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2020年2月10日月曜日

ノベルゲーレビュー その四(5pb.系列)

 今回はあんまり量は多くないけど5pb.系列の作品です。

1、コープスパーティー ブラッドカバー リピーティッドフィアー 評価:D
 エログロで有名なシリーズのコンシューマー版第一作目ですが、生憎私の中の評価は高くありません。音声に関してはバイノーラル録音しているだけあって確かに見事な臨場感を作っていますが、それ以前にゲームとしてしっかり作り込めておらず、エログロなシナリオやグラフィックとかよりも使い勝手の悪いUIとかへのストレスの方がずっと強かったです。
 私が遊んだのはPSP版ですが、ともかくローディングが長く、その上バットエンドも多くてなんかずっとイライラしながらクリアまで遊んだ覚えがあります。特に個人的に腹立って仕方ないのは、「この先行くな」と貼り紙に書いてあるので行かなかったらバットエンドに直行させられた点で、「この先危険」くらいに表現変えろよとか凄いムカつきました。

 あとエログロとよく言われますが、実際そんなに激しいって程ではないと思います。なんていうか見せ方が良くないというか、内臓の飛び散った死体をポンと見せられて、「如何でしょうか?」とか言われてもピンとこないような感じです。やはりこの辺は演出というか料理の仕方でしょう。

2、コープスパーティー Book of Shadows 評価:C
 上のブラッドカバーの続編にあたるこちらですが、前作はマップ探索型のエログロホラーでしたが、今回は画面コマンド選択型という一般的なアドベンチャーゲームになっています。ジャンルが切り替わり、それほど大したプログラミングが要求されなくなったこともあってか、ローディング時間が減った上にバグとかも非常に少なくなってて、UIもこちらに関してはあまり不満はありませんでした。
 内容も前作と比べるとノベルゲー要素が高まり、黙々と文章を読んでいけるようになって、余計なストレスにさらされなくなってシナリオに集中できるようになりました。シナリオの内容も章ごとに独立していてすんなり楽しめるようになり、またフラグ管理も比較的適切でわかりやすく、分岐もそれなりにあって手堅いものがありました。このシリーズはこのままこの路線で走ればよかったのに。

3、コープスパーティー BLOOD DRIVE 評価:E
 結論から言うと、途中で遊ぶのやめました。なんでも、発売当日の時点で重大なエラーバグを抱えていて発売日にパッチが配布されたという、別な意味で曰く付きのゲームです。
 そのようにゲームシステムが初めから非常に不安定であるだけに、遊んでいると頻繁にエラーが起こってしょっちゅう強制停止させられました。おまけにゲーム内容もまたマップ探索型に戻り、しかも暗くてただでさえ見えづらいのに懐中電灯の電池に制限かけたりして(パッチで無制限となる)、何考えてこんな機能入れたんだよと疑問に思う仕様が多々ありました。

 さらにはシナリオも私からすれば完全意味不明な代物で、元々は学園ホラー的なジャンルだったのに、前作の最終盤からとはいえ突然西洋黒魔術がうんたらかんたら、それまで聞いたことない怪しげな横文字魔術集団が予告なしに登場とか、これ続編で作る価値あるのと思うくらい脈絡ないシナリオでした。普通に学園ホラーの路線を歩んでりゃいいというのに。
 そんな具合で辟易したことから結局クリアもしないまま放棄しました。これに限らず5pb.作品はどれもゲームシステムやプログラム面で問題が多いだけに、5pb.の名前を見た時点でもうそのゲームは買わないようになりました。あとこの作品に関しては、マップ探索中に動く死体に「バシッ」って叩かれるのが妙にムカつき、「叩きよったでこいつ!」などと何故か関西弁をプレイ中に発してました。

4、STEINS;GATE 評価:C
 遊べないわけじゃないが名作じゃない、というのが私の評価です。

 こちらも発売当初は爆発的な人気を呼び、至高のアドベンチャーゲームと崇められシリーズ続編作が未だに量産されています。もっともその続編作が出る度にシリーズとしての評価が落ちているようにも見えますが。
 この作品が世間で評価されている点としては、タイムマシンという存在への科学的アプローチと、終盤に至るにつれて解き明かされる数多くの伏線、あとこの手のゲームらしくない独特なキャラデザインとかだと思います。このうち化学的アプローチとキャラデザインに関しては私も納得同意し、シナリオの文章も決して悪くなかったと考えますが、恐らく最大の評価点である伏線については私は全く評価できませんでした。何故かというと、中盤の時点でシナリオのラストをほとんど推測できたからです。

