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2012年8月25日土曜日

野田首相の評価と次回総裁選の予想

 今日はこの後引っ越しがあるのでささっとかける政治ネタを午前中に出しときます。それにしても政治ネタをささっとと言うのもなぁ。

 2002年の文系春秋に「小泉首相の通信簿」という各論者の小泉元首相への評価をまとめた記事があって結構気に入っており、今回もまた野田首相に対して私の評価をまとめようと思います。まず10段階評価で言えば7か8、パーフェクトでないにしろ高く評価しております。具体的な評価ポイントとしては以下の点が挙がってきます。

1、消費税増税
2、TPP交渉の参加姿勢
3、尖閣諸島への中国人活動家上陸事件に対する落ち着いた対応
4、小沢一郎の民主党からの追放
5、野党対策

 1と2に関してはこれまでも書いているので省略しますが、3についてはまさに完璧だったと大きく太鼓判を押してもいいくらいの見事な対応でした。繰り返しになりますが日中ともにこの問題でいがみ合っても得することはなく、しかも中国の経済成長が鈍化してやや微妙なこの時期に影響を与えるのは大きな損失につながりかねません。私が見る限り中国側もなるべく穏便に済ませるようなメッセージを出しており、それに野田首相はきちんと応えて立件せず活動家を送り返したことから2010年の通関停止みたいな事態を避けることに成功したのはほかの人が批判しても私は称賛します。ただ東京都の石原知事がなにやら上陸に意欲を示していますが、私としては前にオリンピック招致にも失敗しているし、石原知事は既に終わった政治家だと思います。もういい加減に静かにしていてほしい、というか政府の邪魔立てしないでほしいのが本音です。

 同じ外交だと今ちょうど韓国とあれこれ揉めていますが、この点でも発言と方針が例の李明博大統領の「天皇謝罪発言」から一貫しており私個人としては好感が持てます。首脳の親書を送り返すという韓国政府の行動はちょっと如何なものに思え、まだしばらくは日本は強気に押し続けていいでしょう。ネット上で誰かが「高岡蒼甫は時代が早すぎた」と言っていましたが、ほんとにそんな気がします。これも前に書きましたが、韓流エンターテイメントはこれで完全に終わりでしょうが、やらせっぽさが強く感じるブームだと思っていただけに私もこれから少し良くなるのではないかという気がします。

 4については解説するほどの物ではありませんが、一体改革法案で小沢一郎をはじめとしたグループを民主党から追放、といっても勝手に出て行ったのですが、私見ですが小沢がいなくなってからというものの野田首相は党内に妙な遠慮がなくなり、外交を始め積極的な発言をすることが増えてきているように思えます。また5の野党対策ですが、3党合意の破棄を迫ってきた自民党に対し妙な譲歩をしなかったのもなかなかと思え、解散をなかなか約束しないことから自民党などが今秋から委員会審議を拒否するようになりましたが、かつて民主党が審議拒否した際に強引に国会運営をしてきたのはほかならぬ自民党だったことを考えると、藤原拓海風に言うなら「譲る気分じゃねぇな」といった印象を受けます。

 逆に野田首相に対する不満点というか私が評価していない点は、財政規律という立場から増税して歳入を増やすのはわかるにしても、支出を減らす努力がまだ全然足りないという点です。代表的なのは子ども手当で、個人に配るという膨大な管理コストを支払うくらいなら保育所の整備や関連事業の職員らへの給与に補助金を出すべきでしょう。更に言えばかつての小泉政権のように、スライド式に社会保障費を削っていかなければ絶対に財政は持ちません。もっともこんな政策出したら支持率落ちて何も実行できないうちに政権倒れるので、必要性がわかっててもやれないのは十分理解できるし、それが民主主義の弱点というのもわかるのですが。

