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2015年6月30日火曜日

日本における主要な歴史論争

東海道新幹線火災 安全神話に激震…「死ぬかと思った」車内パニック(産経新聞)

 なんか日本では今日起きた新幹線内の火災というか焼身自殺事件が大きく話題となっているそうですが、上記の産経新聞の記事見出しは一見して強い違和感を覚えました。なんで焼身自殺された事件なのに「安全神話に激震」と書くのか、新幹線の安全とこれは無関係だろと呆れて物が言えません。これじゃ新幹線内で心臓発作起こしても「安全神話が……」と言うのかよと思うにつけ、この記事書いた記者とそれを通した編集部は単なるアホでしょう。
 もっとも友人に言わせれば、「日本の神話は八百万に通じているんだよ」とのことで、日本ならではの価値観でこんな見出しつけたのかもしれませんが。

 そんなわけで本題に移りますが、かつて日本の歴史業界で最も主要かつ大きな論争となった話題とくれば他の何を差し置いても「邪馬台国論争」でしたが、こちらは最近の発掘で近畿説が有力となってきてからは幾分熱が冷めてきた感があります。これ以前となると「日本民族騎馬民族説」なども一時期はブームになりましたが、最近ではどんな歴史ネタで論争になっているのか、いくつか自分の知っている範囲内で今日は紹介しようと思います。

1、源頼朝の死因
 鎌倉幕府開祖で武家政権発足において最重要人物と言ってもよい源頼朝ですが、実はその死因についてははっきりせず、鎌倉幕府が編纂した歴史書の「吾妻鏡」においてすらも「いついつに死去した」としか書かれておらず、その死因を巡ってはいくつかの説が出てそれほど大きいとは言えませんが論争になっています。
 主な死因の仮説として、「京都から鎌倉へ戻る途中に落馬した」、「ある家へ夜這いに忍び入った所、警備の物に手打ちにされた」、「何者かの仇討ちを受けた」など出ていますが、どれも確たる証拠もなく状況に合わせて作られたオリジナルストーリーばかりと言っても過言じゃありません。ただ唯一間違いない点として、頼朝の死は急死であって幕府関係者を相当慌てさせたことは想像できます。
 なおどうでもいいですが先日見たツイッターにあったお話で、ある女子高生が胸元を強調して色目振りまく気に入らない同級生のことを「胸元の寄り友」とあだ名していたという話を、これかきながら思い出しました。

2、乃木大将は名将か愚将か
 これは古くからある論争で規模もそこそこでかいものですが、日露戦争の203高地を巡る戦いで陸軍を指揮した乃木大将は大量の犠牲を生みながらも最終的にこの拠点を落としたことについて、彼の指揮は正しかったのかどうかという論争です。正直に言って私は愚将説の立場を取るのですが、この愚将説を唱えた著名な人物として作家の司馬遼太郎がおり、むしろ彼の小説によってこの論争は拡大した節もあります。
 ただ愚将ではないかと思う一方、今村均は生前に司馬遼太郎に対して乃木大将は無能ではないと反論しており、あの今村均が言うのだったら……という思いもあり、最近ちょっとこの問題について私の中で意見が揺れています。

3、西郷隆盛は征韓論に賛成だったのか、反対だったのか
 西郷隆盛自体が歴史学で扱うとしたら案外難しい人物であるのですが、彼が明治政府を下野することとなったいわゆる征韓論について、本気で武力を使ってでも朝鮮を開国させようとしたのか、それとも自分が特使として派遣されることで政府内の強硬派を抑えようとしたのか、この点でもって意見が分かれています。
 私としては後者ではないかと考えており、というのもいくら当時日本と距離を置いていた朝鮮とはいえ特使をいきなり捕縛して処刑する(西郷は自分が処刑されたことを口実にして軍隊を派遣すればいいと言って特使役に立候補した)なんてことは考えづらく、この問題を一手に引き受けることで政府内を落ち着かせるという意味合いが大きかったのではと見ています。
 なお同じ西郷に関して言えば、彼は徴兵制に関しては賛成派であったと見て間違いないと思います。士族を切ることに関しては世間で言われてるほどためらいはなかったでしょう。

