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2024年3月10日日曜日

神との対面



 なんかJBpressの方で自分が3年前に書いた元寇の連載記事がリバイバル無料公開されており、昨日からずっと1位から3位までの表彰台を独占し続けています。二次配信は許諾しているので別に問題ないのですが、こんなにアクセス稼いでるなら自分にもおこづかい分けてほしい(´;ω;`)ウッ…
 ちなみにこの記事は書く前の段階からガチで3打席連続ホームランを狙っており、1本目はやや力んでのシングルホームラン、2本目は完全に待ち構えての満塁ホームラン、3本目はやや変化球に泳がされながらも調子の良さで合わせての2ランホームランっていう印象でした。

 話は本題ですが最近特にほしい本はないけど漫画が読みたいってときに、藤子・A・不二雄の「まんが道」を少しずつ買っています。非常に巻数が多いのでまとめ買いし辛いためこのような形式としていますが、第2巻では藤子不二雄両名が手塚治虫の家をたずねに行くエピソードが載せられてあります。
 この回ですが、ぶっちゃけ宗教画のようでした。登場してきた手塚治虫は後光が差すかのようにやたら神聖視して書かれてあり、作中でも初めてブッダかキリストにあったかのように終始感激、圧倒される様がそのまま描かれてあります。ただこれは恐らく誇張しているわけではなく、実際こんな感じだったんだろうなというのも見て取れます。

 というのも当時二人は高校生で、生前から漫画界の神様と呼ばれていた手塚治虫との対面とくれば、文字通り神様を見るような出来事だったのでしょう。そういう意味では宗教画のようなタッチであの場面を書くのはあながち間違いじゃなさそうです。

 そんな神こと手塚治虫ですが、彼がいなければ日本の今のマンガ、アニメ産業は間違いなくなかったと言えます。というのも手塚治虫がいなければ上記の藤子不二雄をはじめ多くのフォロワーは多まれず、そして彼らフォロワーが作った名作も存在しえないからです。
 主だったフォロワーとしては、恐らく一番心酔し切って信仰していたのは藤子不二雄でしょうが、このほかにも劇画で異なる分野に進んだとはいえ、さいとうたかをも手塚漫画を見て漫画家を目指したと言われます。また松本零士や大友克洋氏らも完全な手塚フォロワーであり、アニメ界においても虫プロからガンダムの富野監督などが出ており、その影響度は総理大臣よりデカい気がします。

 手塚治虫が神様と呼ばれるのは、その優れた作品群もさることながら、多くの後進作家に影響を与え、育てていったことも大きいでしょう。このフォロワーの多さこそ漫画界への影響力の大きさともいえますが、手塚治虫に次ぐフォロワー数で言えば、やはり先日亡くなった鳥山明が上がってくるのではないかと思います。
 画風や作風に関しては、手塚治虫と違って鳥山明は継承したとみられる作家はあまり見られないものの、ドラゴンボールを見て漫画家を目指そうと思った人間の数は相当なものだと思われます。すでに一部の現役作家がそのようなことを話していますが、自分がブログを見ている絵師も、休み時間に書いたドラゴンボールの絵が誉められたことがすべての始まりだったと書かれてあり、改めて鳥山明の影響力の大きさを感じました。

 私を含め、自分くらいの世代なら恐らく手塚治虫よりも鳥山明の方がその存在感がでかいと思います。でもってもし自分が子供の頃に鳥山明に対面することがあったとしたら、恐らく本当に神と対面したような印象を覚えたであろうとも思います。こうした身近な神の存在というのは、やはり世の中にとって非常に重要なのだなと再確認した次第です。

2024年3月9日土曜日

うなぎ発電

 現在、世界中でクリーンエネルギーによる従来型エネルギーの代替が検討、進められていますが、日本では欧米諸国に比べあまり進んでいません。背景としてはこの手のクリーンエネルギーの代表格である風力発電で、安定的に風が得られる場所が少なく、立地的に弱いという弱点があるためです。
 まぁ何気に、風力発電機に使うベアリングで日系ベアリングメーカーは強いっていう皮肉はあるのですが。

 なら日本の立地的に何が強いかというと地熱発電を挙げる人がいますが、実際にこれをやろうとなると高い投資が必要で、なおかつ実際に安定的且つ大容量のエネルギーが得られるかというと確証はありません。またその開発過程、具体的には地中を掘る過程で地下水をはじめ環境にダメージを与える可能性もあり、今後の研究次第とはいえ短期的にはあまり期待するべきものではないと私は見ています。

