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2020年2月16日日曜日

現在の上海の街中風景


 最近中国記事だとコロナしか当たらない上、他の中国専門ライターもこればっか書くから、JBpressに出す記事はしばらく歴史記事にしようかと検討しています。さりとてこのブログでも中国は今どうなっているのか気になる人も多いので、たまにはためになる記事でも書こうかなというわけで上海の今の風景です。
 上の写真は上海地下鉄の世紀大道駅の改札口です。昨日、最低気温が零下まで落ちた中、知人と食事するために訪れました。撮影時刻は昨日土曜日のちょうど正午頃なのですが、見ての通り人っ子一人もいません。世紀大道駅は重要な乗換駅であるため普段は人民公園駅に次いで最も混雑する駅の一つですが、最近はこんな感じでほとんど乗客がいないとのことです。


 こちらは駅に併設されたショッピングモールです。一応、施設自体は開いてはいるもののテナントの多くは休業していることもあって、視界の中に動く人影はほぼ皆無でした。一応歩いている人こそ存在するものの、土日のショッピングモールでこんな風景拝めるのは日本の廃墟モールだけかと思っていたら、案外そうでもなかったわけです。

 個人的な所感を述べると、先週まではまだ春節休暇の延長みたいな感じで、市内に人気こそないものの市民の実感としてはそれほど危機感やストレスはなかったように感じます。しかし今週水曜に日本から帰国したところ、平日とはいえなんとなく先週よりも街中の人通りが減っているように感じた上、街中の市民もやや表情がこわばってきているように感じました。
 またそれまではまだ比較的緩かった団地の内外への移動が、今週から軽度とはいえ制限されるようになりました。具体的には居住者は公民館で臨時居住証を発行してもらい、団地を出入りする際にはそれを見せなければならなくなりました。これは他の団地でも同じだったようで、現在日本に帰国している同僚はペットシッターを自室に入れるため、電話で身分証明を行うことでシッターに臨時居住証を発行してもらったとのことです。

 この手の作業と門番役は団地居住の自治会組合員がやっていますが、実態としては共産党員ではないかと思います。改めてこの手の共産党員は何か細かいところで指示出して動かすのに便利でいい存在だなと思うとともに、戦前の隣組とかもこんな感じで機能していたのだろうかとか思いました。

 市内の物価に関しては今のところマスクが依然不足しているだけで、極端な物資不足はまだ起こっていません。一部日系メディアの報道では白菜など野菜が高騰しているとの報道がありましたが、少なくとも自分が通っているスーパーではそのような野菜の高騰は見当たらず、品も一時は不足していましたが最近は補充されたのか置かれてあります。
 ただこれは上海市内に限る話であり、先ほどの日系メディアの報道は他の地方では当てはまるのかもしれません。また野菜以外の商品、特に冷凍食品などは明らかに以前より商品数が減ってきており、今後は不足するような事態がより目立ってくるかもしれません。

 今後についての所見を述べると、前述の通り先週まではまだ春節の延長という印象があり、市民はそれほどストレスを感じていなかったように見えます。しかし今週までこうした外出を控えさせられる事態が続いてきたことについて明らかにストレスを感じている節があり、今のような状態が今後もまだまだ続くとなったら、やはりその影響は大きくなるのではないかという気がします。
 私の見方では二月いっぱいまでは今のような状態が続き、小康となった都市は三月くらいからこうした制限が緩和されるのではないかと見ています。ただ言い換えるとこれは、今の戒厳令のような状態は二月いっぱいまでがほぼほぼ限界であり、三月まで続いた場合は市民の不満や鬱屈が相当溜まるとともに、小売・飲食店をはじめとする企業への影響面でも限界を迎えるのではないかと思います。私個人としてはいちいちマスク付けて出なきゃならないのが苦痛で(自転車乗っててメガネが曇る)、あと出入りの度に居住証の確認するのが億劫なため、感染拡大を防ぐという目的はよくわかるもののこうした状況は早く過ぎてほしいというのが本音です。

 その上で、戦時下というのはこれに輪をかけて物資が不足し、外出が制限されるという事態であると想像されることから、やっぱ戦争はダメだなとか無駄にそういうこと思ってます。戦争するゲームばかりやってて言うのもなんですが。

各務原の川崎航空博物館で撮影した研三の模型

2020年2月15日土曜日

ノベルゲーレビュー その六(イエティ系列)

 少し間が空いてのまたこのレビューの再開です。暇なときは好きな記事を書くに限ります。
 今回は最後のを除き、比較的時代が近いパブリッシャーがイエティという会社で、同じノベルゲー専用ゲームエンジンを使っているソフトを紹介します。

