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2014年8月14日木曜日

デフレビジネスの終焉

 書きたい記事がたくさんあるにもかかわらず何故だか昨日は気分が乗らず、そのまま布団に入っておねむになってしまいました。もっとも「企業居点」の方は100件近くデータを追加するなど熱心に更新して、ようやく収録データ数も14000件突破しました。これだけデータあればいろんな記事書けるし、もうそろそろこっちにもとりかからないとなぁ。手を広げ過ぎな気もするが。
 真面目な話をすると、昨日記事が書けなかったのは今書こうとしているネタ数本がヘビー級ボクサーの一発並に重たい内容のため、書くとしたらこっちも結構しんどくなることが予想されていたからです。幸いというか先々週に部屋を引っ越してからは妙な騒音もなくなりかなり集中力を維持できるようになって先週なんかも我ながらいいと思える記事を連発して投入出来たくらい環境が整ってきたのですが、それでもこれから書く記事は明日から軽い夏休みに入る今日じゃないと手を付けたくない内容です。あと関係ないですが、一昨日に壁に取り付けられるタイプのトイレットペーパーホルダーを買うことが出来て、これまでそういうのが無かったのもあり今非常に満足しています。
 
 ようやく話は本題に入りますが、久々に自分のブログの直近アクセス数を見てみると「平成史考察~玄倉川水難事故(1999年)」がやっぱりというか一位に来ていました。この記事は毎年このシーズンになると急激にアクセス上がるのでこれは予想できたことなのですが、その下の二位に今年四月に書いた「人材派遣企業各社の平均的マージン率」という記事が入ってきていることに驚きを覚えると共に素直にうれしく思いました。
 この記事は自分がまた一人(もっと友達が欲しい)で人材派遣のマージン率を調査しデータをまとめた上で書いた記事で、そこそこ力も入っていることもさることながら大手企業はこうしたデータの公開義務を放棄していると指摘するなど近年の記事としては最高傑作と見てもいいくらい気に入っています。にもかかわらずというか公開当初はそれほどアクセスが良くなく、「なんでやねん!」ってよく周りにもぼやいてましたが、時間が経つにつれこうやってじりじりと伸ばしてきたということはやはり社会的にも注目度の高いトピックであったのかと改めて感じ入りました。
 
 この記事はタイトルからもわかる通りに派遣労働者の報酬がメインテーマなのですが、これとは別に以前、具体的には2011年に「アルバイト人口を考える」という記事を私は執筆しています。こちらの「アルバイト人口を考える」という記事は中身を読んでもらった方が早いかもしれませんが、小売や飲食サービスなどといった業種の企業はほぼすべてどこも、主要な労働力を大学生アルバイトに頼り切っている点があり、仮にアルバイトする学生がいなくなれば途端に業務が成り立たなくなる可能性があると指摘しています。
 勘のいい人、というか私に近い感性を持っている人ならここで「ゼンショー」という単語を頭に浮かべるかもしれません。大手牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーでは近年、アルバイトを含む従業員の不足や、これまでの過剰というかまごうことなきブラックな労働が指摘されるなどして店舗の運営すら維持できず、日本各地で三桁にも上る店舗の閉店にまで追い込まれています。
 
 一体何故ゼンショーは従業員を集められなくなったのか。最大の理由としては間違いなくアベノミクスによる景気の上振れからくる労働者需要の増加、言うなれば人手不足の深刻化ですが、この背景にあるものとしてもう一つ、絶対的な労働者の減少があると私は見ています。
 
 先程にも書いたように私は外食チェーンや小売業はその労働力の多くを学生アルバイトに大きく依存し過ぎている傾向がこれまでにあったと考えています。今更ながら改めて考えてみると、バブル崩壊後の日本では売上げの減少に対してどこも人件費を削減することで収支を補ってきましたが、代替する労働力の対象として学生を取り込むという動きを、意識的にか無意識的にかまではわかりませんが国家ぐるみでなんかやっていたような気がします。高卒で就職させず大学進学率を引き上げようとする動きとかですが。
 更に言えば大学生でも物足りなくなり、今度はフリーターという言葉を使って高卒後、大卒後の若者を非正規採用の労働者に取り込み、これでも物足りないから今度は派遣を作り、それでも物足りないから最後は深夜の居酒屋に顕著な外国人留学生を使ったりと、なんかこうやって安く使える労働力を社会ぐるみで生んできたような気がしないでもありません。
 
 ただこれまではこうした手を変え品を変えというやり方でどうにかこうにか労働力を確保し続けることに成功してきましたが、もうそろそろ限界というか破綻する時期になってきたのかなというのが私の見方です。それと同時に、安い賃金の労働者に依存することで成立してきたいわゆる「安かろう悪かろうorまあよかろう」を是とするデフレビジネスも、終わりが近づいてきているかもとも考えるわけです。
 
 ゼンショーがアルバイトを募集しても確保できなくなってきているのはこれまでの安い賃金と過酷な労働が敬遠され始めてきたことに間違いありませんが、逆を言えば以前はそれでも働く人間がいたわけで、それが何故この段階で上手く回らなくなってきたのかというと単純にもう労働者が有り余っていないためではないかと思います。私がここで言うまでもなく日本の勤労人口は年々割と早いペースで減少してきておりますし、なおかつ若年層は少子化でそれがより顕著です。これまでは若者の数が減りながらも大学進学率が上昇することでアルバイトに入る若者の数をある程度維持できてたのかもしれませんが、既に大学進学率も頭打ちしてきており、フリーターという単語も最近聞かなくなるほど減ってきています。
 ならばと秘策の外国人留学生ですが、たとえば中国人なんかだと以前よりは今はもう大分裕福になっており、必死こいてでもアルバイトするような子は前よりは減ってる気がします。更に言えば、日本来るくらいだったらアメリカ留学を選択するほど、STAP問題を始めこのところ日本の学術的イニシアチブは落ち込んでるようにも見えます。
 
 改めて述べると、単純に3K労働に回る人材が急速に減少してきているのが現状ではないかと言いたいわけです。さらに進めて述べると、低賃金でフルに働かせることでゼンショーを始めとしたデフレビジネスの企業は採算を維持してきましたが、労働者が確保できなくなれば元も子もなく、また賃金を上げる代わりに価格の値上げをしようものなら品質の高いほかの店と価格が並ぶわけですし、はっきり言っちゃうとこの先暗いよと私は思ってます。
 2000年代の日本ではデフレが進行したことによってとにもかくにも低価格の商品やサービスが伸びてきましたが、もうそろそろこうしたデフレビジネスも限界にきているのかもしれません。となるとデフレからの脱却も近いのかと言えそうですが、現時点ではただ労働者が減少しているだけで、全体で賃金が上がっているわけではないためデフレ脱却というにはまだ早いでしょう。とはいえ、こうした動きは全体景気を考える上でまだ前向きでいい材料なのではないかと私は支持します。最後に付け加えて言うと、労働法を確信犯で無視する姿勢を明確に打ち出しているゼンショーは何故上場維持が許されるのか、誰もケチ付けない日本は怖いなってところです。
 
 明日から私用で上海にしばらく滞在するため8/18(月)までブログを休みます。明日は後輩二人と会うけど、財布のお金足りるかなぁ。

2 件のコメント:

上海忍者 さんのコメント...

無事に後輩と会いましたか?沢山奢ったでしょうか?

花園祐 さんのコメント...

 君も横でエビ食っとったやん。