2016年9月2日金曜日

人切りのプロ

 ネット上でよくある人材紹介会社の広告に、「採用のプロがあなたに最高の職場を」という謳い文句が付けられていますが、人材エージェントでそんなに実力の差とか出るのかななんて内心疑いの目を持って見ています。

 ただ人事関連職では所属する企業によってその実力ははっきり分かれると言われ、名古屋に左遷された親父の受け売りですが大手メーカーの人事部の職員は間違いなく実力者でありエース級の人材ほど人事部へ配属されると聞きます。理由はごく単純で、場合によっては数万人単位の従業員の配置を計画し、数年後を見据えたジョブローテーションまでも組まなければならないからです。
 一方、逆に従業員数の少ないメディア系や商社系企業の人事部となると今度は駄目な人間の引受先になると言われ、自分のこれまでの経験から言ってもあながち間違っていないというか扱う人数によって同じ人事部でも能力が大きく変わってくると思います。

 そうした人事部職員の中で、あくまで人伝に聞いた範囲ですが地味に重宝される能力というか経験として真っ先に挙がってくるのはクビ切りのノウハウだそうです。日本はバブル崩壊以降は常に不況と言われるだけあってどの業界でも多かれ少なかれリストラの必要性があり、特に従業員の多い会社ほどそうしたクビ切りならぬ人切りのプロの需要が高く、そのレアリティの高さもあって転職市場の中でも一際需要が高いカテゴリーだと聞きます。

 現実にリストラ旋風が巻き起こった2000年前後ではあちこちで数千人単位のクビ切りが起こり、先程出てきたうちの親父も取引先で仲の良かった知り合いがまさにこの担当となり、数千人を切りながらも上司からはもっと切れ、まだ足りん、何をしていると言われ続け、「お前こそ切りたいわボケ!」と内心思っていたという話を聞いたことがあります。口でいうのは簡単ですが数千人単位のクビきりとなるとその精神的プレッシャーも相当なもので、切られる従業員の家族も数万人単位で人生に影響を与えることとなりますし、社内外で無用な恨みを買うことも予想に難くありません。
 実際、こうしたリストラの実行者はリストラの完了後はその一身に恨みを買うことから社内にはおられず退職するケースが多いと聞きます。上記の親父の知り合いも、クビを切るだけ切った後で最後に自分も切られる羽目となったと話していました。ただそうして辞めてったクビキラーはやはり人材需要は高いだけに、「次は是非うちで人を切ってくれ」という感じでオファーは殺到するそうですが。

 真面目な話、こうした人切りに関しては確かに専門的な分野であるだけにその道のプロというか経験者にぜひお願いしたいなというのはよくわかります。現時点でそういったプロが活躍しそうなのは思いつくのだとシャープですが、募集をかけてやってきた人切りのプロは面接とかで、「私はこれまでに三千人を切ってきました」とか「私に狙われて生き残った人間はいません」などと、幕末の人斬りみたいなピーアールをするのだろうかと思うとちょっと楽しく感じます。
 ただ最近思うのですが、この辺の人事という業務はもっとアウトソーシングした方が案外効率良いのではとこのところよく思います。実際一部で昇給管理とか海外拠点を含めた勤怠管理を行うアウトソーシング業者が存在しますが、外部の人間の方が評定とかその当たりである意味公平だし、実際の人柄とか見ないで判断するのはどうかと思う人もいますが、そうした人柄や普段の行動も含めデータ化して人事を行うのが普通じゃないかと思う当たり、まだまだ多くの日系企業は人事業務をサボっていると前から考えています。

 プロ野球などは空振り一回、アウト一回、ヒット一本ごとに査定が入ってその年俸も上下するほど事細かに見ており、球団社長を経験した人物も通常の企業の人事査定が甘いように思えてきたと話しているのを見て、そうした年俸や人切りも丸ごと請け負う人事のプロ集団によるアウトソーシングに任せた方がいいのではと思うようになりました。流行んないかなぁ、こういうサービス。

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