1、ルートダブル 評価:D
 レビューサイトで傑作という評価だから買ってみたけど、ただテキストが長いだけであまり評価できるソフトではないというのが結論です。一応、キャラクターの性格にエニアグラム使ったり、各キャラクターに対する親近感を入れることで話を分岐させるなどいろいろな試みがなされていますが、後者はただ面倒なだけで普通に選択肢選ぶのとあんま変わんなくて、それほど画期的なシステムとは思えませんでした。
 次にストーリーですが、自分に限れば中盤の時点で結末がほぼ完全に読めました。具体的には、「きっとこのキャラはあのキャラの生き別れの○○で元凶なんだろう」というレベルまではっきりわかったくらいです。というのもこのゲーム、序盤にものすごい量の伏線を張っているせいで、一つでも伏線の推測が成り立つと、芋づる式に他の伏線の解釈も成り立ち、その後の展開が簡単に読めてしまうようになっているからです。

 また原発事故という深刻なシチュエーションながら、キャラ原画は如何にもな美少女ゲームテイストな造形をしていて、正直萎えました。この点、一般的な美少女ゲームから大きく逸脱したデザインを敢えて採用した「シュタインズ・ゲート」とは対照的で、もっとリアル寄りのキャラデザインにしておけば見方もまた違ったと思います。
 あとこれは個人的な感想ですが、Bルートの高校生の主人公についてははっきり言って、物凄く痛い奴に見えて仕方ありませんでした。Aルートの主人公の方が人気だったことに製作者は意外だったと言っているようですが、私から見ればそりゃ当然で、Bルートの主人公がとにもかくにも痛々し過ぎてて、はっきり言って気持ち悪いことこの上ないキャラです。なんていうか激しい中二病患者を黙って延々みさせられるような感覚ともいうべきか。

2、デイグラシアの羅針盤 評価:B
 この前レビュー記事書いたばかりですが単純に傑作だと思います。ノベルゲーと相性のいい深海という閉鎖空間の中で、科学的考証もよくなされたストーリーに、実質的に分岐は二か所しかないながら、たった二か所の分岐だけで物語の解釈を無限に広げられるほど解釈余地が存分に用意されています。
 元は同人ゲームということからキャラクターの立ち絵や一枚絵、あとBGMなどが貧弱と指摘されていますが、私としてはやはりノベルゲーはシナリオがなんぼであり、他の要素も良ければ大したものですが、シナリオさえよければ気にするほどでもないと考えています。逆を言えばこの作品は、単純にシナリオの出来だけで高評価を勝ち得るだけの素質を備えた作品だとみています。

3、シークレットゲーム 評価:B
 同じく元は同人ゲーム発のノベルゲーで、参加者全員に殺し合ってもらうといういわゆるデスゲーム物です。分岐はなく用意された複数のシナリオをただひたすらに読むだけの作品ですが、デスゲーム参加者の背景、そしてゲーム参加時のクリア条件などの設定が秀逸であり、また全編にわたってやるかやられるかという緊迫感に満ちたシナリオから、遊んでいる最中は非常に楽しかったです。
 前に出したレビュー記事にも書いていますが、シナリオクリア時に生き残ったキャラクターを見て非常にホッとするというか、読んでるだけなのに生き残ったという実感がさせられる文章で、単純に読ませる文章なのは優れた点です。前評判に違わず、こちらも傑作ノベルゲーだと言えるでしょう。

4、リベリオンズ 評価:D
 正直いって評価はEでもいい気がします。 このゲームは一つ上の「シークレットゲーム」の続編ですが、前作の良かったところをほぼすべてスポイルし切っている稀有な作品です。敢えて例えるなら、何時間もかけて出汁を取ったスープを味見して、納得顔しながら流しに捨てるような。
 シナリオは全編を通して陳腐且つ低次元としか言いようがありません。前作はデスゲームとなる舞台の設定とキャラ背景が非常によく練られており、同じ舞台設定ながら複数のシナリオどれもが読み応えのある作品でしたが、こっちの「リベリオンズ」の方は逆にこの設定面がガバガバもいいところで、話もご都合展開が非常に多かったです。また前作との橋渡しをするある共通キャラクターが存在するせいで解釈余地が極端に狭められるという、やっちゃいけない演出の手本みたいなことをやらかしています

 具体的な内容面に言及すると、前作はデスゲーム参加者だけでなく運営者もゲームのルールに縛られており、運営が特殊な介入をするに当たってはいろいろな制限がありました。しかしこちらではそうした運営側の介入制限はほぼなく、言っては何ですがやりたい放題もいいところで、シナリオライターにとって都合のいい展開がポンポン作り出されているように見えて仕方ありませんでした。
 唯一評価できるのは、粕谷瞳役の声優のひと美氏の達人芸を拝めることくらいです。それ以外に関しては、ただ前作の栄光を貶めることを目的に作っているようにしか見えませんでした。