2012年8月23日木曜日

これまでにやらかした神経的に痛い体験

 このブログではたまにホラーゲームのレビューを書くことがありますが、ゲームに限らず昔からホラーやスプラッター映画を見る回数は多い方でした。ただ日本の幽霊的ホラーはあまり好みではなく、ハリウッドのスプラッター満載のホラーの方が映画ではよく見る方なのですが、この手の映画は如何に視聴者に対して「痛そう」と感じさせるのが肝だと思います。
 そんなことを今日考えてたら、せっかくだからこれまでに私が体験した「痛い」体験をちょっと紹介しようかなと突然思いつきました。最近固いネタばかりだったし、ちょっと息抜きがてら早速書いてきます。

1、バスタブに腰を強打
 これは大学時代の話ですが、確かパソコンで音楽聞きながら隣に声聞こえること前提で散々歌った後、テンション高いまんまシャワーを浴びてたら見事なまでに足がツルッと滑ってしまい、バスタブの思い切り腰を強打したことがありました。当たる直前、っていうか半分体が宙に浮いた状態で「これはマズイことになる」と感じたのですが、当たってみるとそれほど痛みはなく、「よかった、ちゃんと体鍛えてて」などと安心してたら、次の日当たりにじりじりと痛みが出てきました。全体重がかかってぶつかったんだから当然でしょうが。

2、ハードルで足の甲を強打
 これは小学生時代の話ですが、当時陸上部にいた私はハードルの練習をしてました。この競技はハードルとハードルの間をなるべく3歩で走らないといけないのですが、設置の仕方が悪かったのか、なんかその日はみんな3歩で渡ることが出来ませんでした。ただこの時から妙に負けん気が強い自分はなんとしても3歩で渡りきろうと無理矢理ジャンプしたのですが、やはり渡りきれずちょうどハードルを下から救い上げるように左足を強打し、マジで号泣するほど痛かったです。別に骨折までは至りませんでしたが、気のせいか当時ぶつけたヶ所は右足と比べると、はれているようになんか脹らんでます。

3、左足付け根の腫物除去
 これは高校時代の話ですが、座り方が悪かったとか自転車に乗ることが当時から多かったからかもしれませんが、なんか左足のお尻の付け根当たりがやけに腫れ上がりました。この状態で座ると痛みが出るほどだったので近くの整形外科に行ってみてもらったところ、どうもばい菌が入って晴れているようなので切って中の膿を出すこととなりました。
 切るだけとはいえ一応手術。尻を丸出しにしてベッドに横たわり、先に部分麻酔の注射をしてもらい実際見てないからわからないけどメスか何かで患部を切ってもらいましたが、これが滅茶苦茶痛かったです。なんていうか、包丁とか刃物がゆっくり刺さるってあんな感じかなって思うくらいの痛みで「麻酔いみねーじゃん」って心の中で激しく思いました。ただ膿を出した後は先ほどまでのはれが驚くくらいに小さくなり、その後の経過も順調でした。ただ問題だったのは、大体半年後にまた同じ症状起こし、もう一回切ってもらったということですが。

4、エアインディアの機内食食中毒
 これは大学時代の話ですが、インドに旅行した際に「空飛ぶ棺桶」というドラクエに出てきそうな異名を持つ航空会社、エアインディアの帰国便に乗った際、機内食が間違いなく食中毒ものでした。というのも機内食を食べた直後から自分と友人のお腹が痛みだし、気が付いたら機内のトイレに長蛇の列が出来上がっていました。けどエアインディアだったから、補償問題には一切ならなかったけど。
 当時飛行機に乗っている間も痛いっちゃ痛かったですが本当の地獄は帰国してからで、大体帰国から一週間くらいはずっとお腹が痛かったです。腹痛というのはなかなか収まらないから辛いのですが、この時は非常に長引いて友人ともども「きつい一週間だった」と今は振り返ってます。なおこの前、こっちの日系コンビニエンスストアのチキンカレーを食べた直後から腹痛が始まり、こちらも一週間近く悩ませられました。