 正確には一つ目のエンディングを迎えた時点ですがその時点で、「ああこうやって順繰りに元に戻していき、冒頭の事件に戻ってあの人死んで、それをどうにかするためには……順当に行くならこのキャラが助けに来るんだろうな」などとかなりはっきりと読めました。で、実際そうだったし。
 自分がたまたま予想できただけかもしれませんが、「最高のカタルシス」と呼ばれるほどにはこの作品のシナリオ展開は予想しづらいものではないと思います。

 また科学的考証部分は確かによくできていますが、個人的に気になった点として、主人公の電子レンジが何故主人公一味のメールしか過去に転送しないのかについて、何故誰も突っ込まないのかが不思議でした。
 この点について知人は、「レンジの近くでメールを送信する、距離的な制限では?」と擁護意見を出しましたが、冒頭や終盤の方では大分距離の離れたところからメールを打ってるのに転送されており、この論で行くなら周囲の他の人らが送信したメールも大量に転送されて、過去が改変されるはずではないかと思います。まぁ受信者の位置を使えば説明できなくもないですが。

 あとなんとなくな意見を言うと、この作品も時代に愛されたというべきか、リリースされた時期が非常に良かったのではという風にも考えています。なんとなく舞台となる秋葉原への世間の注目というか評価が最も高かったと思えるのがこの作品の発売時で、「アキバズトリップ」といい、他にも秋葉原を舞台にした作品が当時多かった気がします。
 無駄に対抗して松戸を舞台にした暗黒ドラゴンファンタジーなシナリオとか書いてもいいっちゃいいですが、多分どうあがいてもそんなゲーム売れない気がします。むしろ書くなら90年代後半のバスケットコートとかあった時代の秋葉原の方が個人的にもまだ楽しめる気がします。

2020年2月9日日曜日

ノベルゲーレビュー その三(プレステ時代作品)

 三回目のこの連載。ぶっちゃけため記事として書いているため、掲載時期はいつかまだ決めてないけど書いているのは今2/3です。この日のブログ記事書いて、JBpress向け記事を清書して送って、ようやくこの記事を書き始めたところです。
 今回はプレステ、サターン時代のノベルゲー作品を書いてきます。

1、赤川次郎 夜想曲 評価:C
 スーパーファミコンで「魔女たちの眠り」をリリースしたスタッフらによる赤川次郎原作シリーズの第二段。テイスト的には前作と似たような作風ですが、原作が魔女たちと比べるとそこまでショッキングじゃないので、死人はもちろんたくさん出るけどのんびり楽しめる感じの作品です。
 ただドキッとする演出が比較的序盤の、主人公の知人の顔面ドアップくらいしかないのと、この時代の作品としてはスキップ機能やクイックセーブ機能がないやや時代遅れなUIでこの点は問題としてみるほかないです。「夜想曲2」も出ていますが生憎私はそちらを遊んでいません。

2、厄 友情談疑 評価:E
 超クソ。どれくらいクソなのかはこちらの記事にまとめてあります。
 視点を切り替えるザッピング機能がついてるものの、切り替えたところで話が分岐したりすることはなく、むしろ切り替えると前後脈絡なく場面が切り替わって読みづらくなるだけです。またそのシナリオも電波臭くて全く評価できないし、グラフィックも不気味ではある者の稚拙で、ノベルゲー史上でも屈指のクソゲーです。なのに何故か続編が出ており、クソゲーハンター以外には意味のないゲームでしょう。中古とはいえマジ買って損した。

3、ダブルキャスト 評価:B
 ソニーが出してた「やるドラシリーズ」の第一弾で、記憶喪失の少女と映画撮影のドタバタ系ラブサイコサスペンス作品です。シナリオ自体は比較的ありがちというか王道であるものの、全編にわたりアニメーションと音声が付いており、尚且つ演出もそこそこ優れていて遊んでて楽しかったです。何気にBGMも今調べたら、今じゃアニメBGM業界の超大物である梶浦由紀氏だったし。
 特にキャラデザは当時恐らく最も人気の高かったであろう後藤圭二氏が担当しており、声優らのキャスティングもイメージ通りで、全方面で完成度の高い手堅い名作というのが私の評価です。やるドラシリーズは他にもいくつか作品が出ていますが、生憎私が遊んだのはこのダブルキャストだけでした。「サンパギータ」くらいはやっとけばよかった気がするけど。

 全体的にはラブコメっぽい雰囲気で進むものの、選択肢次第では結構ハードな描写が描かれ、非常にかわいらしいキャラデザと相まってなかなかショッキングな場面は心動かされます。こういっちゃなんだけど、北斗の拳のモヒカンが血反吐を吐くより、美少女とかが血反吐を吐く方が単純に演出としては印象に残りやすいです。そういう意味で美少女とグロ描写というのは実はかなり相性がいいものだと私は考えています。

