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2008年9月9日火曜日

三笠フーズの事件について

 既にニュースなどで取り上げられていますが、食品卸売り販売会社の三笠フーズが農薬などに汚染されのりの製造といった工業用にしか本来使用が許されない「事故米」を、酒造会社などに販売していたそうです。そのおかげで今、どこの酒販売店でもリコールの嵐になってるそうですが、鹿児島県生まれのうちのお袋に言わせると、鹿児島の人間なら事故米の酒だろうと捨てるならくれと言い出すだろう、とのことです。実際、親戚見ていてそんな気がします。

 今回のニュースに始まるわけじゃないですが、こうした食品関係のはちゃめちゃっぷりは昔からだそうです。今回表に出たのも氷山の一角と言いますし、慌てるだけ損、どうせ日本人はただでさえ長命なんだから、そんなに大きく気にしてはいけないと思います。もちろんこんな不正をしている会社を許してはいけませんが、だからといって消費者が過剰に怒りを持つのはかえって危険な気がします。それこそ以前に書いた「韓国BSE騒動について」で触れているように、途中からわけのわからないほうにその怒りが向けられる可能性があります。実際、日本でもBSE騒動の際はその兆候がありました。

 ここでちょっと書きますが、私は単純に被害者意識ほど危険で手に負えない感情はないと思います。以前に教わっていた人の受け売りですが、戦争と平和というのは必ずしも対立関係にあるわけでないそうです。というのも、国や家族を守るために戦争をする、というような理由立てで戦争が引き起こされることも珍しくないそうです。実際、戦争というのはかつての日本や今の北朝鮮のように貧しい側から引き起こされることの可能性が高く、その際には富める国に対して、「あいつらのせいで自分たちが苦労しているんだ」というように、被害者意識を為政者は掻き立てて戦争にします。

 また今度にこれについて深く書きますが、くれぐれも言っておくことは被害者意識はないに越したことはないということです。社会での不正や悪巧みに対して怒りは必要です。しかし、冷静さを失った怒りというのもまた悪だということです。

首相辞任劇の政治風刺について

ロンドンの甃 「首相11号」の辞任(MSNニュース)

 リンクに貼ったニュースによると、英紙「フィナンシャルタイムズ」では日本の首相はころころと変わることから、唯一任期の長かった小泉元首相を除いて90年以後からは番号で呼ばれていたようで、今回の福田首相辞任劇も福田首相のことを「首相11号」と呼んで、
「鳥だ! 飛行機だ! いや、奈落に落ちていくのは日本の首相だ!」
 という風に書かれたそうです。表現的に非常にうまいですし、いい意味で政治風刺になっていると思います。こうした政治風刺表現は昔はそうでもなかったのですが、今じゃ日本にはまともなジャーナリストはいないのか、こうしたシニカルで面白みのある政治風刺はほとんど見られなくなりました。

 今回の辞任劇でも、辞任会見の際に福田氏が言った「あなたとは違うんです」という、中国新聞記者の質問に対して言った言葉が評判になってますが、これは言葉自体がネタにされているだけで別にジャーナリストが自ら作った表現でもなく、現段階で今回の辞任劇を言い表すうまい表現というものは未だに出てきておりません。

 さてそんな風に政治風刺のことを考えていた時、突然ちょうど一年前の出来事を思い出しました。その一年前の出来事というのも、安倍前首相の辞任劇です。
 今回の福田首相同様に臨時国会の開会直前の突然の辞任劇に当時もマスコミはあれこれ安倍氏(どうでもいいけど、テレビで見てて毎回「あべし」と、北斗の拳っぽく聞こえていたが誰も突っ込まなかったなぁ)を非難する報道ばかりで、最初に紹介したような思わずうならせるような政治風刺表現はあまり見受けられませんでした。

 しかしそんな中、唯一ある全国紙の新聞が冒険をしてきました。何を隠そう、朝日新聞です。

「近頃OLたちの間で、『アベする』という言葉が流行っている」

 とか言うような書き出しだったかな。
 一年前、朝日新聞は自紙の社説にて、突然予定をキャンセルする、責任を果たさないということを安倍前首相の突然の辞任劇に喩えて「アベする」という言葉が出来、この言葉がこのところあちこちで流行っているという社説を書いてきました。
 もちろん私個人の実感でもこんな「アベする」という言葉は一度も聞いたことがなく、お世辞にも流行っているとはとても言えない状況で、まず間違いなくこの社説を書いた人が自分が作った表現を大げさに書いたに過ぎないものでした。しかし朝日新聞に対して反感の強い「2ちゃんねる」などではこの社説が出るや、やれ捏造癖が出ただの、いやらしい表現だの、果てには今年のネット流行語は捏造を行うという意味の「アサヒる」だとあれこれ騒ぎになりました。