4、レイテ沖海戦における栗田艦隊の撤退行動
 知ってる人には有名ですが知らない人には全く分からないこの論争ですが、太平洋戦争中に行われた日米最後の艦隊決戦であるレイテ沖海戦は、日本に唯一残っていた空母の瑞鶴を囮にして敵を引き寄せている間、敵艦隊が集まっているレイテ湾に栗田艦隊が突入して攻撃を行うという奇策が実行されました。囮作戦の方は見事に成功し、「ブル」というあだ名が後につけられる米海軍のハルゼー提督はまんまとおびき寄せられたことによって栗田艦隊はレイテ湾近くにまで接近出来たのですが、何故か特に障害らしい生涯などなかったにもかかわらず一切攻撃を加えないまま反転し、撤退してしまいました。
 何故作戦方針を無視してまで撤退したのか、この理由については作戦本部から撤退命令が出た、通信で齟齬が起こった、栗田提督個人が撤退を決断したなど様々な意見が出ており、未だに確定的な説に固まってはおりません。
 私はこの件に関してはあまり詳しくないため論争には加わらない立場であり、このレイテ沖海戦で私が最も好きな軍艦の瑞鶴が沈んだという事実だけで胸がいっぱいです。もしこの時代に生まれていたら、瑞鶴と一緒なら海に沈んでも後悔ないでしょう。

5、明智光秀の謀反の動機
 今一番ホットな歴史論争と言ったら間違いなくこれで、何故明智光秀は織田信長に謀反して本能寺の変を起こしたのか、でしょう。この光秀の謀反の動機はかつてから謎とされ論争も盛り上がっていましたが、近年は資料的にもいくらか頷ける説もあれば全くの空想ストーリーが量産傾向にあり、目にする機会が増えてきたことから盛り上がっているのではと思います。
 主な論点は二つあり、一つ目は光秀の単独犯なのかほかに黒幕がいるのかで、この場合の黒幕は天皇だったり千利休だったり足利義明だったりして、中には秀吉説を挙げる人もいますが秀吉に関しては議論するまでもないほどでたらめもいい所でしょう。多分「へうげもの」の影響受けて本気で信じちゃった人がいたんだろうな。
 もう一つの論点としては光秀に天下取りの野心があったのかどうかで、単純に信長に取って代わり天下に号令しようとしたのか、それとも信長の過剰なまでの改革に対して既存の秩序を維持しようという保守的な考えから謀反をしたのか、これは考えてくに連れて議論がかなり深くなってきます。
 なお自分の意見を述べると、「光秀単独犯説+保守的価値観」の立場を取ります。理由は機械があればまた語りましょう。

 このほかにも「南朝北朝正統論争」とか「坂本竜馬の暗殺犯」などがメジャーな論争としてありますが、私は歴史というのは突き詰めれば娯楽に行き当たるという価値観を持っており、そのような価値観に立脚するならこうした論争というのは盛り上がれば盛り上がるほど娯楽的価値が高まると考えます。なので歴史家や学者らにはなるべくこうした論争を盛り上げるよう努力してほしい一方、先ほどの「本能寺の変、秀吉黒幕説」みたいな荒唐無稽すぎるくだらない説は出てもらいたくないという風にいつも考えてます。
 まぁトンデモ説は、漫画や小説の中ならいいんだけどねぇ。

2015年6月29日月曜日

フジテレビの番組テロップ捏造事件について

フジテレビ「池上彰 緊急スペシャル!」韓国人の発言、翻訳誤ってテロップ 「編集ミス」(ITmediaニュース)
池上彰緊急スペシャル お詫び(フジテレビ)

 報道などで既に知っている方もいるかと思いますが、6月5日に放送されたフジテレビの「池上彰緊急スペシャル」という番組で、韓国人へ行われたインタビューを報じる場面にて実際に発言した内容とは全く異なるテロップ(字幕)を表示していたことがわかりました。