5、ЫΞδ 評価:F
 先日、名前を出すのも憚られるとあるゲームを遊びましたが、このゲームは普通の人はやってはならないとはっきり思いました。どういうノベルゲームかというと端的に言って「拷問ゲー」で、全編にわたっていろんな登場人物が様々な責め苦を味わされ、目をそむけたくなるような描写と悲鳴が延々と続くゲームでした。あまりの内容の激しさに、銃で撃たれてすぐ死ねるということは本当に幸せなことだと、今現在も本気で信じるくらい価値観をひっくり返されました。
 何が凄いかって、このゲームのシナリオライターはよくあんだけ拷問描写を何本も考えられるなってことです。一応、拷問描写を除いた全体のシナリオ骨子も別のテーマがきちんと踏襲されていて優れているのですが、それ以上に拷問の種類や方法が激しすぎ、あんまり本筋のシナリオは入ってきませんでした。あと声優も、あんなむちゃくちゃなセリフをよく収録したものだと変な意味で感心させられます。

2020年2月14日金曜日

コロナウイルスで恩恵を受けている企業

 今日からキーが既にあちこちぶっ壊れていた中国仕様のキーボードから親父がまとめ買いしてた日本仕様のキーボードに交換しました。キー表面に粗目処理が残っているのと、使い古したキーボードに比べるとタップ音がするのが新鮮ですが、日本仕様のキーボードを叩くのは久しぶりなのでその辺はいろいろありがたいです。
 あまり言われることは少ないですが、国ごとにキー配置は微妙に異なってて、かえってタイピングの上手い人ほどこのギャップに苦しむことになります。中国のキー配置は「=」がシフトキーなしのワンタッチで入力できるのはすごく便利でいいのですが。

 話は本題ですが先ほど知人に、「コロナの記事書けば今なら何でも当たる」といったら、まさにそのコロナの記事を書いてるとか言われました。自分も書けないこともないけど、当局に目を付けられたりしたら嫌だなと思うのとともに、他の人がどうせ書くだろうと思ってあんまこの辺の記事は書いていません。
 ただ、敢えて他の人が書かない内容を書くとしたら、このコロナウイルス騒動で地味に一番設けている日系企業はどこかというと、マスクのメーカーではなく無論、オムロンだと思います。っていうかこのキャッチコピー、オムロンはまだ使ってるのだろうか?

 なんでオムロンなのかというと得意の電子体温計は言わずもがなで、最近は生鮮品を主に扱うスーパーでも目立つところに置かれて販売されるなど、密かにたまごっち並みのブームが盛り上がっています。ただ体温計以上にオムロンの商品で注目すべきは酸素発生器で、これは肺炎治療に必須ともいえる医療機器のため今中国の病院とかはこぞって大量に導入しているのではないかと思います。

【企業特集】オムロン 安定成長期の中国を狙え!中流層向け事業が収穫期へ(ダイヤモンド)
欧姆龙中国捐赠红外线额式体温计,助力新型肺炎防控战(中国質量新聞網)

 上の中国語の記事はオムロンが中国に赤外線体温計を寄付したニュースですが、他の記事ではネブライザーや酸素発生器なども寄付したことが書かれています。オムロンが販売している酸素発生器は基本家庭用ですが、今の状況を考えるとこうした呼吸器系疾患にとって必須な医療器具は家庭用であっても病院では数が足りない状況だと思え、引手数多なのではないかと思います。生憎、具体的なデータや報道がなく推測での意見でしかありませんが。
 この記事でなにが言いたいのかというと、他のコロナ関連記事でも書いているように今回の騒動に対しては経済への影響に関する記事が異常に少ない気がします。マスクが足りないなんて言うのはどこも報じているのだから、もっと他の観点、どの業界でどんな変動があるかなどといった情報も重要性は低くなく、こうした点についてメディア、市民ともにもっと目を向けてもらいたいのが本音です。

2020年2月13日木曜日

どたキャン~どたんば☆キャンセル!

 なんかゆるキャンっぽい記事書こうと思ったので、最近あったドタキャンについて書きます。昨日まで日本に滞在していましたが、ぶっちゃけ誰とも会いませんでした。というのもアポ取ろうとした連中全員にドタキャンされたためです。理由は全員バラバラではありますが、例のコロナウイルスのせいではないかと内心疑っています(・´з`・)

 大体五、六人に声かけていたのですが、全員が全員断り、うち二人については最初はOKと言いながら渡航二日前に急にドタキャンしてきました。もう少し早く判断してくれていたら、別の人間にアポ取れたのになって気がしてなりません。そのため結局顔合わせたのは、馴染みの床屋とカレー屋の人たちで、彼らは自分が忘れたころに中国にやってくると知っていながら、温かく自分を迎えてくれました(´;ω;`)ウッ…

 なお先週木曜日から日本にいましたが、そのころ寒気が来ていたということもありやばいくらい寒かったです。なのになんもアポがないため時間を持て余し、無駄に松戸市内をうろうろする羽目となるなどなんかコロナのせいでひどい目に遭った気がします。仕方ないので当初の予定より早く漫画喫茶に入って、無駄に「彼岸島」を何冊も読むこととなり、無駄な時間を過ごしたなという気がしました(一緒に読んだ「スプライト」は段々つまらなくなっていった)。
 例によってこの時もクソ薄いウインドブレーカー一枚しか上着はなく、寒さに強い私でも日本では寒いと感じましたが、現在のところ何も風邪もコロナもひいていません。ただ寒さに弱くなっているような気がするので、明後日当たり無駄に夜中ずっと窓開けて耐寒訓練でもしようかなと考えています。