 私としては確かに表現に行き過ぎはあったものの、朝日新聞は他のジャーナリストが安倍首相の辞任劇を風刺する表現を一切行わない中で唯一挑戦してきたので、その点を考えると、表現に挑戦してこなかった他紙よりはずっと立派だと思う……一方で、確かにくだらない表現だなぁとも思っちゃいます。まぁ頑張ったけど努力が足らなかったんだねというような評価です。

 しかしこの問題は、その後何故だか場外乱闘にまで発展する事態になっていきます。
 私が憎んでやまず、毎夜北斗七星に向かって呪いを送り続ける中日新聞がこちらも社説にて、

「いや、朝日の言うとおり確かに『アベする』という言葉は流行っているぞ」

 とか言い出してきました。こちらも2ちゃんねるの方々から嫌われているだけあって、こんなこと言い出してまたあれこれ叩かれました。はっきり言って私も、だったらきちんとRODでもいいから統計調査した結果を出してみろよとか思いましたよ。朝日は行き過ぎがありましたがあくまで事態を表現しているのにとどまっているのに対して、中日は主観で分けのわからないことを言い出してきた辺り、余計始末に置けない気がします。ほんと、この新聞社は早く潰れてくれないかな。今日もまた呪おう。

 さて、何故私がこんなことを今日になって思い出したのかというと、今の状況こそまさに、朝日新聞の言う「アベする」という状況なんじゃないかなぁ、と思ったからです。首相の突然の責任放棄による辞任、状況から主役まで全く一緒なんですし、せっかく作った表現なんだから朝日新聞も再利用して、

「去年に引き続き、OLたちの間で『アベする』という言葉が流行っている」

 という風にまた社説を書いてきたら、捏造とはいえその熱意だけは認めてもいいのではと思いました。しかし一応やめるのは福田首相なのですから、

「去年の『アベする』に引き続き、OLたちの間で今年は『フクダる』という言葉が流行っている」

 という風にでもなるのでしょうか。にしても、OLばっかじゃなくてたまにはOG(オフィスジェントルマン)の間で流行ってもいい気がします。それと、「フクダる」と書くとなんとなく、「突然キャンセルする」という意味より、「オランウータンに似てくる」というような意味合いに聞こえてきそうです。もしくは、「あなたとは違うんです」と、自分を客観的に見られる人間になってきたというような意味合いでしょうか。どっちにしろ、こんな言葉が流行ることは永遠にありえないでしょう。

2008年9月8日月曜日

韓国経済ニュースについて

韓国ウォンが過去10年余りで最大の上げ、当局が介入実施のもよう(YAHOOニュース)

 前々から韓国の通貨「ウォン」が大幅に下落して、第二のアジア通貨危機が起こるのではないかと噂が流れていましたが、このニュースによるとどうやら危機感は一時的に解消され、ウォンの価格も値上がっているようです。今日の日経平均株価も先週に一気に400円位下がり、景気の先行きに不透明感が広がっていましたが今日は一転400円以上の値上がりを見せています。

 あまりこれらの激しい変動の背景などを把握はしていませんが、中国もオリンピックが終わってそろそろ世界的にも景気後退期に入るのではないかと思っているので、何かしら情報があればご提供ください。

2008年9月7日日曜日

自民党総裁選予想

 今朝のテレビ番組サンデープロジェクトにて与謝野、麻生を除く残り五人の自民党総裁選立候補者が出演し、意見を知る機会がありました。昨夜に友人から今度の総裁選で誰が勝つのだろうかと尋ねられたので、予想を含めて各人の意見などを現段階で簡単にまとめます。

 まず、結論から言って現在の本命候補は与謝野氏でしょう。麻生氏ではないのかという意見もあるでしょうが、彼の場合早くにマスコミに注目されたこともあり、またよくテレビなどに映し出されることから他候補としては彼を批判すれば政策などで独自性が出しやすくなるので、今後も集中攻撃を受けることが予想されます。そういったことを考慮すれば、現時点で麻生氏の線は相当低いのではないかと私は予想します。

 では残りの候補はどうかというと、これは前の記事でも書きましたが石原氏を除く他の若手候補者は皆支持議員が被っており、推薦人確保すらはっきりしない現状です。早くも山本一太氏と棚橋泰文氏がどちらか候補を一本化することを協議したらしく、小池氏、石破氏も今後同様の動きを見せるのではないかと思います。