5、木の枝で……
 これは小学生時代の話ですが、体育の時間にほかのチームがサッカーの試合をしている最中に脇でサッカーボールを蹴っていたのですが、ちょうどそのあたりに小さい木があり、これまたちょうど自分の背丈くらいにいい感じで枝が伸びてました。まぁ何が起きたのかというと、その伸びてた枝が見事に左目に直撃し、この時はほんと地面を転がりまわるくらいに悶えました。
 幸い刺さったのは白目部分で視力には影響なかったですが、当時鏡で見るとちゃんと刺さった痕というか傷口が確認することが出来ました。後から知りましたが眼球というのは圧迫神経とか熱を感じる神経がなく、全部痛覚だけらしいです。さすがにみっちり痛覚なだけありこの時の痛みは本当にシャレにならず、多分経験した中では断トツの痛みでした。なお刺さった時、「俺も伊達正宗みたいに独眼竜となるのか」とリアルに考えただけに、将来の楽しみな小学生だった気がします。

6、自然気胸の手術
 これは大学時代の話、っていうかほぼ万遍なくどの時代でも注意力が足りないのか生傷の絶えない人生送ってますが、就職活動中に肺に穴が開く気胸症状を起こしてしまいました。最初に痛みを感じた時はそうでもなかったのですが後輩が同じ症状を過去に起こしており、話を聞いて病院に行ったらまさにビンゴでそのまま即入院、手術と運びました。
 この気胸、何で起こるか原因はまだわからないのですが、若いやせ形の男しか起こらない症状です。医療系の仕事についている親戚からは「ほんま君やったらうってつけの体しとるわ」と言われましたが、少し脱線しますがスーツを買いに行ってウエスト合わせる度に、「凄い細い……」と言われ、先週も新しいベルト買って店員に調整してもらってたら「まだ合わないの!?」と言われるくらい細い体してます。
 話は戻って気胸ですが、ちょうど肺の上部辺りに痛覚が集中しているところがあって、手術は10分程度、しかも手術室じゃなくて普通のベッドの上でやりましたがこの時は麻酔でそれほど気にならなかったものの、麻酔が切れた後は文字通り地獄でした。痛みだけで気絶するんじゃないかと思うくらいで、ナースコールして麻酔量を増やしてもらいましたが、真面目にもう気胸は起こってもらいたくないです。

 なおこの気胸を起こした際は10日程度入院し、学校から近い病院だったので左胸から胸骨部にたまった空気抜くためのチューブ出したまま授業に出たりしてました。たださすがに就職活動は完全に休まざるを得ず、この時に本社での二次面接(多分最終面接)が決まっていたところがあったのですが、電話して入院の予定を伝えると、「後でまた連絡する」と言われたっきりなにも返事がありませんでした。
 さすがに一ヶ月経ったところでまた確認したら、やっぱり今回はお流れで……と言われました。当時はほかの選考者にも影響でるしなぁと思いましたが、この話をするとみんな、「それってひどくない?」て言いますし、自分でも改めて考えると予定日の翌週には退院して面接行けたんだから普通は待てるよなぁという気がしてきました。そこらへん、カノークスさんはどう考てるんだろ。っていうかこの時の担当者はきちんと上に報告してたのかな?

2012年8月22日水曜日

今日の中国ニュース雑感

 凄い忙しいというわけではないのですがちょっとちまちまやる作業があるので、今日も記事はさらりと書ける中国ニュースネタです。

 まず昨日に日本でも報じられたシリアでの邦人記者の殺害事件ですが、驚いたことにここ中国のメディアも大きく取り扱っており、中には一面で写真入りで報じているところもありました。無粋な話ですがほかの誰も言わないので私が言うことにしますが、殺害された記者が男性であれば中国はもとより日本でもこれほど大きくは取り上げたりはしないでしょう。
 あと今回の事件をきっかけにシリアの内戦に関する報道が急激に増えておりますが、事件発生以前からもシリアでは大きな内戦が起きているのに日本人の関心は薄過ぎるという人を何度か見かけましたが、変なこと言いますがシリアに関する話題なら日本の一般人は無関心でもいいのではないかと私は思います。というのも国と国との距離も遠いことから日本の外交に大きな影響を与える可能性も少なく、外交関係者や専門家ならまだしも一般人に対して「関心が足りない!」というのはやや酷な気がします。関心を持つべき話題、それこそ日本の社会保障政策やTPPに関しては一般人もいろいろ考えた方がいいと思いますが、必要以上に余計なことを考え込むのはあまり良くないとかねてから思います。無視すべき話題は無視し、考えるべき話題は考えるべきといったところでしょうか。