 該当する場面はフジテレビの説明によると二か所あり、一か所目は韓国の女子高生が実際には「(日本は)文化がたくさんあります。だから、外国の人がたくさん訪問してくれているようです」と話していたのに対し、「嫌いですよ、だって韓国を苦しめたじゃないですか」と、全く意味の異なるテロップを載せていました。
 もう一か所目は青年男性が、「過去の歴史を反省せず、そういう部分が私はちょっと……」と実際には言ったのに対して、「日本人にはいい人もいますが、国として嫌いです」とまたもや日本をディスる内容のテロップが表示されました。フジテレビ側はこの二か所について誤ったテロップを表示したと認めていますが、ネットを見ているとこの番組中にはまだテロップが怪しい所があるとされ、正直に言って私もさもありなんという気がしてなりません。

 どうしてこのような誤ったテロップを表示したという原因についてフジテレビは上記のお詫びページにて、編集作業と最終確認でミスがあったとした上で、どちらのインタビューでも別の部分でテロップに表示した内容の発言があったという、理解し難い言い訳を述べています。何故理解し難いのかというと、一にどうして該当する発言があった場面をきちんと使わなかったのか、二にどうして証拠とばかりにその場面の映像を出さないのか、断言してもいいですがそんな映像なんて始めからないだろうし本当にそのように言ったとは私には思えず、このテロップ問題は明確な意思の元で捏造されたもの以外の何物でもないでしょう。

 テロップが捏造であったという前提で話を進めると、これは視聴者はおろか韓国の方々に対しても非常に失礼極まりない行為で、とてもお詫び文の掲載だけで済む問題だとは思えません。具体的に言えば責任とって役員連中が報酬を返却、もしくは責任者の更迭くらいは報道機関として最低必要であるように思え、これで問題を終いにしようってんならマスコミの風上にも置けないでしょう。
 更に言わせてもらうと、今回はたまたま「ばれたから」お詫びを出したのかという疑問もあります。というのもどのテレビ局も街頭インタビューで劇団員などを使ってあらかじめ用意したセリフをさも一般市民の声として報じていることがかねてから指摘されており、実際私も何故か以前にテレビで見てた人が何度もインタビューに出てくるのを見ています。言うなればこうしたインタビューの捏造はテレビ局にとって日常茶飯事であって、ばれなければなにしたっていいという態度があるからこそ今回の問題も起きたのではと私には思えます。恐らくですがフジテレビ以外の放送局もこうした同じ問題を抱えているだけに、この件で殊更フジテレビを批判しようとはしないと予想します。

 ちょうど今、先日の自民党青年部会で出てきた報道規制云々の発言が大きなニュースになっておりますが、政府がメディアの報道規制を行おうというのは以ての外であるのは当然ですが、今回のこのフジテレビの捏造行為が起こされるのを見ていると規制されても仕方ないのではという気もしてきます。なんせ誤った情報、それも日韓の国民間で憎悪を煽るような報道を流しておきながら誰も責任取らないのですが、黙って放っておく方がかえって危険でしょう。
 私が何を言いたいのかというと、少なくともフジテレビは自民党の報道規制発言に関して批判する資格は一切ないし、他人の批判をしている暇があったら社内にいるカスを少しでも減らすよう努力するべきでは、といったところです。まぁ叩けば埃が出るのはほかの放送局も同じでしょうし、TBSに至っては過去に同じようなテロップ改竄をやらかしてますが。

 最後に気になる点として、この問題について番組司会を行った池上彰氏からはまだ何も発言が出ていません。インタビューからテロップ作成まで番組製作会社が作ったのでしょうから池上氏としてはとばっちりものであるものの、本人がかかわった番組だけにこの件に関して以前の朝日新聞同様に毅然とした態度を取ってくれるのを密かに期待しています。

2015年6月28日日曜日

千葉のマッドシティ~二十世紀梨

 「二十世紀梨」というと日本を代表す梨科の品種であると共に鳥取県の名産品(アイデンティティ)でありますが、実はこの梨がマッドシティこと松戸市原産の梨であることはそれほど知られていないような気がします。