 今回の候補者のうち、棚橋氏はこれまで私はデータを持っていなかったのですが、今朝のサンデープロジェクトを見て思想や政策ビジョンなどを簡単に知ることができました。まず私の第一印象を言わせてもらうと、彼は非常に四角い価値観の持ち主で、あまり融通の利かなそうなタイプに見えました。政策ビジョンとしては小泉改革の継続ということで、山本氏と基本路線は大きく違いがなさそうです。にしても、田原氏はこの人嫌いだったのかな、やけに質問が厳しかったけど。

 さて今朝のサンデープロジェクト内でも少し議論になりましたが、マスコミの方があまり質問しないので代わりに私がここで提言させてもらいますが、候補者たちが次の総選挙で優勢復党組、落選組、小泉チルドレンの処遇をどうするのかということが一番気になります。
 はっきり言いますが、この問題は自民党にとってのどに刺さった魚の骨です。山本氏なんて自分が総裁になったら即解散すると言っていましたが、この問題に対して各候補がどのように対処するのかがある意味政策以上に自民党、ひいては国政にとって大きなポイントになると私は考えています。マスコミの方にも少し苦言を言わせてもらいますが、何故誰もこの質問を出さないのか非常に私は呆れます。この問題の対処の仕方、それこそ復党組を優先するのか小泉チルドレンを優先するのかという態度だけでもその候補がどのような政策を続けようとするのかという姿勢がすぐにわかるというのに。

 それで一気に結論ですが、何だかんだ言ってこれらの候補の中で一番無難そうなのは与謝野氏で、大きな番狂わせがない限りこの人に決まると私は思います。それこそ小泉氏が始めて総裁選で勝利した際の田中眞紀子旋風のように、国民から熱烈な支持が誰かに集まるなどというのがその番狂わせですが、恐らくよっぽどのことがない限りそれは起こらず(選挙期間が短いため)、党内の覚えがめでたい与謝野氏に行くというのがその根拠です。

 私としては若手の候補者の中で石原氏は国土国通大臣をやってた際に藤井治芳にいい様に振り回されたりして頼りなく、山本氏、棚橋氏も未知数で、石破氏は専門性の高い場所では活躍しそうだけど総理大臣には……と思うと、まぁ与謝野氏でいいんじゃないかと思います。まぁこの人は以前に民主党の長妻昭氏に明らかに論戦で負けてたけどこの人。
 小池氏も未知数ではありますが、前回の記事同様に就任後すぐに民主党に負けることが折込詰みなら一番いいと思います。詳しくは前の記事を読んでください。

 と、ここまであれこれ理由は挙げていますが、私が一番今回の選挙で望んでいないのは麻生氏が勝つことです。ここではっきり言いますが、この人は経済政策のことを何も理解しておりません。理解しているとしても、それは高度経済成長時代の手法だけで、今の時代には何の役に立たず、かえって日本を駄目にさせるだけです。つまるところ、麻生氏以外なら誰でもよいというのが私の立場です。

野球の今シーズン終盤について

 ちょっと息抜きに趣味の話でもしようと思います。

 恐らく自分だけじゃないでしょうが、今セパ両リーグで野球がめちゃくちゃ面白いことになっています。パリーグではシーズン前にぶっちぎりで最下位予想が高く、またシーズン中に監督が交代してやっぱり今年も駄目かと思われていたオリックスがここに来て脅威の連勝劇を見せ、いつの間にやら首位西武を追いかけて二位に張り付いているじゃないですか。シーズン前にカブレラを取って、またロートルを取っちゃってと思ってたらローズと一緒に打つわ打つわ。ピッチャーは前からいいのがいたからこの結果にもなんとなく納得できるけど。

 同じパリーグだと首位争いだけじゃなくプレーオフ争いも今熾烈で、ソフトバンク、日ハム、ロッテでこっちも熾烈な争いを繰り広げているのが面白いです。さすがに楽天は大分交代しちゃったけど、個人成績で岩隈が今シーズン20勝達成なるかが気になります。

 セリーグはオリンピック前まで阪神のぶっちぎりの独走かと思われましたが、星野が新井を故障させてくれたおかげで一気に負けが越してきて、一昨日なんか一時マジックが消滅するし。こっちも三位争いが激しくなってきて、中日と広島が激しく争っています。
 ちなみにうちの親父は今広島にいるのですが、なんでもオリンピック期間中に広島はえらいことになっていたようです。全くニュースなどで報道されていない期間中にえらく勝ち越し今のように中日と順位を争うところまで来て、広島県民は狂喜乱舞していたそうです。私としても広島が好きなわけじゃないですが中日が大嫌いなのでひどく溜飲の下がる思いをします。