 話を戻すと、東京周辺でやることもないから早めに岐阜に移動して親父と合流し、その後友人から頼まれていたSwitchとソフトを計四万円購入したりして、奈良や和歌山とかに足を運んでたりしました。奈良にいる親戚のおじさんは、「こんなに奈良町が静かになったのはこのところ記憶にない」と語っており、中国人観光客の減少ぶりについて驚いていました。
 なおこの時にこのおじさんとは、「奈良には歴史も自然も鹿もあるが、観光資源として唯一料理が足りない」と提言し、奈良の観光関連の人に奈良の名物料理を編み出すよう伝えておくようにと話しました。一応その場では、奈良漬け、茶飯などが案として出てきましたが、どれも一般受けし辛い料理であり、それならまだ市内中心部に店が多い洋食の方がいいのではとかも話しています。あと鹿肉も出たけど、奈良市で鹿食うことはインドで牛を食う並のタブーだという結論に落ち着きました。

 和歌山では安かったのでリゾートホテルに泊まりましたが、従業員に中国人がたくさんいることに正直驚きました。奈良のホテルでもそうですが、こうした観光分野で中国人従業員がこれほどまで多くいるくらい中国の影響が強まっているのだなと思うとともに、ホテル従業員は敬語を使わないといけないから、彼ら外国人従業員は大変だろうと内心思います。
 なお和歌山県の観光について言うと、和歌山城に行きましたが何故か場内のパネル展示に、「徳川吉宗」に関する説明が一字一句たりともなかったことが非常に不思議でした。なんかわだかまりあるのか知らないけど。

 このほかだと今回は前述のSwitch以外だと大した買い物もせず、あまり特徴的な旅行ではありませんでした。おニューの湯飲みは二つ買ったけど。っていうかこんなに誰も会ってくれないってんならもっと別の計画とか組んだのに、本当に不便この上ない旅行でした。

 あと最後本当にどうでもいい話ですが、中国へ帰国する際に空港でチェックインしたらラウンジ使用券がもらえて、えっなんで?と聞いたら「お客様はビジネスクラスを予約されています」と言われ、「そんなの予約したっけ?(゚Д゚;)」と一人でビビってました。後で確認したら本当にビジネスクラスを予約していて、無駄に一人サプライズをやらかしてました。
 ただ折角もらえたラウンジチケットですが、空港内であれこれお土産を眺めてたら搭乗時刻まで余裕がなくなり、結局使いませんでした。また機内に乗り込んだ後も、シートは確かにビジネスクラスでいいシートでしたが、コロナのせいで食事は簡素なものしかなく、尚且つ昼過ぎの便で私がいらないと言ったため、実質シートの差しかありませんでした。よく寝れたけど。

 ひとつだけ特殊なエピソードを語ると、私が座ったビジネスクラスのシートの隣は中国人客でしたが、飛行機に乗り込むややおら透明なビニールシートを広げ、それを全身に被っていました。体にはマントっぽいシートで、頭はシャンプーハットのようなものを被り、全身ビニール武装してそのまま上海に降り立っていましたが、いくらなんでも過剰反応し過ぎでは、っていうかそこまでするならちゃんとした防護服とガスマスク買った方がいいのではとか思ってみてました。帰り際に客室乗務員にも、「それどこで買ったの?」とか聞かれてたし。

2020年2月11日火曜日

ノベルゲーレビュー その五(PSP、Vita系列)

 大分時代が現代に近くなって今回はPSP、Vitaで遊んだ作品のレビューです。もっともこの頃の作品だとマルチプラットフォームが一般的なため、PS2とかPS3でも大体発売されているのですが。

1、雨格子の館 評価:B
 いわゆる「一柳和」シリーズの一作目。非常に気弱でなよなよした大学生が探偵役となるこのシリーズですが、他のアドベンチャー作品と一線を画す点では、展開の進め方によって本来死ぬ予定だった被害者が生還してその後もストーリーに関与し続けるという点です。
 ストーリーとしてはよくある閉ざされた洋館で連続殺人事件が起きるという奴ですが、犯人を当てないまでも次のターゲットを正確に予想することで、何もしなければ殺されるキャラが殺されずに済みます。同時に、犯人を名指しするタイミングも序盤から終盤にかけて毎日1回ずつあり、一人目の被害者が出た段階で即犯行を止めることができます。こうした、ストーリーにプレイヤーが介入できる余地に関してはアドベンチャーげむの中でも屈指のものがあり、非常によくできたシステムだと感じます。

