議論以前にビジネスパートナーとして頼りにならないだろう。会うのは勝手だがあんまり期待しない方がいいかもしれない」

 という、我ながら身も蓋もない返答の仕方をしました。恐らく友人は向こうの提案内容について私に意見を求めたのでしょうがこんな返事が返ってきて、「え、なんなんそれ(;゚Д゚)」という具合でやや唖然とした顔を浮かべていました。それからしばらくしてこの友人が実際にメールの送信主に会ってきたので印象を尋ねると、「花園君の言う通り、確かに馬鹿そうだった(;´Д`)」、などと言うもんだから、「だろぉ(・∀・)ニヤニヤ」と言って私もどや顔を浮かべてました。
 この時の種明かしをすると、その問題のメール文ではまず接続詞の使い方が未熟で文章のつながりが悪かったことと、ビジネスプランの説明の際に余計な修飾語を頻繁に使ってくどく長くわかり辛い文章に仕立ててビジネス文書としては核心が掴み辛くふわふわした文章だったので、恐らく書き手は事務的な見かけにこだわるあまりに本題を上手く伝えきれないタイプの人間で対面で説明聞いてもなんかピンと来ない説明のされ方をするだろうと判断しました。友人にこの分析を話したら、「大体そんな感じ」と言われてここでもまたガッツポーズしました。

 文章だけでそこまで分かることが出来るのかと思われるかもしれませんが、案外わかるというか私の実感では分析の的中率はそこそこ高いような気がします。もちろん万能というわけでなく外れることもありますが、やはり文章がわかりやすくまとまっている人は話を聞いていても賢そうだなぁと思えますし、逆に単文を何度も区切ってほとんど複文を使わずに文章をまとめる人は話しを聞いててて失礼ながら、「一体何を言いたいんだこの人?」って言いたくなる人が多いです。
 このほか内容の少なさの割に文字数が多い人は体面を気にしやすかったり、カタカナ語を多用する人はボキャブラリーが少なかったり、私に言わせれば文章というのは相手の人格分析をするに当たって宝の山みたいなもんです。あとこれは偏見かもしれませんが、無駄に難解な言葉を使用しようとする人は左翼的な平等思想の持ち主が多いような気もします。

 こうした文章に滲み出る人格というのは、意識して集中すれば覆い隠すことは不可能ではありません。しかしいちいち書く文章にそこまで気を使う人はまずおらず、大抵は馬脚が出るというか少なからず性質が出てくるでしょう。私などはそういう文章に出てくる性質こそがその人が持つ個性だし隠すべきじゃないと思うのでむしろ露骨に出すようにして書いていたら、「ブログが無駄に攻撃的過ぎる」と注意されるようになったわけですが、逆を言えばきちんと自分の個性をうまく表現できている証拠かなと前向きに見ています。

 以上までがまた私の独創的な考え方というか暴論のあらましですが、最後にもう一つだけ文章から読み取れる性格分析方法を記しておくと、文章から相手を一番簡単に図れる指標は文字数です。
 それこそ「ソ連は何故崩壊したのか」というような壮大なテーマであれば文字数が多くなるのは仕方ないですが、「よいコミュニケーション方法とは?」などといういかにも採用試験で出てくるようなどうでもいいテーマに対する文章で大量の文字数で書いてくる人間を私は評価できません。先程にも書いた通りに内容に対して文字数が少なければ少ないほど簡潔にかつ分かりやすくまとまっていると言え、数式で書くなら、「内容/文字数」の数値が高ければ高いほど評価できます。それだけにしょうもない内容に対して長ったらしく書くのは書き手にも読み手にも無駄な行為でしかなく、先ほどの様に人をおちょくっているとしか思えないテーマであれば自分の考えを一言述べればそれでOKだし、私はそういう人間ほど評価します。
 なお先ほどのテーマに敢えて回答するなら私は、「目と目で通じ合う」とだけ書きます。こんな返答の仕方ばっかしてたから書類で落とされまくってたんだろうな俺。

2015年3月24日火曜日

ゲームレビュー:極限脱出ADV 善人シボウデス

 昨夜友人に、「体調大丈夫?」と聞かれましたが、多分友人はどっちかっていうと「ゲームし過ぎじゃね?」と聞きたかったんだと思います。まぁその後の返答には、「もうすこしでエンディングだから大丈夫だよ」と答えましたが。
 そんな友人にも心配されるほど何のゲームをやっているのかというと、この前の一時帰国時に買ったPSVitaのゲーム「極限脱出ADV 善人シボウデス」です。どうにかこうにか昨夜にエンディングを見ることが出来たので、久々にゲームレビュー記事として書こうと思います。

極限脱出ADV 善人シボウデス(Wikipedia)

 このゲームソフトはニンテンドー3DSとPSVitaの2ハードで発売され、私が遊んだのはPSVita版です。ゲームジャンルはアドベンチャーで、なんで遊んでみようと思ったのかというとなんか無性にテキスト読まされるアドベンチャーゲームをやりたくなって、他にもいろいろ買い込みながら「折角だから」と思いつつ、質のいいアドベンチャーゲームとして評価が高かったこのゲームも買ってみました。結論から述べると期待に反さず、「かまいたちの夜」を始めとする傑作サウンドノベルゲームを作ったチュンソフトなだけあって面白いゲームでした。

 先に述べておくと、このゲームは2012年の発売ですが2009年に発売された「極限脱出 9時間9人9の扉」の続編に当たり、前作の登場人物も何人かがそのまま出演しています。前作を遊んでいればシナリオの裏側というか背景も読めてプラスでしょうが、私の様に前作を遊んでいなくてもシナリオが理解できないということは全くなく、マイナスの影響はほとんどないためこのゲームから始めてもほぼ問題はないでしょう。

 ストーリーのあらすじを話すと、大学生の主人公がある日目を覚ましたらエレベーターの中に閉じ込められており、同じエレベーターの中にはヒロインに当たる女の子も閉じ込めらていて、二人とも何故ここにいるのか、誰に連れてこられたのか記憶が全くない中でひとまず脱出を試みるという出だしとなっております。
 このゲームは通常のアドベンチャーゲームのように選択肢を選んでテキストを読み進める「ノベルパート」と、上記のエレベーターのような閉じ込められた状態から室内を探り、パズルなどを解いて脱出する「脱出パート」という二種類のゲームパートに分かれて構成されています。メインはもちろん「脱出パート」ですが、ノベルパートも選択肢が豊富にあり、そのシナリオは樹形図のように細かく分岐していき、分岐後の各シナリオを読んでいくことで徐々に物語の真相がわかっていくという形式になっています。

 脱出ゲームのほか、ストーリーの中ではいわゆる「囚人のジレンマ」に題材を取ったようなゲームも展開され、信頼していた仲間に裏切られることもあれば逆にプレイヤーが裏切ることもあり、なかなかにシナリオは展開が大きいです。また複数のシナリオを跨ぐことで初めてシナリオの進行に必要なパスワードがわかるようにもなっており、ゲーム後半では文字通りに各シナリオの集大成のような展開となり、ただテキストを読んでいるだけでも結構熱くなってきます。
 ちなみにゲームの展開というかシナリオによっては一方的に裏切られて主人公が死ぬこともあれば、一緒に探索する仲間が殺されたりする展開も起こり得ます。果てには主人公以外全滅なんていう結構ショッキングな結末もあれば主人公とほか二人だけが監禁場所から脱出できたものの、ほかの人間は置き去りになるという展開もあって、全体的にはハードな結末が多いです。

 それでこっから私個人によるレビューとなりますが、まず一番言いたいことはそのテキスト量の膨大さです。私のエンディングまでのプレイ時間は約30時間ですが、これは今まで遊んだアドベンチャーゲームの中では異例なくらいに長いです。調べてみるとほかの人もクリアまで30時間程度かかったという人が多く、その誰もがテキストが膨大だったという感想を述べています。
 このテキストの膨大さはもちろん欠点ではなく、長く遊べるという意味ではむしろ長所です。しかしほかのレビュアーによっては複数のシナリオで似たような展開があったりするので、読んでて間延びするなどという評価も出ており、これには私も同感です。具体的に言えば、「そろそろあいつが病気で倒れる頃だな」とシナリオ途中で段々わかってきます。

 次に脱出パートについてですがこれは非常によく出来ており、一応難易度ハード(ハードとイージーしかない)で全問クリアしましたが、どれも時間をかければなんとか解けるものの要所要所で頭を使う必要があり、うまいこと脱出に成功したら軽くガッツポーズを取りたくなるような達成感が感じられます。ただ一部のパズルは明らかにヒントが少なすぎて余計な誤解生んだりするのもあり、特にサイコロの目を決まった位置に決まった目で置くというパズルではヒントの方角が曖昧だったため、解釈は正しかったものの配置方向が間違っていてなかなか突破できず苦労させられました。

 最後にシナリオの出来ですが、このゲームのシナリオライターはゲームの設定をシナリオに組みこむのが上手いと評価されているそうで、このゲームでもそれが如何なく発揮されています。具体的に述べればプレイヤーがプレイ途中で別のシナリオに「ジャンプ」するという設定を組み込んであり、理由づけといいシナリオの立て方は確かに腕の良さを覚えます。またゲーム終盤の怒涛の展開は息もつけないとはああいうもので、各シナリオにちりばめられていた細かい要素が一気に集まってはじけるような、人によっては多少のくどさを感じられるかもしれませんが真相が超スピードで明らかになるあの展開は大したものだと目を細められました。

 しかし、というかこのゲームの最大の賛否両論点でしょうが、最終的な結末に関しては確かに人を選ぶでしょう。多少ネタバレになりますがその結末というのはどんなものなのかというと、続編を前提にした結末になっています。大まかに書くと、「全ての真相は次のステージで明らかになる!」って具合でブン投げられており、一応主人公たちが何故監禁させられ、何故命を張ったゲームをさせられていたのかなどの理由は判明するものの、そのゲームの最終目的と結末に関しては「次回を待て!」で終わってしまうので、仮に次回作がこのまま出ないなら未完成作品として終わりかねません。事実、「善人シボウデス」の発売から約三年経っていますが、続編の噂は未だとんとありません。
 特にこの続編を前提とした結末で割を食っているのはヒロインで、他のキャラクターはほぼ完全にその来歴や目的といった人物像が最終的に明らかとなるものの、このヒロインだけは結局最後までどういう人物なのか、何故連れてこられたのかが不明なまま終わるなどかなり不遇な扱いです。どうもネットで見ていると、このシナリオライターはこういう尻切れトンボ的なシナリオを書くことで有名だそうです。

 以上がゲーム内容に関する感想でこっからは適当なことを書いていきますが、このゲームでは主人公を除き8人の主要人物+AI1体が出てきますが、どれも声優陣は豪華で、特に、「クレヨンしんちゃん」の園長先生役をやっていて昨年亡くなられた納谷六朗氏の演技は思うところもあって色々と耳に染みました。

 能登麻美子氏や田村ゆかり氏、TARACO氏など出演する声優のほぼ全員が実力者で構成されているのですが、この中でもその演技ぶりに一際驚いたのはヒロインの声を当てている小見川千明氏です。私は小見川氏の出演作だと「それでも町は廻っている」のアニメを以前に見ているのですが、この作品で主人公の嵐山歩鳥を演じる小見川氏の声は一度聴いたらまず忘れられないくらい特徴的なキンキン声で、演じるキャラクターには確かにはまっているからいいけどこんな特徴際立つキンキン声ならほかのキャラクターはまず演じられないだろう、要するに「ワンオフ声優」だろうと当時思っていました。
 しかし、この「善人シボウデス」で小見川氏が演じたヒロインの「ファイ」というキャラクターはクールで冷静沈着かつ毒舌な性格で、先ほどの元気だけが取り柄な天然ボケ系の性格した嵐山歩鳥とはまさに正反対なキャラクターであったものの、かなりイメージに近い声で見事な演技ぶりを見せています。特に要所で見せる絶叫系のセリフは聴くだけに切迫感を感じさせられるような見事な声の出し方で、こんな風に演じ分けが出来る器用な声優だったのかと一気に評価を改めさせられました。小見川氏は出演作が少ないだけに、もうちょっといろんなところに声出した方がいいのではと思うくらいに。

 ちなみに、声優の演技のうまさはさっき書いたように絶叫するセリフで差が出てくるように思います。絶叫というと大声を出せばいいだけでなくその状況に合わせた切迫感、怒り、恐怖といった感情をまとめて表現しなければならず、なおかつ発音もしづらい声の出し方なのでこの辺で実力の違いが一気に出てくると勝手に考えています。
 そんな私からして今まで聞いた絶叫系のセリフが上手い声優を挙げるなら、「キルラキル」というアニメで主人公役を演じた小清水亜美氏です。このアニメ自体、いつどのシーンでも誰もが絶叫しまくるというカオスなアニメでしたが、その中でも群を抜いているというか「この人どっから声出してんの?」と聞いてて不思議になるくらいに演技が上手かったです。もはやゲームのレビューなのか、声優の批評記事なのかわからない記事になってしまったなぁ。

2015年3月23日月曜日

リー・クアンユーの逝去について

 このところ気温の寒暖差が大きいせいか、それとも昨夜夜中二時までゲームし続けたせいかまた頭痛を起こして調子が悪いので、今日はパッと書ける時事ネタにします。それにしてもあのサイコロの謎解きは酷い……。

 あちこちで報道が既に出ていますが、名実ともにシンガポール建国の父といえるリー・クアンユー元首相がこのほど逝去されました。シンガポール自体がまだ若い国ということもありますが、建国からその独自発展の礎を築いた人物なだけにまたも世界の大物が去ったかという印象を覚えます。

 私自身はリー・クアンユーについてそれほど詳しくはないのですが、前の会社の上司が彼のあるインタビューを引用して「桁違い」だと高く評価していたことをよく思い出します。そのインタビュー内容というのは米国の9.11直後、この事件について感想を求められた時に答えた以下の一言です。

「テロリストと革命家というのは成功するか否か、紙一重の差に過ぎない」

 この場合のテロリストというのは言うまでもなくオサマ・ビンラディンを差し、後者に関してはいくつか候補はいますが無難な所だとキューバのカストロ議長あたりでしょう。

 この言わんとする内容はテロリストも革命も既存政権に対して過激な反抗行動を取るという点で一致しており、その後の政権奪取に成功すればそれは革命となるが失敗すればテロリストという犯罪者に終わるという意味で、本質的に両者は同じ存在だという意味です。

 この意見に対して肯定論も否定論もいくらでもあるでしょうが、9.11の感想を求められて用意していたかどうかは置いといてパッとこの一言を言えてしまう、しかもビンラディンなどの具体名は出さずにやれるあたりは並外れていると元上司は言っていました。私自身の評価も元上司と同じで、9.11の行為そのものが善か悪かという概念で見るのではなく、国家というシステムという枠で捉えるとすればその視点はやはり国家元首を務めた人物の物だという迫力を感じます。

 現在、シンガポールは小国ながら中継貿易と金融で世界のグローバル市場で確固とした地位を築くに至っております。個人的には完全なライバルである香港に思い入れがあるためこっちに頑張ってもらいたいものですが、このようなシンガポールという国を文字通り引っ張っていったリー・クアンユーに対し改めて敬意を払うと共に哀悼の意をこの場にて表明しようと思います。

2015年3月22日日曜日

ハゲ市場~広がる世界、広がるかつら

 きっかけは友人との会話中に出てきた何気ない一言からでした。

「アートネイチャーのかつらって、どこで作られているんだろ?」

 なんでこんなことを口走ったのかというと、この情報が無ければ「あなたのかつらはどこから?」、「私は○○から」という掛け合いが成立しないのではと考えたからです。もっともその時は本気で調べるつもりもなく適当に口走ったつもりでしたが、話を聞いていた友人がちょっとマジになってIR資料とか取り寄せて調べ始め、「どうやらマレーシア辺りで作っているらしいぞ」と報告してきたので、これはニュースになると思い引き継ぐ形で私も調査を始めました。

 ただかつら市場に対しては以前から興味があったというか調べてみたら面白そうな業界だとは認識していました。何故かというと男性が金額に糸目を付けずに欲しがって購入するものときたら昔は自動車でしたが近年は消費嗜好が変わりこれからも離れつつある一方、かつらに関しては未だに消費意欲が高いと方々で言われており、自分も会社作ろうとした時にこの方面で何か入り込めないかと思案していました。
 そのかつらですが、全くこの業界に関与していないのでほとんど知識はありませんが見るからに手作業で作ってそうな代物で、労働集約型産業の産物にしか見えない代物です。となると日本国内で生産すれば人件費が高くついて商売にならないだろうから、恐らく人件費の安い海外工場で作っているのでは。ならば日本で流通しているかつらはどこで作られ、どういう流通を経て消費者の手元へ届けられるのかがどんどんと気になり、また海外市場で日本のかつらは売られているのかも同時に知りたくなって折角だから気合入れて調査しようという結論へ至りました。

 調査に当たっては日本を代表するかつらメーカー二社のアートネイチャーとアデランスを調査対象に選び、この二社の動向から世界市場を分析することにします。

<両社の会社規模>
 調べるに当たってまず、調査対象の二社の企業規模をまとめました。結果は以下の通りです。

会社名
資本金額
従業員数
アートネイチャー
36億6,328万円
2,909人
アデランス
129億4,400万円
5,305人

 業界関係者の方には大変申し訳ないのですが、今回調査するまでこの二社は同じくらいの規模ではないかと勝手に考えていました。実際にはアートネイチャーに対してアデランスは資本金額は約3倍、従業員数も約2倍と大きく上回っており、業界大手同士とはいえ規模の違いがはっきり出ています。

<両社の直近の売上げ>
 会社規模でアデランスの方が大きいということはわかったので、それでは売上げはどの程度差があるのかについても調べました。アートネイチャーの会計期間は一般的な4月開始3月末締めですがアデランスは何故か3月開始2月末締めというちょっと変わった期間設定のため厳密な意味での同時期の営業成績というわけではありませんが、直近1年間のそれぞれの売上げと純利益を下記にまとめました。

会社名
期間
売上高
純利益
利益率
アートネイチャー
2013年4月~2014年3月
400.2億円
14.0%増
31.3億円
35.5%増
7.8%
アデランス
2013年3月~2014年2月
677.6億円
32.6%増
42.8億円
29.7%増
6.3%
※パーセンテージは前期比との比較

 見ての通りに会社規模が大きい分、売上高もアデランスがアートネイチャーを上回っております。ただ売上高に対する純利益の割合に当たる利益率ではアートネイチャーが7.8%とアデランスの6.3%を1.5ポイント上回っており、単純に売上高だけでは見えない両者の質の違いも出ております。
 それにしても両社とも売上げ、純利益ともに二桁超の増収増益で、一見して「やっぱ儲かってるんだなぁ」という妙な頼もしさを覚えます。今時30%超も当たり前のように増益する業界もあるのだと惚れ惚れする成績ぶりです。