 ならこのほかに日本は画期的なクリーンエネルギーはないのか。潮汐発電とかどんな感じなどといろいろ思案を5秒ほど巡らしたところ不意に、「そうだ、日本にはうなぎがあるじゃないか!」と閃きました。


 うなぎ、といっても一部の種類だけですが電気うなぎは自らの体内器官を使って発電することができます。このうなぎに発電させることで電力を賄えばめっちゃエコやんと思い調べてみたところ、上の記事にて一般財団法人エネルギー総合工学研究所がすでに検証していることがわかりました。
 それによると、うなぎの発電は電圧は最高800Vと非常に高いものの、発電時間は1000分の1秒と短いそうです。1軒の家庭での電力を賄う場合、仮に発電し続けられるのならば16匹のうなぎが1時間発電し続けられば賄えるですが、発電時間が1000分の1秒の場合だと、5760万匹のうなぎが必要になるそうです。なので、さすがにうなぎでまともに発電することは不可能という結論となっています。

 ただ仮にうなぎを大量に養殖できるのなら、エネルギー問題と食糧問題を同時に解決できる可能性もあるってことです。そう考えるなら、日本はもっとうなぎに力を注ぐべきなのではないかと週末にもかかわらず妙な妄想を広げていました。っていうか、5760万匹のうなぎが一堂に会す場面とか見てみたい(´・ω・)
 あと「うなぎ注意」の看板のお店にも行ってみたい(´・ω・)

2024年3月8日金曜日

鳥山明の逝去と平成の終わり

 記事リンクを引用するまでもなく、本日「ドラゴンボール」の作者である鳥山明が亡くなっていたことが報じられました。彼の功績は言うに及びませんが、結末の見えない連載中にあのドラゴンボールをリアルタイムで視聴できた自分は本当に幸福だと思えるだけに、今回の逝去はどうしても早すぎると思えてしまいます。さすがに水木しげるの時ほどのショックは覚えませんでしたが、それでも近年の著名人の逝去報道の中でも特に強い衝撃を感じた報道でした。

 恐らく漫画界への影響度で言えば、鳥山明はオリジネーターともいうべき手塚治虫に匹敵する立場ではないかと思います。ほかに伍す人となれば藤子不二雄くらいですが、鳥山明の場合は欧米でも非常に高い人気を得ているだけに、世界全体への影響力で見た場合は間違いなく歴代トップになってくるでしょう。それだけに中国でも今回の逝去は大きく報じられ、その死を惜しむ声は絶えず、まさか政府広報官の毛寧まで言及するとは思いませんでした。

 漫画ばかりではなく、ゲーム業界への影響度も言うに及びません。ドラクエのキャラデザでおなじみですが、明らかにドラクエの前後でゲームキャラクターの造形は変化しています。それまでの魔物とくればおどろおどろしいのしかなかったのに対し、ドラクエ以降はかわいらしさやユーモアを持ったキャラクターが生まれ、後進への影響度なら鳥山明と、ストリートファイターの安田朗からなる「ダブルアキラ」が最も強いように見えます。

 このほかには鳥山明については他の方も書いているようなことしか書けないので特に言及しませんが、今回の逝去で一番感じたこととして、自分の中で初めて平成が終わった気がしました。

 平成は上皇もまだご存命とあり、元号が令和となった現在においても何となく地続きというか時代の区切り感を覚えてきませんでした。一応、令和となってすぐにコロナが流行しましたが、これは「令和の始まり」であって平成の終わりを感じるイベントではありませんでした。
 それが今回の鳥山明の逝去で、あの平成期、特に自分が小学生時代において最も熱狂したコンテンツはドラクエ、ドラゴンボール、ガンダムの3つであり、このうち二つを担っていた鳥山明が亡くなったことで、平成という時代はもう帰ってこないということを強く意識させられ、あの時代が終わったとなんか踏ん切りがついた気がします。時代の終わりを象徴する上でも、やはりドラゴンボールは偉大だったと感じさせられます。

2024年3月7日木曜日

中学生による美人局事件報道について

東日本大震災の危機に駆けつけた巨大ポンプ車「大キリン」は中国企業の無償提供…処理水海洋放出に当時の担当者は「お互いに大切な国家」(福島中央テレビ)