 惜しむらくは、ベストエンドにするためには非常に詳細に証拠を集めたり、聞き込みして動機まで解明しなければならず、これは攻略法なしだと非常に難易度が高いということです。
 もう一点、犯行を防いでターゲットを生還させたとしても、生還したターゲットは他のキャラクター同様に事件に巻き込まれないよう、その後もずっと部屋に閉じこもりであまりストーリーに絡まない点です。もっとも絡ませるとしたらフラグ管理がとんでもないことになるので、この点は仕方がないでしょうが。

 このシリーズはその後第三作まで制作され一応全部購入しているのですが、第二作目がバグが多く、私もプレイ序盤から何度もバグに悩まされ一向に進行できなかったので結局やらずに終わりました。

2、密室のサクリファイス 評価:D
 ジャンルとしては脱出ゲーに入るのですが、ノベルパートのシナリオが非常によくできている作品です。ある日突然主人公となる五人の少女を除き誰もいなくなった世界が舞台なのですが、この五人の少女が妙にリアルというか、一緒にいるとすごいギスギスし合い、実際に進行によっては互いに実質的に殺害し合ったりするなど、非常に先の気になるストーリ―でした。
 このようにシナリオ面はすごくいいのですが、脱出ゲームパートに問題があるというか、やばいくらい難しかったです。普通に序盤で一切先に進めなくなって攻略サイトに頼ったのですが、後半に至っては攻略サイトを見てもどうしてこれで正しいのかすらわからないくらいの難解ぶりで、ノーヒントでエンディングまで行った人は多分怪盗ルパンだと思います。そのためシナリオはいいのですが人には進められる作品とは思えず、評価はDとしています。

3、特殊報道部 評価:C
 「流行り神」シリーズを作ってきた日本一ソフトウェアの、テレビ局を舞台(メーテレが協力)にしたXファイル的なアドベンチャーゲームです。一応アドベンチャーゲームとなってはいますが、分岐などのゲーム性は皆無に等しく、実質的にシナリオを読むだけのノベルゲーです。ただシナリオ自体は比較的面白く、先が気になるもので、あと声優も実力派の大物揃いで音声聞いてるだけでも正直楽しかったです。
 問題点はボリュームで、シナリオ数が少なくすぐ終わってしまいます。もっともあのゲーム性で長くしてもプレイヤーもダレるだけだったので、初めから普通にサウンドノベルとして作ればもっと違ったかもしれません。

4、√letter 評価:D
 島根県に過去の文通相手を探しに行くというコマンド選択型アドベンチャーゲームで、セールス的には海外販売も行われ非常に大きな成功を収めています。よかったと思う点を挙げると、ビジュアルが非常によくできており島根県の実際の観光地などの風景をきれいに再現しており、実際に旅した気分にさせられました。
 にもかかわらずなんで評価Dなのかというと、単純にシナリオがクソだからです。文通相手の友達を一人一人探り当てて、本人に一人ずつ認めさせるという展開なのですが、そんな展開必要なの?と、思わざるを得ない内容でした。シナリオ分岐はあるっちゃありますが、終盤とエンディングの展開しか変わらず、実質的にほぼ一本道なシナリオです。唯一、ホラーエンディングに分岐した場面は素直に恐怖を感じましたが、それ以外はさほど感じ入るシナリオはありません。

 あとレビューサイト見ると、主人公がまるでヤクザみたく文通相手の友達に追い込みをかけているとよく書かれていますが、私はそうは思いませんでした。あれくらいは日常よくあることだし、ひっぱたいたり拉致ったりはしてないんだから、そこまで大げさに感じるほどかレビュー見てて逆に不思議でした。日本の平和ボケもかなり来ているように感じます。

5、死印 評価:C
 出てきたらもうすぐ死ぬっていう刻印が出てきた主人公らが、助かるために街の怪異を解決していく昔ながらの市街系ホラーアドベンチャー作品です。この手の一般的なアドベンチャー作品と違って、ダンジョンを探索するかのようにポイントを巡って、パートナーと協力しながら手がかりを探していき、最後は怪異たる存在とバットとか拳銃使って戦うという展開になります。
 控えめに言っても、コンセプトデザインを仕切った友野るい氏のセンスが非常によく、恐怖を感じさせる表現面では屈指の出来と言っていいでしょう。またシナリオも破綻がなく、実際にやってて怖いと感じさせる忍び寄る恐怖がよく演出できており、完成具合に関して言えば文句なしに傑作だと言えます。

 しかし他のレビューでも書かれているように、致命的なほどボリュームが少ないということを考えると、一つのゲームとしては凡作とせざるを得ないところです。3000円くらいの価格だったら、十分傑作といえるのですが、フルプライスではさすがに文句なしのお墨付きは出せないでしょう。
 なおこの作品でヒロインの声を演じているのがりっかすこと立花里香氏で、自分はこの作品でこの人の声を初めて聴きましたが非常に印象に残り、さらにその後「ザンキゼロ」やったらまた綺麗な京都弁でいろいろ唸らされました。オリックスの若月選手とついこの前結婚されましたが、前にパワプロで若月選手からオリックスの捕手レギュラーを奪い取り、引退に追い込んだことがあるからなんか微妙な気分になりました。っていうかこの情報いるのかと、自分でも思います。