4、EVE burst error 評価:D
 90年代中盤において伝説的な評価を受けたアドベンチャーゲームであり、今も最新機種に移植版が発売されているこの作品ですが、上記の通り生憎私の中の評価はそれほど高くはありません。この点に関してはファンの方には申し訳ないと思いますが、批判を覚悟で批評を続けます。

 この作品の最大の特徴は政府系諜報員の女主人公と、一介の私立探偵の男主人公がそれぞれ別々に、異なる事件を追っていく中、事件の背景や登場人物が複雑に絡み合って徐々に交差していくというシナリオにあるでしょう。またその交差するシナリオを見せる手段として、二人の主人公を任意の場面でザッピングしながら進める、つまり二人分の主人公の話を同時に進めるというシステムとなっています。
 リリースされた当時、このザッピングシステムが非常に受けたことと、あと他のアドベンチャー作品にないシナリオの斬新さが評価されて名作の名をほしいままとしましたが、時代が下ってからプレイしてみた私からすると、そこまで評価されるほどの作品なのかという疑問を覚えました。

 理由はいくつかあり、一つは90年代と違って2000年代以降は複数のキャラクターをザッピングして進めるアドベンチャーゲームは他にもたくさん出てきて珍しくなくなっていた点があります。次に、シナリオの内容も当時としては斬新であったろうものの、時代が少し下った後であれば、そこまで斬新性を感じられるものではなくなっているように私には思えました。またゲームシステムも昔ながらのコマンド総当たり方式で、やはり冗長さを覚える仕様であることから、現代における評価としてはDになるというのが結論です。

5、この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO 評価:C
 こちらの作品もリリース当初は伝説的評価を受けた、「EVE burst error」と同じく故管野ひろゆきの代表作です。評価された点は非常に複雑なシナリオと、主人公が行うタイムリープをゲームシステムに組み込んだ点で、多分当時批判でもしたら袋叩きにあったくらいの高い評価を受けていました。版権関係が複雑であったことからその後なかなか日の目を浴びなかったものの、少し前に最新ハードでリメイクが出されています。

 さてこの作品もやや批判寄りのCという評価を付けましたが、理由としては「EVE burst error」同様に、「当時だから評価されたのでは」と思う節があるからです。自分がこのゲームを遊んだのは2000年以降ですが、ゲームシステムとUIの古さは仕方がないにしろ、シナリオ面に関してはそこまで崇拝されるほどのものかと正直疑問に感じました。
 具体的に述べると、この作品では近親相姦やカニバリズムといったタブー的なテーマが数多く出てきますが、90年代であればそれらタブーを組み込むことは勇気がいるし画期的だったと思うものの、現代においてこれらテーマのタブー要素はやや薄れ、他にもシナリオに組み込んだ作品は既に数多く出るようになっています。実際私も他の作品でこれらタブー要素を見聞きしていたこともあり、「YU-NO」をやった際もそこまで意外性は感じませんでした。

 また先ほどの「EVE burst error」同様に、謎解き要素が設けられていることもありますが、単純にゲームとしてのテンポが非常に悪かったです。当時だからということもできますが、「かまいたちの夜」なんかはそういうテンポの悪さは感じなかっただけに、ゲームシステムを優先するあまりシナリオのテンポを崩してしまっている面が菅野ひろゆき作品には顕著であると感じます。やったことはないけど、「エクソダスギルティ」もそんな感じだと聞くし。
 そういう意味で「EVE burst error」及び「YU-NO」はどちらも、時代に愛された作品であり普遍的な名作足り得ないというのが私の見方です。

2020年2月8日土曜日

ノベルゲーレビュー その二(スーパーファミコン時代)

 果たして需要があるかわからないこの連載レビュー記事ですが、周囲の声は無視して続けていきます。書いてるこっち側としては結構楽しいのですが。

1、夜光虫 評価:E
 チュンソフトの「かまいたちの夜」のヒットに続いて現れた最初のフォロワーでしたが、正直言って惨澹たる出来でした。音楽、演出ともに拙く、何よりもシナリオの破綻ぶりがひどかったのが記憶に残っています。シナリオは大まかに二種類にしか分かれず、しかもどちらへ行っても舞台となる貨物船が難破するのであまり変わり映えがありません。単純にシナリオ量を確保できなかったことが失敗の原因でしょう。

2、月面のアヌビス 評価:C
 イマジニアから「ざくろの味」とともに出されたサウンドノベル作品ですが、当時としては珍しく、宇宙ステーションを舞台にしたシナリオとなっています。やはりサウンドノベルのシナリオは閉鎖空間と相性がいい傾向があるだけに、絶対に救援など期待できない宇宙空間を舞台にしたSFホラーという点で着眼点が良かったと感じます。
 シナリオは決して抜群にいいとは言えないものの十分及第点といえるレベルで、それなりに先の気になる内容で遊んでて楽しめました。まぁチンパンが露骨に怪しいというのはお約束と割り切れるかに寄りますが。