 この梨は現在の松戸市に住んでいた1875年生まれの松戸覚之助という人物が13歳の頃、人んちのゴミ捨て場にあった梨の苗木を見つけたところ自分で育ててみて、23歳になって無事結実することで生まれました。結実した梨を売り出すに当たって名称を考えたところ、当初は「新太白」という名前だったののその後東大の教授が、「この梨は今世紀を代表するなしになる」などと言って「二十世紀梨」という名称を提案したところ採用され、現在の名称へと至ったわけです。
 どうでもいいですが昨日紹介した「21世紀の森と広場」といい、なんで松戸の人はやたらと世紀の数字を名称に使いたがるんだろう。

 そんな松戸市原産の梨が何故今では鳥取県の名産となっているのかですが、なんでも鳥取県では昔から梨栽培が盛んだったのですがある年に梨の樹木がかかる病気が蔓延してほぼ全滅みたいな状態になったそうです。その際に苗木を分けたのが松戸市の梨農家で、元を辿れば鳥取の梨は松戸にルーツがあり、松戸原産の二十世紀梨が鳥取へと伝わったことがきっかけでした。

 このエピソードは鳥取県内では広く周知されているようで、私が運転免許の合宿で京都から鳥取の日本海自動車学校へ通った際、路上教習時に私のプロフィールをみた教官が、「君、千葉県出身なんだね。鳥取は昔、千葉県の松戸から梨を分けてもらってえらい助けてもらった」と言われ、感覚的にはエルトゥールル号のトルコ人みたいな印象を覚えました。
 話は戻りますがこうした縁もあって松戸市は鳥取県の倉吉市と提携都市関係を結んでおります。また現在では鳥取県の方が生産量が多いとはいえ松戸でも梨農家はまだまだ現役で数多く、東松戸駅周辺なんかを車で走ってると梨農園が数多くみられます。

  おまけ
 上述の日本海自動車学校での教習はなかなか楽しく、指導内容もしっかりしていてとても満足できる教習所でした。しかしここでの教習の仕方が一般的だと感じてしまったのが運の尽きだったのか、後年に自動二輪免許を取ろうと流山自動車学校へ通ったものの、指導内容は聞いててわけわかんないし教官の態度も尊大に感じられたので、仮免を取る直前で、「お宅の指導はもう受けない」と啖呵切ってやめちゃいました。さすがにこういう人間はほかにいなかったのか、向こうも結構慌ててたな。

他人事ではない欠陥住宅訴訟

 昨年に私は「大津の欠陥マンション訴訟について」という記事で「大津京ステーションプレイス」というマンションで起きている施工不良問題を紹介しました。なんでこんな記事を書いたのかという単純にニュースとして面白いと思ったためでしたが、アップ当初から一方の当事者である不動産会社の大覚さんにも閲覧されていたとのことで書いた本人が一番びっくりする羽目となりました。
 ただこの事件、はっきり言って誰の目からみても施工会社である南海辰村建設による瑕疵が明らかであるものの、問題発覚後から数年経過しているにも拘らず現在も補償を巡って裁判が続くなど長期化しています。何もこの件に限らずとも欠陥住宅に関する裁判は長期化する傾向があり、安保も大事だけど案外こっち方面の法整備も必要なんじゃないかと、我ならがら突然すぎる気もしますが、一昨日ふと思いつきました。

<欠陥住宅の裁判>
 欠陥住宅で裁判となると、発注、または購入した側は施工の際に瑕疵があったことを証明しなければなりません。この瑕疵不良の証明というのが非常に困難な作業で、簡単に述べると設計図と実際の図面がどう違うのか、それらが本当に不良状態のままで施工されたのかなどを裁判長に説明しなくてはならず、素人ではどうにもならないほど専門的な作業です。
 たとえば私も取り上げた「大津京ステーションプレイス」の問題では原告は不動産会社、被告は施工会社で、まだお互い同じマンション業界の法人同士での対立構図となっております。しかしこの対立構図が住人VS販売・施工会社だった場合、住人側は欠陥があるとわかっている住宅に住み続けながら専門家を雇って裁判を続けなければなりません。欠陥があるとわかった段階で施工会社などが素直に修繕に動いてくれればいいのですが、反論されて裁判となってしまったらもう大変で、恐らく泣き寝入りする住人も少なくない気がします。