 上記データは直近会計年度1年間の営業成績で、今度は今期第1~3四半期(Q1~Q3)の営業成績を見比べてみましょう。

会社名
期間
売上高
純利益
利益率
アートネイチャー
2013年4月~2014年12月
298.9億円
3.5%増
16.2億円
32.2%減
5.4%
アデランス
2014年3月~2014年11月
560.5億円
15.9%増
41.2億円
39.2%増
7.4%
※パーセンテージは前年同期比との比較

 こちらのデータははっきりと両社に差が出ており、アートネイチャーの売上げは微増に留まり純利益は-32.2%と大幅に減少している一方、アデランスは依然と二桁超の増収増益を達成しており、利益率でもアートネイチャーを逆転しています。実はこの両社の数字にはからくりがあり、口述しますがアートネイチャーはカンボジア工場の新規投資で資金を使っており、アデランスに関してはアベノミクスの追い風というか円安の恩恵を多大に受けている節があります。
 それにしてもこういう記事を書いていると毎日財務諸表を見ていた経済記者時代を思い出すなぁ。よくこういう表も作ってたもんだから我ながら手慣れたもんだし。

<海外展開>
 いよいよ本番の話です。両者の海外展開に関しては姉妹サイトの「企業居点」の方で早速昨日、保有する海外法人をまとめてアップしたので以下をご参照ください。

アートネイチャーの海外拠点
アデランスの海外拠点(どちらも「Comlocation 企業居点」より)

 結果を述べるとアートネイチャーが海外6拠点に対しアデランスは21拠点と大きく引き離しており、またアートネイチャーはアジア地域でしか展開していないのに対してアデランスは欧州、北米でも手広く販売網を広げているため、海外展開に関しては間違いなくアデランスが大きく先を走っている状態です。この点はアートネイチャーも自覚している節があり、今季上半期決算のプレゼン資料を見ると海外展開の注力を今後の課題と目標に掲げています。
 では海外の生産工場はどこにあるのか。これについては別にまとめましたので以下をご覧ください

・アートネイチャーの海外工場:フィリピン、マレーシア、カンボジア(現在建設中?)
・アデランスの海外工場:タイ、フィリピン、ラオス

 自分の予想通りというか、如何にも人件費が安そうな国にそれぞれ立地しております。被っているところはフィリピンであとは恐らく相手先を懸念してかそれぞれ異なっていますが、何気にラオスの日系現地法人はかなりレアなので見つけた時は「ワォ」とアメリカ人みたいに驚いた振りしました。
 アートネイチャーのカンボジア工場は今年に設立して恐らく今頃はまだ工場建設の最中であると思われます。Q3の決算報告書では今期の減益理由はこの工場の建設投資にあると説明しており、前年からの大幅な目減りの仕方を見ると恐らくその理由が事実で間違いないでしょう。

<海外販売>
 国内と海外の販売比率に関してはアートネイチャー側は資料で公開していないため、アデランス側の公開資料にあるデータを紹介します。
 同社の今期Q1~Q3の売上げは560.5億円(前年同期比15.9%増)に対し国内売上げは310.4億円(同5.9%増)、海外売上げは250.1億円(同31.3%増)で、国内外の販売比率は「国内:海外=55.4:44.6」となります。

 このデータは私個人としてはなかなか驚かされるデータでした。アデランスの売上げの半分近くは海外から出ており、しかも同社はヨーロッパ各地に販社を持っているだけあって同地域での売り上げをかなり大きく出しております。また北米でも2012年に米国かつらメーカー大手のヘアクラブという会社を買収して市場展開を一気に進めようという意欲も感じるなど、総じて海外展開に積極的な企業と言えそうです。
 また海外販売が大きいということは円安による為替差益も得やすいということで、実際に決算資料をみるとQ1~Q3における為替差益は32億円だと発表しており、陰に隠れてアベノミクスの恩恵を多大に受けております。

 その逆にといってはなんですが、アートネイチャーは円安が逆風となっている節があります。同社の上半期決算資料を見ると減益理由について「人件費が11.2%増加した」と書かれてあり、メイン工場が海外にあることを考えると円安による海外現地社員の給与が増大したのではないかと見られます。アデランスも海外工場で生産をしていますが、同社は生産と同時に海外での販売も行っているだけに、ここで円安による影響が両社で別れたとのではないかと思います。

<その他雑考>
 このほかネタになるデータはないかとそれぞれの決算資料を見ましたが、両社ともに決算資料で「被る方のかつら」よりも取り付けて使う「ウィッグ」の販売強化を強く打ち出しております。恐らく「被る方のかつら」は完全オーダーメイド品のため単価が高いため拡販が難しい一方、ウィッグはオシャレファッションとして認知が広がってきはじめ単価も安いことから拡販しやすいためではないかと考えられます。実際に両社の中国法人のホームページでは女性用ウィッグをメインに打ち出しており、海外市場はやっぱりこれメインで行くつもりでしょう。

 では被る方というかオーダーメードかつらはどうなんだろうと見てみたところ、なんでもアートネイチャーの消費者の男女比は6:4に対してアデランスは4:6だと発表しており、両社で男女比が対照的な感じで分かれて面白かったです。更にアートネイチャーの資料によるとオーダーメイドかつらの売上げのうち、新規とリピーターの割合は「22.6:77.4」と、圧倒的にリピーターの割合が高いことがわかり、営業社員も末永く利用してもらうようサービスの向上に努めるというような文言も書かれてありました。
 元々かつらは単価が高く、通の間では「頭にベンツを載せている」というおっさん臭い例えもされており、実際に高級車を売るような販売のされ方がされているのかもしれません。

 更にアートネイチャーではオーダーメイドかつらの作り方もホームページで紹介されており、多分そうじゃかと思っていましたがやっぱり3Dスキャナみたいな装置で頭の型枠データを取り、その後で職人が毛髪を一本一本埋め込んでいくという作り方がされているようです。埋め込む毛髪は天然素材というか多分人間から取った髪のほか、原価圧縮のため人口毛髪も使われており、この配合比をどうするかというのが技術的な分かれ目となるそうです。
 勝手な予想ですが今後技術が発達すれば恐らく、3Dスキャナで採ったデータから3Dプリンタで型枠が作られ、そのまま毛髪も自動的に生成されてドローンで購入者の所(頭の上)まで運ばれる時代が来ると思います。

 このほかほんとどうでもいいことを書くと、やっぱり会社としてはアデランスの方がしっかりしてそうという印象を覚えます。というのもアートネイチャーの決算資料は一部見辛い所があり、純利益よりも営業利益の解説に重きが置かれていて個人的に「なんやねん」とか思いました。あとアートネイチャーのホームページは英語表記切り替えボタンもないし、全体的にアデランスの方が大人な会社の印象を覚えます。

 そのアデランスですが、ホームページ上では会社の経営スローガンのつもりなのでしょうけど「クレド(信条)」というページがあり、そこに書かれている言葉には「ありがとう・・・あふれる感謝を形にしよう」という、ちょっと一読して「んん?」となる言葉が書かれてます。そもそも、クレドって何語やねん。
 こんな感じでちょっと「んん?」ってなるアデランスのホームページですが、「CSR活動」のページでは昨年12月、病院に入院していて自宅に帰れない子供たちに対してサンタやトナカイに扮した職員が病院を訪問し、プレゼントを渡すという取り組みを行ったことが報告されています。この活動はオーガニック的なアニメ風にいうなら「イエスだね!」と賞賛したくなる活動で、こちらはアデランスを心底見直しました。

  おまけ
 中学、高校時代、薄毛に悩む友人によく、キャンディーズの「春一番」の替え歌で、「もうすぐは~げますね~、ちょっとリアップしませんか♪」とみんなで歌っていました。今思うと酷なことをしたと思います。

  おまけ2
 この記事を書くため両社のホームページ何度も言ってたから、ネットのバナー広告でやたらとかつらを薦められるようになりました。別に全く必要としてないし。

2015年3月20日金曜日

中国での連日の汚職事件摘発

 あまり長く書くネタではないのですパッと書きますが、中国ではこのところ汚職事件での政府関係者、財界人の逮捕が相次いでる、というかヤバいくらいに摘発されています。友人なんかは面白がって摘発のニュースが流れる度にそのニュース記事を私に送ってきて、「明日は誰が捕まるかな?」なんてメッセージを書いてくるのですが、あながち冗談ではなく日めくりカレンダーの様に毎日誰かが摘発されるニュースが出ています。こういってはなんだけど天気予報みたいにテレビニュースで、「それでは、今日の逮捕者ニュースの時間です」という感じで毎日報じるコーナーがあってもいい気がします。

 捕まる人間も市役所とかの小物程度ではなく、見ていて驚くような大物も相次いでいます。先日私も記事にした第一汽車の会長の逮捕なんて日本で言えば日産の会長が逮捕されるような内容ですし、また上海の副秘書長、昆明の副省長(今日捕まった)なんて、こちらも日本にたとえれば都道府県の副知事が逮捕されるようなレベルです。
 そういう意味では習近平総書記が掲げている「反腐敗闘争」は決して看板なだけではなく、本気で中国国内の汚職を可能な限り叩き通そうとする気迫に近い意気込みを感じます。こう言ってはなんですがこの施政方針は市民からも支持を得られますし、また数少ないであろう真面目な役人にとっても頑張ろうというやる気を湧き起こさせ、中国全体にとってもいい影響を生み出すものだと思えます。

 ただうちの同僚曰く、「中国の役人は99%が悪人だからまだまだ叩き足りない」とのことで、反腐敗闘争の終結はもっとずっと先だとの見方を示しています。あとこれは汚職といえるかどうか微妙ですが、以前に中国のサッカーリーグで数人の審判が賄賂をもらっていたのがばれて捕まったことがありましたが、その際に捕まった審判員の写真が並んで新聞一面に掲載されて、「なにこれ、新手のかつらメーカーの広告?」という不思議な感想を抱かせる紙面がありました。そんなくだらないネタを次回の記事への引きにしつつ今日の記事を書きあげる次第です。

2015年3月18日水曜日

日本における三種類の二次大戦

 先日の日本帰国中に読んだ雑誌で、佐藤優氏の書いた評論が載っていたので読んでみました。その評論というか連載記事では北方領土交渉について書かれてあり、その回では交渉の前提にあたる北方領土の歴史や条約の経緯について解説されていたのですが、その中で日本にとって二次大戦は三種類の戦争があったという指摘が興味深かったです。

 三種類のうちの一つは、日本と米英、オランダ、オーストラリアとの太平洋を跨いだ戦争で、これは佐藤氏の言葉を借りるなら「典型的な帝国主義戦争の性質を帯びていた」とのことです。その上で両者の言い分なり立場は五分と五分の関係でどちらかが正しく、どちらかが間違っているという要素はないと言い切っています。
 二種類目は日本と、中国、フィリピン、インドネシアなどアジアを舞台にした戦争で、これに関してはアジア諸国から日本の行動が侵略と受け止められたとして「侵略的性質を帯びていた」とこちらも言い切り、日本は真摯に反省するべき戦争であったと述べています。
 そして最後、案外これは出てくる人は少ないのではないかと思いますが日本とソ連(ロシア)の戦争を指し、これは日本が侵略された戦争だったとして不当に日本の領土がソ連に掠め取られたと述べています。

 この佐藤氏の主張に対して私の感想を述べると、漠然と上記のような価値観は持っていたもののこれまで戦争相手国によって戦争の性質が異なるとははっきりとした定義分けは出来ておらず、非常に新鮮で見事な視点だと感心しました。その上で日本は侵略国でもあり被侵略国でもあり、また太平洋の覇権を競おうと戦争した国だったのかと、その認識を改めさせられました。

 正直に述べれば私はあの戦争における日本は侵略国家的な要素が強く、米国との戦争に関しては追い詰められたというより何も考えず、なんとなく仲が悪くなっていったから戦争に発展していったという風に考えてました。ただ佐藤氏の言い分を聞いて、太平洋戦争は覇権を競う戦争、要するに主義主張の正当性はどちらも全くない戦争であったという説明を聞いて深く納得でき、やはり大陸での戦争と定義を一緒にすべきではなくこのようにはっきりと分けるべきだと重ねて思います。

 改めて考えてみると、右翼と呼ばれる集団は米英との戦争を取って日本は侵略された(追い詰められた)と主張し、左翼と呼ばれる集団は大陸での戦争を取って日本は侵略したと主張し、同じ二次大戦でもそれぞれの都合のいい部分を切り取ってあの戦争を色んな材料に使ってきた節があります。しかし本来なら太平洋、そして大陸での戦争は「日本の二次大戦」として一つにくくるべきではないほど要素が異なり、かえってこうした各勢力による「いいとこどり」が続いたせいできちんとした歴史の分析が出来てこなかったのかもとも思えてきます。

 その上で最後に述べるとするならば、期間は短かったとはいえソ連との戦争についても改めて再考するべきかもしれません。佐藤氏の言う通りにあのソ連の侵攻は紛れもない条約違反で、日本側から侵攻だと言っても特に門は立たないように思えます。私がこの歴史を再考すべきだというのは何もロシアへの憎悪を煽ろうとかそういうものではなく、どうすればこの何するかわからない猛獣のような国と付き合っていけるのか、そうした問題点を解くヒントが得られる要素があるかもしれないと考えるからです。
 よくこのブログでも主張していますが、中国も何するかよくわからないけど、ロシアはもっと何するかわからず潜在的な危険度で言えば中国の比ではありません。少なくとも中国はその辺をよく認識しており、いつかは米国を下して世界の覇権を握ろうと考えてはいますがロシアとは覇権がどうのこうの以前になるべく関わりたくない、非常に危険な相手だけど仮想敵国にはしたくないという態度をはっきりとみせています。まぁその気持ちはよくわかりますが……。

  おまけ
 この佐藤氏の評論ですが、何に載っていたのかっていうと「ベストカー」というカー雑誌です。なんでこんなのにこんな評論載っているんだろうかと少し不思議です。

2015年3月17日火曜日

美濃加茂市長の裁判での検察控訴について

 既にこのブログで何度も取り上げている美濃加茂市の藤井市長に対して収賄容疑で起こされた裁判ですが、私の意見通りというか希望通りというべきか、第一審では市長側の主張が認められ無罪判決が下りました。ただこれは第一審であって果たして第二審はどうなるのか、通常なら検察は控訴するがこんな証拠もほとんどなくいい加減な捜査で本気で控訴する気あるのかと考えてましたが、どうやら検察は自分の想像以上の存在だったようです。

「市長ははめられたんだ!」潔白を信じた市民…異例ずくめの汚職事件 〝青年市長〟無罪判決(産経新聞、これまでのまとめ)
美濃加茂市汚職:市長の無罪判決不服で名古屋地検が控訴へ(毎日新聞、控訴について)

 上記の毎日新聞の報道によると検察は判決を不服として控訴し、二審へと挑むつもりのようです。既に美濃加茂市議会は検察に対し、裁判が続けば市政の停滞を招くとして控訴を断念するよう求める決議を採択しましたがどうやらこれをガン無視する模様です。
 もちろん決議なので法的拘束力はありませんが、そもそも決議以前にこれまでの裁判過程から何をどうやって控訴しようっていうのか理解に苦しむ点が多いです。一言で書けば、この裁判では証拠は存在せず贈賄したという怪しいおっさんの妙な供述しか根拠はなく、第一審ではそれが根本から信用できないとされたのですからほかに新証拠がない限りはひっくり返しようがないでしょう。

 私の意見をここで書くと、やはりこれまでの裁判経過を見ていてもこの裁判、というよりは事件は検察が中心となって捏造されたもので、これは汚職事件ではなく疑獄事件ではないのかというのが偽らざる真情です。むしろ今議論すべきなのは検察、もしくは愛知県警の誰がこの事件を捏造し、無実の罪に藤井市長を追い落とそうとしたか、いわば事件の黒幕を捜すべき時期ではないかと思えます。
 しかしそうは言うものの、じゃあ誰がその黒幕を捜すのかとなると若干不安がもたげます。まず身内の検察や愛知県警は全く信用ならないし、ならばと特捜が出てきてもこいつらも内部不祥事の隠蔽など御手のもんなだけに大概です。現実問題として、捜査機関の不正を捜査する組織がないというのは現代日本における大きな課題だと思います。

 隠蔽事件も冤罪事件も続々と明るみに出ているものの処分に関しては結構しょうもなかったりすることが多く、神奈川県警や大阪府警もこれだけやっても免職にならないのかと呆れる例が多数あります。それこそ内閣直属、もしくは法務省直属の独立した「捜査機関を監視・捜査する組織」こそが今必要ではないかと考えています。もっとも、こんなこと言うのも自分一人だけだろうなぁ。

 最後にこの検察の控訴について、中日新聞の記事中に癇に障る一文が入っていました。それはどこかというとリンク先の記事末尾にあるインタビュー引用文で、

「同市太田町の商店主の男性(73)は『グレーなつながりを持っていたと分かった時点で、泥仕合になると思っていた。検察・警察にもメンツがあるから、控訴は仕方がない』と話した。」

 この引用文にある「グレーなつながり」ってなんやねんというのが私の疑問です。藤井市長は裁判で汚職の疑いのある行為はしていないと認められており、また贈賄をしたと主張する謎のおっさんと親密に交際していたわけでもありません。にもかかわらずさも市長に疑われても仕方ない要素があったかのように見せるこのインタビューをわざわざ引用する当たり、中日新聞の態度というか腹積もりが透けて見えます。この会社は私が目の敵にしているのもありますが、目の敵にする理由は決して私憤からだけではないというのを理解いただければという言い訳を書いて今日は筆を止めます。

2015年3月15日日曜日

一汽汽車トップの捜査について

 今日はちょっと準備していたネタを下調べを済ませて書こうと思っていたら先日の帰国中に買ってきたPSVitaのゲーム「極限脱出ADV 善人シボウデス」の謎解きにはまり時間を費やしてしまいました。結局図形を組み合わせて平行四辺形を作るパズルは攻略できなかったけど……。
 そんなわけですぐに書ける時事ネタ、なおかつこのところ急激に増えている中国ネタとなりますが、興味深いニュースが友人からも送信されてきたのでちょこっと解説します。

中国自動車メーカー会長が規律違反容疑 当局が取り調べ(朝日新聞)

 上記リンク先のニュースによると、中国の自動車メーカー大手である第一汽車の徐建一会長が重大な規律違反の疑いで捜査を受けていることが明らかとなったようです。重大な規律違反というのは要するに汚職で、贈賄や収賄、または横領などが当てはまりますが実質この三つのどれかだと思っていいでしょう。
 そもそもこの徐健一という人物がどんな人物かですが、既に書いた通り上海汽車、東風汽車と並び中国国内の自動車メーカービッグスリーに当たる第一汽車のトップです。第一汽車の売上げは先の二つと比べると一段劣ってて実質三番手ですが、それでも多数の自動車メーカーひしめく中国において一定の地位を保つ超大企業であります。