3、ざくろの味 評価:D
 上の「月面のアヌビス」とほぼ同時期に出されたサウンドノベル作品ですが、アヌビスの方は宇宙ステーションを舞台に多国籍なキャラクターが登場するのに対し、こちらのざくろの方は日本の出版社と同じビルの住人らという、非常に狭い舞台となっています。
 シナリオのショッキング度はそれなりに高いのですが、逆を言えばそれしかなく、非常にツッコミどころの多いシナリオです。ご都合展開が非常に多く、突然ビルが陥没した後、「なんということだ、会社の地下に旧日本軍の研究施設があったなんて……」という事実が会社のパソコン弄ってたらわかるというような無理な展開が延々と続きます。

 また地味に選択肢の使い方も工夫が感じられず、メインシナリオでグッドエンディング行くためには終盤で複数の選択肢をほぼノーヒントで一度も間違えずに選ばなければならず、このため何度もバッドエンドを見る羽目になりました。魅力あるキャラもおらず、アヌビスと比べるなら向こうの方が数段優れていたというのが私の評価です。
 なおキャラクターの描写に関しては「かまいたちの夜」同様にシルエットで表示されます。このシルエット表示は近年あまり見なくなったのが寂しいです(´;ω;`)ウッ…

4、魔女たちの眠り 評価:C
 赤川次郎氏の小説「魔女たちのたそがれ」、「魔女たちの長い眠り」を原作とした作品で、下地となっている原作の良さもあってシナリオは十分及第点です。また一枚絵も割とショッキングなものが多く、「おまえの血がほしい」の場面で出てくる絵は今でも十分な迫力があると思います。
 ただ欠点もないわけでなく、シナリオの分岐にあまり幅がありません。またシナリオは第一部と第二部に分かれてるのですが、一度エンディングを迎えた後はそれぞれのスタート箇所からしか再開できないため、フラグを埋めるのが地味に面倒くさかったです。もう少し完成度を高めていたら文句なしにB評価を出せたと思うだけに、詰めの甘い作品だったと思います。

 なおこの作品のシナリオはかなりショッキングですが、原作の小説はもっとショッキングです。どんな具合にショッキングかといったら、割と皆殺しが続くといったところでしょうか。

5、学校であった怖い話 評価:A
 単純に文章を読みながら選択肢を選び進めるだけの純粋なノベルゲームの中でいうならば、この「学校であった怖い話」こそが史上最高傑作ではないかと密かに睨んでいます。一体何故そう言えるのかというと、この作品はとにもかくにもシナリオの量、本数ともにスバ抜けており、長年遊んだプレイヤーですら久々に取り出して遊んでみると未見のシナリオやテキストに遭遇することも珍しくないからです。
 またそのシナリオも六人の語り部から「学校の怪談」を聞くという形式をとっており、語り部の話し方やキャラクターも色濃くシナリオに反映されているため、従来の一人称視点で進んでいくだけの述べるゲームとは違った味わいがあります。それでいてシナリオ内容もどれも読ませられるものであり、且つ無意味な選択肢が少なく、本当に選んだとおりの数だけシナリオが広がっていくという点でも高い完成度を誇ります。

 このほか地味に音楽や、やや粗雑だがそれ故に恐怖感を煽るグラフィックも非常に優れているのですが、それ以上に演出の妙も非常に光る作品でした。徐々に音量を上げてくるBGMなどいろいろありますが、何と言っても一番印象深いのは隠しシナリオで、決まった手順で進めないと登場しないものの、苦労して登場させた甲斐があると思うくらい他のシナリオとは群を抜く出来栄えとあって、プレイしていていろいろ感動がありました。
 もっともその隠しシナリオの「仮面の女」は、今やっても寒気を覚えるくらい怖いものでした。あと「人形」シナリオも、迫りくる恐怖という意味ではぜひ模範としたい文章となっています。なおその「人形」シナリオを遊んでいる最中に友人が、「この語り部の話し方、後輩に似てね?」と言い出したせいで、シナリオ読んでると後輩の音声が頭の中で再生されるということとなってしまいましたが。

6、晦 評価:C
 上記の「学校であった怖い話」の製作チームが作ったサウンドノベルゲームですが、その出来栄えは前作からガクンと落ち込んでいます。理由はいくつかありますがまずはシナリオで、前作同様に六人の語り部から話を聞くという形式ながら前作と比べると選択肢の幅が少なく、シナリオ本数もガクンと少なくなっています。また前作が学校内の話に限定されていたのに対し今回は学校外のあらゆる場面がシナリオに登場しますが、なんていうかシナリオの舞台は広がっているのに幅は狭くなっているような感じがするというか、全体として統一感を欠いてしまったのが失敗だった気がします。
 またゲーム性の面でも、選択肢を一つ間違えたら即バッドエンド行きというパターンが増え、単純に面白味が低下しました。他の作品にも言えますが、バッドエンドはあまり多く作っても、プレイヤーに無駄にストレスをもたらすだけにしかならず、極論を言えばむしろない方がいいとすら思います。

