上のまとめ記事は大分前に見ていながらこれまで紹介するのが遅れました。結論から言うと、私も相続税はこの際廃止すべきだという立場です。
相続税がなくなると金持ちは金持ちのまま、貧乏人は貧乏人のままという階層論に発展しがちですが、端的に言って、相続税がある現在においてもそれはほとんど変わりがありません。でも相続税をなくすとさらにその傾向が加速するのではという人もいますが、富裕層がその富を維持する率は確かに多少上がるかもしれませんが、中産層が無産層に落ちなくなる率も高まると私は見ています。
上のまとめ記事でも言及されていますが、現代においてはガチな富裕層ほど資産を海外に移すなど対策を採ることによって、相続税から免れやすくなっています。実質的に、日本国内で相続税を維持しても富裕層からとれる量というのは年々狭まりつつあるのが現状です。この辺は清武氏の「プライベートバンカー」なんかでよく描かれています。
一方で住宅などで1~2億円程度の資産を持つ中産層はというと、海外に資産を移すとなると運用益よりコストの方が大きくなるため資産を保全できず、結局のところ現在の相続税はこの手の中産階級が主な対象となってきています。中には資産が住宅だけで現金がなかった場合、相続税を支払うためだけに自宅を手放すなんて言うケースも実際にあると聞きます。こういうのを見ると、かなり不毛な感じがしてなりません。
そもそも日本の相続税制度は、相続する人数によって課税額が変わってくるというやや妙な仕組みになっています。例えば親が死んで遺産を相続する際、遺産額が同じでも相続者の人数が1人の場合と3人の場合とでは、後者の方が税金として取られる金額が少なくなります。基礎控除が絡むことによってこうなるのですが、いまいち納得感のない制度だと思うし実際にそう指摘されています。
またこの基礎控除の計算を始め相続税の税額計算は非常にややこしく、不動産なども相続するとなると価値の鑑定も必要となり、こうした税額計算や査定においても尋常ならざるコストを官民ともに負担しています。仮に相続税がなければこの手のコストは全部不要となり、また富裕層の流出を防ぐことによって国内に現金が流通することも考えれば、私としては相続税がない方が国としてはメリットがあると考えます。
さっと調べたところ、相続税の全体税収割合は年によってばらつきがあるものの、大体2%前後で2兆円はあるようです。確かに2兆円は惜しいと思うものの、富裕層が日本国内に留まることによるメリット、中産階級の没落を防ぐメリット、税額査定にかかる社会的コストの排除のメリット考慮して、この際相続税廃止に世の中変わってくれればと思えてなりません。
敢えて妥協するならば、不動産に関しては一般の不動産取引のように相続を譲渡と捉えて、譲渡に付帯する登記費用や税金は今のまま残すべきでしょう。さすがにこれなくしたら逆にややこしくなりそう(;´・ω・)
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