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2020年2月7日金曜日

ノベルゲーレビュー その一(旧チュンソフト系作品)

 やることがあまりにもないからノベルゲーのレビュー記事をこの際まとめることにします。初回は旧チュンソフトが出したサウンドノベル作品をおさらいします。
 なお評価ランクはA~Fで、基準としてはざっと以下のような感じです。

A:マジ名作!
B:面白い、ぜひやるべき!
C:遊んでみて楽しめるけど、率先してやるほどではない
D:好みに寄るかもしれないけど、あまり楽しめなかった
E:やめとけ
F:判定不能、規格外


1、弟切草 評価:B
 サウンドノベルの初代作品であり元祖。初代ということもあるからメッセージスキップや読み返し、バックログ、クイックセーブなど現代では当たり前の機能こそ備えていないものの、スーパーファミコン初期という時代を考慮すればどれも仕方の無い物です。
 ただ、上記のハンデを考慮したとしてもこの作品は十分におすすめできるものです。特に近年のリメイク作なら上記のような機能も追加されているので、大分遊びやすいと思います。

 この作品が何故優れているのかというと、サウンドノベルというノベルゲージャンルを開拓したことはもとより、地味にシナリオと演出が優れているからです。ゲームの表現力が限られる中、主要人物を二人に限定し、その他の登場人物(ミイラとか怪魚とかだが)は背景で表すなど、限られたリソースで違和感なく演出しています。またBGMやSEなど音楽の演出もうまく、一つのアドベンチャー作品としても十分評価できるものです。

2、かまいたちの夜 評価:A
 弟切草がサウンドノベルの元祖なら、こっちのかまいたちの夜は第二作目にして実質このジャンルを完成させた作品といえるでしょう。
 サウンドノベルと非常に相性のいいミステリーを本筋のシナリオに据え、そのシナリオから派生する形で、同じ舞台設定で複数のシナリオを同時展開するというやり方は現在におけるノベルゲーにおいても主流の形態です。こうしたノベルゲーとしての骨格を築いた上にそれを普及させていることから、日本アドベンチャーゲーム史に残ると言っても過言ではないでしょう。

 上記の点もさることながら、かまいたちの夜は単純にシナリオと演出も他の作品を大きく凌駕しています。特に人物をシルエットで表現するというやり方は、最近はあまり踏襲されていないものの、表現方法としては非常に画期的でした。またシナリオもミステリーのトリック自体はそれほど意外性はないものの、それをゲームに落とし込み、選択肢を選ぶことで推理していくという組み立て方は見事というより他ありません。
 あと細かい点だけど、ある特殊な場面にてリセットボタンを押すことで見られる特殊演出は、あの時代としてはあり得ないくらいにすごいものでした。っていうか普通にミステリー編のトリックよりよくできてた気がする。

3、かまいたちの夜2 評価:B
 そんなかまいたちの夜の続編としてPS2で作られたかまいたちの夜2ですが、本筋のミステリー編のシナリオははっきりってひどいというかむちゃくちゃなトリックで、あんなシナリオだしちゃミステリー作家としておしまいだよというくらい惨澹たるものでした。ただそれでもB評価としたのは、他のシナリオがそれなりに面白かったのと、ハードがPS2に切り替わって表現方法が非常に多彩となり、アドベンチャーゲームとしてはよくできていると感じたからです。
 賛否両論ある作品ではありましたが、私個人としては陰陽師編を始めそれなりに楽しめました。

4、かまいたちの夜3 評価:E
 そんなかまいたちの夜2を擁護する私ですらも、このかまいたちの夜3は擁護し切れないというか救いようがないと感じました。はっきり言って原作レイプもいいところで、どうしてこんなダメな作品を彼らはリリースしたのだろうかと内心不思議です。
 ミステリー編のシナリオは前作にましてひどいもので、あんなシナリオだしちゃミステリーじゃなくても作家としておしまいと断言できるくらい唾棄すべきものでした。しかもトリックとか裏背景とかすぐわかる癖に、複数キャラをザッピングして進めなければいけないという操作面の特徴からなかなか思い通りに話が進まず、無駄にストレスを感じさせられました。っていうかあのザッピングシステムは蛇足以外の何物でもないでしょう。初めからシナリオキャラクターは一人に絞っていた方が、もっといいものができたかもしれません。

 演出面も同じPS2であることから2より進化は感じられず、個人的にはむしろ退化した感すらありました。ガチでこの作品はクソもいいところで、存在を抹消した方がいいとすら思います。

5、街 ~運命の交差点~ 評価:A
 かまいたちの夜から離れたこちらの「街」ですが、一言で言って名作です。実写取り込みで8人の人物の5日間(2人だけ3日間)を追っていくというゲームですが、シナリオが8人それぞれで完全に独立していながらも、ところどころで主人公同士が接触し、その接触場面で適切にザッピングしていくことでシナリオロックを外していくという内容です。
 まず単純に各シナリオがどれも粒ぞろいで、尚且つどのキャラもそれぞれ魅力があり、非常に感情移入が出来ました。また実車取り込み映像も比較的よく、俳優は有名どころは限られているものの、それぞれ個性が光っていた上にキャスティングされたキャラとも良く合致していました。

 文字通り、先が気になってやめ時が分からなくなるほど中毒性のあるシナリオばかりで、一本の作品としての完成度はすさまじく高いです。それだけに、続編も非常に期待していたのですが。

6、428 ~封鎖された渋谷で~ 評価:C
 「街」とシナリオは関連しないもののほぼ同じシステムで作られたこちらの「428」ですが、決して遊べない出来ではないものの、「街」の続編とするには物足りませんでした。

 この作品で何が不満だったかというとシナリオとキャスティングで、「街」では8人の主人公が完全に独立したシナリオを進めていくのに対し、「428」では当初バラバラだった主人公らが最終的に一本の結末にみんなで向かっていく内容で、個人的な意見を述べると、シナリオが段々と尻すぼみ化していくような感じがしました。その結末も、大団円とはなりますがそこまで感動的とは思えないもので、「あんだけ大騒ぎしてこんな終わり方かよ」と内心思いました。
 またキャスティングされた俳優も「街」と比べるとあまりそのキャラクターと合致していたようには思えず、尚且つ、これはシナリオのせいだと思いますが、主人公らについてほとんどだれも共感なり感情移入をすることが私にはできませんでした。感じ方で言うと、「街」では主人公同様にどうしようとか焦りとか色々感じたのに、「428」では全部が他人事みたいで、「勝手にやれよ」って感じでシナリオ読んでました。いうなれば、単純にキャラクターたちの魅力がなかったといったところでしょう。

 実際にというかキャラクター人気投票したら、並み居るキャラクターを抑えて着ぐるみがトップに立ったらしいです。もうこの時点でいろんな試みが失敗していることが見て取れます。
 あと細かい点で言えば、ハードがPS3などかなりハイエンドとなっていることで画面効果などの演出は非常に多彩となっているものの、こと演出力で見ればスーパーファミコンのかまいたちの夜にすら劣っているのではないかと内心思います。そう思う理由としては、まず「428」で使われているBGMを全く思い出せない(「街」とかだとまだ思い出せる)、次に意表を突く演出がほぼ全く感じられなかったからです。年月が経っていることで、クリエイターたちの実力がかえって劣化していたのかもしれません。

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