 なおこの第一汽車ですが日系メーカーではトヨタとの間で合弁契約を結んでおり、合弁会社の一汽豊田では「カローラ」や「クラウン」、「REV」4などの車種を販売しております。もっともト中国において一番人気なトヨタ車である「カムリ」は広州汽車とトヨタの合弁である広気豊田で販売されているため、トヨタの中国におけるメインパートナーと言えるのはやっぱ広州汽車ってところです。
 あと第一汽車は傘下の海馬汽車がマツダとの間でライセンス契約を以前に結んでおり、その伝手で古いアテンザなども販売していました。さすがにもう生産はしていないと思いますし、マツダも中国市場では合弁先である長安汽車とメインでやっているため、実質的に第一汽車と関連する日系自動車メーカーはトヨタ一社となります。

 話は戻りますがこれまでにも中国では多くの経済人が逮捕されていますが、その多くは国内市場での販売が主な国益企業幹部とかでしたが、第一汽車の様に海外メーカーとも絡む大物ともなると今まであまりなかったような気がします。会社の規模もそうですが今回の逮捕は大物も大物で、注近平も全く手を休めないというか手加減をしない活動ぶりの様に思えてきます。
 あとこれは推測ですが丁度今日が中国の国会に当たる全人代の閉会日であるため、この捜査発表は全人代閉会にタイミングを合わせた発表であると考えられます。逆を言えばそれ以前から相当マークしていたということになるので、まずこの会長は有罪判決からは逃れられないでしょう。
 恐らく今回の発表によって第一汽車の販売は大きな影響を受けることはないと思われますが、政府調達の公用車の入札では今後制限が課せられる可能性はあります。第一汽車は国内VIP車に当たる「紅旗」というブランドを持っているだけに、この分野での売り上げ減は十分にあり得ると予想します。

 最後に補足として述べると、あんまりほかのメディアでは書くことがありませんが中国ではどの主席も政治スローガンみたいな標語を必ず掲げます。古くは「大躍進」や「改革開放」で、直近だと胡錦濤前主席の「和階社会(=平等社会)」です。では現在の習近平主席のスローガンは何なのかですが、はっきりとこれだとばかりに掲げられていませんが実質的には「反腐(汚職追放)」が当たると思えます。
 日本ではあまり報じられませんが以前の胡錦濤政権時とは比べ物にならないほど現在の習近平政権は政財界、果てには軍をも問わずに大物の汚職摘発に力を入れています。特に胡錦濤政権は、パワーゲームの影響でしょうが、解放軍幹部に対しては絶対に捜査のメスを入れることはありませんでしたが、習近平政権は全くお構いなしと言わんばかりに解放軍の超大物幹部を平気で逮捕したりして、これには一般の中国市民も大喝采を送っててその支持度は半端じゃないほど高いように見えます。

 ただこれは逆を言えば解放軍が習近平政権を恨んでいる可能性が高く、市民からも嫌われているのでさすがに軍事クーデターを起こすことはないでしょうが尖閣諸島周辺は南沙諸島周辺で嫌がらせとばかりにわざと騒動を起こす可能性はあるように思えます。特に尖閣絡みだと日本とぶつかり合うのでこの辺はきちんとした共通認識を日中の事務方同士で持って、あらかじめ対策を準備しておいてもらいたいものです。

2015年3月14日土曜日

千葉のマッドシティ~すぐやる課

 どうでもいいですがこのところやけにネット回線の通信速度が極度に落ちています。むしろ先週までが春節の長期休暇の影響を受けてやけに速度が速かったこともありますが、VPNの速度で以前は秒速最大で200kb出てたのが今はどうあがいても40kbしか出ず、現在に至っては20kbが関の山です。地味に調べものとかで影響でるからどうにかしてもらいたいところですが、こっちの通信会社はまるで仕事しないからなぁ。

 そんなわけで本題に入りますが、マッドシティこと松戸市といって何が一番有名かとなるとSTAP細胞を生みだした科学者の出身地であることや、女子大生が殺害され放火された事件があったとか色々ありますが、恐らく全国区で聞くとなると今日取り上げる「すぐやる課」だと思います。
 このすぐやる課というのはドラッグストアチェーン最大手のマツモトキヨシの創業者である、松本清が松戸市長時の1969年に松戸市役所で創設した部署の事です。マツキヨについてはまた今度解説しますが、当時から「お役所仕事」と呼ばれるほど対応の鈍かった市役所の仕事ぶりにメスを入れるため、住民からの要望を市長直轄でダイレクトに応えるために作られました。

 当時の日本は革新市長や革新知事など地方行政改革に注目が集まっていた時代ということもあり、このすぐやる課もメディアなどで大きく報じられるなどして全国区で有名な部署となりました。私個人の評価をここで入れると、案外市役所に相談したいことがあってもどの部署に連絡すればいいのかわからないことが多いだけに、こうした万請負所みたいな部署が一つの窓口となって他の部署とも連携していければなかなか有効な改革だったのではないのか思えます。
 実際、この松戸市での創設を受け似たような部署を創設、またはそのまま同じ「すぐやる課」を創設する自治体も出ており、ウィキペディアの記事によればデンマークのグラズサックセ市も導入したそうです。

 それでこのすぐやる課ですが、現在もなお自分の潜伏地からほど近い所にある松戸市役所内に存在し、活動を続けています。やることは先ほどにも書いたように万請負的な所があるのですが、市役所職員もやってくるカレー屋のおじさん(生粋のラリースト)に話しを聞いたところ、ハクビシンだとかスズメバチなどの害獣、害虫の捕獲、駆除が主な仕事になっているそうです。そのほかの雑務も多いようですが、机仕事ではなく実行部隊的な仕事が多いため話を聞く限りだとなかなか大変な部署とのことだそうですが、もしできるのであればクリミアにまで行って余計なことをしでかしてくる鳩も駆除してもらいたいものです。

2015年3月13日金曜日

中国人に受けやすい日本のお土産

 昨日の記事で近頃流行の中国人の「爆買い」を取り上げましたが、具体的に中国人は日本でどんなお土産を買っていくのかについては案外知られていないような気がします。そこで今日は在中歴がもう4年も突破していて日本で働いていた期間より実質長くなっている私の独断と偏見による、中国人が喜びそうなお土産をいくつか紹介しようと思います。

1、家電
 鉄板といえば鉄板ですが、それでも依然と比べればその人気は幾分落ちてきているように思えます。何故人気が落ちているのかというと日系家電のブランド価値が世界的にも低下してきていることに加え、中国国内のメーカー製品でも性能的には日系製品と比べても極端に低くない物が出てきているからでしょう。
 なお中国でも日系メーカーは家電を販売しているのに、何故だか中国人はやたらと日本で日系家電を買いたがります。これは何故かというと、日系メーカーは自社で生産する製品に対して日本市場向け、中国市場向けで異なる二種類の品質基準を持っており、中国には品質の悪い商品しか流していないと中国人が考えているからです。実際はどうだかわかりませんが品質基準を二重に持つと管理上で手間がかかるのでそんなことないとは思いますが、中国人は日本で流通している製品の方が中国に流通しているものより圧倒的に品質が上だと考え、だからこそ日本国内で買おうとしているのだと思われます。

 もう一つおまけに述べておくと日本で買われる家電製品の種類でどうして炊飯器が多いのかについてですが、確証はもてませんが恐らくそのサイズが影響しているとみています。別に中国人は炊飯器に対して並々ならぬこだわりは持っておらず、恐らく日本国内で購入して中国に持ち帰るに当たってテレビや冷蔵庫では大きすぎ、ドライヤーだとハゲ親父には渡せず、ノートパソコンだと高すぎるので、そこそこのサイズでビッグなお土産として持っていくのに炊飯器がベストなサイズだから人気を得て定着してきたのではと考えています。

2、食品
 自分がこれまで見てきた限りだと意外とローカルな食品に対して興味を持つ中国人が多いように思えます。具体名を挙げるとご当地プリッツやスナック菓子など、あと味噌汁とかインスタントラーメンなどなんかスーパーで買えるものに強い反応を示しているように見えます。
 この食品こそマーケティング次第では中国市場で化ける可能性を秘めた商品であり、現実にヤクルトは全中国工場がフル稼働しながら販売都市が広がるというほどのヒットぶりを見せており、近年はコンビニスイーツを売り込もうとお菓子メーカーもよく来ていると聞きます。
 ちなみ今回私は従業員に対して変わったものを持って帰ろうと思ってスーパーを見て回りましたが、最終的に選んだのは丸美屋のふりかけ(のりたま)でした。なんでこんなの選んだのかというとそもそも中国にはふりかけが存在しておらず、念のため辞書でも調べましたが該当する単語は出て来ず、「対米飯使用的調味料(ご飯に使う調味料だよ)」と言って従業員に渡しました。渡した時の反応なかなか悪くなく、なんか昨日今日と従業員の自分に対する態度が良くなっている気もしました。

3、ビタミン剤
 この記事の主題でもあるのですが、実は今回の一時帰国に当たって同僚、そして友人の二人の中国人からそれぞれビタミン剤を買ってくるよう依頼されました。日本人からしたら「なんでビタミン剤?」と思われるでしょうがこれにはわけがあり、一言で言えばああいう錠剤の形したものは色々混ぜ込みやすく、まともな製品が中国だと流通していないというか消費者に警戒されているからです。
 考えてみればごくごく単純なことですが、ビタミン剤と称してただのブドウ糖だったりすることもあり、下手すれば変な有害物である可能性すらあります。そんな修羅の国、中国でビタミン剤を買う人なんてほとんどおらず、結局信用できる日本市場から調達しようって話です。

 案外これはビジネスチャンスかもしれませんが、中国人は普段から変な食品のニュースが多いだけに日本人以上に健康志向が高く、ビタミン剤に代表される栄養剤を始めとして漢方など健康食品に強い興味を示します。ただ面白いことに現在流通している大半の漢方薬の特許は日系企業がほとんど独占しており、中国からしたら中国発祥の物なのに日系企業に先こされているとそこそこ警戒感を持っていると共に負けてらんないぞと政府も支援しつつ特許取得に励んでいます。
 もっとも中国で漢方薬作って売っても偽物が混ぜられる可能性があって市場としてはなかなか通じないでしょう。逆を言えば日本で流通している漢方なり健康食品をうまいこと中国に持ってきて販売ルートを確立したら儲けられそうだと後輩に伝え、既に先行者もいるだろうけどなんか準備しておけとこの前伝えておきました。

2015年3月12日木曜日

原油安の背景にあるもの

 調子がいいので本日二本目の記事です。全盛期は一日三本とかわけのわからない投稿量でしたからその頃に比べれば大人しくなったものです。

 最近はめっきり落ち着きましたが、昨年後半から今年にかけて長期にわたり原油価格が大幅な値下がりを続けていました。一時はリーマンショック前の水準にまで落ち込んで、エネルギーが安く使えるのはいいがここまで急激に落ちては世界経済に影響が出るのではなどと言う憶測まで出ており、各種の経済雑誌などではその背景などについて様々な面で検討する記事が載っていました。

 この原油安は円安が続く日本にとってはもちろん追い風ですが、原油産油国にとっては逆風以外の何物でもありません。しかし中東の産油国諸国で構成されるOPECはこれほどの原油安が起こっていながらも産油量の調整などは行わず、むしろまだまだ増産するかのような態度まで見せて原油安を自ら誘導してきました。一体何故OPECはそんなことをしたのか各種メディアで私が見た論評に多かった解説では、石油にとってライバルとなる米国やカナダのシェールガスとの価格競争というもので、産油国は石油の安値攻勢でシェールガスを潰そうと働きかけたのだという風に書かれていました。
 この解説も確かに一理はあると思えるのですが、だからと言ってここまでやるほどなのかと私個人としては完全に腹の中まですとんと落ちては来ませんでした。また一部で見た報道ではOPEC内でも意見が分かれているが、意見力の大きいサウジアラビアが生産調整の提案を誇示しているなどとも報じられており、なんか違うようなという風に思っていました。

 そうして最終的に私が辿り着いた結論というか妄想は何なのかというと、この原油安の真のターゲットはシェールガスではなく天然ガスで、その産出国であるロシアだったのではないかというものでした。

 この結論に至ったきっかけは、昨今の原油安で天然ガスを輸出するロシアが非常に苦しんでおり、大きな影響を受けているという報道をみたことからでした。特にロシアはウクライナの問題で米国を中心とした欧米諸国から経済制裁を受けており、それと天然ガスの価格下落が相まってダブルパンチなどと報じられていたのですが、このダブルパンチは偶然の産物ではなく意図して起こされたもので、原油安は経済制裁と連動して行われているのではないかという気がしてきました。
 またこのように考えるとOPECの動きも納得できます。サウジアラビアは中東きっての親米国家で米国の要請を受ける形で意図的に原油価格の下落に協力するというのも理解できないわけでなく、仮にそうであれば他国が反対していながらもサウジアラビアは生産量の調整に同意しなかったのもなんとなくつじつまが合うように思えてきます。

 もちろんこんなの私個人の勝手な推論であって確証に足る根拠なんてどこにもありませんが、状況的にはこういう理由の方が私は納得できると思えたわけです。でも仮にこうだとしたら結構皮肉なもので、米露という大国同士の争いで世界経済が動き、円安下の日本なんか漁夫の利を得ているということになります。となると日本は米露の緊張を煽った方が良いのか、この辺は時と場合に寄るでしょうね。

中国人「爆買い」の真実と裏話

 今回の日本一時帰国の際、あらかじめAmazonでいろいろ買いましたがその中には高電圧対応の電源ケーブルが入っておりました。これは新しくエプソンのパソコンを買ったからで日本よ電圧の高い中国で使うため、わざわざ別売りのケーブルを買わざるを得なかったからです。
 少し前のノートパソコンは規格電圧が240Vまであって外国で使用するに当たっても問題なかったのですが、近年は日本の100Vにしか対応していないものしか売らなくなりました。ノートパソコンときたら海外でも使用する頻度の高い製品なだけに、こういうところくらいはパソコンメーカーも気を聞かせてもらいたいものです。ちなみにPSVitaは海外の高い電圧にも始めから対応しています。

 話は本題に入りますが、今回の帰国中にやたらと周りから「爆買い」という言葉について質問を受けました。具体的には同僚、カレー屋の店主(ラリースト)、友人の母親などで、自分の知らないところで日本のメディアが如何に大きく取り上げていたのかが少なからず伺えました。その言葉の意味するところは言うまでもありませんが、旧正月の長期連休中日本へやってきた中国人が日本のあちこちで異常なほど消費していたことから一種のマーケティング用語として定着していったようです。

 この中国人の爆買いについて意見を求められるとしたら、私の第一声としては「そんなにめずらしいことではないよ」といったところです。中国国内においても金のある中国人の消費意欲は桁違いに高く、たとえば自動車であれば日本円で1000万円超えるクラスじゃないと「高い車」とは言われませんし、またここまで極端でなくてもショッピングセンターに行けばカートにびっくりする位の商品を抱えてレジに突っこむ親子連れなども珍しくありません。そのほか街中でも買ったばかりと思われる布団を抱えながら地下鉄に乗り込んだり、重そうな家電を抱えながら移動する人の姿はそれほど珍しくなく、総じて言えば買い物の感覚が日本と比べて大きく、どっちかといえばアメリカ人の方が近いのではという印象を覚えます。

 そんな中国人からしたら日本へ訪れるともなると、それこそ数ヶ月分の貯金を全部はたいてでも買い物しようというのも理解できなくはありません。この辺はちょっと説明が必要でしょうが、中国人にとって海外旅行というのは今でこそ多少は融通聞きますが、昔はそれこそ一生に一回できるかできないかというもので、現代においても日本人ほど気軽にできるものではありません。一生に何回行けるかわからないものなだけに、また日本の商品はこれだけ流通が発達した世の中にあっても中国国内では容易に買えないものも数多くあります。そうした点などを敢えて表現するならば、パチスロで言えば一生に一度あるかないかのフィーバータイムといってもよく、ここぞとばかりに消費しようというのも私からすればある程度納得できる行為で、民族とか人種に関係なくみられるところじゃないかと考えています。

 ただ中国人の場合は一味違って、一言で言えば一人あたりの金額どうこうではなく、世界最多の人口抱えるだけあってやってくる人数が桁違いなだけに耳目を集めるというか周囲に様々な影響を与えてしまいます。全人口の上位1%の金持ちといっても日本人であればその人数は100万人程度ですが、これが中国であれば1000万人を優に超えます。なもんだから「買う量」よりも「買う人数」の方が桁違いなため、一種のブームのような現象に見えるし、また彼ら全員が買ってく量が桁違いな量になため、彼らの通った後には何も残らなくなるということになっているようです。

 何気に自分も今回驚いたのですが小さい子供のいる同僚が最近、近所で幼児用おむつの「メリーズ」が店頭に並ばなくなったということを話していました。一部の粉ミルクが出回らなくなったのは以前からでしたが最近はおむつ製品もその傾向があり、子供を持つ親としては非常に不便だと話す始末。
 この品不足の背景は言うまでもなく中国人にあると見られ、幼児用製品は自国の製品を中国人は全く信用していないためどんなに高くても外国製を競って買う傾向が以前からあります。この傾向はどうやら年々高まっているようで、日本国内の市場で粉ミルクに続きおむつまで影響が起きていることは私も今まで知りませんでした。

 ちょっと話が外れますが中国人の人口ははっきりいってエグイまでに巨大すぎるところがあります。仮に中国人全員がトイレで紙を使えば世界中から紙資源はなくなりますし、また牛肉を日常的に食べ始めたら世界中から牛が消え去るなど、中国が先進国になろうとすれば地球の資源は持たなくなるので、今後永遠にわたって中国が先進国になることはないとここで断言します。わかっている国なんかはこうした点を踏まえて、自国で使う資源を確保するため中国やインドを貧困に追い込む戦略を持っていますが。

 話しは戻りますが爆買い現象の裏には中国人一人一人が持つ旺盛な消費意欲はもとより、大挙してやってくるという人数の多さが実は大きな要因ではないかと私は見ています。日本の小売業界としてはこうした中国人客は非常に大助かりな存在で各店ともに中国語での応対に力を入れて、特に百貨店などはもう中国人抜きでは経営成り立たないところまで来ているようにも見えます。
 しかし、私はこの現象は持って数年じゃないかとも考えています。その理由というのも日本が香港のように、中国人抜きでは経済が成り立たなくなるものの、中国人の消費行動やマナーなどに反感を持って、来日を妨げるようなキャンペーンを起こすのではと予想するからです。見方によれば人種差別的な行動かもしれませんが、誇張ではなくこうでもしないと自国民向けも市場が保てなくなる可能性もあるだけに、評価するならばどっちが一方的には悪いとまでは言えないのではと思います。

 なお、知ってる人には早いですがこうした現象は既に香港では日常茶飯事です。中国本土の人間が休日の度に大挙してやってきて、やたら日用品を買い占めたり、マナーの悪い振る舞いをしたりするもんだから香港人は中国本土の人への反感を年々高めています。先程の紙おむつにしても、香港だったら地元で買おうと思ってもなかなか買えないというのがここ数年続いていることでしょうし。なんかこう書いているとまるでいなごのようだなぁ。