 上の記事はかつて自分もJBpressで記事にしたことのある、福島原発事故において巨大ポンプ車を無償で提供された三一重工のエピソードを報じたものです。当時の記事にも書いていますがこのエピソードは日本人なら誰もが覚えておくべきだし、あの緊急事態にこれだけの機材を無償で提供してくれたことに対して感謝を絶やしてはならないと思えるだけに、こうして折に触れ当時を振り返る記事が出てくるのは本当に大事だと思います。
 ただヤフコメで「こんなことがあったなんて知らなかった」というコメントを見るたびに、「その感動は前に俺が書いた記事を読んで覚えてほしかった(´;ω;`)ウッ…」などという邪な気持ちを覚えざるを得ません。


 それで話は本題ですが、結論から言うと上のニュースに関しては正直驚いたというか非常に呆れた気持ちを覚えました。
 ニュース内容は上のまとめ記事にもありますが、なんでも中学生三人組が大学生に美人局を行い、動転したのかその大学生はその場から逃げる際にビルから転落して亡くなったことで警察が動き、この三人がそのまま検挙されたとのことです。逮捕されたうちの一人は美人局を組織的に行っていたことや、大学生が飛び降りに至った経緯について話しているとされ、事件状況と、嘘をつくにしても美人局って単語はまず出てこないだろうということから、この供述が事件内容と一致するのではないかとみています。

 何に驚いたかって言うまでもないですが中学生が美人局という、やや複雑な詐欺行為を行っていたという事実です。先日の小学生の90万円搾取という最近の小中学生は進んでるななどと皮肉めいたことを覚えるどころか、一体何故こういう犯罪行動をこんな小さなうちから行えるんだという点が理解できません。
 自分が中学生だった頃なんて、プレイステーションの「逆襲のシャア」を買ってきて、同じシステムの前作「Ζガンダム」に比べて面白くなくてなんやねんとか言ってたのに……。っていうかあのゲーム、1年戦争の機体と第2次アクシズ戦争の機体を一緒に並べるってのは無理があるだろう。

 話を戻すと、犯罪の低年齢化とか少年犯罪の増加などというトピックについてはこの事件ではあまり感じない、というか大人ですらカッとなって人殺したりするのだから子供でも傷害致死とか十分起こりうるだろうし、窃盗に関しても欲望に抗えないのは大人も子供も一緒と思っているので、近年になって子供が急に悪くなったとかは思いません。
 ただ今回の事件で言うと、比較的複雑な犯罪手口を常習的に行っている中学生がいたという点で、色々感じるところはあります。それこそヤクザの黒幕がいて彼らが中学生にやらせていたとかならまだ救いは感じますが、もしも今回の中学生らが自ら主導していたとしたらいったいどこからそんな知識を得たのか、またそこまでして金が欲しいのかなどといった点を本気で聞いてみたいです。

 前述の通り、子供がカッとなって他人を傷つけたりするのは日常茶飯事だと思いますが、他人をだます行為をこの年齢で呵責なく行えるという点には、すごい違和感というか不気味さを感じます。この点に関してもサイコパスがどうとかこうとか語るつもりはないものの、この年齢にしてこれほどの行為に対し抵抗感を覚えず、何人も騙すというのにはいったいどういう思考だという疑念を感じます。

 率直に言って、こんな子供が大人になったらどうなるのかという点で不安を感じます。極論を言えば今のうちに殺した方がいいのではないかという考えもなくはなく、そう思う大人もいるのだということをこの事件の犯人らはしっかり自覚した上で、まともな大人になってくれという気持ちを持っています。

2024年3月6日水曜日

また毎日がクソ記事出した

 例の小学生の90万円搾取事件の報道を見ていて、これに出てくる名古屋港水族館のメダルが欲しくなってきました。価値上がりそうだし。

東証4万円超え 「好景気の実感ない」「投資に興味」「一切しない」(毎日新聞)

 最近あまり目につくこともめっきり減っていましたが、久々に書いた人間、通した人間の正気を疑う毎日のクソ記事を見つけたのでここに紹介します。記事内容を一読した上でこの後をお読みください。

 この記事の何がクソなのかというと、市井の景況感を問う記事でありながら、インタビュー対象がどれも景気を実感する立場にないということです。具体的には、

・23歳チラシ配りの人
・20歳女子学生
・20歳男子学生
・77歳投資詐欺被害女性

 敢えて緩めに見れば一番上の23歳の方はぎりぎり入れてもいいかなとは思いますが、ほかのどの人物もフルタイムで就業しているわけではなく、景気はどうかと聞かれてもわかるわけがない立場です。むしろ何故現役世代である30代や40代に話を聞かなかったのか、また学生に対してはせめてアルバイト代などに変化があったのかどうか位は聞かなかったのかと、一見して疑問に感じる記事内容でした。
 敢えて穿った見方で言えば、実際は30代や40代にも話を聞いたり、アルバイト代に関しても聞いていたのではないかと思う節があります。ただその際の回答が「実感できない」というバイアスに応えたものではなかったので、敢えて載せなかったのではないかと疑っています。