<松居一代の闘争劇>
 個人が実際に欠陥住宅問題で裁判を闘った一例として、芸能人の松居一代氏の例があります。お掃除おばさんで有名なこの人ですが、購入した億ションで天井から水漏れがあるという欠陥が発覚したものの施工した清水建設(シミケン)はすぐには対応してくれなかったそうで、実に600日もの闘争を経て和解へ至った経緯を「欠陥マンション、わが闘争日記―ゼネコンに勝った!壮絶600日の全記録」という本にまとめています。
 実際に裁判を戦った松居氏の行動力もさることながら、和解に至るまで600日もかかったという事実は見逃せません。しかもこれは当時ワイドショーなどにも取り上げられるなど主に清水建設に対する周囲への影響、そして裁判を闘えるだけの資産を松居氏が持っていたからこそ和解へ至ったのであって、どちらか一つでも欠けていたら果たしてどうなっていたのか、はっきり言えば清水建設は黙殺してたのではないかという気がしてなりません。

<大手だろうと欠陥はあり>
 なお「大手だから安心!」という言葉を日本人はよく使いますが、こと建設業界に関しては全く当てはまらないと言っていいでしょう。ちょっと前にも三菱地所と鹿島建設のタッグが南青山で欠陥億ション作っていたのが2ちゃんねるへのタレコミでばれたし、住友不動産も2003年に作ったマンションで販売直後から施工不良が住人などから指摘されていたにもかかわらず黙殺し、11年後の去年になって言い訳できなくなってようやく認めるに至っています。多分これらは氷山の一角で、まだ公になっていない事例はたくさんあるだろうし、「大手だから」黙殺されている例もたくさんあるでしょう。

<瑕疵検査などにかかる費用>
日本検査研究所

 上記サイトはこうした欠陥住宅の検査を専門とする設計事務所のサイトで、ここに瑕疵検査から裁判での鑑定資料を作成する費用をオープンにして公開しています。こうした価格をオープンされるという点で高く評価できるサイトですが、やはり値段を見るとそこそこ値が張るというか、裁判となった場合に個人が負担するとなるときついなぁと思う金額が出ています。
 無論この事務所がぼったくってるわけではなく技術的にも手間的にもそれぐらいかかってしまうから問題なのですが、やはり個人がこの手の訴訟で戦うとなるとお財布的には厳しいでしょう。

<欠陥住宅に対する法整備>
 ここからが私の提案になりますが、個人では泣き寝入りするしかないような状況を鑑みて、こうした欠陥住宅問題を解決へと至らせる法整備、制度の作成が必要なのではないかと思います。具体的に述べると施工不良と判断する条件例(水漏れや設計違い、構造不良)を作り、その条件を満たした場合は即、販売、または施工会社の責任を認めて修繕義務を課すといった制度です。またその際、修繕が完了するまで住人には代替の住宅を用意させることも義務付けるなど、販売・施工側の社会的責任を重くさせることによって欠陥住宅の建築を未然に防ぐことが目的となります。
 このような制度を導入することで訴訟を起こさずとも即修繕を行わせられるようになり、また責任の重大化によって販売・施工側もおちおち手抜きがしづらくなります。正直、今の状態だと手抜き出来るところを手抜きした方が施工側にとってメリットが大きすぎるし。

 このほかにも欠陥住宅問題を専門とする仲裁機関を政府が作り、またこの方面専門の弁護士や建築士を育成するコースなども作って訴訟を迅速化するというのも一つの手でしょう。ただこれに関しては友人が、「お金になるとわかったら過払い金訴訟同様に、弁護士たちは勝手に勉強するだろう」という市場原理を唱えており、こうした訴訟を一般化させるだけで十分との認識を示しました。