 いま改めてこの「晦」でどんなシナリオがあったか思い出そうとしましたが、ほとんど記憶に残っておらず、唯一思い出せたのが廃墟となった洋館を探索するシナリオだけです。あれはそこそこ怖かったけど、結末がまたひどい出来だっただけに、やはり全体として完成度が低い作品と言わざるを得ません。

2020年2月7日金曜日

ノベルゲーレビュー その一(旧チュンソフト系作品)

 やることがあまりにもないからノベルゲーのレビュー記事をこの際まとめることにします。初回は旧チュンソフトが出したサウンドノベル作品をおさらいします。
 なお評価ランクはA~Fで、基準としてはざっと以下のような感じです。

A:マジ名作!
B:面白い、ぜひやるべき!
C:遊んでみて楽しめるけど、率先してやるほどではない
D:好みに寄るかもしれないけど、あまり楽しめなかった
E:やめとけ
F:判定不能、規格外


1、弟切草 評価:B
 サウンドノベルの初代作品であり元祖。初代ということもあるからメッセージスキップや読み返し、バックログ、クイックセーブなど現代では当たり前の機能こそ備えていないものの、スーパーファミコン初期という時代を考慮すればどれも仕方の無い物です。
 ただ、上記のハンデを考慮したとしてもこの作品は十分におすすめできるものです。特に近年のリメイク作なら上記のような機能も追加されているので、大分遊びやすいと思います。

 この作品が何故優れているのかというと、サウンドノベルというノベルゲージャンルを開拓したことはもとより、地味にシナリオと演出が優れているからです。ゲームの表現力が限られる中、主要人物を二人に限定し、その他の登場人物(ミイラとか怪魚とかだが)は背景で表すなど、限られたリソースで違和感なく演出しています。またBGMやSEなど音楽の演出もうまく、一つのアドベンチャー作品としても十分評価できるものです。

2、かまいたちの夜 評価:A
 弟切草がサウンドノベルの元祖なら、こっちのかまいたちの夜は第二作目にして実質このジャンルを完成させた作品といえるでしょう。
 サウンドノベルと非常に相性のいいミステリーを本筋のシナリオに据え、そのシナリオから派生する形で、同じ舞台設定で複数のシナリオを同時展開するというやり方は現在におけるノベルゲーにおいても主流の形態です。こうしたノベルゲーとしての骨格を築いた上にそれを普及させていることから、日本アドベンチャーゲーム史に残ると言っても過言ではないでしょう。

 上記の点もさることながら、かまいたちの夜は単純にシナリオと演出も他の作品を大きく凌駕しています。特に人物をシルエットで表現するというやり方は、最近はあまり踏襲されていないものの、表現方法としては非常に画期的でした。またシナリオもミステリーのトリック自体はそれほど意外性はないものの、それをゲームに落とし込み、選択肢を選ぶことで推理していくという組み立て方は見事というより他ありません。
 あと細かい点だけど、ある特殊な場面にてリセットボタンを押すことで見られる特殊演出は、あの時代としてはあり得ないくらいにすごいものでした。っていうか普通にミステリー編のトリックよりよくできてた気がする。

3、かまいたちの夜2 評価:B
 そんなかまいたちの夜の続編としてPS2で作られたかまいたちの夜2ですが、本筋のミステリー編のシナリオははっきりってひどいというかむちゃくちゃなトリックで、あんなシナリオだしちゃミステリー作家としておしまいだよというくらい惨澹たるものでした。ただそれでもB評価としたのは、他のシナリオがそれなりに面白かったのと、ハードがPS2に切り替わって表現方法が非常に多彩となり、アドベンチャーゲームとしてはよくできていると感じたからです。
 賛否両論ある作品ではありましたが、私個人としては陰陽師編を始めそれなりに楽しめました。

4、かまいたちの夜3 評価:E
 そんなかまいたちの夜2を擁護する私ですらも、このかまいたちの夜3は擁護し切れないというか救いようがないと感じました。はっきり言って原作レイプもいいところで、どうしてこんなダメな作品を彼らはリリースしたのだろうかと内心不思議です。
 ミステリー編のシナリオは前作にましてひどいもので、あんなシナリオだしちゃミステリーじゃなくても作家としておしまいと断言できるくらい唾棄すべきものでした。しかもトリックとか裏背景とかすぐわかる癖に、複数キャラをザッピングして進めなければいけないという操作面の特徴からなかなか思い通りに話が進まず、無駄にストレスを感じさせられました。っていうかあのザッピングシステムは蛇足以外の何物でもないでしょう。初めからシナリオキャラクターは一人に絞っていた方が、もっといいものができたかもしれません。