 どちらにしろこの内容で記事を通して出稿する辺り、毎日にはまともな編集者がいないってことだけはよくわかります。景況感ではなく株価上昇に絡めた投資話にするにしても、実際に投資をやっている人や証券関連の人物に話を聞かなければ全く意味をなさないでしょう。記事書いた人間も書いた人間ですが、掲載を決めた編集の人間は一体何をしているのか。自分がこの記事を出されたら、「てめぇふざけてんのか?」は必ず言うし、物投げる可能性もあるでしょう。それくらいふざけ切った記事にしか私には見えません。

 ちなみにこの手の景気がいいのに「実際はそんなに景気良くない!」的に無駄な主張する記事でよく多いのは、「倒産件数が増えている」というトピックです。ただこれ知ってる人には早いですが、企業の倒産件数は世界的にも実は好景気の時期の方が不景気の時より多いということが多くのデータから傾向として得られています。
 よく考えれば当たり前ですが、好景気の中であろうと陳腐化した技術やビジネスは淘汰されていくし、また好景気に乗っかろうと起業する人も増えるため、好景気シーズンの方が倒産は基本多くなります。少なくとも、好景気に入る直前よりは確実に積み増されるでしょう。

 まぁ今回の毎日の記事は、こんなクソみたいな内容でしか不景気感を煽れないあたり、日本は相当好景気なんだなっていうことはまだわかります。もっとも好景気といってもさっきも触れたように業界によっては斜陽となっているところもあるので、万人が好景気の恩恵にあずかれるというわけではなく、どの業界が波に乗ってて、どの業界が波に飲まれているのかをきちんと分析した記事ほど経済記事としては価値を持つでしょう。

2024年3月5日火曜日

中国経済を救う一発逆転の秘策?

平成史考察~名古屋中学生5000万円恐喝事件(2000年)

 なんか上の昔の記事のPV数が上がってきているのですが、例の小学生の90万円搾取事件の影響かなと推測しています。にしてもこのころの自分の記事は妙に馴れ馴れしく感じる(;´・ω・)

 話は本題ですが本日より中国では日本の国会に当たる全人代こと全国人民代表大会が開かれています。景気縮小が懸念される中とあってこれまでにないほど今年は注目されているのですが、毎年恒例の大会後の首相記者会見は今年はやらないということがすでに発表されており、なんか中国はどんどん閉ざされていくなという印象を覚えます。
 なお首相が記者会見に応じるには毎年この時だけで、2011年の時は当時の温家宝氏が自ら「ここに日系メディアはいるか?」と語りかけ、起きたばかりの東日本大震災についてお悔やみを述べたことを今でもよく覚えています。政治パフォーマンスだということには間違いないものの、こうした一言が国と国との関係で非常に重要だと日々思います。

 話し戻すと、今年の全人代の最大のトピックはやはり景気対策で、すでに一部報道ではかつての家電買替政策のような消費刺激策を用意しているとされます。もちろんこうした消費刺激策も否定するわけじゃないのですが、現在の中国で何が一番求められているかと言ったら言うまでもなく不良債権処理であり、仮に不良債権対策が今回何も打ち出されなかった場合、中国の景気はこのまま長く落ち込み続けると断言します。
 不良債権処理をせずに消費刺激策を採るということは、かつての日本と同じく、傷口が開いたままの患者に輸血し続けるようなもので、言うまでもなく傷口をふさぐのがファーストアプローチとして求められます。

 しかしこれは言うは易し行うは難しで、仮に不良債権処理を実行しようものなら多くの企業の倒産と大量の失業者を招くことは確実で、わかってはいてもなかなか踏み出せないという気持ちもわからなくはありません。しかし不良債権対策を行わなければ現在の不況が日本みたく10年くらい続くこととなるのに対し、真面目に不良債権処理を行うならば、私の予測では2~3年のダウントレンドで切り抜けられるのではないかと思います。要するに、これから中国経済を正常化させるためには最低でも2~3年を捨てる覚悟がなければならず、その覚悟があるかないかが求められているのだと考えています。