対日軍事衝突に準備を 中国紙、政府に要求(共同通信)

 もう一つ取り上げる話題はまさに今ホットな尖閣関係ですが、前にも書きましたがこの記事の引用元となっている「環球時報」は中国でも一番過激な新聞で、中国の世論を反映しているとなると非常に怪しい新聞です。にもかかわらずこの環球時報を引用する日系メディアは後を絶たないわけですが、何故それほど多いのかというと書かれている話題が過激でニュースになるからです。これは言い換えるなら実態からかけ離れていても関心が引ければいいというようなもので、こればかり引用しているメディアはそろそろ見下げようと私は考えています。
 ではほかの新聞はどうか。たとえば昨日月曜日付の新聞だと日曜日に中国各地で反日デモが行われたのは事実ですが、日本人数人が尖閣に上陸したことは報じてもデモについて報じる新聞ははっきり言ってほとんどありませんでした。これは自分の目でも確認しましたし、他のメディアも全く同じこと言っていたので自信が付きましたが、反日デモを写真入りで報道していたのは英字紙のChina dailyのみだけでした。

 私が思うに中国側も今回の件はブレーキをしっかり踏もうとしているように見えます。目下、ネット上では反日発言を自由に許していますが、主要メディアではあまり取り上げないように手配するなど締めるところは締めているようです。こうした中国側の対応に日本側はどう応えるか、そして環球時報の社説以外をどう報じるかというのが個性の見せどころでしょう。

 最後にちょっとあまりにも気に入ったので以下のニュースを紹介します。

【中国】日本製品ボイコット運動にキヤノンのカメラで参加した人物が話題に / 中国人「すごく中国らしい」(ロケットニュース)

 記事の内容を簡単に書くと、反日デモらしきものに参加してTシャツにも「日本製品ボイコット!」とはっきり書いているにもかかわらず、首にキヤノン製のカメラをかけている人が激写されてます。なんか中国人のコメントにも「中国らしい」と書いてあって、この人には悪いですが自分も爆笑しました。環球時報なんかよりこっちの方がずっと今の中国の実態を示しているような気がします。

文系の政治家、理系の政治家

 日本の大卒の政治家はいうまでもなく法学部や経済学部など文系出身が多いですが、中国の政治家は圧倒的に理系出身が多い、というより文系出資は正直レアです。なもんだから以前に中国人に対して日本は文系が幅効かせてるよと言ったら、「それで国回していけるの?(;゚Д゚)」と真顔で言われました。

 以前までこの違いは文化の差だとしてあまり意識はしていなかったのですが、このところ仕事であれこれ政府発表とか見るにつけ、理系出身が多いだけに技術分野の政策に関しては中国の政治家はよくわかっているのではないかと思うことが増えてきました。いくつか例を挙げると、たとえば3Gや4Gといった携帯電話の通信規格について中国では共産党の政権担当者が名前入りでよく発言しており、曰く「3Gは普及段階にあるし、ここで4Gに移行させたら設備投資が無駄になる」とか言う一方、一部都市では中国独自の4G規格であるTD-LTEの実験を続けるなど、なんていうか物の切り回し方がよくわかっている印象を覚えます。

 もう一つ例を挙げると、これなんか多分記事にしたのは中国で自分だけだと断言してもいいですが、ゲーム専用機の流通禁止措置です。中国では昔はファミコンからスーパーファミコン、プレイステーションまではゲーム機が自由に流通していたのですが、2000年から突如ゲーム専用機の国内流通禁止令を出してきました。もっとも個人が取り寄せる並行輸入に関しては現在も黙認されているのですが、何故禁止にしたのかというと中国国内のゲームソフト開発業者の技術が当時は低く、プレイステーション2やXボックスを国内解放したら海外のゲームメーカーによって駆逐される恐れがあると考えたそうです。この政策が功を奏したかどうかまではわかりませんが、中国ではパソコン向けオンラインゲームが韓国同様に発達し、現在はそこそこのノウハウや技術を持つように至っており、ことここに至って市場を拡大させるために禁止令を廃止するのではないかという報道が出てます。なんかソニーもこそこそ動いているようだし。