 さて今後の終盤戦ですが、個人成績もさることながらプレーオフが楽しみです。私の贔屓にしている球団はソフトバンク、阪神なので、この二チームにはぜひともプレーオフに進んでもらいたいです。それにしても、オリンピックがなければ阪神の藤川はシーズン最多セーブ記録を更新できのになぁ。

孤独に強くあれ日本人

 これも昨日の友人との会話に出てきた話ですが、

私「この前にブログに書いた『情報社会論』の記事は結構好評だった」
友「ああ、あの話ね。確かに花園君の言うとおりに社交的な人間なら故郷だろうが家族だろうが切り離されても平気だろうけど、みんながみんな人間的に強いわけじゃないしね」
私「そこなんだけど、前回の続きになるが私は以前から日本の人付き合いに関する教育に問題があると思う」
友「どんなところにさ?」
私「日本は集団性を重んじるあまりに、友人が少ない人間は人としての価値がないとばかりに、脅迫的に教え込むところがある気がするんだ」
友「花園君のこれまでの経験からなら、そう言えるだろうね」

 この友人は高校時代からの知り合いなので、割合に話が早いです。勘のいい人はここまででわかると思いますが、高校時代に私はかなり孤立していました。
 私が言いたい結論を先に言うと、日本は何が何でも友人を作れ、友人のいない人間は没価値だと日頃から信じ込み、逆に孤独に対して非常に弱い人間を作ってしまっていると私は考えています。

 恐らくこれは日本人ならまず間違いなく教え込まれているでしょうが、友達はたくさん作れ、なるべく一人でいるなと小学生の頃から教師や親に言い含められます。別にこれらの意見自体が間違っているわけではなく、確かに友人たちとの交流から人間は数多くのことを学んでいきます。ですが私が見る限り、この友人の必要性に対して日本の教育は極端に行き過ぎていて、何事も集団と同じ行動を取らねばいけない、枠からはみ出るなと半ば脅迫的に暗示させているような気がします。

 その結果が、友人のいない、少ない人間に対する印象です。多分こういった人間にどんな印象を持つかと言う調査を行ったら、八割以上の人間が「暗い」、「陰気」、「つまらない」というネガティブな印象にまとめられるでしょう。ちょっと違う見方をすると、友人は少ないけどその少ない友人を大事にする人間とか、一人でも落ち着いて行動のできる人間といった人間像であってもおかしくはないはずです。ですが実際にそういった数少ない友人を大事にする人間は間違いなく周りからは暗い奴と呼ばれてしまいます。

 この友人の必要性に対する教育が行き過ぎている一つの事例として、日本人にのみ起こるという「ランチタイム症候群」というのがあります。これは会社内で昼ごはんを一緒に食べる人間がいなく、寂しいために会社をやめてしまうというような人のことを指しますが、冷静に考えるならば本当にくだらない理由な気がします。ですが日本人の場合、誰かと一緒にいなければならないという強迫観念が強過ぎるために、孤独な環境(実際にはそれほど孤独でもないでしょうが)におかれると極端に不安が強くなり、ひどい場合などは自分で自分を貶めるようにもなって行きます。

 アメリカなどの場合、伝え聞くところでは逆に孤独に強い人間像を教育上重視するらしいです。その分他国の人間と比べて協調性のない人間ができてしまいますが、それはそれで、日本人にもそういった教育が少しは必要なんじゃないかとこのところ私は思っています。以前にも少し取り上げましたが近年、せっかく大学に入学しても友達ができない、環境に合わないといって大学を辞めていく若者が増えているそうですが、そういった若者が増えている背景に、孤独に対する訓練や教育が全くなされず、それどころか余計に弱くさせているのではないかと私は考えています。

 実際に私が大学生時代だった頃、友人の友人が朝から晩までサークルの部室に入り浸ってたらしく、常にサークルの仲間と一緒にいないと寂しいと言っていたそうです。なおそれを教えてくれたその高知出身の友人は逆に、常に人といて頭がおかしくならないのか、自分はむしろ一人の時間の方がほしいと言うような、田舎者の癖に孤独に強い奴でした。

 再び私の意見をまとめると、日本人は十分協調性が高いのだから、むしろバランスを取るくらいの勢いでもっと孤独に対して強くなるべきだと思います。それこそ一週間誰とも口を聞かなくても平気でいられるとか、孤立無援の敵の中でも平静を保っていられるというような理想の人間像を持つべきだと思います。よく日本人は独創性が足りない、これから育てねばならないといっている傍で、こういった人間像を持たないというのは致命的な気がします。