 そういうわけで次回の記事では、案外日本人が知らない中国人が日本で求める商品群について私の知ってることを書いていきます。割と真面目に最近は記事を書くなぁ自分も。

2015年3月11日水曜日

成田空港で君もタイガーだ

 またしばらく更新が空きましたが、前回記事に書いているように先週金曜から今朝まで日本に一時帰国していました。でもって今日の夕方には中国に戻り、このブログもいつもの部屋の中で書いております。滞在日数は金曜から水曜の計五日間で、月曜には仕事で大阪へ行っていることもあって周囲からはハードスケジュールだとか忙しそうだねなどと言われてはおりますが、以前の記者時代はどうあがいても有給が一日しか取れなかったので土日を加えて三日以上は帰国出来なかったことを考えるとかなりのんびりできるようになったななどと自分では考えております。
 とはいえ、あちらこちらでいろんな人間と会っていたのと同僚などから頼まれたお土産買うのはやや忙しかった。おまけに今回はEPSONのパソコン買ってそのセットアップも地味に大変だったし。

 そんなわけで今日の午前中、帰国便に乗るため成田空港へ向かったわけでしたが、実はここでちょっと一悶着ありました。チェックインをしようとチェックインカウンターへ向かったところ長蛇の列が既にできており、嫌だなぁとか思いながら並んでは見たものの何故かほとんど進みません。カウンターの数はそこそこ多いのに一体なんでだろうと思って眺めてみると、どうも乗客とカウンターの人間であれこれやり取りしているようにみられ、その原因も荷物にあるようでした。
 長時間待ってようやくカウンターに着いた私は本部からの座席確認の返答を待っている職員に少し話を振ってみました。

「なんや忙しそうやね」
「ええ、やってこられる中国人の多くの方々が預け荷物の重量が超過しておりまして」
「みんなタイガー持っとるしね」
「そうなんですよ。家電を必ず持っておられて……」

 そう、中国上海行きの飛行機なだけに乗客の多くは日本旅行帰りの中国人が占めており、その手には「みんなタイガーだ」と言わんばかりにタイガー魔法瓶のロゴが付いている段ボール箱(恐らく炊飯器)が握られていました。ただでさえ重たそうなスーツケースも抱えているというのに、家電を丸ごと持って帰ろうとするあたりは中国人らしいです。
 結局、私は問題なくチェックインを終えて時間通りに飛行機に乗りましたが、後続のチェックインがどうも遅れたようでフライトは30分ほどディレイして上海の到着時刻も遅れました。深夜のフライトではなかったので家路に着くには問題ありませんでしたが、自分も自分で従業員のお土産に加えノートパソコン2台などそこそこ荷物を抱えていただけに、最後らへんは左肩が無性に痛かったです。

 ついでに書くと日本帰国中にやたらと「爆買い」という単語について質問を受けました。言葉の意味は説明するまでもなく、というより普段日本にいない自分よりも読者の方々のが詳しいでしょうがこの辺りについてそこそこいいネタを持っているので明日こそはきっちりしっかり書こうと思います。

2015年3月8日日曜日

美濃加茂市長の無罪判決について

 先週金曜から日本に一時帰国しており、微妙に忙しいこともあって更新が滞っておりました。ちなみに今回、新規に購入したEPSONのノートパソコンでこの記事を書いておりますがパソコンの性能や外観は高く評価しているものの、キーボードの配列というかボタンのデザインがかなり独特でちょっと難儀してます。また中国に戻り次第にもレビュー記事を書こうっと。

 話は本題に入りますがちょうど自分が移動を開始した三月五日、昨年十二月に私もこのブログで取り上げた美濃加茂市長に対する収賄容疑での裁判で判決が下りました。既にニュースを見ている方も多いでしょうが、美濃加茂市長である藤井浩人氏の主張が認められたというよりは検察側の主張に疑いのある点が数多くあるという理由から無罪判決となりました。
 
 この裁判のおかしな点については過去記事を見てもらいたいのですが、今回の判決を見てすぐに思ったこととしては個人的に藤井市長を応援していた手前からほっとしたというのと、果たして第二ラウンドはどうなるのかという点でした。今回の判決は一審のもので、メンツにこだわる検察としては何が何でも有罪に持ち込もうと控訴して第二審に引っ張り込むのではないかと思えます。仮にそうなった場合は藤井市長にとってはいい迷惑でしょうし県政にとっても公務に支障を及ぼす可能性もあり、そもそも容疑自体が検察が主張するには無理のある内容なだっただけにこの一審の判決を素直に受け入れ、検察も少しは頭を冷やしたほうがいいのではと老婆心ながら思います。

 ただそれで完結すればいいというわけではもちろんありません。前回の記事でも書いたようにこの事件は一種の疑獄事件、つまり存在しない収賄が捏造されて藤井市長は犯罪者に仕立て上げられそうになったものとみて間違いありません。では何故そんな疑獄事件が仕立て上げられたのかというと ドラマみたいですが黒幕がいることは想像につき、その黒幕によって検察、愛知県警、岐阜県警が言われるがままに無実の人間を追い落とそうとしたということになります。
 かなり断定的な書き方で先ほどから書いておりますが、こうとしか思えないほどこの事件にはおかしな点があまりにも多過ぎ、実際に前回記事のコメント欄では黒幕と思しき人物名が既に地元で名前が挙がっている模様です。黒幕が本当にいるのか、誰なのかを探すことはもちろん重要ですが、それ以上にどうして検察や警察がこれほどまでに杜撰な捜査で立件に持って行ったのか、そして何故そこまでして藤井市長を追い落とそうとしたのかを究明することは真剣に大事なことに思えます。それこそ他人事にしてはいけないくらいに。

 冤罪、疑獄事件は決して昭和の名残ではなく今現在の日本においても頻繁に起こっている事件です。著名なものだと障碍者団体割引事件での村木厚子氏の例もあり、鈴木宗男氏に連座することとなった佐藤優氏などもこの問題について活発に活動を続けております。
 何が悪いかと突き詰めれば検察です。見込み捜査、作文調書、動き出したら必ず立件という三コンボによって長期間拘留されるなど法治国家であってはならず、他人事にはせずこの問題には多くの方に興味を持ってもらいたいというのが私の本音です。

 あぁ、キーボードが打ちづらかった……。

2015年3月4日水曜日

中国の小学校教育(ヽ´ω`)

 なんかリンクを結んでいるすいかさん潮風大使さん(あいうえお順)も受験ネタを取り扱っているので、自分も何かこのネタで書かないといけないのかなと思うので一本書きます。まぁ本当言えば以前から準備していただけのネタで、しかも完全な受験ネタで無かったりします。ちなみに受験ネタで自分が知ってる話だと、「床の上に直接寝ればちょうど10分くらいで目が覚めるので受験勉強の合間に良かったです」とわけわかんないこと言い放った後輩が一番おもしろかったです。

 春節前の2月初頭、既に中国の学校は学期を終えており毎朝自宅近くから出ていたスクールバスも見えなくなっていたある日、通勤途中にある小学校の前で人だかりが出来ているのを目撃しました。授業自体もうないというのに一体なんで人が来るのかなと不思議に思って同僚に聞いてみると、「ああ、今日はテスト結果の発表日ですよ」と教えてくれ、「ふーん、そうなんだ……って、小学校で期末テストあんの!?」とリアルにこんな反応をして見せてやりました。

 結論から言うと、中国では小学生の一年生から期末テストがあります。しかもそのテスト結果は進学にももちろん影響し、高学年でのテスト結果によっては進学できる中学校が左右されます。更に言うと小学校の帰宅時間ははっきり把握していないものの、中学校からは授業は朝8時半くらいから夕方5時までみっちりあって、放課後に友達と遊ぶとかそういうのはそもそも選択肢に挙がらないそうです。

 中国は最も熾烈な競争が繰り広げられる社会主義国家だということはかねてより知っておりましたが、子供たちが受ける学校教育がここまで激しいものだとはそこそこ長い年月住んでてつい最近知りました。もっとも昔はテストがあると言っても今ほど厳しいものではなく、あったけどあんまり気にされてなかったというくらいの存在だったそうですが、やはり近年の教育熱の高まりから受験戦争が年々激しくなってきたため文字通りにテストの重みが随分と変わってきている模様です。このような状況は当事者である中国人の親たちもいいものだとは考えておらず、もうすこし子供たちにもゆとりを持たせたいと願うもののそんなの持たせたら途端に学力が追い付かなくなくこともわかっているだけに勉強を強要するとも聞きます。

 ついでに書くと中国の親はたまに、学校の先生から怒られることがあります。というのも小学校からほぼ毎日膨大な量の宿題が出されてその答え合わせ、反省などを親がきっちりと見てやらないと授業に追いつかなくなるため、親にも子供の勉強に付き合うよう学校側から求められます。ここまで書いてて思ったけど、グレようったってグレる隙間もないほど忙しそうだなぁ中国の子供は。

 このように近年の中国の教育は日本人の想像を遥かに超えるほどに厳しく、また負担も大きいものとなっております。自分も今回調べてていろんなことを初めて知りましたが、こんだけやれば国際学力テスト(PISA)で高得点をマークするのも無理ないでしょう。

 最後に学校でつけられる子供の成績ですが、どうやら賄賂がかなり効く模様です。以前にも中国の先生に対する付け届けについて記事を書きましたが、先日の期末テストにうちの同僚の子供が熱を出して入院し、受けることが出来なかったそうです。そこで同僚は先生に相談へ行ったところ、「テストが受けられなかったのは仕方ないので、普段の授業態度などで成績を判定します」と対応してくれたそうです。そうして出てきた評価は如何ほどだったのかというと、なんとその科目は100点満点を取ったこととして扱ってくれてたそうです。
 なんでも以前に私が日本へ一時帰国した際、その同僚に買ってきてあげたインスタント味噌汁の詰め合わせを付け届けとして先生にあげてたそうなのですが、それ以来恐ろしいくらいに態度が良くなり、今回の評価につながったのではと同僚は分析しています。もっともその同僚も、「あまりの対応の違いに逆に引く」と話しており、付け届けが途切れたらどうなるのかと早くも戦々恐々としています。

 にしても、味噌汁一つで買収が効くなんてリーズナブルな先生だな……。

2015年3月3日火曜日

日本人の同化圧力

 本当は今日はやけに眠いので(この前の日曜は10時間寝ていた)ブログは休もうとも考えていましたが、ちょっとネタ拾ったので頑張って一本記事書くことにします。

川崎市中1生殺害 リーダー格「少年Bに『お前もやれ』と指示」(FNN)

 上記のリンク先は今話題の川崎での少年殺人事件のニュースです。この件に関してはほかの人がいちいち話題にしているので私の方から何か言いたいことは特にありませんが、一つだけ言及するとこの手の事件にしては珍しく被害者が通っていた学校の教師らは批判されず、むしろその親と犯人の親がよく槍玉に挙がっているなという印象を覚えます。大津のいじめ自殺事件とはこの辺りが大違いだなと思うのと同時に、神奈川県警関連のニュースでやや怪しい、はっきり言ってしまえば誤報と思われるリークが出ているのが気になります。

 そんな事件の感想は置いといて今日書きたい話題に移ると、上記のリンク先見出しによるとリーダー格の犯人は一緒にいた子分こと別の犯人に対し、被害者を暴行するよう指示したそうです。こうした行為は言ってしまえばよくあることなのですが、社会学で言うとこの行為は「同化」といって、複数の人間で同じ行動を取る、または同じ経験を共有することで結びつきを強めるという一種のコミュニケーション方法だと考えます。暴行みたいに極端なものでなくても、一緒にスポーツしたりゲームしたりも同化の一種に入りますが、学術的に研究価値があるのはやっぱり極端な同化行為です。

 今回のこの事件でリーダー格が子分に暴行を指示したのは色々思惑があるでしょうが、やはり同じ暴行という行為を行わせることで責任の連帯なりを無意識にでも意図したんじゃないかと思います。ちなみにこの暴行による同化行為ですが一番よく行われるのはやっぱりマフィア内部ですが、学校内でのいじめもこの類に入るとすれば広く盛んにおこなわれていると言ってもいいでしょう。
 特に日本の場合は明らかにいじめ行為が多いのですが、視点を広げると一般社会上でもこの同化によるコミュニケーションが多く、というより下手したら同化以外のコミュニケーションがないのではと思うくらい日本人はこれを重視しているように見えます。一例をあげると外国人と話す際に日本人はお互いの国で知られている有名人を言い合うなど共通点を捜しはじめますが、自分やほかの外国人同士だと割と現地の生活習慣とか風習など異なる点を紹介し合います。

 眠いので言いたいことをもう話すと基本的に日本人はコミュニケーションにおいて共通点、共有体験を非常に重要視する一方、思想や経験の異なる相手に対するコミュニケーションというか付き合い方が非常に下手、というよりも知らないようもに見えます。なもんだから新入りとかに対してはやたらと共有体験を創ろうと同化を迫り、その圧力はかなり異常なんじゃないかなぁと前から思ってます。
 特に共有体験において私の目からすると何かしら苦痛を伴うものを強要するパターンが多い気がします。以前にも「目下に苦痛を強いる日本人、といじめの構造」で少し書いていますが、目上の人間が目下の人間に苦痛を伴う共有体験(一気飲みやハードワーク)を強いさせ、立場というか上下関係を相手に認識させようとしているのではと、さっきのニュースの見出しを一目見てピンときました。マフィアなんて明確にそういう目的で集団での暴行に参加させてるんだろうけど。

 最後に学生時代にある授業で一緒に受けていた学生が、「こんだけ書店にコミュニケーションに関する本が並んでいる事実一つとっても、日本人ってコミュニケーションが極端に下手な民族なんだと思う」という一言が今でも頭に残っています。実際中国にいてもコミュニケーションがうまくいかないとかで悩む人は全くと言っていいほど見ないし、こういう事実に日本人はもっと自覚したらどうかなと眠いと思いながら感じます。

2015年3月2日月曜日

フリーフォール

 昨夜、何故か右足の裏の土踏まずのあたりが突然痛みだし、夜中にもかかわらず起きて軽く指圧しました。前夜に「エリーのアトリエ」というゲームをやり過ぎたせいなのかと疑いつつまた布団に入ったもののこの時からなんか不吉な予感がしており、今日はいつも通りのハッピーデーだと自分に言い聞かせながら出社したものの、やっぱ良い予感は当たらなくても不吉な予感って当たるもんですね。

 ちょうど春節が空けてから私の仕事は忙しさを増してきたというかあれこれ気を配らないといけない内容が増えているにもかかわらず、外注の製品で不良が出たり、何故か東京の方から「これ英語に翻訳して返事しといて」とか投げられたりしてます。そんな忙しい中で今日やろうと思っていたことは避難訓練で、次回の下請け同士の部会での活動報告に載せようと前から準備していました。
 避難訓練と一言で言ってもたくさんありますが、今回私がやろうとしたのはロープを使った高層からの脱出訓練で、要するにロープ使って高い所から降りるという訓練です。なんでこんなのやろうとしたのかというとこの前中国の消防署職員が工場団地に来て防災の講義をした際、同僚がその時に売られた避難用ロープを購入したのでいい機会だからやってみたいと無鉄砲に考えたからです。

 その同僚が買った避難用ロープはもちろんメイドインチャイナで、腰に巻くベルトのほか金具が両端についていて、あと真ん中にスライダー付き金具が取り付けられています。使い方としては端にある金具を柱や手摺に固定し、ベルトを腰に身に着けそのベルトにスライダー付き金具をつけ飛び降りると言ったところです。スライダーにはクランクがついており、きつく締めることでロープが滑らないようになり固定できるようになっています。
 問題があったのはやっぱ、このスライダーだったんでしょうね。あんまりきつく締めすぎると今度は全くロープが流れず降りられないのではないかと思って加減しましたが、緩め過ぎたのでしょう私の場合は。

 同僚らが「危ないって」とガチで止める中、「大丈夫だって」と言いながら階段の手すりに金具を固定し、ロープを握って工場の二階の窓から飛び降りてみましたが、飛び降りるというよりはしがみついていた窓の桟から手を放す形で見事なまでのフリーフォールとなりました。空中で制止するどころか手を放した瞬間に一気にズザザーってロープが流れだし、慌てて軍手つけた両手でロープを握りましたがえらい勢いで落ちるもんだから握った手が摩擦ですぐ熱くなり、全力ではとてもじゃありませんが握れませんでした。この時落ちながら思い浮かべた言葉は、「(; ゚Д゚)<話し違うじゃん!」でした。
 幸い、降下地点が花壇にも使えそうな位に軟らかい地面だったこともあり、臀部、背中、後頭部の三点着地を決めてどこも怪我なくSWATも真っ青なくらいの速度で降下をしてのけてやりました。マジな話、スライダーをロープが通っていたから落下速度は抑えられなかったもののまだ空中で姿勢を制御で来て狙った地面に落ちることが出来たのは本気で良かった。そのすぐ手前はコンクリだったし。

 落下した高さは目測で約7m位でしたが、我ながらよくもまぁあんな所からピョンと飛び降りたもんだと後で外から窓の位置を見てたら笑いがこみあげてきました。あとはめてた軍手は手の平にゴムの吸盤がついてましたが摩擦で吸盤の一部は溶けてて、私も左手人差し指第二関節のあたりに火傷の痕でしょうけど水膨れになってたのですが、正直に言って着地時にぶつけた後頭部より左手のがヒリヒリして痛かった(´;ω;`)

 避難訓練というよりは飛び降り自殺の練習みたいな感じとなった今回の試みですが、先ほどにも述べた通りに部会での発表にしようと考えており、同僚にカメラ持たせて、「落ちるところを撮っておいてね」頼んでおりました。同僚に確認すると一応撮影してくれていましたが、1枚目は情けない形で窓の桟にしがみつく自分が写っており、二枚目は完全に落下してたため自分の姿が見切れてしまっており、この二枚を連続してみるとかなり笑えます。
 教訓としては素人だとロープでは絶対に高い所から降りられないという事が今回よくわかりました。避難用の防災用品は多少高くても、縄梯子辺りにしないと意味がないということを皆さんも理解してくれれば幸いです。それにしても、自分ってやっぱタフだけど馬鹿だなぁ……。

2015年3月1日日曜日

また毎日新聞のシチズン撤退に関する腹立つ記事

 先月初めに秋葉原通り魔事件について書いた毎日記者の記事が読んでて非常にムカつくと書きましたが、また今日も毎日の記事で読むからに腹が立つ記事があったのでここで取り上げます。

<中国撤退>日本企業に「進出時以上の労力」(毎日新聞)

 上記の記事は中国から日系企業が撤退する際に従業員の補償などで様々なトラブルが起こるなど多大な苦労が強いられるということを報じる記事です。記事の趣旨自体は真っ当で特に言うこともないのですが、先に一つだけ苦言を呈すと別にこれは中国に限った話じゃないのにさも中国のカントリーリスクみたいに書くのはどうかという気がします。
 そういうことは置いといて私がこの記事のどこに怒りを覚えるのかというと、シチズンの広州工場こと「西鉄城精密(広州)有限公司」の清算に関して触れたところで、そのまま該当箇所を下記に抜き出します。