6、VA-11 Hall-A 評価:C
 評価はCですが内心ではBをあげたい作品です。近未来のSF都市を舞台に女性バーテンダーとして、バーにやってくるお客の話をカクテル作りながら聞くという作品です。一番特徴的なのは、ゲーム画面がPC-98時代のレトロゲームを模している点で、古臭くて懐かしいドット絵のアドベンチャーって点だけでも他にはない強い個性が光ります。
 シナリオもSFらしいというか、非常にタブーが低く、またバーという場所柄、かなり大人の世界な会話が繰り広げられます。主人公からしてバイセクシャルで、携帯の待ち受け画面にするくらいの思い人は女性上司だったりして、その手の会話や下ネタもガンガン投入してきます。恐らくこうしたシナリオ内容も、PC-98時代の影響でしょうが。

 既に取り上げた「Eve burst error」と「YU-NO」について私は、「時代に愛された作品」と評し、あの時代だからこそタブーとされるような内容が物珍しく映り、評価されたのではと述べました。この点を強く意識したのはまさにこの「VA-11 Hall-A」をやった時で、正直こっちの作品の方が引っかかるタブーの内容が「Eve burst error」と「YU-NO」とかよりも多いです。
 しかし、ことさら目につかないというか現代においてはもはやタブーでなくなりつつある話題でもあり、そうした内容を「重く」扱うことはもはや滑稽にしかならず、「軽く」扱うことこそが現代の価値観に沿うのではないかという気がします。そういう意味でこの作品は、こうした方面の話題の塩梅が現代にマッチして非常にいい塩梅だという気がします。

2020年2月10日月曜日

ノベルゲーレビュー その四(5pb.系列)

 今回はあんまり量は多くないけど5pb.系列の作品です。

1、コープスパーティー ブラッドカバー リピーティッドフィアー 評価:D
 エログロで有名なシリーズのコンシューマー版第一作目ですが、生憎私の中の評価は高くありません。音声に関してはバイノーラル録音しているだけあって確かに見事な臨場感を作っていますが、それ以前にゲームとしてしっかり作り込めておらず、エログロなシナリオやグラフィックとかよりも使い勝手の悪いUIとかへのストレスの方がずっと強かったです。
 私が遊んだのはPSP版ですが、ともかくローディングが長く、その上バットエンドも多くてなんかずっとイライラしながらクリアまで遊んだ覚えがあります。特に個人的に腹立って仕方ないのは、「この先行くな」と貼り紙に書いてあるので行かなかったらバットエンドに直行させられた点で、「この先危険」くらいに表現変えろよとか凄いムカつきました。

 あとエログロとよく言われますが、実際そんなに激しいって程ではないと思います。なんていうか見せ方が良くないというか、内臓の飛び散った死体をポンと見せられて、「如何でしょうか?」とか言われてもピンとこないような感じです。やはりこの辺は演出というか料理の仕方でしょう。

2、コープスパーティー Book of Shadows 評価:C
 上のブラッドカバーの続編にあたるこちらですが、前作はマップ探索型のエログロホラーでしたが、今回は画面コマンド選択型という一般的なアドベンチャーゲームになっています。ジャンルが切り替わり、それほど大したプログラミングが要求されなくなったこともあってか、ローディング時間が減った上にバグとかも非常に少なくなってて、UIもこちらに関してはあまり不満はありませんでした。
 内容も前作と比べるとノベルゲー要素が高まり、黙々と文章を読んでいけるようになって、余計なストレスにさらされなくなってシナリオに集中できるようになりました。シナリオの内容も章ごとに独立していてすんなり楽しめるようになり、またフラグ管理も比較的適切でわかりやすく、分岐もそれなりにあって手堅いものがありました。このシリーズはこのままこの路線で走ればよかったのに。

3、コープスパーティー BLOOD DRIVE 評価:E
 結論から言うと、途中で遊ぶのやめました。なんでも、発売当日の時点で重大なエラーバグを抱えていて発売日にパッチが配布されたという、別な意味で曰く付きのゲームです。
 そのようにゲームシステムが初めから非常に不安定であるだけに、遊んでいると頻繁にエラーが起こってしょっちゅう強制停止させられました。おまけにゲーム内容もまたマップ探索型に戻り、しかも暗くてただでさえ見えづらいのに懐中電灯の電池に制限かけたりして(パッチで無制限となる)、何考えてこんな機能入れたんだよと疑問に思う仕様が多々ありました。