 ちょっと話が長くなりましたが、回しているのは官僚かもしれませんがこのように技術分野の投資や育成政策について非常にあれこれ考えがめぐらされている印象を覚えます。それに対して日本の政治家ですが、多くの国会議員はきっと3Gと4Gの区別がつかないばかりか、IT産業の育成なんて頭の片隅にすらない人も多いのではないかと思います。もはや死語と言ってもいいですが昔は技術官僚をかっこよく「テクノクラート」などと呼ぶ時期もありましたが、現代ではそもそも技術官僚という言葉すら目にすることがなくなりました。自分は文系出身で文系の優位性を常日頃からアピールしてやまないですが、もうちょっと理系出身も社会で登用すべきではないかとこの頃思います。もっともこういいながらも、鳩山由紀夫元首相と管直人前首相はともに理系出身だったことを考えると一抹の不安を覚えずにはいられないのですが。

 最後に中国の大学事情について、かつては理系に非ずば大学生に非ずというくらい理系が強く、文系に進学するのはロマンに生きる奴だとみられていたのですが、近年は日本同様に進学しやすい文系の方が人気が高くなってきております。それでも日本よりは理系が大事にされているけど。
 また政治家に関しても、これなんか私の友人が言ってましたが今の温家宝総理は中国地質大学出身なのですが、「あんな奴に流通経済の仕組みがわかるのかね」と資本主義経済下においては資質を疑う人もおります。逆に次に総理に就任することがほぼ確実視されている李国強は経済学専攻だったこともあり、その友人はやけに期待しております。

2012年8月20日月曜日

ごめんなさい産経さん

 以前に私は「ここ数日の産経の気になる報道」という記事で、7月に出た「丹羽大使が9月に更迭」という記事はどこも後追い報道してないから誤報ではないかと指摘しましたが、今日になってどうやらマジっぽいということがわかりました。

丹羽・中国大使交代へ 後任は西宮・外務審議官(朝日新聞)

 朝日新聞に限らずどのメディアも既に同じ内容を取り上げており、最初の産経の記事では9月と書かれておりましたが10月以降に交代する予定で既に後任として西宮伸一外務審議官の名前も挙がっております。交代時期に多少の違いはあれど、この事実を先月の時点で報道していたということは紛れもなく産経のスクープでしょう。疑っちゃたりして本当にごめんなさいです。

2012年8月19日日曜日

天皇のタブー性

 以前の記事でも書いたように韓国の李明薄大統領が天皇に対して謝罪を求める声明を出したことによって、現在日韓関係が急激に冷めてきております。心なしかYahooニュースのエンタメ欄も韓国系アイドルの報道が急に見えなくなったようにも思えるのですがそれは置いといて、今日はちょっと思うところがあるので日本の天皇に対するタブー性について自分の意見を書こうと思います。それにしてもいい時代になったもんだ、以前に叔父が「わしが若い頃に核保有議論なんかした時点でクビ飛んだで」と言ってましたがきわどい意見が随分言いやすくなってる気がします。

 まず今回の日韓関係のこじれのそもそもの始まりは李明博大統領の竹島訪問ですが、今これだけ日本人の感情が悪化しているのは訪問したという事実よりも、先に書いたように天皇への謝罪要求でしょう。この辺、多分見ていてくれているかと思いますが韓国にいる友人に聞きたいのですが、日本の報道の一説によると土下座や両足を縛って謝れというような過激な文言も入っていたそうで、本当かどうかはわかりませんがかなり強気な発言だったのは間違いないようです。
 私自身としてはこれが李明博大統領の国内対策のための発言で日本向け発言でないことは重々承知ですが、それにしたってあまりにも唐突感が否めず、何故ここで急に天皇を持ち出すのかいろいろと疑問に感じます。それとこれも以前に書いていますが、日本における天皇の特殊性は対日外交官であれば知っておかねばならない内容で、どうして発言前に韓国の外交部署の人間は止めなかったのか、一体韓国の官僚は何をやっているのかとかえってその能力に疑いを持ちます。