<引用開始>
 中国・広州にあるシチズンホールディングスの現地子会社が2月5日、翌日の会社解散と従業員の全員解雇を通告し、約1000人の従業員が抗議する騒ぎが起きた。1997年から腕時計の部品などを製造してきたが、国際的な事業再編の一環で閉鎖を決めた。

 中国では通常の解雇は1カ月前の通知が義務付けられているが、会社解散の場合は通知義務がない。同社は「地元当局と協議したうえでの措置で、手続きに違法性はない」としているが、中国国内では「法的に問題なくても従業員に重要な情報を隠していた」(新華社通信)などと批判的な報道が相次いだ。シチズンは最終的に、解雇時に支払う補償金を上積みして、事態を収束させた。
<引用終了>

 このニュースについては私も既に過去記事にて取り上げていますが、工場閉鎖のわずか1日前に全従業員に対して突然解雇を通知するなど、はっきり言えば常識外の処理を進めてシチズンは無理矢理閉鎖しています。詳細は過去記事を見てもらいたいのですが、何故このような行為をシチズンほども大きな会社が平然と行ったのか理解に苦しみます。

 そんなシチズンの電撃的解雇について上記の毎日の記事では、あくまで私の主観では「法律上は問題ないのに中国メディアは不当にシチズンを批判するので、やむなく補償金を上積みして解決した」かのようなニュアンスで書かれているように見えます。実際に中国の労働法を細かくは見ていませんが解散時には解雇通知義務がないとはいっても、何も閉鎖1日前まで黙っている必要が本当にあったのかとなると非常に疑問です。それこそ夜逃げ当然に会社が倒産したりするならまだ理解できますがシチズンほど大きな会社で、手持ち資金とかもまだいくらかある規模の会社がこういうことをしていいのかといえばそりゃおかしいに決まっています。

 更に言えば会社解散であれば解雇通知義務はないという主張ですが、本当にそうなのかとこれも疑問です。広州市政府と何らかのネゴがあったことは間違いないので市政府は何も言って気はしませんでしょうが、だからといって違法ではないかとなると中国なだけにまた別問題です。またこれまで私がこの問題で見てきた記事ではこのシチズンの解雇方をどこも適法とは話しておらず、さっき適当に検索かけてみたレコードチャイナの記事でも労働専門家の意見として、「当局の法解釈は誤っている。従業員の重大な利益に関わる事項に関しては労働組合または従業員の代表と協議しなければならず、20人以上の従業員削減を行う場合は1カ月前に全員に通知しなければならないはずだ」という指摘を引用しています。というより、誰がどう考えたってこれが適法と考えるバカはいないでしょう。

 あと補償金を上積みしたと書かれてありますが、私が調べた限りだと通常の解雇時には一ヶ月分の給与を支払う義務があるのですが、シチズンはこれに加え解雇に同意する従業員に対しては勤続年数に応じた上積み金を出すと当初から報じられていました。これは逆に言えば、解雇のやり方が違法だと応じない従業員には余計な金は支払わないと暗に脅すようなやり方だったのではと、私には思えます。少なくとも、美談っぽく書く内容ではありません。

 一応シチズンも先月24日にこの件でプレスリリースを出していますが、私から見ればよくもまぁ白々しい言い分をと読んでて呆れてきます。正直、この一件に関しては中国人に「日本人は汚い奴らだ」と言われてもしょうがない気すらします。仮に外資企業が日本でこう言うことやったら絶対日本のメディアも黙っていないと思うのですが、少なくとも毎日からすれば全く問題ないようです。シチズンともども日本からいなくなってくれればと、この一件に関しては思います。

2015年2月28日土曜日

千葉のマッドシティ~わらそう(模型店)

 かつてあだ名が「ビンラディン」だった中東系な顔立ちの親父にこの連載どうよと聞いてみたところ、「そんなに松戸が好きだとは知らなかった」とやや返事に困る回答が来ました。好きか嫌いかっつったらそこまで好きではなく、ただそこそこ書ける思い出話が多いというのが本音です。なお一番思い入れがある街はどこかとなると変な話だけどやっぱ田辺かなぁ、わかる人だけわかってください……。
 そういうわけで再び始まるこのマッドシティシリーズ。今日は恐らく私だけでなく、少年時代に松戸近くで住んでいた人なら確実に覚えているであろう一つの模型店を紹介します。その模型店というのも、「わらそう」というお店です。

 わらそうは松戸駅から歩いてすぐ行けるほど近い距離にあった模型屋です。今でも「松戸 わらそう」とネットで検索を多くの人間がその存在を懐かしむページが引っかかるほどですが、実際にその在りし日を見ていた私からしても非常に思い入れがあるお店でした。私自身は松戸市に隣接した自治体で育っておりますが、子供の頃からプラモデルを買いに行くとなると家の近くにある模型店も使う一方、友達と一緒にわざわざ電車を乗り継いだり、自転車漕いだりしてまでもこのわらそうへ訪れていました。

 一体何故それほどまでにこのわらそうは多くの少年(+おっさん)に親しまれたのか。理由はいくつかあるでしょうがその中でも特に大きなものとして私が挙げるとすれば、その広大な店舗面積とそれに付随する圧倒的な品揃えの良さでしょう。わらそうの店舗はちょっとしたファミレスくらいに広くて模型店にありがちな狭い店舗内に模型の箱をぎっしり積み重ねるといったことはせず、整然と商品を並べて通路も大きく取り、この一点だけでも他の模型店とは一線を画しておりました。
 またそれだけ広いこともあって軍艦や自動車といった定番プラモはもちろんのこと、ガンプラからミニ四駆といった子供向け、そして大人向けの鉄道模型まで幅広く、多彩なジャンルの模型を一つのお店で揃えていました。そのため親子連れが来ても子供はミニ四駆、父親は鉄道模型などを互いにじっくり見られるので、実際に私とビンラディンだった親父もよく連れ立って一緒に訪れていました。

 私がこのわらそうで主に購入していたのはご多分に漏れずガンプラがメインでしたが、大体小学校中学年くらいから歴史に興味を持ち始め、その頃辺りからは城郭のプラモに興味を持って実際に買って作ったもので確実に覚えているのは和歌山城、松山城、安土城、姫路城といったところです。なおミニ四駆は一応私の頃も流行りましたがどうにもはまることが出来ず、一台だけ作ってそれこっきりでした。
 そのほかわらそうで購入したもので覚えているのは、名前はさすがに失念しましたが一隻だけタミヤの駆逐艦も小学生時代に作っています。ただ当時はミリタリーにははまっておらず、またその駆逐艦を作るのにも難儀して「その次も」というチャレンジ心も起こらなかったので折角の機会をふいにしてしまいました。もうちょっといろんなのを作って学んでおけばよかったものを。

 その後、私が中学生になるとこのわらそうに行く機会、というより模型を作る機会がすっかりなくなってしまいました。大きな理由はありませんが周りでも作っている人間は減りましたし、自然と離れていったような感じです。その後大学生になって京都行って、長期休みの時に何気なく自転車で走っていたら、「あれ、ないじゃん?」と気が付き、その時になってわらそうが閉店したことを知りました。もしかしたら大学生じゃなく高校生の頃だった可能性もありますが、ちょっと記憶が曖昧です。
 なおビンラディンだった親父に「わらそう潰れたで」と報告したら「ほんまか!?」とえらくびっくりした反応されただけに、親父も相当思い入れがあったんだと思います。

 このわらそうの閉店後、この店が松戸近郊の少年たちの間で絶大な支持を得ていたことに気が付いたのはひょうなことがきっかけでした。私の知恵袋的な友人はこの松戸市の出身で私の家とも近いことからお互いに成人後、なにやら地元トークで盛り上がり、その際にこのわらそうも上がってきました。

花園「わらそうって店、覚えてる?」
友人「覚えてるも何も、俺の兄貴がそこでバイトしてた」

 やはり同郷で同年代ということもあり、この友人もわらそうを何度も利用していたそうで、また上述のように親類がアルバイトしてたとのことでこの店のことを強く覚えていました。今回この記事を書くに当たって何か覚えてることあると聞いたところ、「道路に面したショーウィンドウの中にある等身大ヨーダがやけにリアルできもかった」と返してくれてそれを聞いて私も、「ヨーダとかいたよなぁ。めっさ懐かしいわぁ」とちょっと盛り上がりました。なお、確かそのショーウィンドウの中にはC3-POなどほかのスターウォーズのキャラも等身大で入ってました。

 最後に模型の話をもう少しすると、中学高校大学時代は一切作らなかったくせに何故か社会人になってからまた興味を持ち出して、ランエボを始めとするスポーツカーの製作に一時期はまっていました。やはり改めて模型を作ってみると自動車の構造について理解が深まり、また指先の動きが脳の活動と完全に一致するといえるような、集中力を伴う模型の製作作業は久々にやると非常に新鮮な感覚をもたらしてくれました。いっぱい作る必要はありませんが、たまに作る分にはすごくいい気分転換になるのでまだ少年の心を失っていない男性の方には実はお勧めです。

かつて「わらそう」のあった土地は現在駐車場に

どうでもいいけどこの辺り駐車場が多過ぎ

横にある「カプリチョーザ」は昔も今も現役です

<追記>

 コロナの影響か、2020年10月12日をもって上の写真のカプリチョーザが閉店したとのことです。松戸仲間の友人がどうやって見つけたのか知らないけど、上記ニュースを教えてくれました。
 なおカプリチョーザに私はリアル髀肉の嘆状態だった2013年に1回だけケーキセット食べに寄ったことがあります。近くに通っている他の喫茶店があったためその後カプリチョーザに行くことはありませんでしたが、雰囲気や味は悪くなかったことをよく覚えています。


<2023年8月1日追記>

 先ほど松戸のソウルメイトから、わらそう跡地にマンションができると向こうから知らせてきました。これでわらそう跡地で再興する夢も絶たれたということになり、寂しさもひとしおです。「わらそう跡地」みたいな石碑でも立ててくれないかなぁ( ;∀;)

2015年2月24日火曜日

臨死体験で見えるトンネルに対する意見

 昨夜はどうしてもお好み焼きが食べたくなって味千ラーメンに行ってきました。以前に訪れた際に新商品として「麻辣大阪風煎餅」という名前で売り出していたのを知っていたので早速頼んでみたのですが、麻辣と書いてあるだけあって唐辛子の風味というか香りが感じられました。ただ味はそこまで辛くなくそこそこおいしかったので、また今度行ってみたら食べようかなと感じさせる出来でした。
 そういうわけで本題に入りますが、なんかまたスピリチュアルな記事が続きますが先日友人に下記の本をプッシュされました。友人曰く、NHKがこんなオカルトネタを取り扱ったこと自体がなかなか面白いとのことです。


 この本はNHKが特番向けに取材した内容がまとめられ筆者というかプロデューサー曰く、通常の超常現象番組は始めから肯定的であるか、また否定的であるかという立場を鮮明にしていることが多いが自分たちは現代の科学でどこまで超能力を分析できているか、そしてどの点が未だに分析できていないかを明らかにするというアプローチをしていて他の番組とは異なっているとアピールしてます。もっとも、読んだ感じだと必ずしもそういうわけじゃないのでは、ほかの番組でも似たようなアプローチしているのもあるようなという気がややしました。
 先に本の感想を述べると前半は心霊現象を取り扱っていて取材班も実験に参加するなどしてそこそこ面白く感じられましたが、後半の超能力の下りは読んでて研究している科学者の意見をそのまま右から左に書いていることが多く、正直に言って読んでて退屈しました。前半は取材に参加したメンバーの生の意見も数多くあったのに後半はそういうのが全くなく、多分書いてて飽きちゃったんじゃないかな。

 そうした感想はここまでにして今日の本題ですが、この本の中では臨死体験についても触れられています。

臨死体験(Wikipedia)

 上記のウィキペディアのページがやけに充実していてかなりびっくりなのですが、臨死体験と言ってそれが何かわからない人はそんなにいないと思います。よく三途の川が見えたり幽体離脱をしたりなどと様々なバリエーションがあって、体験談などは確かに読んでて楽しいです。なおどうでもいいことですが「三途の川」は英語にすると「Son’s river(子供たちの河)」となるのかな、賽の河原と関係あるのかななどと昔に一瞬だけ考えました。

 この臨死体験でよく出てくるキーワードに、「光のトンネル」というものがあります。さっきのNHKの本にも出てくるのですが、臨死体験者が意識を失った辺りから暗いトンネルを歩いていて、トンネルの出口方向に光が見えるからそっちへ向かって歩いて行ったというところまでは多くの人間で共通しており、出口に出たところで意識が戻った、または三途の川が出てきた、もしくは既に死んだ知人や親類が待っていたという話へ分岐していきます。
 結論から述べるとこの臨死体験で見えるトンネルは幻覚の一種で、脳が見せる生理的な映像に過ぎないと私は考えています。なんでそう言い切るのかというと、ぶっちゃけ私も似たようなのを見ているからです。

 知ってる人には有名ですが私は過去に二回ほど癲癇の発作で気絶したことがあります。初めて気絶するまでは「人間が急に倒れるなんてことが本当にあるのかよ?」と思ってましたが実際に倒れてみて、「ほんまやったんや……」と自分の認識を改めました。なお気絶してから飲み始めた薬の影響からかここ数年は吐き気を催させる癲癇による発作すらなくなっていますが、自分の飲んでいたのは軽症向けの精神安定剤だったため薬局へ買いに行く際はいつも「うつ病か何かですか?」と聞かれてましたが、うつ病に見えるのかな自分の見た目は?

 話しは戻しますが気絶した際の話を書くと、当日は癲癇による発作(当時はまだそれが癲癇だとはわかっていなかった)で強い吐き気を催していて、「気持ち悪いし早退しようかなぁ」とか思っていた所で記憶が途切れています。次に目が覚めたというか意識があったのはストレッチャーで運ばれている最中で、近くにいた人によるとなんか必死に酸素マスクを外そうとしていたそうです。
 この時の感覚はよく覚えており、酸素マスクから供給される空気がとにもかくにも濃い空気に思えて普通の空気を吸いたいと考えて外そうとしていました。ただ視界は全く見えず、というか光が一面に広がっている真っ白な状態で自分の姿はおろか周囲すらも識別できず、かろうじてローラーの回る音、自分が何かに載せられているという触感があったことからストレッチャーで運ばれているということは理解できました。

 この時の視界が肝ですが本当に光一面真っ白で、Zガンダム風に言うならリアルに「光が……広がっていく」と言いたくなる状態です。しかしストレッチャーが建物外に出たところでまた意識が途切れるのですがこの時の視界というのがまさに臨死体験のトンネル同様、視界の周囲から徐々に黒い影が広がっていき白い光が真ん中の方に徐々に収縮されていくような見え方で、当時はそうとは思いませんでしたが見方によればトンネルのようにも見えない気もしません。
 恐らくこの時私に起こっていたのは、上記のウィキペディアのページ内でも解説されている酸素の欠乏か脳への血流異常による視野狭窄現象だったと思います。まぁあのページ内にはストレートに側頭葉癲癇説も書かれてますが。

 少なくとも私の体験した視野狭窄はレンズで光を絞るかのように周辺が真っ黒くなっていき中心に光が収束するようなもので、意識が混濁した状態であればトンネルに見えたり、まさに自分がそのトンネルを歩いているような感覚を覚えるのではないかと思います。なもんだから臨死体験に出てくるトンネルは幻覚の一種で心霊的な要素はあんま持っていないんじゃないかというのが私の持論です。もちろん絶対的にこれが正しいというわけつもりはないですし、もしかしたら本当に青函トンネルとかユーロトンネルが出てくる臨死体験もあるかもしれませんが、トンネルを見たという臨死体験者の大半は実はただの幻覚だったのじゃないかと言いたいわけです。

 もう一つ臨死体験者に起こりうる話で内心眉唾だと考えているものに、臨死体験後の心境の変化です。臨死体験者はその体験後に世界の見方が変わった、以前以上に生きていることを幸福を感じられるようになったと大半の人間が証言していますが、そんなの私に言わせれば危機一髪な目に遭えば誰だってそう思うよという気がします。登山中で死にかけたりとか大怪我を負ったとか、乗る予定だった飛行機や船が事故に遭ったとか、そういう体験をした人も結構似たようなことを話している気がします。
 ただある意味癲癇キャリアだからこそ言える一つの話として、他の人は知らないけど癲癇の発作が収まった直後というのはそれまでのゲロゲロ状態から打って変わって一時的にとんでもなくハイになります。実際に使ったことはもちろんありませんがドラッグを使った状態ってのは案外こういうものなんじゃないかと思うくらいに体が軽くなり、気分も高揚し、心なしか頭の回転や発想も良くなっていた気がして、すっかり癲癇発作がなくなった今でもたまにあの時の感覚をもう一度感じたいと思うくらい気分がよかったです。もちろん発作がないに越したことはありませんが。

 以上が臨死体験で私が眉唾だと思う症状に対する主な意見ですが、やはり全体を通して大半の臨死体験は脳がみせる幻覚だと思います。そう思う根拠として臨死体験で見られるイメージは文化的な影響が強く、たとえば日本人なんかは「三途の川」を見ることが多いのに対して欧米人はキリストのような光る人間のイメージが多く出てくるそうです。また同じ日本人でも以前は閻魔大王が出てくることもあったそうですが、最近の症例だと閻魔大王はこのところ出演機会が減っているとも聞きます。
 ただ一つだけ私が気になることとして三途の川を見た臨死体験者に聞きたい点があり、三途の川のほとりには「奪衣婆」はいたのかどうかという点です。話しを聞いてる限りだと「なんか知らないババアがいた」と話す人はほぼ皆無に近いのですが、注意してみたら案外いるようにも思えるだけに誰か確かめてくれないかなと密かに期待しています。

2015年2月23日月曜日

千葉のマッドシティ~おかじま電器編

 松戸駅から常磐線で一駅先の北松戸駅、二駅先の馬橋駅の間にある国道6号沿いにはかつて、地元民なら一度は使ったことがあるであろう家電量販店がありました。その名は「おかじま電器」で、途中から「100満ボルト」という名称に変わりました。

100満ボルト|店舗情報

 上記サイト内にある「松戸店」というのがここで話す店舗です。いつ頃に出来たのかはわかりませんが私が物心づいた90年代初頭には既にあり、周囲に同じくらいの規模を持つ家電量販店がそれほど多くなかったために何か購入する際はほぼ確実にここを訪れていました。この店は一階と、半地下一階の二層建てとなっており、一階では主に冷蔵庫やテレビなど大型家電、半地下一階ではパソコンやそのサプライ品などを多く置いてありました。