 さらにはシナリオも私からすれば完全意味不明な代物で、元々は学園ホラー的なジャンルだったのに、前作の最終盤からとはいえ突然西洋黒魔術がうんたらかんたら、それまで聞いたことない怪しげな横文字魔術集団が予告なしに登場とか、これ続編で作る価値あるのと思うくらい脈絡ないシナリオでした。普通に学園ホラーの路線を歩んでりゃいいというのに。
 そんな具合で辟易したことから結局クリアもしないまま放棄しました。これに限らず5pb.作品はどれもゲームシステムやプログラム面で問題が多いだけに、5pb.の名前を見た時点でもうそのゲームは買わないようになりました。あとこの作品に関しては、マップ探索中に動く死体に「バシッ」って叩かれるのが妙にムカつき、「叩きよったでこいつ!」などと何故か関西弁をプレイ中に発してました。

4、STEINS;GATE 評価:C
 遊べないわけじゃないが名作じゃない、というのが私の評価です。

 こちらも発売当初は爆発的な人気を呼び、至高のアドベンチャーゲームと崇められシリーズ続編作が未だに量産されています。もっともその続編作が出る度にシリーズとしての評価が落ちているようにも見えますが。
 この作品が世間で評価されている点としては、タイムマシンという存在への科学的アプローチと、終盤に至るにつれて解き明かされる数多くの伏線、あとこの手のゲームらしくない独特なキャラデザインとかだと思います。このうち化学的アプローチとキャラデザインに関しては私も納得同意し、シナリオの文章も決して悪くなかったと考えますが、恐らく最大の評価点である伏線については私は全く評価できませんでした。何故かというと、中盤の時点でシナリオのラストをほとんど推測できたからです。

 正確には一つ目のエンディングを迎えた時点ですがその時点で、「ああこうやって順繰りに元に戻していき、冒頭の事件に戻ってあの人死んで、それをどうにかするためには……順当に行くならこのキャラが助けに来るんだろうな」などとかなりはっきりと読めました。で、実際そうだったし。
 自分がたまたま予想できただけかもしれませんが、「最高のカタルシス」と呼ばれるほどにはこの作品のシナリオ展開は予想しづらいものではないと思います。

 また科学的考証部分は確かによくできていますが、個人的に気になった点として、主人公の電子レンジが何故主人公一味のメールしか過去に転送しないのかについて、何故誰も突っ込まないのかが不思議でした。
 この点について知人は、「レンジの近くでメールを送信する、距離的な制限では?」と擁護意見を出しましたが、冒頭や終盤の方では大分距離の離れたところからメールを打ってるのに転送されており、この論で行くなら周囲の他の人らが送信したメールも大量に転送されて、過去が改変されるはずではないかと思います。まぁ受信者の位置を使えば説明できなくもないですが。

 あとなんとなくな意見を言うと、この作品も時代に愛されたというべきか、リリースされた時期が非常に良かったのではという風にも考えています。なんとなく舞台となる秋葉原への世間の注目というか評価が最も高かったと思えるのがこの作品の発売時で、「アキバズトリップ」といい、他にも秋葉原を舞台にした作品が当時多かった気がします。
 無駄に対抗して松戸を舞台にした暗黒ドラゴンファンタジーなシナリオとか書いてもいいっちゃいいですが、多分どうあがいてもそんなゲーム売れない気がします。むしろ書くなら90年代後半のバスケットコートとかあった時代の秋葉原の方が個人的にもまだ楽しめる気がします。

2020年2月9日日曜日

ノベルゲーレビュー その三(プレステ時代作品)

 三回目のこの連載。ぶっちゃけため記事として書いているため、掲載時期はいつかまだ決めてないけど書いているのは今2/3です。この日のブログ記事書いて、JBpress向け記事を清書して送って、ようやくこの記事を書き始めたところです。
 今回はプレステ、サターン時代のノベルゲー作品を書いてきます。

1、赤川次郎 夜想曲 評価:C
 スーパーファミコンで「魔女たちの眠り」をリリースしたスタッフらによる赤川次郎原作シリーズの第二段。テイスト的には前作と似たような作風ですが、原作が魔女たちと比べるとそこまでショッキングじゃないので、死人はもちろんたくさん出るけどのんびり楽しめる感じの作品です。
 ただドキッとする演出が比較的序盤の、主人公の知人の顔面ドアップくらいしかないのと、この時代の作品としてはスキップ機能やクイックセーブ機能がないやや時代遅れなUIでこの点は問題としてみるほかないです。「夜想曲2」も出ていますが生憎私はそちらを遊んでいません。

2、厄 友情談疑 評価:E
 超クソ。どれくらいクソなのかはこちらの記事にまとめてあります。
 視点を切り替えるザッピング機能がついてるものの、切り替えたところで話が分岐したりすることはなく、むしろ切り替えると前後脈絡なく場面が切り替わって読みづらくなるだけです。またそのシナリオも電波臭くて全く評価できないし、グラフィックも不気味ではある者の稚拙で、ノベルゲー史上でも屈指のクソゲーです。なのに何故か続編が出ており、クソゲーハンター以外には意味のないゲームでしょう。中古とはいえマジ買って損した。