 私個人は住宅を買う予定なんて今現在全くなく、それどころかほぼ一年に一回のペースで引越しを繰り返すなど織田信長みたいに腰の定まらない生活が続いていますが、やはりこの欠陥住宅問題は他人事にはみれないというか、非常に高額な支払いが発生するだけに何らかの社会的な対応が必要ではないかと見ていて感じます。
 なお先程紹介した日本検査研究所のサイトでは積水ハウス、大和ハウス、へーベルハウス、トヨタホーム、パナホームの大手ハウスメーカー5社、三菱地所、住友不動産、三井不動産の財閥系3社を名指しで批判しており、見ていて「言うねぇ」という言葉が漏れ出てきます。逆を言えば上から下までもれなく欠陥が含まれているのが現状だと言え、案外この点で日本は中国を笑えんなと個人的に思う次第です。

2015年6月27日土曜日

千葉のマッドシティ~21世紀の森と広場

 JR武蔵野線の新松戸駅~新八柱間を乗っていると途中で谷みたいなところに入り、眼前にやけに広い公園が広がる箇所があります。公園と言っても広さが結構半端じゃないくらい広く、街中を走ってたのが急にそんな風景へと切り替わるので見方によってはなかなか稀有な場所のように思えるわけですが、そここそが今日紹介するマッドシティこと松戸市の「21世紀の森と広場」です。

21世紀の森と広場(松戸市HP)

 21世紀の森と広場は元々堀があった場所を整備した、1993年に開園された公園です。20世紀にできたのに何で21世紀という名称を用いるんだと突っ込みたくなる気持ちを抑えて紹介を続けると、場所は先ほども言った通りに新松戸と新八柱の間、といっても私の感覚からすると新松戸と馬橋の中間くらいの位置にあって、小高い丘の上にあります。面積は50.5haあり公園としてはそこそこ広く、何よりも丘と丘の間にある窪まった所にあるので公園の中からの視界には外界が映らない点でいい意味での隔絶感があります。
 またこの公園の近くには同時に整備されたホール、博物館、図書館もあり、休日の行楽地としては及第点が得られる場所と言ってもいいでしょう。

「コスプレ聖地化計画」着々と進行中? 千葉県松戸市、愛好家集う「21世紀の森と広場」(THE PAGE)

 何気に今回記事を書くに当たって下調べをしている最中に初めて知ったのですが、なんとこの21世紀の森と広場はコスプレイヤーの撮影場所として密かな人気を得ているとのことです。松戸市のホームページ上でも「コスプレのご利用について」という利用届け出の案内ページまで設けられており、地味に整備されてるのがなんかやらしいです。
 このコスプレ撮影に使われていたという事実は本当に今の今まで私は知らず、試しにリアルマッドシティ市民である冷凍たこ焼き好きの友人にも振ってみたところ、その友人も全くこの事実を知りませんでした。京都市民が地元の寺社仏閣に実は行ったことがないというのと同じというべきか。

 そもそも松戸市をマッドシティと呼ぶようになったのもアニメでそういわれたのがきっかけで、また松戸市内を歩いていると変なアニメ絵で防犯を訴えるポスターが多数貼られていることから、地味にこの町はオタク関連と親和性が高いのかもしれません。とはいいながら露骨にオタク路線を前面に出すわけでもなくあくまで控えめにこうした活動を行っているという姿勢はなかなかに評価できるもので、出来ることなら今の路線のままマッドシティはやっていってもらいたいです。