 なんでこんなどこにでもありそうな家電量販店を取り上げるのかというと、私が小学生だったちょうど20年くらい前、新品のゲームソフトを買うとなるとほぼ確実にここを利用していたという思い出があるからです。実際に買ったソフトで覚えているのだとロックマンの5や6で、うちの姉貴はスーパーファミコンの「かまいたちの夜」を誕生日プレゼントとしてここで買ってました。にしてももうちょっと女の子らしいものを選べよという気もしますが。
 その頃はゲームもよく売れていた時期ということもあって一階の半分くらいのスペースがゲーム売り場に使われており、中古販売もしていて平日はともかく土日ともなれば結構な数の子供や親子連れが訪れていたと記憶しています。今でこそゲームソフトはネットでダウンロード購入も出来ますが、昔はまだ販売店も限られていて中古の安いソフトを捜すとなるといくつもの店舗をはしごして捜さなければならず、そういう意味で「ここなら確実に置いてあるだろう」というこの店舗はなかなかにありがたいお店でした。

 しかし時を経るにつれて近隣の国道沿いには同じような家電量販店がどんどん増えていきました。現時点でもコジマ電機やヤマダ電機が同じ国道沿いに林立して客を奪い合っていますが、それ以上にこの「100満ボルト」にとって大きな存在だったのはわずか数十メートル先に出来た「PC DEPOT」だったと思います。PCデポではもちろんパソコン関連がメインで家電は取り扱っていませんでしたが、チラシなどでは露骨に「100満ボルトさんには負けません」などと書くなど対決姿勢を打ち出され、実際私もパソコン関連となるとPCデポの方に行く機会が多かったです。それでもたまに「100満ボルト」を見ると結構いいパソコンが置いてあって、親父にあげた東芝製ネットブックなどはここで購入しました。

 話は戻りますがそのようにライバル店が増えていったのと、あと折からの家電不況もあって「100満ボルト」を運営するサンキューは2013年9~10月に千葉県内の店舗を一斉に閉店させ、この松戸店もあえなく閉店となりました。ちょうどこのころはまだ日本に帰国中だったのと、松戸の潜伏地へ引っ越す時期と重なったので閉店セールに赴き、シャープ製のピンクの冷蔵庫を最後に購入しました。閉店時は本当に子どもの頃からずっと存在し続けてきた店舗だっただけに一際さびしく、また国道6号沿いを自転車で走る際のあの風景がなくなるということに少なくないショックを受けました。
 その後、店舗跡はしばらく放置されていましたが、私が中国に行ってからなんかテナントが入っていたようですがそれもすぐいなくなり、とうとう建物ごと撤去される運びとなったそうです。その現場を私の友人がわざわざ撮影してきてくれました。



 こうして写真で見ると、本当に何もなくなってしまってという感想が持ち上がってきます。割とこういう店舗の閉店とかには冷淡な態度を取ることが多い私ですが、この旧おかじま電器に関しては子供の頃からの強い思い入れがあっただけについつい思い出に耽ってしまいます。

2015年2月22日日曜日

日本の不動明王信仰について

 中国で最もメジャーな宗教は何かとなると名目上は仏教となりますが、仏教は文化大革命時に寺院が多数壊されたこともあってか日本以上にお坊さんになる人の割合も少なければ庶民の信仰心も薄いのが実態です。一例を出すと現在中国では旧正月の春節であるものの、日本みたいに9割の人間が初詣に行くこともなければ日常でも念仏唱えたり線香を焚く機会も多くありません。
 その一方で宗教というくくりに入れるか議論の余地はまだあるものの、日本での神道に当たるような土着の慣習に近い道教は現在の中国でも強い影響を残しております。ちょっとしたお堂(=廟)などは割とどこ行ってもあるし川沿いには媽祖廟、商売人の家には関帝像がほぼ必ずあり、観光地を歩くとお土産屋には日本での七福神でおなじみな布袋や福禄寿の木造がよくならんであります。それにしても自分もこっち来てから意識するようになりましたが、七福神って元々は道教からだったんですね。

 道教については趣味も兼ねてまた今度ゆっくり解説してもいいのですが、中国で仏教寺院や道教の廟を訪れると上記の七福神のように日本でもみられる仏像や仙人の木造や絵が見られるものの、不動明王の姿だけはどこに行っても見られないことにある日ふと気が付きました。そこから着想を得てちまちまと調べていったところどうもこの不動明王は日本国内限定の神様であることがわかり、その一方で極めて日本らしくないキャラクターであるにもかかわらず深く信仰されていることに違和感を感じたので、今日はちょっと頭使いたいので余計な手加減はなく好きな勝手に書いてくことにします。

不動明王(Wikipedia)

 不動明王とはなにかに関しては上のサイトを見てください。簡単に言うと空海が中国から持ってたのが日本初上陸だったということもあって密教で特に信仰されておりますが、密教に限らずほかの日系仏教宗派でも人気があって木造はもとより絵画などにもよく描かれているポピュラーな神様です。
 この不動明王の姿はどれも筋骨隆々とした姿として描かれ、表情は非常に恐ろしい形相で肩や背中には炎をまとっていることも少なくありません。不動明王がこのような姿で描かれるのは彼が悪鬼や悪霊と対峙する存在であるため、その強い視線で敵対する相手を射抜き、すくませるためだとされています。

 先にも述べた通りに中国では少なくとも「不動明王」と呼ばれる仏教の神は一般には存在せず、仏教の神としては日本で生まれ、発達したかなり珍しい例だと言えます。その起源が何かについてはヒンズー教の三主神の一つである破壊神シヴァではないかという説が主流のようですが、私個人の考えとしてはシヴァは雷神のイメージが強く炎を纏う不動明王とはなんかイメージが異なり、同じヒンズー教の神々に起源を求めるのであればむしろ同じように炎を扱い数々の悪魔と戦うインドラの方が近いのではと素人的に思います。

 起源の話は置いといて本題に入りますが、先にも述べた通りに不動明王は日本オリジナルであるものの日本の神としてはかなり特殊というか日本らしくない特性を持ち強い違和感を感じます。どの点が日本らしくないのかというと「戦闘をメインとする神」、つまり「軍神」や「破壊神」的な性格で、日本は「和を以って貴しとなす」というだけあってあんまりこの手の神様は人気になりません。
 インドなんかはさっきのシヴァを始め好戦的な神様ほど高い人気を持ちますが日本だと軍神で一番人気なのは七福神の一角であると共に四天王の一角でもある「毘沙門天」で、その次に来るものとなるとあとは「摩利支天」くらいしか浮かばず、バリエーションが多くありません。で、実際にはどうか詳しく調査したわけではありませんが、毘沙門天も摩利支天も衣装を見る限りだと中国の要素が強く、日本っぽい要素がほとんど感じられないばかりか日本国内の信仰心もそんなほどではない気がします。

 同じく神道の中でも軍神的な性格を持つ神様はほかの神話や宗教と比べると幾分少ない気がします。神道でこの手の神様として最大級なのはスサノオノミコトで間違いなくこれなんかは申し分ない破壊神ですが、これ以外となると力持ちで有名な建御雷(タケミカヅチ)くらであとはほぼ皆無です。両柱ともにアマテラスや大国主と比べるとそれほど信仰もされておらず、勝手な感想ですが乱暴なキャラクターを持つ神様は日本じゃいまいちメジャーになり切らない風土を感じます。

 このように考えているだけに、どうして不動明王がこれほどまでに日本で人気なのか、また何故日本だけなのか、日本で生まれ育ったのかが非常に気になるわけです。悪魔と戦う神様がほかにいなくて疫病祓い、厄払いのポストにぴったり収まったからとか、そのスマイルなんて一切ゼロなくらい恐ろしい形相が畏怖させる偶像として人気になったからとかいくつか推論は立てられますが、これらだと腹の底にストンと落ちるくらい納得するには不十分です。
 では一体何故なのか。それがわかれば苦労はしませんが、パッと今思いついたのは対峙する相手が不在がちなのが影響したのかなという仮説が出てきました。中国やインドだと仏法を邪魔する悪魔(もしくは竜神など化物)が割と激しく暴れてそれを沈める戦闘神も大活躍するのですが、日本だとこの手に類するのは八岐大蛇くらいで、そもそも戦う相手が少なかったから破壊神が人気でなかったのかもしれません。それに対し不動明王が対峙する相手というのは普通の悪魔ももちろん含まれますが、それ以上に煩悩などといった「修行者の弱い心」がメインであるような気がします。

 よくある不動明王の講話に、悪人からしたら不動明王は恐ろしい神様だが善人には怖い顔をしていても怒っているわけじゃないから安心していい、なんていうのを聞くし、また煩悩など悪い心があるから不動明王が恐ろしく見えるのであってそういう心がなければ恐ろしくはない、なんてのも聞きます。このように不動明王は信仰者の心と対峙するので、ほかの軍神の様に「神様VS悪魔」という構図にならず、日本人の大好きな「自己との対峙」要素を持つもんだから強面の形相ながら高い人気を勝ち取るに至ったのではないかと推理してみます。全部本当に勝手な推論だけど。

 ただ中国やインドになく、ほぼ完全に日本オリジナルの仏教の神といったらこの不動明王が代表格であると私は考えています。それだけにもっとこの不動明王の特性についてあれこれ研究を深めることで日本思想も解きほぐせるのではないかと密かに考えている次第です。

2015年2月21日土曜日

ジャパンディスプレイの新型液晶開発ニュースについて

 以前にも一度言及しておりますがメディアというのは大衆の注目を集めることで成り立つ存在であるため、必然的に他人の関心を引くような報道の仕方を行います。そのため大きなニュースがない時などは小さなニュースを殊更重大であるかのように大きく報道する傾向があり、一例をあげると2011年の2月頃などはYahooの知恵袋を使ったカンニング事件を、果たしてそこまでしつこく食い下がる必要があったのかと思うくらいに執拗な報道がなされました。
 しかし、中には本当に重要なニュースであるにもかかわらずあまり大きく取り扱われないニュースもあります。記者の関心を引かなかったのか、もしくはその重要性が理解されなかったのか理由は様々でしょうが、京大のIPS細胞も発表当初は日系メディアはほぼ無視して海外での報道が高まってからようやく報じる有様でした(STAP細胞は早かったが)。今日ここで紹介するニュースも個人的にもうちょっと大きく報じられてもいいんじゃないのかと思えるニュースです。

ジャパンディスプレイ、消費電力99%減の液晶パネル(日経新聞)

 上記ニュースの概要を簡単に説明すると、液晶パネル大手のジャパンディスプレイは19日、新規開発した液晶パネルの生産工場を建設し、2016年夏にも量産を開始すると発表しました。日本国内での工場建設を含む大型投資案件が近年ほとんどなかった中で、投資額は2000億円強にも上るというこの発表自体が相当な内容ですが真に驚くべきはその新規開発した液晶パネルで、なんと従来の液晶パネルに比べ消費電力は百分の一以下となり、映像を映すバックライトも不要になるそうです。米アップルも次期調達品として視野に入れており投資額の一部を負担する姿勢だとの報道も出ています。

 このニュースを見て最初に思ったのは、「ガセネタでは?」という身も蓋もない疑問でしたが最初に日刊工業新聞が報じたのを皮切りに海外を含む他のメディアも一斉に後追いしており、ジャパンディスプレイ側による発表もあったと出ていることから恐らく事実でしょう。何よりも投資額、そして工場建設地と量産時期がはっきりと出ていることから計画はほぼ出来上がっており、満を持しての発表であると見て間違いありません。
 先ほどにも述べたように投資額もさることながらその新たな液晶性能の凄まじさは文字通り、従来の常識が根本からひっくり返るかのようなインパクトがありました。消費電力が百分の一以下になれば携帯電話の電池持ち時間は飛躍的に向上するし、これまで消費電力がネックで液晶が搭載しきれなかったデバイスも一気に花開く可能性もあります。下手したら太陽電池でも動いたりしないかこれ?

 このようにいろんな意味でサプライズを受けると同時にもう一つ思ったこととして、「シャープはこれで終わるかもな……」という一つの予想でした。

 シャープの苦境についてはいちいち説明するまでもありませんが、消息筋によると近年のシャープの液晶事業はトントン、もしくはやや赤字で、他の事業で必死に業績を支えている状態だそうです。しかも今の受注は台湾のホンハイ精密との協業、そしてアップルからのiPhone向け受注があって成り立っているようなもので、上記のジャパンディスプレイの新液晶が流れ始めたら一気に受注がなくなる可能性もあり、まぁ要するに液晶事業は赤字慣れ流しのまま誰にもいらない子扱いになるのではと思えてくるわけです。

 別に隠すことでもないから一気に書いちゃいますけど、実はシャープには仲のいい(と私は思ってるんだけど?)友人が勤務しており、そこそこ内輪の話とかをこれまで聞いてきました。ただ彼の話を聞いてて違和感を感じることも多く、特に彼の主張する根拠のない予想に関しては真正面から何度も否定してきました。
 それはどんな予想かというと確か2012年くらいに聞いた話でしたが、「IGZOは必ず売れる」という話しです。IGZOとはシャープが独自技術だと主張する半導体製造の技術でこれで作った液晶は従来型の物と比べ消費電力が大幅に減少するとシャープは宣伝していました。しかしあちこちの報道を見ているとその消費電力の差はせいぜい数十パーセント程度で利用者も電池の持ちが良いと実感するレベルではないと私は判断し、友人にはその予想は甘い、消費電力が従来型と二倍程度変わらないと消費者が優先的に選ぶことはなく人気にはならないと否定しました。
 しかし友人は私の意見を真っ向から否定し、スマホユーザーの要望で一番大きいのは消費電力だ、IGZOはきっと実感できるレベルだと意見を変えず、液晶事業がこれで一気に持ち直すことはないと言いながらも少なくとも一つの切り札となる技術だと結構頑なに主張し続けました。

 それからもう3年くらい経ちますが少なくとも私の周辺では、「このスマホはIGZOの液晶使っているからこれを選んだんだ」という人は皆無でした。そして、「IGZO携帯」みたいにこの商標がブランド化することはとうとうなかったと考えています。
 別に自分の意見がやっぱり正しかったなんて主張する気はさらさらありませんが、あの時の友人の主張を思い起こすにつけシャープ内部では客観的な視点がもうなくなってしまってたのではとこの頃よく思います。他の面では分別のある友人なんだけど、自社の事では距離を置いた視点が持てなくなってしまってたのかな。

 そのIGZOとは対照的に、今度のジャパンディスプレイの液晶に関しては私からも強く太鼓判を押します。仮に消費電力が百分の一になる代わりに生産コストが他のと比べ高いとしても、これほどの性能差があれば製品メーカーも消費者もこの液晶を使用した製品を優先的に選ぶレベルでしょう。もっともこうした半導体や液晶部品製造はいわゆる設備産業なので、生産コストは導入する設備で決まるので生産コストが従来品と比べ極端に高くなることはまずあり得ませんが。

 それにしてもジャパンディスプレイがまさかここまで凄い会社になるとは発足当初は思いもよりませんでした。ジャパンディスプレイは東芝、日立、ソニーの三社の液晶部門が統合して設立された会社でしたが、発足当初は「液晶の敗者連合」と私も思ってましたし実際にそういう報道もありました。そして私は「0がいくつ集まっても0は0のまま」と周りにも吹聴して、体よく液晶部門を本体から切り離してリストラするためだけに作った会社じゃないか、なんて結構ひどいことも口にしてましたが、そうした私の予想に反して業績はそこそこ上向き、昨年には株式市場にも情報を果たして自分の不見識ぶりを反省していたところでした。
 真面目に話すと、今回の新液晶をきっかけにジャパンディスプレイが中・小型液晶の世界シェアを大きく握ることとなるでしょう。その一方でサムスン、シャープの液晶部門は一撃死に近い打撃を受けかねず、それだけに今回のこのニュースはただ事ではないと思うわけでした。

2015年2月19日木曜日

千葉のマッドシティ~松戸駅前編

 まさかのマッドシティシリーズ化です。松戸市に縁もゆかりもない方々からすれば退屈な記事でしょうが、この狂った街の記憶と記録を存在するうちに残しておきたい気持ちもあるのでどうかご容赦ください。

 さて松戸市で市役所の置かれている市政地は言うまでもなく松戸ですが、その市役所の最寄り駅に当たる松戸駅というのはお世辞にも評価は高くありません。交通の便に関しては常磐線と京成線の乗換駅になっており都内にも30分程度で23区の主要な所まで移動できるので悪くはありませんが、問題なのはその駅前の雑然ぶりで、行ったことのある人なら「ああ、あれね」とすぐに合点がいくかと思います。
 具体的にどのような状態なのかというとまるで整備がなっておらず、小さい店舗や中途半端なビルが乱立している上に線路をまたぐ高架歩道は人でごった返しやすく、一言言えばごちゃごちゃし過ぎているということに尽きます。出口は東口と西口があり、西口はまだ整備が進んできてバスターミナル前が一般乗用車とバスと歩行者がちょっと入り乱れて通行に戸惑う点はあるもののまだまともですが、もう片っ方の東口はちょっと目も当てられない状態で、中途半端にイトーヨーカドーが近くにあるせいもあって買い物客やら通勤客やらで普通に歩いてて鬱陶しくなってきます。

 なお東口近くにあって高架歩道とも接続している良文堂という本屋は品揃えもよく、特に受験参考書が充実していて高校時代はよく利用しました。ただこの店、5階建ててセクションごとに回数が別れているのですが、どの階も店舗が狭くゆっくり本を選ぶのには難があり惜しい所です。最近は自分も伊勢丹内にあるジュンク堂の方が潜伏地から遠いのに通う回数が増えてるしな。

 話は松戸駅前に戻りますが、東口にはまずイトーヨーカドーがあり、そのほかドトールコーヒー、漫画喫茶、居酒屋、パチスロ屋、メガネ屋、ミスタードーナツ、ゲームセンター、などとあらゆる種類の店舗が目白押しで、さりげなく小さい個人商店も軒を連ねています。あと地味に厄介なのが小学生を対象とした予備校も近くにあり、金曜の夜とかになると授業を終えて出てくる小学生が大挙して狭い道路を占領することもあるのでもうちょっと送り迎えにやり方あるのではと思えてくるほどです。
 確かに帰宅がてらに飲食店へ寄ったり、買い物したりには便利なのですが、やはり駅利用客がそこそこ多いにもかかわらず歩道があまり整備されてなく、細い路地が入り組んでて飲食店などはそこへ無理矢理運搬の車を通すので混乱に拍車がかかっている状態です。しかも松戸市役所に行くには東口から通るので、市役所勤務の人間も地味に多くて侮れません。

 一体何故松戸駅前がこのような乱雑ぶりを見せるようになったのかというと実は理由があり、実際に細かく検証したわけではありませんがどうも暴力団が一部の土地を保有しているため区画整理が進まなかったと言われています。この噂は私が幼少期だった頃より聞いていたのすが、近くにある喫茶店の店員と話をしたところどうもこの噂は事実らしく、暴力団のせいで駅前の整備が進まず近隣の自治体と比べ開発が遅れていると嘆いていました。
 もっとも暴力団だけが原因というわけでもなく、松戸は1970年代の高度経済成長期に街づくりが進んだ都市でもあり、その影響からかビルや住宅が後進の都市と比べ数世代古いまま残ってしまっているというのも大きいと私は考えています。要するに、ビルトアンドスクラップでスクラップの方が進まず古い建造物が軒並み残ってしまっているということです。