 演出面も同じPS2であることから2より進化は感じられず、個人的にはむしろ退化した感すらありました。ガチでこの作品はクソもいいところで、存在を抹消した方がいいとすら思います。

5、街 ~運命の交差点~ 評価:A
 かまいたちの夜から離れたこちらの「街」ですが、一言で言って名作です。実写取り込みで8人の人物の5日間(2人だけ3日間)を追っていくというゲームですが、シナリオが8人それぞれで完全に独立していながらも、ところどころで主人公同士が接触し、その接触場面で適切にザッピングしていくことでシナリオロックを外していくという内容です。
 まず単純に各シナリオがどれも粒ぞろいで、尚且つどのキャラもそれぞれ魅力があり、非常に感情移入が出来ました。また実車取り込み映像も比較的よく、俳優は有名どころは限られているものの、それぞれ個性が光っていた上にキャスティングされたキャラとも良く合致していました。

 文字通り、先が気になってやめ時が分からなくなるほど中毒性のあるシナリオばかりで、一本の作品としての完成度はすさまじく高いです。それだけに、続編も非常に期待していたのですが。

6、428 ~封鎖された渋谷で~ 評価:C
 「街」とシナリオは関連しないもののほぼ同じシステムで作られたこちらの「428」ですが、決して遊べない出来ではないものの、「街」の続編とするには物足りませんでした。

 この作品で何が不満だったかというとシナリオとキャスティングで、「街」では8人の主人公が完全に独立したシナリオを進めていくのに対し、「428」では当初バラバラだった主人公らが最終的に一本の結末にみんなで向かっていく内容で、個人的な意見を述べると、シナリオが段々と尻すぼみ化していくような感じがしました。その結末も、大団円とはなりますがそこまで感動的とは思えないもので、「あんだけ大騒ぎしてこんな終わり方かよ」と内心思いました。
 またキャスティングされた俳優も「街」と比べるとあまりそのキャラクターと合致していたようには思えず、尚且つ、これはシナリオのせいだと思いますが、主人公らについてほとんどだれも共感なり感情移入をすることが私にはできませんでした。感じ方で言うと、「街」では主人公同様にどうしようとか焦りとか色々感じたのに、「428」では全部が他人事みたいで、「勝手にやれよ」って感じでシナリオ読んでました。いうなれば、単純にキャラクターたちの魅力がなかったといったところでしょう。

 実際にというかキャラクター人気投票したら、並み居るキャラクターを抑えて着ぐるみがトップに立ったらしいです。もうこの時点でいろんな試みが失敗していることが見て取れます。
 あと細かい点で言えば、ハードがPS3などかなりハイエンドとなっていることで画面効果などの演出は非常に多彩となっているものの、こと演出力で見ればスーパーファミコンのかまいたちの夜にすら劣っているのではないかと内心思います。そう思う理由としては、まず「428」で使われているBGMを全く思い出せない(「街」とかだとまだ思い出せる)、次に意表を突く演出がほぼ全く感じられなかったからです。年月が経っていることで、クリエイターたちの実力がかえって劣化していたのかもしれません。

2020年2月5日水曜日

コロナ対策が進む中国の都市の閑散ぶり

 コメント欄で質問が来たので、コロナウイルス対策が行われている現在の中国の都市の現状について、日本の報道などが正しいのかなどを含めてまとめます。

中国在住日本人が語った! 街はひっそり 武漢から距離のある都市でも厳重警戒の様子(ENCOUNT)

 初めに、この記事を書こうとしたらたまたま見かけた同じ内容の記事を紹介します。こちらは上海市から約80キロくらい先にある江蘇省蘇州市(何度か自転車で日帰りしたことがある)に住んでいる日本人男性の話ですが、現在の街の状況について私の見解と基本一致しています。この記事に書かれている通り、現在上海市も不要な外出は控えるよう政府から通達が出ており、商店も大半が閉まっていて街中はひっそりしており、バスとかに乗っても乗客はほとんどいません。
 なお地下鉄に関しては、一応上海市はまだ運行はしているものの、私も春節入ってからは一切乗車していないので乗り込み具合はわかりません。ずっと自転車、後たまにバスでしか移動しておらず、考えてみるとこんだけ長い期間電車乗らないというのもかなり久しぶりな気がします。