  おまけ
 私の場合は中高一貫の私立学校に通っており、周りの人間の考え方や行動が年を経るに連れて非常に限定的、閉鎖的になっていくのを見て、こんな人間らと関わるべきじゃないと考えて孤高を保ちました。そしたら別になんら接点を持たない人間らから影で暗いだのなんだの、一度も話したこともない人間らから悪し様に陰口を叩かれるのをみて、自分の判断は間違っていなかったと再確認しました。

2008年9月6日土曜日

20年後の今の若者の未来

 この記事は私独自の持論であって特に誰かの意見とかを採用したり、厳密な根拠があるわけではありませんのでご注意ください。

 これまで私のブログでも何度か触れていますが、率直に言って現在の日本の若者の未来と言うのは言われているほどひどくない、というより結構明るいのではないかとみております。

 その理由というのは単純に世代別人口比です。現在60~63歳までのいわゆる「団塊の世代」が日本の人口上で大きな幅を取っており、人口構成比をおかしくしている最大の原因に間違いはありません。しかしこれを現在の日本人の平均寿命から逆算すると、今は男女合わせて約80歳ですから、単純計算でこれから20年後に団塊の世代に当たる高齢者の大半が逝去されることとなります。これが何を意味するかと言うと、今後20年間は確かに社会保障費の支出が恐らく歴史上最高になるでしょうが、この20年間をどうにかして乗り越えさえすれば、それ以降の社会保障支出も年々減ってゆき、世代別人口比のバランスも劇的に回復することが見込まれます。

 さらに言うと、これは現在年齢が20代の若者にとってですが、今日本の企業ではどこも30代の社員が丸々抜けております。その理由は他でもなく、90年代の社会的不況と就職難から、この世代の採用が徹底的に絞られてきたからです。現在はようやく企業に余裕が出てきた頃なので中途採用などでどの企業もこの穴を埋めるためにこの世代の人材獲得に熱心ではありますが、それでも近年の大量に雇用された(される)新卒と比べると、今後も人数に圧倒的な差が残ることは確実です。

 これが何を意味するかというと、今、どの企業でも社内世代別人口が一番膨れているのはバブル期に大量採用された40歳過ぎくらいの社員たちでしょう。この社員たちは先ほどに社会保障がひとまずの目途がつく20年後になるとほぼ全員が定年を迎え、企業を退職することになります。その際、現在20代の若者(その頃は40過ぎになっているが)は上の年代がぽっかりと抜けているので、ちょっと汚い事を言うと、社内ポストに大幅な空きが見込まれます。つまり、今後20年間は確かに大変かもしれませんが、逆にそれを乗り越えれば今の若者が社内で最も世代別人口が大きくなり、また上の年代が存在しないために自分たちで会社を好き勝手運営していくことができるようになるのです。

 もちろんこの20年の間に会社が倒産したり、日本全体が駄目になったりしたらどうしようもないのですが、現状の企業風土になじめない方や、自分の思い通りに企業を動かして生きたいと考えている方にとっては必ずそのチャンスが巡ってくることが予想されます。まぁこれは正社員の人間に限ることなのですが、敢えて都合よく解釈すれば、現状でもほとんどの企業で人員が足りていないと言われているので、今不安定な職業についている方でもチャンスは巡ってくると思います。

 よく現代の若者は不幸だとか、若者自身も嫌な時代だと愚痴る現代の風潮ですが、世代別人口に着目して考えるならば現代の若者は割合にチャンスが多い世代だと思います。もっともそれは私自身も現在20代の若者であり、知らず知らず自分に都合よく物事を捉えているからかもしれませんが。

 今まではこの考え方は自分に都合よく考えているだけなのではと思ってはっきりと主張しませんでしたが、もうこのブログでも何度も取り上げている田原総一朗氏とさいとう健氏の討論会にて、田原氏が最初にあげた今後20年間我慢すれば社会保障は目途がつくとおっしゃられており、私と同じ考えを持つ人間がいたことがわかって自信を持つようになり、今回発表するに至りました。

 結びとして再度言いたいのは、今新卒社員は三年以内に退職すると言われております。理由は様々でしょうし、実際に退職した私の知り合いのように、不動産業界の会社にいたがその会社が法律違反を繰り返していたとかそういう理由ならともかく、なんとなく社風に合わない、労働がきついとかいう理由でしたら、今後20年間を我慢すればその分の苦労は報われる可能性が非常に高いです。ですから、苦しくとも希望を捨てず、やけっぱちにならずに同じ若者同士で頑張っていきましょう。