 ただそんな松戸駅前もこのところはようやくというか再開発がいくらか進んでき始め、特に松戸駅東口からやや北に向かった先では古いビルなどが取り壊され、大型マンションの新規建設や分譲が相次いでいます。この点について私が潜伏時代に通っていたカレー屋の店主に、「暴力団もようやく土地を手放しはじめたのか?」と理由を尋ねたところそうではないと否定され、「直接的な原因は東日本大震災です」という思いがけない答えが返ってきました。
 なんでも2011年の東日本大震災でこの地域にあった古いビルでは倒壊こそなかったものの軒並みひび割れが起こり、そのまま使用することが出来なくなったために取り壊しが進んだとのことです。以前からあった人気飲食店もこれらの影響で店舗を改装、または移転が進み、ここ数年で大分風景は変わったという貴重な情報をもたらしてくれました。

 実際に行ってみればわかりますが線路沿いだとコインパーキングがやけに多く、東口前の雑然ぶりと比べるとやけに視界が広がっています。またこれは東日本大震災の大分前に既に潰れておりましたが、以前は土屋家具というお店があった松戸市役所前にある巨大な店舗兼集合住宅も昨年になってようやく取り壊しが行われました。この取り壊し工事は2013年末辺りから始められましたが完全に取り壊されるまでには半年以上の時間がかかっており、「中国だったらこんなの一週間でたたむってのに日本は仕事が遅いな」などという妙な感想を当時に覚えています。

2015年2月18日水曜日

中国の住宅の特徴


 近くのスーパーで何故か美濃焼の特設販売があったので上の丼碗と小皿を速攻で購入しました。どちらも質感といい絵柄といい気に入っています。中国は明日が旧暦の元旦に当たり、大晦日に当たる今日から長期連休となっておりますが、どこの飲食店も正月休みで閉まっているため最近は上の丼でうどんばっかり食っています。

 さて気になる人がいるのかはまだわかりませんが、上の写真はお世辞にもいい構図ではありません。できれば斜め上から碗の中の絵柄と共に撮影したかったのですが、ちょっと止むに止まれぬ事情があって真上から撮る構図となりました。一体何でこうなったのかというと、室内が異常に暗いせいでありました。
 中国に来て長期滞在した人ならわかると思いますが、中国の住宅は日本の住宅と比べて室内が異常なまでに暗いことが多いです。一体なんで暗いのかっていうと室内面積の広さに対して照明」の数が極端に少なく、またその照明器具も光線量が小さく照らし切れていないことが多いです。具体例を挙げると、小さなベッドルームなどでは電球数本しか設置されていないこともざらです。

 第三国と比べたわけでもないので中国の住宅が異常に暗いのか日本の住宅が異常に明るいのかまではわかりませんが、日中で比べるなら中国は圧倒的に部屋の中が暗いことは確かです。そのため夜に室内を撮影しようものなら暗く写ってしまい、かといってフラッシュ焚くと今度は反射がきつかったりしてこの美濃焼を撮影するのにもひと手間かかっています。最終的に電気スタンドのあるパソコンデスクの上で撮影することでまだ見られる写真に仕上げていますが、そもそもパソコンを使用する際に電気スタンドもセットにならざるを得ない環境というのも考えてみれば変なもんです。そういえば以前上海にいた時も電気スタンドを常備していたなぁ。

 照明に関してはこのように日本人の私からするとやや不満の感じるところがありますが、それ以外の面だと意外と中国の住宅の方が勝っている部分も少なくありません。まず第一に言えるのは天井の高さで、こっちへ出稼ぎにやってきた当初は空調の機器が悪くなるなと思ってあまりいい感じがしませんでしたが、慣れてくるとやっぱり部屋が広く感じられ、逆に日本へ帰国した際は天井が低くて狭く感じるとともに圧迫感を覚えました。
 私の目算だと中国の住宅の天井高さは3m程度あり、日本の住宅は2.5m程度ではないかと思います。さっきさくっとググってみましたが日本の住宅はやはり2.4~2.5mが主だそうで、私の見間違いというわけでもないようです。

 天井の高さと並んで中国の住宅で優れていると思うのは壁の厚さです。最近だと日本の住宅はども工費を削り、防音材などを敷き詰めることで壁を薄くしようとあの手この手を講じていますが、そういう先端素材を使う、使わない以上に単純に壁の厚みを厚くする以上に防音性は高める手段はないでしょう。中国の住宅は基本、どこも壁が異常に分厚く、試しにDQ6のハッサンみたいに正拳突きしてみたところ明らかに日本の住宅より分厚い重みというか拳に強い痛みを覚えました。とびひざ蹴りはやめておこう。
 この傾向はこれまで住んだことのあるどの中国の部屋でも共通しており、一種スタンダードになっているのではないかと思えます。壁が分厚いので隣の音はほとんど聞こえず、聞こえるとしてもドア越しに洩れてくる音の方が大きいです。ただ断熱材に関しては恐らくほとんど使ってないものと思われ、冬場においては壁からリアルに冷気を感じるため、この辺は改善点として中国のデベロッパーに考えてもらいたいものです。

 そのほか中国の住宅の特徴を述べると、以前にも書いたように単身用の住宅が少ないということと、トイレの中蓋を締めるネジがほぼ確実に緩んでいることと、北方地域は暖器があることといったところです。
 暖器に関しては後輩も書いていますが、北京を始めとした中国の北方地域の住宅は建物内にスチーム管を張り巡らせて冬季は建物全体を一括して温めています。日本も北の方にはあるかもしれませんがなかなかこれが便利なもので、慣れてくるとこういった暖器のない上海とかの方が北京より寒く感じるようになってきます。

2015年2月16日月曜日

インドでの邦人女性の被害について

日本人女子学生に性的暴行、インド警察が25歳男逮捕 懸賞金かけ追跡(産経新聞)

 リクエストが来たのと、自分もインドに行ったことがあって多少は自分の体験談を話せると思うので、今日はインドでこのところ起こっている邦人女性の被害について少しだけ述べます。

 事件概要については説明するまでもないでしょうが、このところインドで邦人女性が暴行の被害に遭うという事件が頻発しております。もっとも私の印象だと最近になって急激に増えたというよりは報じられる機会が増えただけで、以前からもインドでこのような事件は数多く起こってたのではないかと見ています。インドではそのような女性の暴行事件は何も邦人女性だけでなく同じインド人の女性に対しても非常に多く、インド国内でもようやくと言ってはなんですが社会問題として広がりを見せてき始めた段階にあるようにも思えます。

 知ってる人には有名ですが、私自身も一度インドには旅行に行ったことがあります。現在の日本での潜伏先は「千葉のマッドシティ」こと松戸市でこのところ激ヤバな犯罪都市であるかのようにこの街が語られますが、松戸市なんて実際はそんなに治安が悪いとは思えません。なんでそう言い切るのかというと実は、インドの首都であるニューデリーは本気でヤバい所だと感じた経験があるからです
 私が旅行で回ったインドの都市はニューデリー、アグラ、バラーナシィーの三都市で、三都市それぞれで治安悪そうだなぁと感じましたがこの中でも格段にヤバそうだと感じたのはニューデリーでした。ただ私の場合は日本で予約した旅行会社のインド人ガイドがずっと付き添ってくれたため特に危険に陥ることは一切ありませんでしたが、それでも観光中にちらちらと見る街の風景はこれでもかと犯罪の臭いがプンプンしており、実際同じツアーで来てた女の子二人組がここで非常に怖い体験をしたと話していました。

 その女の子二人組は確か従弟同士で一緒にインドへ旅行に来たのですが、ガイドを同行せず二人でタクシーに乗り買い物に出かけたところタクシー運転手がやけに暗い路地へ連れて行き、「支払う料金を増やさないとここで降ろすぞ」と脅して来たそうです。この時要求された追加料金は法外なものではなかったそうなので素直に従ってきちんと目的の場所に付けたそうですが、さすがにあの時はちょっと怖かったねと列車での移動中に自分と自分に同行した友人に話してくれました。
 なおそんな怖い思いしてまで女の子が買ったサリーはまがい物で、次の日からつけている最中に色落ちし始めていました。

 このようにインドでは想像もつかないようなところから犯罪に巻き込まれやすく、また昼間でも路地裏は映画に出てくるような暗く怖い場所が多く、「ここからいきなり飛び出されてはどうにもならんだろうな」という印象を覚えました。旅行中に被害らしい被害は一切ありませんでしたが、夜は夕食に出かける以外はずっとホテルに入ったままで、昼間ですらあんな怖いのに出歩くなんて考えは思いつきませんでした。

 それとこのところの邦人女性の被害事件についてもう一つ思い出話を書くと、昨年11月に邦人女性が誘拐されたガヤという町ですが、実はここは旅行中に私も訪れています。ガイドブックなどでは「ブッダーガヤー」などと書かれ、ブッダが悟りを開いた場所として日本人向け観光地としてはそこそこ人気がある場所です。
 訪れたのはもちろん昼間ですがどこ行っても人だかりでごみごみしていてうるさいインドの町でこのガヤという町だけは不思議な静けさがあり、明らかに一線を画す聖域のような印象を当時覚えました。それだけにあのガヤでもこんな事件が起こるのかと事件の一報を知った際は軽いショックのような気持ちを感じると共に、やはりどこ行っても油断ならない国なのかという感想を持ちました。

  おまけ
 インドでは上記の通りに夜中は一切出歩くことはありませんでしたが、私が行ったことのある海外の都市で一番安心して夜中歩けたのは意外でしょうが中国の北京です。北京だと人がいきなり飛び出してきそうな隠れる場所が街中に少ないですし、また警察の人数と力がどちらも半端じゃないため治安に関しては非常にいいです。ほかの中国の沿岸部都市も大体似たりよったりで、総じて治安のいい所ばかりです。
 あとマッドシティの松戸駅前では夜になるとちょっと粋がった格好した若者とかおっさんが歩いたりするものの、なんかやたらと周りを気にするかのように目が泳いでたりするので見てるこっちが不安になってきます。

2015年2月15日日曜日

創業家列伝~島津源蔵(島津製作所)

 長らく期間が空いての連載再開です。なんでこんなに期間空けたのかというと昨年末にかけて「企業居点」の編集作業が忙しかったことと、この編集作業を終えた後も先月は派遣マージン率を陰で調べていて下調べのいるこの連載はなるべく後回しへとされてしまっていました。まぁこの連載記事はある意味で、「腐らない記事」のため、ささっと書き溜めておくに越したことはないのですが。
 そういうわけで今日取り上げる人物ですが、精密機械メーカー大手で過去にはノーベル賞受賞者(田中耕一氏)も輩出した島津製作所の創業家、島津源蔵を取り上げます。どうでもいいですが「源蔵」という名前を見ると「SGGK」と呼ばれるあの人物が真っ先に私の中で浮かんできます。

島津源蔵(2代目)(Wikipedia)

 島津製作所の創業者、というよりは立役者の島津源蔵は1869年に京都府木屋町で生まれます。父親も同じ「源蔵」という名前で扱いとしては初代島津源蔵と呼ばれていますが、京都の鍛冶屋で明治8年からは標本を初めとした学校用品の製作を始めて後に法人化し、島津製作所と名乗るようになります。
 なおこの島津という名字についてですが、薩摩藩で有名な島津家に由来すると言われております。ただその由来については諸説あり、手元の「実録創業者列伝」では先祖は黒田家の重臣だったが関ヶ原から敗走してきた島津義弘の九州への引き上げを世話したことから島津姓を賜ったと書かれてありますが、私が以前に聞いた話だと元々は街道沿いの旅籠を経営しており、参勤交代で利用した薩摩藩がそのもてなしぶりを評価して島津姓を許したという逸話でした。このほかにもまだまだあり、あまりにもはっきりしないので内心では薩摩の島津家とは関係ないのではと密かに考えています。

 話は戻りますが島津源蔵(2代目)の幼少期は非常に貧しく、教育熱心なことで有名な京都にいながら小学校には二年間だけ通って退学しています。しかし向学心が高く勉強熱心だったらしく家業を手伝う傍らで独学を続け、19歳の時には京都師範学校に招かれその後5年間教壇に立ち学生を指導しています。1894年に初代島津源蔵が亡くなると会社を引き継ぎ、実質的に現在の島津製作所はこの時にスタートしたと考えてよいでしょう。

 島津製作所のエポックメイキングが起こるのは源蔵が社長を受け継いだ2年後の1896年で、この時に島津製作所はその前年にレントゲンが世界で初めて成功したエックス線による撮影、所謂レントゲン撮影を日本で初めて成功させます。今の様に通信技術が整っていない時代、ましてやまともな研究設備にすら事欠く日本国内の環境で世界最新の技術を再現してみせたというのは私の目から見ても脅威というよりほかなく、また現在にも続く島津製作所の医療検査機器事業はこの時始まったのかと思うとなかなかこみ上げてくるエピソードです。

 この医療機器事業に続き島津製作所が後に主力とする事業はその翌年、1968年にエポックメイキングが起こります。この年、島津製作所は京大から外国製の見本を供与され、蓄電池の製作を依頼されます。見本もあったことからあっという間に依頼に応え製作を行い、それをきっかけに全国からも同じ蓄電池の製作を依頼されるようになったため源蔵は蓄電池生産を本格的に事業化させていきます。
 蓄電池事業は当初でこそ10A時の小さな電池からスタートしましたが研究に研究を重ね、1904年には150A時の据置用蓄電池の開発に成功します。この時開発された電池は軍にも採用され、日露戦争でバルチック艦隊を発見しあの有名な「敵艦見ゆ」の信号を発した信濃丸の通信機に取り付けられていたそうです。

 この日露戦争のエピソードもあって「電池とくれば島津製作所」と呼ばれるまでに評判を上げ、1908年からは電池規格を作り大量生産化に取り掛かります。この時に自社製電池のブランド名として源蔵は自分のイニシャルである「GS(Genzo Shimazu)」という文字を用い、「GS蓄電池」という商標を使い売り出します。
 察しのいい人ならわかるでしょうが、この「GS」という言葉は現代にも受け継がれています。島津製作所は1917年に電池部門を分離独立させ「日本電池」という会社を設立しますが、この日本電池は2004年に同じ電池大手の「ユアサコーポレーション」と合併し、現在の「ジーエス・ユアサコポーレーション」となるわけです。最近保険大手が合併して長ったらしい変な名前になってますが、そういうのと比べるとブランド名を利用したこのGSユアサの命名はなかなか語呂が良くて悪くないと思えます。

 島津製作所の電池事業は後の第一次世界大戦でドイツとの国交断絶に伴いドイツ製の輸入が止まったことでさらに受注を伸ばしていくのですが、この電池の生産には鉛粉こと鉛酸化物が必要でした。島津製作所は電池の生産では日本国内随一となりましたが生産に必要な鉛粉は日本製だと品質が不均一なため、主に高価な海外製を輸入して使用していたそうですが、どうにかして国産化できないと源蔵は考えていようです。
 鉛粉とはその名前の通りに鉛を粉末化すれば出来るので何とか粉末化させようと源蔵は自らあれこれ実験し、回転容器に鉛球を入れグルグル回すと鉛粉が生産できるところまではこぎつけました。だがこうやってできる鉛粉は品質が相も変わらず不均一で使い物にならず、どうしたもんかと解決策に悩んでいたところ鉛投入孔にやけに良質な鉛の塵こと鉛粉が溜まっていることに気が付き、ここから着想を得て送風させながら回転容器を回すことで非常に質のいい鉛粉、亜酸化鉛を高い効率で生産することに成功します。この製法は当時世界初で、電池製造の分野で一気に島津製作所をスターダムに持っていきました。

 ただこの亜酸化鉛の製法の特許を巡ってはちょっと一悶着があり、英国とフランスではすぐ取れたのに対し何故か本国の日本では、「物理学上の発見であって技術上の発明ではない」として、なかなか特許の認可が得られなかったそうです。日本らしいっちゃ日本らしいけど。
 さらにもう一つエピソードを付け加えると、島津製作所はこの時出来た亜酸化鉛から防錆剤を作りだし、当初は日本電池で売り出してましたが途中でまた分離独立化させ、「鉛粉塗料株式会社」を設立し、この会社はその後他社との合併などを経て現在は大日本塗料株式会社となりました。

 以上が島津源蔵の主な経歴ですが、書いてて感じたこととしては「一体この人、何社の設立に関わってるんだろうか」という底の知れなさです。現代でも認知度の高い大手企業の創業に何らかの形で関わってることが多いし、またどれも自身の発明をとっかかりにしている点で実に恐ろしいまでの才能の持ち主です。経営者のタイプとしては典型的な発明者型ではあるものの、複数の業界大手企業を設立していることからただ技術が高かっただけでなく発明品を事業化させる才能も桁違いに高かったのではと私は評価しています。

 知ってる人には有名ですが京都にある大手企業はどれも知名度、業績はよくても従業員(+取引先)にとってはブラックな会社であることが多いというかほぼ全部そうなのですが、この島津製作所に関しては真面目にそういう悪い噂はほとんど聞かず、私の就活中なんかは「京都企業の良心」などと呼んでいました。実際入社して働いたわけでもないのにこのように言うのもどうかなという気がするし島津のポンプメーカーの人に聞いたら、「実際中はそんなでもないですよ」という証言も得られましたが、先ほど出てきた田中耕一氏の会見を見ている限りだとやはり一線を画す社風だと覚えます。
 というのもノーベル賞受賞の発表があってすぐ社内で開かれた会見で田中氏は、背広ではなく普段通りの作業着で会見に臨んでいました。ただ単に背広を準備する時間がなかったり田中氏の個人的な好みなだけだっただけかもしれませんが、ああした会見にも普段通りの作業着で臨まれるという会社はやっぱり一味違うと思うし、技術というか現場を第一に考える社風なのかなという印象を覚えます。まぁそれ以上に田中氏の人柄が非常に素晴らしかったの一言に尽きますが。

 最後に蛇足ですが、島津製作所製蓄電池が取り付けられ日本海海戦で軍艦三笠に対し重要な通信を送った信濃丸ですが、実はこの船はその後の二次大戦中にも兵員を南方へ運ぶ運搬船に使われ、その時に運ばれた兵員の中にはあの水木しげる氏もおりました。当時としても竣工から30年以上経過しており乗船した水木氏も、「えー、あの信濃丸がまだ動いてんの!?」と驚愕したそうですが、大半の輸送船が途中、米軍の攻撃によって撃破される中で無事に任務を果たし終戦後まで沈没せず生還を果たしました。
 さらに続けると水木氏は終戦後に日本へ復員する際、開戦から終戦に至るまで主要な海戦ほぼすべてに参戦し、他の艦船がほぼ全滅した中で生き残り「不沈艦」とまで号された駆逐艦「雪風」に乗船しております。こうしてみると水木氏は行きも帰りも気違いじみた強運に守られた船に乗っており、彼にはある種、幸運の女神ような何かが始めからついて回っていたのかもしれないとこの記事書きながら思いました。