 ただあくまで私個人の勝手な妄想に過ぎませんが、誰も苦しまずに今の中国経済を一発で救う秘策がないわけではありません。勿体ぶらずにそれを明かすと、土地の私有を認めることでこの苦境を一気に打開できる可能性があるのではないかとみています。

 中国は土地に関して、地主は悪い奴だという地主悪説に基づいてできた国だけあってすべて国のものとなっています。そのため個人や企業が土地取引で売買しているのは期限付きの土地使用権、日本的には借地権に過ぎず、土地自体の所有権は依然として中国という国家が保有し続けています。
 この中国における土地の帰属システムですが、現実的には日本などのほかの一般諸国とほぼ変わらない状態となっており、使用期限が到来しても更新料を支払えばそのまま使用し続けることができ、また契約期間中に開発などで立ち退きを迫られる場合は問答無用に取り上げられるのではなく、きちんと立退代も支払われ、交渉を経て双方が合意する前提で地上げが行われています。

 なお政府により地上げ時の補償金額は通常の売買金額より高いため、地上げ対象になると普通の中国人は喜びます。ただ欲を突っ張って立退き代を要求し続けた場合、政府が逆切れして「じゃあてめーからは買い取らねぇよ!」とばかりに、その土地だけ収容しないというケースも中国あるあるです。

 話を戻しますが、現実的には日本などと同じように普通に土地取引も行われていますが、それでも土地所有権だけは中国政府が持ち続けているのが今の状況です。そのため中国で資産、特に住宅や商業物件などを保有したとしても、「いつか土地所有権を盾に政府に無理やり奪われるのでは……」という懸念を持つ富裕層は多く、だからこそ土地の私有を認めてくれる日本や米国で資産として土地を持とうとする中国人が多いというわけです。いうなれば、土地公有制により土地の所有や取引に一定の懸念が持たれているということです。

 そこで今回の自分の秘策ですが、この土地公有制を私有制に切り替える、つまり一般中国国民が土地所有権も購入できるようにして私有を認めるということが、今の経済状況を打破する有効な手段となりうると考えています。
 私有を認めることでこれまで中国国内での財産形成に不安を抱いていた富裕層の購入意欲を刺激し、間違いなく中国の土地やその上物となる住宅価格は上昇するでしょう。またすでにその土地の使用権の購入者に対しては、割増料金を支払うことで借地権のみならず所有権が追加で得られるような制度にすることで、中国政府、特に地方政府はすでに売却した土地をもう一度売ることができます。未売却の土地に関しても、少なくとも現在の市場価格より高い価格で売却できることは確実です。

 何度も言うように、現実としてすでに中国は資本主義国と同じように土地が「使用権」という名目で一般的に売買されています。これをただ、「所有権」という言葉に変え、使用期限ごとの更新料聴衆をあきらめることによって、今の中国の不況、特に不動産市場の価格下落を一気に挽回するどころか押し上げ、すでに使用権を売却した土地をもう一度売ることで政府歳入も潤うという、奇跡の逆転を生む政策となりうるのではないかというわけです。
 もっとも言うまでもなく、この私有を認めるという政策は1度きりしか使えない切札的政策です。ただ
今この時をおいて使わないのかと思うくらい自分にとってはおあつらえ向きな時期に見えるのと、今後何百年も土地公有制を中国は続けるつもりなのかと暗に問いたいです。ただ名目を言い換えるだけで誰も損せず経済も救えるのなら、大胆な政策転換があっていいじゃないかと私は思うのですが、果たして賛同者は出るのかというと今の中国からは恐らく出ないでしょう。あと10年くらい不況が続いたら、「もう認めるしかない……」的な状況になるかもしれませんが。

2024年3月3日日曜日

日本の勇者

 先日、「ナポレオン-覇道進撃」の最新刊にあたる26巻が販売されて発売即日に電子書籍で購入してすぐ読みました。前の巻ですでにナポレオンが指揮を執った最後の戦いであるワーテルローが終わっていたこともありこの巻が最終巻になるかと思っていたところ、セントヘレナ島に流されるところで終わっており、最終派は次の巻に持ち越されていました。
 実際、当初の予定ではここで最終回を迎える予定だったらしいですが、編集側よりもう半年連載を伸ばそうとの提案があったことから終わりが延びたと作者も語っています。その延びた関係で、ワーテルローの後に処刑されたナポレオン旗下の元帥であるミュラとネイの処刑にはそれぞれ1話ずつ使われるようになり、特に後者のネイの処刑はこの26巻におけるハイライトでもありました。

ミシェル・ネイ(Wikipedia)