 また公共施設でも対策はいろいろ進んでおり、先日も少し書きましたがマクドナルドに行ったところ私の様にマスクをせずに入ってきた客にはスティック状の非接触型体温計で体温が測られ、熱がないかを確認されます。
 何気に今日ビビったのですが、私の住んでるアパート団地でも入り口にて、マスクをせずに入ってくる人にここに住んでいるのかとか、何の用できたのかをチェックしていました。しかもちょこっと話をしている間にいつの間にか体温も何かしらで測られており、「マスクしてなかった人」名簿に名前と電話番号を書いてたら、すぐ横に測定された体温(恐らく額の)まで書かれていました(35.1度だった)。

 ここまで書けばわかるでしょうが、実は春節以降、ほぼ全くマスクせずに出歩いてます。なんでかというとどこにもマスク売ってないからで、さすがに準備しないとなぁとか思ってたらいつの間にか売切れてました。上記の通りショッピングモールを含む公共施設でマスクしてない人への対応が厳しくなってきて困ったなぁとぼやいたら、見かねたのか通っているカレー屋のインド人店員が一枚分けてくれました。マジ助かるし(・ω・)
 なおマスクの値段が高騰しているとの報道が日系メディアからも出ていますが、この件に関しては正直真実かどうかわかりません。というのも前述のように、マスクを売っているところを春節入ってから一度も見ていないからです。真面目に、春節直前に日系スーパーで売ってたのを一箱買っとけばよかった。

 話は戻りますが、団地入口では体温測定のほか、帰郷者のチェックも行われています。これは他の団地でも一様に行われていることから政府の指示だと思いますが、春節中に帰省したり旅行して、上海にまた戻ってきた人はきちんと申告して、いついつどこにいたのかを団地入口でいちいち報告しなければならないようです。内心、ここまでやるのかという気も少ししますが。

 また春節休暇のスケジュールは当初1/30まででしたが、今回の事態発生を受けて中国全国で2/2まで延長されました。その後、上海市など一部都市では2/9まで企業は休業するよう通達が出ており、友人が勤務する日系企業でもこの指示に従って今もまだ休暇中です。
 一方、私の会社は上海市以外にも事業所があることもあって、表面上は政府指示に従う形で上海市などは2/9までは本人の自由意志で働くかどうか決めるということになってますが、実際には「2/3から出社せずリモートで自宅勤務ね」と裏メールで指示されました。まぁほかの会社が動いてないんだからやることはほとんどないのですが。

 このほか街のひっそり具合に関してもう少し述べると、2/2までは本当に人通りがほとんどなく、また雨も多かったことからゴーストタウンみたいな状態でした。もっとも春節の間、上海市は外部からの流入人口が1000万人くらい帰省していなくなるということから、毎年同じように閑散としていますが。
 ただ、一応全国的には春節休暇期間が終わった2/3以降はやや人通りが増え、自宅の外から聞こえるやけに声のでかい中国語のおしゃべり声も聞こえることが増えてきましたが、通常の都市の春節明けと比べるとやはり小さいです。今日も外を少し歩いてきましたが、昼間にもかかわらず車の交通量も少なく、通りも人がなく、先週と比べれば人が増えてはいるもののそれでも異常なくらいの閑散ぶりです。

 店を再開する商店は確実に増えてきてはいますが、見る限りどこも客数は少なく、私の通っているカレー屋もやはり厳しい状況にあると話していました。そうした環境もあるだけに、自分一人が何したところであまり変わらないとは思いますが、このところはなるべく飲食店でお金使うように過ごしています。もっとも気が付いたら結構消費額行ってて、ちょっと焦り気味ですが(;´・ω・)
 やはり商店関係者としては来週、2/9以降からはもっと外出が緩和され、少しは以前のようにお戻ってほしいという願望を持っているようですが、現状考えると2月いっぱいは今のような状態が続くのではないかと私は考えています。既に湖北省に続いて感染者数の多い浙江省の一部都市でも外出禁止令が出ており、地下鉄も運行を完全に取りやめたそうです。感染者数の広がりはまだ続けており、小売りや飲食関係者の現状を考えると素直に胸が痛いです。

 最後にどうでもいいことですが、冒頭のリンク記事を読んで最初に思ったこととしては、「どうして俺にはこういう話を聞きに来ないんだろう?」ということでした。記事書きやすくなるようにコメントしてあげられるし、連休中にクリアしたゲームのレビューとかでもいくらでもできるというのに、なんかお呼びがかからないことに少し不満を感じます(´-ω-`)

2020年2月4日火曜日

観光強化指定都市構想

 最近ずっと経済関連記事を書いていない気がするので観光ネタと合わせて一本書きます。それにしてもさっきもため記事書いたけど、一日何回自分はキーボードを叩いているのかたまに不思議になります。