 最後にこの21世紀の森と広場について個人的な思い出を書くと、ここは先にも述べた通りに小高い丘の上にあって、その丘に至るまでの道はまっすぐな一本道の坂道だったりします。これがサイクリングで走る上では悪くないコースで暇さえあれば6段変速のシティサイクル(ブリジストン製)に乗ってこの公園の入り口近くまで行っていました。
 確かあれは2010年の頃だったと思いますが、公園に至る坂を上り切りやれやれと一息つきながら自転車をこいでいたところ、後ろからヒュッと一台の自転車に追い抜かれました。私を追い抜いたのは小学校六年生くらいの女の子で、本当に意識の外から入ってこられるような感じで後ろに迫る気配が全く感じられないまま一瞬で追い抜かれてしまいました。

 この時何故か頭文字D的な妙なスイッチが入ってしまい、「ここでは俺がエンペラーだ(#゚Д゚)」と心の中で呟き、ペダルを踏む力を上げて女の子を一気に抜き返し、「体幹は悪くない。だがまだ踏み込みが足りんな( ゚∀゚)」とやけに上から目線な寸評を思い浮かべながらそのまま走り去って、丘の上から馬橋駅側へ降りる坂道を通って100満ボルト(当時はまだあった)に向かいました。今思うと、なんであんな大人気なく抜き返したのかわからないのと、あの女の子はその後も自転車を乗り続けているとすればいい乗り手になっただろうという気がします。

プラハ窓外投擲事件のAA

 世界史マニアでも多分あまり知られてないでしょうが現在のチェコで昔、「プラハ窓外投擲事件」という変わった事件が起きてます。それも三度も。
 具体的にどういう事件だったのかというとリンク先をウィキペディアのページで解説されていますが、わかりやすくしたAAが作られているので下記にて紹介します。

第一次プラハ窓外投擲事件
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄」
―――――――――――――‐┬┘
                        |
       ____.____    |   いらない
     |        |        |   |   ドイツ人市長を
     |        | ∧_∧ |   |   窓から
     |        |( ´∀`)つ ミ |   投げ捨てろ
     |        |/ ⊃  ノ |   |
        ̄ ̄ ̄ ̄' ̄ ̄ ̄ ̄    |   ∧_∧
                       (´Д` )
                       ⊂ ⊂ )
                     ⊂ ⊂ ,ノo

第二次プラハ窓外投擲事件
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄」
―――――――――――――‐┬┘
                        |
       ____.____    |   いらない
     |        |        |   |   国王顧問官を
     |        | ∧_∧ |   |   窓から
     |        |( ´∀`)つ ミ |   投げ捨てろ
     |        |/ ⊃  ノ |   |
        ̄ ̄ ̄ ̄' ̄ ̄ ̄ ̄    |   ∧_∧
                       (´Д` )
                       ⊂ ⊂ )
                     ⊂ ⊂ ,ノo

第三次プラハ窓外投擲事件
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄」
―――――――――――――‐┬┘
                        |
       ____.____    |   邪魔な
     |        |        |   |   外務大臣を
     |        | ∧_∧ |   |   窓から
     |        |( ´∀`)つ ミ |   投げ捨てろ
     |        |/ ⊃  ノ |   |
        ̄ ̄ ̄ ̄' ̄ ̄ ̄ ̄    |   ∧_∧
                       (´Д` )
                       ⊂ ⊂ )
                     ⊂ ⊂ ,ノo

 こう言ってはなんですが、本当にAAの通りの事件なだけに色々笑えてきます。っていうかなんでチェコ人はしょっちゅう窓から人を投げるんだろう?

マツダ・ロードスターに対する記事の優劣

 なんか自民党の方で出てきた報道規制に関する話題が盛り上がっているようでそっちを今日は記事に書こうかなと思いましたが、多分結論的にはそんなに面白い結論にはならないと思うのですっ飛ばして、当初の予定通りにマツダが先月発売した新型ロードスターについて書かれた記事の優劣について書きます。

新型「マツダ ロードスター」の販売が好調(マツダのプレスリリース)

 上記のリンク先はマツダが今月25日に発表したプレスリリースです。このプレスリリースでマツダはロードスターの初月販売台数が5042台となって好調な売れ行きを続けていると主張しています。このプレスリリースを受けマスコミ各社も記事を書いており、以下が主なラインナップとなっています。