3、ダブルキャスト 評価:B
 ソニーが出してた「やるドラシリーズ」の第一弾で、記憶喪失の少女と映画撮影のドタバタ系ラブサイコサスペンス作品です。シナリオ自体は比較的ありがちというか王道であるものの、全編にわたりアニメーションと音声が付いており、尚且つ演出もそこそこ優れていて遊んでて楽しかったです。何気にBGMも今調べたら、今じゃアニメBGM業界の超大物である梶浦由紀氏だったし。
 特にキャラデザは当時恐らく最も人気の高かったであろう後藤圭二氏が担当しており、声優らのキャスティングもイメージ通りで、全方面で完成度の高い手堅い名作というのが私の評価です。やるドラシリーズは他にもいくつか作品が出ていますが、生憎私が遊んだのはこのダブルキャストだけでした。「サンパギータ」くらいはやっとけばよかった気がするけど。

 全体的にはラブコメっぽい雰囲気で進むものの、選択肢次第では結構ハードな描写が描かれ、非常にかわいらしいキャラデザと相まってなかなかショッキングな場面は心動かされます。こういっちゃなんだけど、北斗の拳のモヒカンが血反吐を吐くより、美少女とかが血反吐を吐く方が単純に演出としては印象に残りやすいです。そういう意味で美少女とグロ描写というのは実はかなり相性がいいものだと私は考えています。

4、EVE burst error 評価:D
 90年代中盤において伝説的な評価を受けたアドベンチャーゲームであり、今も最新機種に移植版が発売されているこの作品ですが、上記の通り生憎私の中の評価はそれほど高くはありません。この点に関してはファンの方には申し訳ないと思いますが、批判を覚悟で批評を続けます。

 この作品の最大の特徴は政府系諜報員の女主人公と、一介の私立探偵の男主人公がそれぞれ別々に、異なる事件を追っていく中、事件の背景や登場人物が複雑に絡み合って徐々に交差していくというシナリオにあるでしょう。またその交差するシナリオを見せる手段として、二人の主人公を任意の場面でザッピングしながら進める、つまり二人分の主人公の話を同時に進めるというシステムとなっています。
 リリースされた当時、このザッピングシステムが非常に受けたことと、あと他のアドベンチャー作品にないシナリオの斬新さが評価されて名作の名をほしいままとしましたが、時代が下ってからプレイしてみた私からすると、そこまで評価されるほどの作品なのかという疑問を覚えました。

 理由はいくつかあり、一つは90年代と違って2000年代以降は複数のキャラクターをザッピングして進めるアドベンチャーゲームは他にもたくさん出てきて珍しくなくなっていた点があります。次に、シナリオの内容も当時としては斬新であったろうものの、時代が少し下った後であれば、そこまで斬新性を感じられるものではなくなっているように私には思えました。またゲームシステムも昔ながらのコマンド総当たり方式で、やはり冗長さを覚える仕様であることから、現代における評価としてはDになるというのが結論です。

5、この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO 評価:C
 こちらの作品もリリース当初は伝説的評価を受けた、「EVE burst error」と同じく故管野ひろゆきの代表作です。評価された点は非常に複雑なシナリオと、主人公が行うタイムリープをゲームシステムに組み込んだ点で、多分当時批判でもしたら袋叩きにあったくらいの高い評価を受けていました。版権関係が複雑であったことからその後なかなか日の目を浴びなかったものの、少し前に最新ハードでリメイクが出されています。

 さてこの作品もやや批判寄りのCという評価を付けましたが、理由としては「EVE burst error」同様に、「当時だから評価されたのでは」と思う節があるからです。自分がこのゲームを遊んだのは2000年以降ですが、ゲームシステムとUIの古さは仕方がないにしろ、シナリオ面に関してはそこまで崇拝されるほどのものかと正直疑問に感じました。
 具体的に述べると、この作品では近親相姦やカニバリズムといったタブー的なテーマが数多く出てきますが、90年代であればそれらタブーを組み込むことは勇気がいるし画期的だったと思うものの、現代においてこれらテーマのタブー要素はやや薄れ、他にもシナリオに組み込んだ作品は既に数多く出るようになっています。実際私も他の作品でこれらタブー要素を見聞きしていたこともあり、「YU-NO」をやった際もそこまで意外性は感じませんでした。

 また先ほどの「EVE burst error」同様に、謎解き要素が設けられていることもありますが、単純にゲームとしてのテンポが非常に悪かったです。当時だからということもできますが、「かまいたちの夜」なんかはそういうテンポの悪さは感じなかっただけに、ゲームシステムを優先するあまりシナリオのテンポを崩してしまっている面が菅野ひろゆき作品には顕著であると感じます。やったことはないけど、「エクソダスギルティ」もそんな感じだと聞くし。
 そういう意味で「EVE burst error」及び「YU-NO」はどちらも、時代に愛された作品であり普遍的な名作足り得ないというのが私の見方です。