 そんな天皇ですが、大日本帝国憲法において「神聖にして不可侵」と書かれていたように日本におけるタブー性は群を抜いております。さすがに戦前ほど極端ではないにしろ戦後の歴史を振り返れば年々そのタブー性は高まっており、1945年以降としては多分今がピークだと思います。
 私がこういう風に考える根拠として、以前に読んだ半藤一利氏の「昭和史探究」という連載でまさにこの天皇タブー性が触れられていたからです。半藤氏によると、戦後直後に昭和天皇は各地を巡行して一般市民とも会話を交わすなど、GHQなどからの追及を避ける目的もあって「開かれた皇室」を目指したと書かれてありました。その「開かれた皇室」がピークとなったのは今上天皇の皇太子時代にあったご成婚パレードで、当時が一番国民と皇室の距離が短かったと分析されてあり私もこの説を支持します。

 ではそれ以降は何故皇室のタブー性が高まっていったのか。この点については自分のような素人が口出しするべきでなく専門家に任せますが、具体的事例は敢えて挙げませんが現在の皇室は明らかに昭和の頃と比べると「菊のカーテン」が厚みを増しています。一つだけ素人っぽい理由を出すと、天皇のタブー性が高まったのはいわゆる自虐史観に対する反動もあるかと思います。90年代に「新しい歴史教科書をつくる会」などができるなど戦前の日本をただ批判するだけの言論に対する巻き返しが起こりましたが、それこそ正当な批判ならまだしも天皇制に対して感情的で俗っぽい批判をする左翼活動家に対して私も強い反感を覚え、高校生の頃は逆に天皇制に親近感を感じるようになった気がします。

 ちょうどいい機会なので当時の左翼とされる言論者たちの天皇制批判について具体例を挙げると、最も代表的なのは「週刊金曜日」の佐高信がやらかした「皇室コント事件」です。これはあまりにも下品過ぎる内容なので、リンク先を閲覧ください。
 また自分自身が直接見た中だと2006年に京都市内で格差社会問題に対するシンポジウムがあるというのでとある公会堂に足を運んでみたら、これまた天皇をモノマネして茶化す非常に下品なコントが延々と続けられて肝心要の格差社会についてはなかなか議論を始めず、見ていて腹立ってきたので中座して帰ったことがあります。それにしても大学生時代とはいえ、こういうのによく自分も足を運んでいたもんだ。

 皮肉な話ですが天皇制を貶めようとする活動が度が過ぎ、かえって日本人の天皇制意識を強化したのではないかというのが私の意見です。外国人にはなかなか理解できないかもしれませんが、日本人にとって貶したり、肯定的以外に天皇制を話題にすることは理屈抜きでタブーで今回の韓国との問題はずっと尾を引くでしょう。

 最後に自分の天皇制に対する見方を書きますが、国家として見るならばロイヤルがいる方が外交チャンネルが多くなり、単純に機能として有用であるから護持すべきだという立場を取ります。それこそアメリカやフランスといった国は日本やイギリスと違ってロイヤルがいなく、大統領自身が外交の矢面に立たざるを得ず、そうした役割を日本の政治家に期待するというのはファーストレディ共々不可能だと思いますし。
 あと蛇足ですが今上天皇のあるエピソードの中にこんなのがあります。

 時折、くだけた一面も覗かせる。登山時に天皇の姿が見えなくなった折、取材のため同行した新聞記者が天皇のことをうっかり「おとうちゃん」と呼んだところ、記者の背後に突然現れ「おとうちゃんはここにおりますよ」と冗談めかして言い、驚かせたことがある。(Wikipediaより)