 さて今回のコロナウイルスの影響で中国人観光客が来なくなり、日本の運輸や小売、観光方面で既に多大な影響が出ています。なんなら来月あたり、依然調べた小売業界団体の統計をまとめてコロナショックの影響額をまとめる記事を出してもいいかなと、密かに記事ネタを狙ってたりしますが。
 そうした観光方面の影響ぶりを見てか、やはり中国人頼みの経済は良くない、観光立国など向かうべきじゃないなどという否定する声も見られるようになりました。一概に否定するつもりはなく、観光を強化すればするほどこうした疫病や地震といった自然災害の経済への影響は強まることは事実で、私自身も観光一本足打法は危険だと考えています。

 ただそうは言うものの、現在の日本の産業で明確に成長余地が残されているのはもはや観光くらいしかないとも考えており、他の産業も育成すべきだとは思うものの、やはり観光産業育成を軸にするしかないという考え方には変わりはありません。
 その上で現況を見ると、少なくとも中国やタイといったアジア圏の若者をはじめとする顧客層、リピーターの取り込みに関して日本は比較的成功しているのではないかと思います。では次に取るべき手段は何かですが、単純によりお金を取る手段を講じるべきで、デービッド・アトキンソン氏が言っているように高級リゾートホテルをはじめとする長期滞在型ツーリズムを強化すべきだと思います。

 それ以外に何かほかにいい案ないかなと5分前くらいに少し考えたのですが、出てきた案としては「京都を増やす」という案でした。なんかこう言うと、京都人がガチでせせら笑う「小京都」が浮かんできますが、私が考えているのは「テーマパークとしての京都」です。

 確かこれもアトキンソン氏の本で読んだような気がしますが、京都は町並みから住人に至るまで、古い京都の街並みや生活をみんなで守り維持していこうという意識が強く、京都市内全体でディズニーランドみたいな一つのテーマパークと化しているという指摘がありました。この指摘には私も強く納得でき、実際に京都市で和服の着用を推奨したり、町屋の維持保存なども市民ぐるみで非常に熱心です。熱心過ぎて、マクドナルドが一軒増える度に、「こんなの京都に相応しくない」と文句が出てくるのはご愛敬です。

 こうした京都の取り組みは観光面でも非常に強い武器で、京都に行くだけで観光客は旅行を楽しむことができます。こうした取り組みはもっと広げるべきというか、都市単位で日本の情緒や風景を楽しめるような観光都市をもっと全国各地に作るべきだと考えます。
 浮かんできた第一候補としては日光で、やはりここの持っている観光ポテンシャルはすさまじく高い気がします。東照宮に合わせて江戸時代の江戸をモチーフとしたような街づくりを進めれば、東京都の距離の近さも相まって相当なパワーを発揮できる気がします。

 このほかだと金沢市、高松市、飛騨市、長崎市などが観光都市化が期待できる私の中で有力な候補ですが、最強のダークホースだと忍者一色に染められる伊賀市、甲賀市もあります。こうした都市を一つのテーマ、モチーフに合わせ地元の過去の文化や歴史を織り交ぜ、古い形態を維持しつつ開発していくことで、将来的には強力な観光資源が出来てくるのではないかと思います。
 こうした都市についてははっきりと環境強化指定都市みたいに指定し、お金を出して開発を支援するのも一つの手だと考えます。もっとも私は日本であまり税金払ってない立場ですが。

 やはりというか観光産業の面では京都が群を抜いているところがありますが、逆を言えば京都の強さをもっと他の都市も学ぶことでまだまだ掘り起こしができる面があるはずです。そういった点を考えて今後の観光計画などを考えて行ってもらいたいものです。

2020年2月3日月曜日

全部コロナのせいだ

2年連続マイナス、中国自動車市場に反転の兆しなし(JBpress)

 っていうわけで今日出した2019年中国自動車統計記事ですが、ランキングを見る限り全くアクセスを得ていません。理由ははっきりしており、今中国ニュースというとコロナウイルスの全盛期で、それ以外のニュースは全くお呼びじゃないようです。割とこの自動車統計記事は安定したアクセスが見込める内容だったのですが、コロナの前ではこうも脆いものなのかと結構がっくり来ています_( _´ω`)_ペショ

 愚痴っててもしょうがないけど、この次の記事も高級車と新エネ車の話題だから、ちょっとアクセス的につらい状況が次回も続きそうです。ちなみにコロナコロナと散々話題になる中でこの記事書いてたので昔懐かしきトヨタのコロナを連想していましたが、「コロナ」って単語は冠状を意味するということを今回のコロナウイルスで知り、もしかして「クラウン」つながりでトヨタはコロナって名前を付けたのかなとようやく気が付きました。同じ系統だと、「カムリ」も「冠(ムリ)」からきてるそうだし。

 そんな風に思ってたら、ヤフコメでもまさにこのトヨタのコロナと被せたコメントする人がいて、何となく心が通じ合えたような気がしました。