知る人ぞ知るカルト映画の「ファイトクラブ」の冒頭で、エドワード・ノートン演じるエリートサラリーマン(自動車の不具合箇所についてリコール費用と事故被害者への賠償のどっちが高いかを判断する仕事)の主人公が、「僕も周りの人たちのように家の中を流行りの北欧家具で埋めてみたが、特に大きな満足感は得られなかった」と言うシーンがあります。このセリフの「北欧家具」都は恐らくIKEAの家具のことでしょうが、確かに中国でも数年前からIKEAの家具で家の中を埋め尽くすというのが憧れというかトレンドのようになっている節があります。
ただ上記の主人公(役名は実際にない)はこうした流行の家具を買い漁っても満足感を得られず、人生にやる気というか面白味を感じない生活が続くこととなります。その後については出張先でブラッド・ピット演じるタイラー・ダーデンという破天荒な男と出会い、お金を賭けたりすることもなくただ週末に地下室に集まり合い、男同士で殴り合いをするという「ファイトクラブ」を創設することとなるのですが、そうした映画のシナリオは置いといてこのところ家具による満足度で先度のセリフがよくよぎります。
知ってる人には早いですが私は2010年くらいからほぼ2年ペースで引っ越しを繰り返しており、リアルに3年以上同じ部屋に住んだことがありません。それだけ引っ越しが頻繁なこともあってか家具を買ったところでいちいち引っ越しの度に持って行けず、結局引っ越し前の部屋に置いて大家に挙げてしまうことが多いため、「あまり高額、というか家具そのもの自体あまり買わない方がいい」という境地に至るようになりました。
ただ現在いる部屋は住み始めて既に2年を経過しており、このペースだと実に久しぶりに3年超の滞在が達成出来そうな予感です。仕事も今のところ転職するような予定は全くないためこのまま現状が維持が続きそうで、そうした背景もあってか以前と比べてやや高い家具とかも去年あたりから揃えるようになってきました。
具体的に挙げるとパソコン用のデスクと椅子、あと折り畳み式のチェアですが、デスクと椅子については安い値段のをそれぞれ持っていたにもかかわらずわざわざ高いものに買い替え(つってもどちらも単体で5000円行かない)、サイズ的に引っ越した場合は持っていくことはほぼ不可能なのに買ってしまってます。このほか中国だと割と安く買えるもんだから無駄にクッションとか首に巻く枕などもやたらめったら買っており、最近はリアルに置き場所とかどうしようと思うくらい家具が増えてきました。ついでに書くと趣味の茶碗やマグカップも増殖中です。
しかし、と言っては何ですが、こうした家具が揃えば揃うほどなんか前より部屋にいて落ち着かなくなっていることに最近気が付きました。元々、あまり家具とかおかずがらんとした部屋が好きだったということが大きいでしょうが、なんとなく部屋の隙間が埋まるたびに、笑うせぇるすまんじゃありませんが自分の心の隙間も埋まっていくというか余裕がなくなってきているように思え、上記のファイトクラブのセリフを思い出すに至ったわけです。
単純に自分だけの価値観かもしれませんが、なんとなく家具については「ああここにあれがあればいいのに」と軽く不足感を覚えるくらいの方がいいのかもしれません。何でもそろっているとかえって手狭感を覚えてしまい、またビビッドな色など目立つ外見の家具は何度も見るうちに違和感を感じるようになるのでむしろ飽きないような保守的なデザインを選ぶのも吉でしょう。そう考えると、学生時代の「なんやこれ?何もあらへん?」とリアルに言われたくらいがらんどうだった自分の部屋は案外ありだったかもしれず、友人も「自分の部屋より花園君の部屋のが落ち着くんやけど」と言ってました。
なお、もし日本に帰ってまた引っ越すなら、椅子を完全に排除した部屋を設計しようかと考えてます。パソコンデスクも座卓にし、座った状態で目線より上にはエアコン以外置かず、収納も風呂敷かぶせるだけなくらいに変な工夫して、がらんどうの空間を意図的に作れないかと今考えてます。何気にテレビもパソコンで見れるようにすればもういらんかもな。
と、ここまで家具はイランと書いておきながら、部屋のインテリア道具としての戦闘機プラモはこのところどんどん増殖しています。枕元にはタイフーンあるし、冷蔵庫の上にはJ-20がおるしで、こっちもリアルに置き場所に困りはじめてきました。
ちなみに私の感覚で言えば、車でも飛行機でもプラモ1体だけ部屋にインテリアとして置いておくのはクールです。けど2体、3体と増えてくると、なんかいろいろおかしくなってきます。で以って戦闘機は冷蔵庫の上が置き場所として地味にいいです。
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