マツダの新型ロードスター 1カ月で目標の10倍受注(産経新聞)
ロードスター、5042台受注…目標の10倍超(読売新聞)
新型マツダ・ロードスターが発売一か月で5000台以上を受注(clicccar)
マツダ新型ロードスター、受注5,000台! 購入者の反応は? - 40代中心に支持(マイナビニュース)

 どこもマツダの発表通りにロードスターの販売が好調であるという切り口で記事を書いており、内容もプレスリリースに書かれている内容を抜粋したように書いています。逆に言えば、プレスリリースに書かれている内容をただたれ流しているだけともいえ、特に特徴的なのは「顧客層は40代を中心に、20代から60代以上まで、世代を超えて幅広く支持を得ている」という文言です。
 この文言はプレスリリース中に書かれていてcliccarとマイナビニュースはほぼそのまんま使用しているのですが、産経と読売はちゃんとわかっていたのかそのまま書いてはいません。というのも、車の購入層が20代から60代までってそれって当たり前過ぎる事実だからです。むしろ購入層がこの世代に当てはまらない車の方が珍しいだけにわざわざアピールするところじゃないでしょう。

 この辺は私も経験あるので強く言えますが、マツダのプレスリリースはどうでもいい事実をさも重要であるかのように、無駄にアピールすることが多いです。中国事業についてはディーラー店数がこれだけ増えましたーって書いてること多かったし、あと「CX-5」という車種の枕詞には「クロスオーバーSUV」と毎回つけていましたが、これに関して私は当時の社内に対し、「クロスオーバーじゃないSUVの方が珍しい(実質、ジムニーとジープ位しかない)」と説明し、普通のSUVなんだからマツダの意味の分からない表現に惑わされるべきじゃないと主張して、「SUVのCX-5は~」という表現に改めさせました。

 いつもこんな具合なのでこのロードスターのプレスリリースも全体的に白々しさを覚えるし、また多少は仕方ないと記者に同情しつつも、そのまま垂れ流すメディアもどうかなとちょっと思います。そんな風に思っていたところ、ほかのメディアとは一線を画してこのロードスターについてケチをつけた記事がありました。

期待以上の「いいね!」、なのに「う~ん」…悩める新型ロードスター(オートックワン)

 このオートックワンの記事ではまず最初に5042台という販売台数の内訳についていきなり、

「発売直後のリリースは3323台という受注台数だったため、1ヶ月間で1719台ということになります」

 と書き、5042大の大半は発売前予約受注であって実質的な一ヶ月の販売台数は1719台だったと指摘してます。しかもその後で、この5042台の販売台数にはディーラーなどが試乗車として登録した台数も含まれるとして、実際に個人のユーザーが購入した台数は4500台程度だろうと分析しています。
 その上でロードスターの納車待ち期間は一ヶ月程度(2015年7~8月)であるのに対し、同時期にホンダが発売した「S660」は「現在最も早くて2016年4月」であることと比較して、本当にロートスターは人気なのか疑問符を投げかけています。しかもエンジンサイズに比べやや高い価格がユーザーを迷わせているのではという分析も書かれてあり、さすがその道専門の記者が書いた記事だと唸らされました。

 同じ事実一つとっても見方、書き方によって記事の質は大きく変わります。最後のオートックワンの記事は別格過ぎますが、ただ販売台数一つを取って売れ行き好調と垂れ流して書くのは果たしていかがなものかと私は前から感じています。第一、取引先や社員に無理やり買わせることも多いので、月間目標の何倍で売れたかを初月の販売台数でみるのはナンセンスもいい所でしょう。むしろ発売半年後で月間目標を上回っているか、その辺をきちんと調べてほしいな。
 結論をまとめると、マツダのプレスリリースは鵜呑みにできないというこの一言に尽きます。いやまぁ今回のロードスターはデザインは気に入ってるし、車重も1トン切ったのは凄いと思うんだけど、マツダはそれよりもむしろ自社のパートタイム4WD技術の高さをわかりやすくPRすべきだと思う。