 知ってる人には早いですがこのネイはナポレオンの元帥の中でも最も早く戦死したランヌと並んで屈指の人気を誇り、現代においてもパリ市内の彼の銅像を見に訪れる人は絶えないと言います。具体的にどんな人物だったかというと勇猛さで言えば並み居る元帥の中でもずぬけており、猪突猛進ともいうべき突破力と豪胆ぶりは大軍団での指揮には向いていなかったものの、中規模の舞台を率いた際の戦闘力はすさまじいものがありました。

 そんな彼の最大の見せ場はロシア遠征で、撤退の最中に殿を務めた際に本体との連絡がロシア軍に遮断され、孤立無援の状況に陥っています。この際にネイは、進軍先に待ち構えているロシア軍を避け、来た道を戻って大きく迂回し、氷河を乗り越えて本体への合流を図ります。言うは簡単ですが洗浄はマイナス何十度というロシアという土地で、また部隊も戦傷者が多くまともに戦える兵士や装備にすら事欠く有様でしたが、ネイは自らが小銃を取りながら何日間も不眠不休で指揮を執り、時には自分一人で大砲を打って敵軍を足止めしていたとさえ言われます。

 この超人的なネイの活躍に兵士も打たれ、絶望的な状況ながら最後まで統率を守り、結果的に率いていた部隊は8割がた戦死したものの、ナポレオンのいる本体への合流に成功しました。そしてこの時に生き残った兵らはその後も、「ネイのおかげで生きて帰ってこれた」と、彼の死後もそのロシア遠征における伝説を語り続けたと言われます。
 そんなネイですが前述の通り大軍団の指揮はひどく、ワーテルローの戦いでは前線総指揮官を任されたものの判断ミスを連発し、フランス軍の大きな敗因の一つとなっています。この敗戦後、復権した王党派によって捕らえられましたが、その際に身内の多い軍事法廷ではなく、逆に不利な貴族院での裁判を自ら望み、堂々と自らの正当性を語りましたが敵多く死刑判決が下されます。死刑の際もネイは目隠しを進められるも「俺が銃弾や砲弾を前に何年戦ってきたと思っているのだ」と拒否し、堂々と銃殺刑を受けたそうです。

 話を少し戻すと、ロシア遠征時にネイが生還した際にナポレオンは彼を「勇者の中の勇者だ!」と褒め称えたと言われます。この勇者という言葉ですが、日本だと基本的にドラクエをイメージする言葉となっているものの、仮にこのネイのような豪胆であり超人的な判断だと行動を起こせるような人物として当てはめるなら、日本にそのような勇者はいるのかとふと気になりました。色々考えあぐねた挙句、唯一ネイに近いと言えるのは、あの島津義弘しかいないという結論に至りました。

 島津義弘といえば「島津の退き口」でおなじみの戦国武将です。これは関ヶ原の合戦時、西軍の敗北がはっきりして東軍が残党を潰すための追撃態勢に入る中、それまで戦闘を行ってこなかった島津軍が味方が逃げている西側にではなく、敵軍の真ん前を通過して東側へと突っ込み、退却したというエピソードです。
 一見すると無茶苦茶ですが結果から言えばこれは非常に合理的な判断だったと言われます。というのも、すでに大阪方面へと向かう西口は撤退している他の味方軍で込み合い、これから逃げようにも後ろから東軍の追撃を受けることは必死でした。逆に東側は突破にさえ成功すれば伊勢街道に出て、東軍の追撃を振り切りやすい方角でありました。

 とはいえ、実際にこれをやるとなったら敵中突破をしなくてはなりません。またいくら合理的に正しいといっても、数百の兵隊で数万の敵軍が居並ぶ陣を突破しようなんて普通は決断できないところですが、島津義弘はこの道を決断し、見事突破に成功して脱出しています。もっとも犠牲は大きく、甥っ子をはじめ多くの島津兵が味方を逃がすために文字通りの死守にて敵軍を阻むための犠牲となっています。

 この島津義弘のエピソードなら、ネイに負けず劣らずの豪胆ぶり、そして勇猛ぶりが十分評価される、というよりこれ以外にネイに匹敵するようなエピソードは日本国内では見当たらず、そういう意味で「日本の勇者」と呼べるのは島津義弘かなという気がします。何も伝説の剣を扱えるだけが勇者ではなく、多くの敵兵にひるまず豪胆な決断をやってのける人物だって勇者って呼んでもいいじゃないかというのが、今日の話のオチです。