 なんかこのエピソードだけで今の天皇はいい人だなぁと感じました。

2012年8月18日土曜日

オリンピック中に中国で盛り上がった話題

 コメント欄でリクエストを受けたので、今日は先日に閉幕したロンドンオリンピックの最中に中国で盛り上がった競技について簡単に紹介しようと思います。それにしてもこのところは中国ネタが続く、需要があるのはいいんだけれど。

 まず率直な感想として一番盛り上がったのは、ほかでもなく水泳の飛込みだった気がします。中国はこの競技の女子シングル、ツインとかで前大会に続き金メダルをほぼ独占しており、元々人気競技であることから新聞などニュースの取り扱いもでかかった気がします。これは中国に限らずロシアなど旧共産圏に一致することですが、どうも連中は甲乙つけがたいというか、得点評価の難しいこういう飛込みとかバレエ、フィギュアスケートなどといった競技をやけに好むところがある気がします。逆にアメリカなどバリバリの資本主義国はタイムがはっきり出る陸上とかが好きな感じしますけど。
 話は戻って中国で盛り上がったオリンピック競技ですが、私が特に扱いがでかいと思ったのは女子水泳バタフライで金メダルを取った選手です。名前は忘れてしまいましたが叩き出した記録が男子の最高記録を上回っていたことから欧米から「ドーピングしてんじゃね」とクレームをつけられてましたが、少なくとも現時点で検査違反などの報告は出ていないからやっぱり欧米のやっかみだったんでしょう。ただこうした欧米の批判に、「何故中国選手が金メダルを取ったら文句言われなきゃいけないんだ」とやや民族意識を伴った声が出ており、変な話ですが通常以上に注目されることになりました。

 あと最後、というかある意味一番議論が盛り上がったのはほかならぬ陸上ハードルの劉翔選手です。日本でも大きく報じられていましたが2004年のアテネ五輪でアジア人として非常に貴重な陸上短距離金メダルを取った彼は次の北京五輪でも大きく期待されておりましたが、結果はなんと試合に出る前に棄権という、中国人を大いに落胆させる内容でした。
 そして今回のロンドン大会。大会開始前から集団練習に参加しなかったり休養を取るなどしてかなり怪しい行動を取っていましたが、いざ本番が始まるやなんと一本目のハードルで転倒、そしてそのまま退場という内容で、こっちの新聞にも「悪夢再び」という見出しが躍りました。ただ劉翔選手は一旦退場した後、片足ケンケンで戻ってきて競技場を一応完走し、最後にハードルにキスをするという行動を取りました。

 この一連の行動に対し翌日の中国紙では、大半は「よく頑張った」的な彼を擁護するような論調が目立ちました、っていうか10ページくらいに渡って大きく特集が組まれ期間中としては最大の扱いがされてました。しかし一部の新聞に限っては、大会開始前に棄権しなかったのか、このレースでアキレス健を切ったといっているが本当なのか、なんで中国に戻らずロンドンで手術を受けるのか、調子が悪かったのであればほかの選手に代表を譲るべきではなかったのか、というように疑問を並び立てているのもありました。
 では一般中国人の反応はどうだったのかですが、少なくとも私が見る限りだとにしおかすみこ(最近マイブーム)ばりに「がっかりだよ!」という具合で、前大会といいこいつは一体何やってるんだと呆れる声が多かったように聞こえます。私の上海人の知り合いなんか最後に競技場に出てきたことに対し、「パフォーマンスが過ぎる」とむしろ批判していました。多分メディアは監督官庁からのお達しで擁護してやれと言われて書いたものの、世論としてはやはり批判的だったというのが私の見方です。

 このほか日本を余裕で打ち破り中国が金メダルを獲得した卓球ですが、こっちではそれほど大きく話題にならずむしろ「金で当然!」という雰囲気でした。確かに中国は卓球のプロリーグがあり世界でも断トツの強さを誇っておりますが、現時点でスポーツとして根強い人気があるというわけでなく、強いけどみんなやってるわけじゃないスポーツになってる気がします。逆にサッカーは人気が高いのに弱いというジレンマがありますが。