  参考文献
「実録 創業者列伝」(学習研究社) 2004年発行

2015年2月13日金曜日

中国の空母プラモを見て

 先週末、日本語を教えている中国人労働者を連れて上海に行っていました。なんでこんなことをしたのかというとその中国人労働者が一度も上海に行ったことがないマジモンの田舎者だったので、一つ都会を見せてやる方が良いと思ったからです。
 もっともこの中国人労働者、あらかじめ高速鉄道のチケットを買って駅で待ち合わせだったのに見事に寝坊してきやがって、土曜日は電話口で激しく怒鳴り続けたので非常に疲れました。なんかこう書くと自分が如何にもな性格をしているように見えますが、そいつはその前週に昆山市内の観光地に行く際も寝坊で遅刻しており、またこっちの指示を待たずに長距離バスに乗ったり降りたりを繰り返したりもしたのでかなり全力で怒鳴り続けました。ちなみに私は駅のど真ん中で怒鳴り続けましたが、中国ではよくある風景なのか周りの人は自分に対して全く無関心でした。日本じゃこうもいかんな。

 話は戻りますが日曜日にそいつを連れて市内をぶらぶら歩いていると日本の模型メーカー大手のタミヤの看板を掲げたプラモ屋が見つかり、折角だからと入ってみたらこっちの想像以上の品々を集めていてびっくりしました。一番最初に目に入ったのはミニ四駆で、「ダッシュ!四駆郎」に出てきた「エンペラー」というミニ四駆が置いてあり、そのほか大和とか武蔵といった戦艦はないのになぜか空母の瑞鶴、翔鶴のプラモは置いてあって、瑞鶴は日本の軍艦の中で私が一番好きな船なだけに買って帰るか非常に悩みました。なお中国人労働者は以前に私も作ったことのある「インプレッサWRX STI 99ver」を買って帰りました。

 そのような豊富な品々の中でふと隅っこに目を遣ると、なんかやたらと大きなサイズの箱がありました。見てみると「遼寧」と書かれてあり、知る人ぞ知る2012年に就航した中国初の空母のプラモでした。
 ちゃんと自国の艦船のプラモもあるんだなーという具合で感心するとともに、こんだけ大きなサイズ(箱の横幅が1mくらいあった)のプラモしか置いていないってことはもしかしたら小型サイズで作れないってことではとも思え、またそもそも寸法とかちゃんとあってるのかと本体もプラモもどちらもメイドインチャイナなだけに疑いを覚えてきました。もっともこれは中国の模型メーカーがどうこうというよりも、日本の模型メーカーが異常なまでに精密に作ってしまっていると考えるべきなのかもしれません。

 ここでその日本の模型メーカーについて話が移りますが、王者なのは言うまでもなくミニ四駆も作っているタミヤです。私も自動車プラモをいくつか作りましたがほかの日系メーカーと比べてもここは作りや構造がしっかりしていて、よくもこれだけ精密に金型作れるなと感心させられます。軍艦に関しても旧日本軍は本気でアホだから、アメリカは同じ設計の艦船を次々と量産していったのに対し日本は一艦一艦別々に設計をして無駄に多種多様な艦船を造り、あらゆる方面で効率を悪くさせましたが、そうした土壌の下でタミヤは多数ある艦船を次々と模型化していきました。真面目に誇張ではなく、日系模型メーカーの隆盛の陰には旧日本軍の無駄遣いが背景にある気がします。

 そのタミヤですが、知ってる人には有名ですがその製品の正確さ、精密さについて気違いじみたエピソードが多数あります。開発中の車をチラ見しただけで外観から内部構造まできっかり再現してみせたなんて序の口で、海外自動車メーカーがどうしても内部構造を見せてくれないから推定で作って売り出したところそのメーカーから、「お前ら、技術情報を盗んだな」などと言われ、ほぼ実物そのものに作ってしまっていたことからあらぬ誤解を受けたなんて話も多々あります。

 話しを再び中国の初代空母、遼寧に戻しますが、この艦船は元々旧ソ連で建造が始まったものの予算不足で中断され、その建造途中の船を回り回って中国が購入して空母に仕上げたという経緯があります。実に建造開始から二十年近く経っての就航したという曰くつきなのですが、建造に関わった中国人民解放軍関係者は、建造開始当初の設計図は既に紛失されていたことから設計が近いほかのソ連の艦船を元に見よう見真似で作ったことを明かしています。恐らくそれでもきちんと作れたということを自慢しているのだと思いますがこれを聞いて、「中国人の言う見よう見真似ほど恐ろしいものはない」という言葉を私以外、下手すりゃ中国人ですら頭に思い浮かべるのではないかと思います。
 日本のネット上の掲示板でもこの話題が持ち上がり、中国に軍艦の設計なんて危なっかしい、むしろタミヤの方がまともな設計をするのではなんていう意見があって見ていてなかなか楽しめました。ただ「タミヤの方がまともな設計をする」という意見ですが、これはあながち冗談っぽい意見ではなく、本気でそうなのではないかとちょっと思っています。というのもタミヤは旧日本軍の軍艦はもとより世界各国の戦闘機から戦車、銃火器まで模型化しており、下手な軍事専門家よりこの手の構造に詳しいのではないかと思えるからです。

 さすがに主機などの設備を含めた設計となると話は別ですが、アウトラインだけの設計であればタミヤの設計部なら本気でいいの作ってくれるんじゃないかと思います。折角だから日本政府も今後自衛隊で新しいイージス艦とか掃海艇作るんだったらタミヤに外注した方が安くていいのが出来上がるのではなんていう風にも思え、このところ周りの人間にも話しています。タミヤも自社の設計を元にプラモも作れるんだから一石二鳥じゃないかな。

  おまけ
 中国に出稼ぎに来る前、何故かスポーツカーのプラモにはまって何体か作っていました。けど部屋に一台だけ作って置いておくとなかなか洒落ててインテリア的にグッドでしたが、二体、三体と増えていくにつれてなんかよくなくなるというか、部屋がマニアっぽくなって失敗したと思いました(´・ω・`)ガッカリ…

2015年2月12日木曜日

千葉のマッドシティ~映画館編

 昨日の記事でも触れていますが、私の日本潜伏地ことリアル隠れ家的賃貸住宅(マジ冗談になってなくて笑えない)は千葉県の松戸市にあります。知ってる人には早いですがこの街は最近、「千葉のマッドシティ」と呼ばれており、その理由はアニメ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の中でこの松戸市のことを「マッドシティ」と呼んだことがきっかけだったそうです。恐らくこの作品の制作者は「マツドシティ」と「マッドシティ」の音と文字が近いことからこう呼んだのでしょうが、なかなか語呂がいいのと、どうもいくつか全国区で報じられたことのある殺害事件があった街という印象がぴったりはまり、如何にも犯罪都市っぽい雰囲気を持つこの「マッドシティ」というあだ名が定着したのだと思います。
 なおこのマッドシティという言葉ですが、元々はコナミのアクションゲームのタイトルだそうです。それと松戸市の犯罪率ですが、ネット上では冗談めかして若者の9割超が暴走族だとか内戦状態だとかいろいろ書かれてますが、さすがに毎日死人が出るほどはヤバくはないです。過激派みたいな内容を毎日書いてる私が住んでてていうのもなんですが。

 そんな松戸市ですが私自身が住んでいたのは2013~2014年の一年足らずではあるものの、実家が隣の市にあって実は子供の頃から買い物なり遊びなりサイクリングなりでしょっちゅう訪れてて非常に慣れ親しんだ街だったりします。微妙な裏道とかも大体把握しているし、街がどのように変化していったかも持ち前の記憶力で案外覚えてます。
 特に際立って印象に残っている松戸市の変化として、私の中ではかつて存在した二つの映画館が挙がってきます。どちらも松戸駅近くにあった映画館で、一つは松戸輝竜会館、もう一つは松戸サンリオシアターで、どちらも既に閉館しております。

 輝竜会館の方は1959年に建設されてその後幾度か改装をされた映画館でしたがはっきり言って非常に狭く、ガラガラの時ならともかく人気作なら入り口が人でごった返し、正直言って今思い返すとかなり危険なレベルだったのではと思います。しかし東映アニメフェアなど子供の時分に見たい映画は何故か近くの映画館ではこの輝竜会館でしか公開されず、内心行きたくないと思いつつ小学生だった私は友達とこづかいを片手に見に行き、上映終了後にこれでもかというくらいの子供にもみくちゃにされながら脱出していたことをよく覚えてます。パンフレットを買おうものなら争奪戦みたいになってたし。
 なお松戸市出身の友人にこの映画館のことを話すと、「俺はあの輝竜会館って名前を聞いただけで映画を見に行くのをやめてた」と話しており、友人もあの人でごった返す異常な構造を嫌ってたようです。

 対する松戸サンリオシアターは1980年、当初は「松戸サンリオ劇場」という名前でオープン。1993年になってビルが移り「松戸サンリオシアター」と名前を変えたのですが、私が高校生までの間は映画を見に行くとしたらいつも決まってここに見に行っていました。特に小学校低学年の頃はやたらよく映画を見に行っており、うちの姉貴と二人でこづかいもらって見に行き、帰ろうと松戸駅で切符を買ったら姉貴が間違えてJRではなく京成の切符を買ったりして子供心に「頼りにならねぇなぁ」と思ったりしました。
 このサンリオシアターは周辺の店舗との提携活動をよくしていて、たとえば近くの本屋なら映画料金を割り引いたチケットが買え、近くのマクドナルドの二階店舗内にはよく公開中の映画のポスターが貼られていました。貼られていたのだと「ネバーエンディングストーリ―2」のポスターが何故かよく記憶に残ってる、アトレイユ……。

 私は高校生になった頃からあんま映画見なくなってここに通うこともほとんどなくなってしまったのですが、2006年にはスクリーン数を拡大して「松戸シネマサンシャイン」と再び名前を変えていたようですが、他の全国の映画館同様に客足が伸び悩んだことと、周辺の他の街でもシネマコンプレックスが出来ていったことなどからか羽振りが悪かったようで、2013年1月末にはここも閉館してしまいました。
 多分、私が最後にこの映画館で見たのは2003年の「ロードオブザリング 王の帰還」で、友人と二人で見に行ったのを覚えています。なお「ロードオブザリング 旅の仲間」もこの映画館で見ており、その時は家族と見に行っています。私が2013年に日本へ帰国し、たまたまこの映画館跡の前を通った際に初めて閉館したという事実を知りましたが、子供時代から自分の中の風景に存在していた映画館だっただけに軽いショックを当時受けました。

 ちなみに「松戸シネマサンシャイン」の閉館に伴い、松戸市には現在もなお映画館が一つもない状態が続いています。これだけの人口規模を持ちながら映画館が一つもないというのは全国的にも珍しいのではないかと思いますが、この辺りの人からすると小さい映画館に行くくらいなら都内や幕張に出て行くのであろうと思え、今のところあまり需要がないような気がします。とはいえいくらなんでも寂しくはないかという気がするので、どっかが新しい映画館を松戸市内に作ってくれることを陰ながら期待しております。

 それにしても見出しをそのまま「千葉のマッドシティ~」としちゃったけど、こういった松戸の思い出話をシリーズ化する気か?映画館同様需要があるのかどうかも分からんし、自分で書いておきながらなんかよくわからない状態です。

2015年2月11日水曜日

時計を置きまくる友人

 何度かこのブログで書いていますが私が現在日本で隠れ家に使っている部屋は「千葉のマッドシティ」こと松戸市にあります。隠れ家といいましたがこれは決して誇張な表現ではなく、松戸駅に歩いて10分程度で行ける便のいい場所にありますが行き方を知らないとまず見つからないような変な場所にあり、多分住所とか渡してもGPSとか使わない限りは普通はたどり着けないだろうと言えるようなところにあります。

 現在の私は中国滞在中ということもありこの部屋にいることはほぼないのですが、日本にもある程度私物を置いておきたいのと、ちょうど部屋を借りたがっていた友人がいたので私が中国に行くのと入れ替わりにその友人が住んで現在使用しています。私物の管理はおろか郵便物、電気代諸々の諸費を友人が払ってくれるので私としても大助かりなのですが、去年の9月に一時帰国した際にちょっと驚く光景が広がっていました。
 単刀直入に述べると、部屋中いたるところにこれでもかというくらい無数のアナログ時計が置いてありました。なお私が部屋を出て行く際にはデジタルの置時計が一つだけしかありませんでした。

 実際にどれくらいの時計があるか正確には数えてませんが、友人曰く部屋の中にいてどの方向を向いても時間がわかるような配置にしてあるということで、感覚的には居間内の八方向すべてに何かしらの時計が置いてあり、台所にも複数、そして何故か風呂の中にもハンガーの針金使って無理矢理吊るす形で配置されていました。

 一体なんでこんな時計置くのかついさっき聞いてみたところ、なんでも友人の実家では当たり前の光景だったそうで、風呂の中で読書したりするので長湯となるため時間を把握するのに風呂内に置くのも特別不思議に感じてないそうです。
 また時計の種類も基本はアナログで、正確に何分何秒かを知ることよりも一目で大まかな時間がわかる方が大事とのことで、割とデジタル時計を使う傾向のある自分と対照的な答えをしてきました。

 しかし友人の言うことの中でもどの方向を向いても時計が視界が入るようにするというのはまだ理解でき、先日にふとこの時の友人の話を思い出し、私も文具屋で小さいアナログの置時計を買ってパソコンの隣に置くようにしてみました。パソコンの画面内にも時計表示がもちろんありますがやっぱり置いてみると違うもので、作業中に今何時なのかパッと見る際はついついアナログの方を向いてしまいます。
 それと私のパソコンは設定変えればそれまでですが、現在のところ日本標準時に設定していて中国の時間とは一時間の時差があります。なんでこんな風にしているのかというと作業中とかに日本は今何時当たりなのかと意識させるためなのですが、ぶっちゃけそうした意識よりも現在こっちで何時かを把握する面倒さの方が大きい気がします。

 なお私と友人の二人で以前にインテリア関連に詳しい方と話をする機会がありましたが、その時の会話をきっかけに私もインテリアというか室内の空間をどのようにみせるのか、家具などの配置をどうするのかということに興味を持つようになり、先日にこのブログでも紹介した革椅子の購入など以前に比べこだわりを持つようになってきました。この友人のやたら時計を置く、それもアナログでというスタンスも一つのセンスで、そう考えると部屋には何かしらのコンセプトというかこだわりがあった方が面白いのかなと思えてきます。

2015年2月10日火曜日

シチズンの広州工場閉鎖について

 経済記者でもないんだしニュース自体は取り上げなくてもいいんですが、このニュースの扱いについてちょっと思うところがあるので執筆します。

シチズン系の中国工場が閉鎖 突然の通知、従業員ら抗議(朝日新聞)
西铁城在中国销售边缘化或成公司清算主因(中国広播網、中国語)

 多分このブログを訪れる人も上記のニュースは知らなかった方が多いのではないかと思います。ニュース概要を簡単に説明すると、日本の腕時計メーカー大手、シチズンの子会社、西鉄城精密(広州)有限公司(広東省広州市)は先週の2月5日午後、全従業員に対して突然、翌6日付で解雇するとの通知を出しました。もちろんこの通知は従業員らにとって寝耳に水でしたが、工場はその日の就業を終えると翌日には既に閉鎖され、事の説明を求める従業員らが入り口前に集まるなど大きな騒ぎとなりました。
 シチズン側は今回の突然の解雇、閉鎖について会社自体の清算に伴うもので、従業員らに対しては契約終了(=解雇)に同意すれば一ヶ月分の給与に当たる補償金に加え勤務年数に応じた一時金を支払う方針であると発表しています。こうした通知に対して従業員の中にはやむなく同意する方も出ているようですが、大半の方は事前通知もない度の過ぎた解雇行為であるとしてシチズンと地元当局などに抗議を続けているとの報道も出ています。

 論点を整理すると、今回シチズンはこの子会社の従業員に対して文字通り、「明日から来なくていいよ」と突然発表したということです。この事前通告なしの解雇が問題であるか否かですが、結論から言うとクロで、明らかに法律に違反した行為と言わざるを得ません。中国の労働法では会社が従業員に対して解雇を行う場合、最低でも一ヶ月前には通知しなくてはならないと明記されています。しかも不渡りを出しての突発的な倒産でもなく自主的な清算であればなおさらでしょう。
 もっともシチズン側がこうした強引な手段を取った気持ちも、経営社側からの視点であれば理解できなくもありません。しかし理解できるのは「こうしたいと思う気持ち」だけであって実際にやるとなると話は別で、ストレートに言えばひどいことをやる会社だと私も思います。

 特に中国は2月18日から旧正月(春節)の長期休暇に入り、故郷へ里帰りするためにもただでさえお金が入用なこの時期に解雇を迫るというのは、こう言ってはなんですが確信犯でしょう。また長期間勤務していた人からすればいきなり定職を失うようなもので、ろくな再就職支援も受けられないまま放りだされるなんて家族持ちの方々には心の底から同情心を覚えます。

 なお引用した中国語の記事には業界関係者のコメントとして、シチズンは確かに世界七大腕時計ブランドに入っているが近年は他の日系ブランド共にフェードアウトしつつあり、中国市場でもスイス製やドイツ製の腕時計の方へ人気が高まってきていると述べ、経営環境が悪くなっているというような見方を示しています。

 以上が事件の事実解説ですがこの件についてもう少し触れると、こう言ってはなんですがやや日系メディアの取り扱いは小さすぎやしないかという気がします。私自身も友人から昨日に教えてもらってこの事件を知りましたが、日系メディアで大きく取り扱っている所は、見落としているだけかもしれませんが今の所見当たりません。
 仮にこのような行為を、それこそシチズンほどの規模を持つ会社が実行したら少なくとも三日くらいは大きくニュースに取り上げられ、企業の倫理観を問う記事も出てくるでしょう。しかし中国の工場だったら、中国人を解雇するのであればそこまでしないのか……となっていいものでしょうか。そりゃ外国の工場なのだから国内より注目が小さくなるのは仕方ないとしても、それを考慮に入れてもこの件の日本の報道はやや小さすぎる気がしてなりません。

 最後にシチズンについて個人的な思い出を述べると、今をさかのぼること約3年前、香港でこのシチズンの時計を巡り多大な苦労をかけさせられました。

シチズンの呪い

 詳細は上記の記事を是非読んでもらいたいのですが、結局この時にしていたシチズンの時計は日本に送り修理しました。修理から戻ってきた後はしばらくつけていましたが自分の中の愛着はとうに薄れており、また別の理由でこの時計が憎くてたまらなくなったため、「ファッキンシチズン!」と吐き捨てて実家で投げ捨ててしまいました。
 そんなこんだで今はイトーヨーカドーで買った1000円の女性ものっぽい腕時計をしています。この時計1000円やったと周囲に話すと、「中国でもそんなに安くで腕時計買えないって」と反応されてしまいます。