先週のニュースですが、2016年オリンピックの開催地を決める投票が各国代表委員によって行われ、南米では初めてとなるブラジルのリオデジャネイロが見事開催地に決定されました。今回のオリンピック開催地の選定では最終的に選ばれたブラジル以外にも、日本の東京、アメリカのシカゴ、スペインのマドリードも候補として名乗りを上げていました、これら候補国に対して日本のメディアの扱いや報道ぶりにややいぶかしむ点があったので、今日はその点について短めにまとめようと思います。
まず結論から言えば日本のこの開催地を巡る報道は的外れもいいところで、全く以って下馬評が外れた結果に終わりました。選挙前日にもなるとどの日本のメディアもこぞってこの開催地について報道合戦を繰り返していましたが、それらの報道では最大の候補はアメリカのシカゴで、東京が選ばれるにはこのシカゴにどう食い付いていくかが重要であるとして一回目と二回目の投票を如何に乗り越えるかというような解説ばかりなされていました。まるでアメリカのシカゴが最有力候補であるのに対して日本はその下の第二候補であり、マドリードとリオデジャネイロが選ばれる可能性ともなるとほとんど言及がなかったように思えます。
しかし結果はというと、まず一回目の投票において日本メディアが最有力候補として挙げていたシカゴが真っ先に落選しました。このシカゴの落選時に都庁に集まった誘致派の人間らは大喜びをしていましたが、その一方で最有力候補と見られいていたシカゴが一番最初に落ちた事で全く予想がつかなくなったかのような言いようのない不安を口にするアナウンサーやコメンテーターもおり、事実その懸念の通りに二回目の投票にてあっさりと東京も落選しました。
ちなみに私が見ていたテレビ番組では最初の投票直前に、スペインのマドリードが一番最初に落選する可能性が高いが、もしかしたら同情票や、花を持たせたいとする委員の力で残るかもしれない(リオデジャネイロがかわりに落ちる)、というような解説をしていたので、いろんな意味で複雑な気にさせられました。
このオリンピック誘致において、東京がどのような誘致活動をして、投票直前のプレゼンで何を訴えたかまでは細かくチェックしていませんが、投票前の下馬評がそっくりそのままひっくり返る形でマドリードと最後まで争った挙句にリオデジャネイロが選ばれたということは、日本のメディアは実情からかけ離れた予想、報道を行っていたという事になります。こう言っては何ですが投票前はまるで七割方東京が選ばれるかのような報道振りで、あんまり後ろ向きな報道も問題ではありますが今回はやや威勢がよ過ぎた様な気がします。
また他の候補都市の予想順位についても、これはあくまで私の素人目ですが、投票を行うのは国単位ゆえに発展途上国の数が多くなるため、欧州でもアジアでも北米でもない南米の、しかも発展途上国のブラジルに票が集まるのが自然ではないかと投票前に私は思っていました。マドリードについては2012年に同じ欧州のイギリスのロンドンが開催するために、順位も低いだろうと私も予想していましたが。
とにかくこれほどまで的外れだった予想について、一体どこをどう読み間違えて日本はこんな報道をしてしまたったのか、世界の感覚、潮流を理解していなかったのかといろいろと考えさせられた一夜でした。もっともこう考えるのも私くらいで、このオリンピック招致を自分の花道だと考えていた石原慎太郎都知事の影響力がまた一段と弱まり、誘致活動のためにかかった150億円は誰が責任を取るのだということが目下の注目店となってきております。
それにしても、ここ数年の石原都知事の影響力の低下ぶりは目に余ります。新銀行東京の赤字に始まり築地移転問題、そして今回の誘致失敗と、ほんのちょっと前までは何かしら政府に動きがあると地方首長の意見としてよくインタビューが報道されていましたが、今ではそれもすっかり橋下大阪府知事、東国原宮崎県知事にお株を取られています。ある意味、前回都知事選にて対抗馬の故黒川紀章氏の言われていた通り、あの時が石原氏のいい引き際のタイミングだったのかもしれません。
5 件のコメント:
マスコミがある種の昔の大本営発表のようになりつつあるのは、90年代のような余裕がなくなりつつあるからなのでしょうか。やっぱり営利団体ですからね。
開催地決定の日は、マスコミも生中継してたりして盛り上げてましたね。自分は最初から厳しいと思ってましたが、アンケートでも日本人の大半は冷めた目で見ていたようです。 やはり今回はリオデジャネイロが、しっくりきます。日刊ゲンダイに石原は、自らが失敗すると、とたんに人や何かのせいにし、成功したらしたで自分の手柄にすると書かれていましたが、まさにその通りの振る舞いをしている気がします。リオが不正を働いたかのような発言をしリオの招致委員会から抗議を受けているそうです。
先日の朝日新聞の【声】欄に茨城県ひたちなか市の牧師の方が、2016年夏季五輪の開催地に東京が落選したが2020年開催地には広島が立候補してはどうかという意見を展開していました。抜粋しますと「プラハでのオバマ大統領の演説以来、ようやく世界は核兵器廃絶に向けて動き出した。しかし、本来我が国民はオバマ演説の有無にかかわらず被爆地広島・長崎と憲法9条を有する国として、全世界に核廃絶を訴える責任があることは言うまでもない。 広島で五輪が開催されれば、全世界は核兵器の悲惨さを共有し、核廃絶を現実のものとして前進できる。今回落選した東京は、広島開催に向け全面的に協力してほしい。」とありました。 これまでにオリンピック候補地として立候補した東京、大阪、名古屋に比べて、都市規模としては見劣りし、実現性は低いかもしれませんが、これ、グットアイデアだと思います。花園さんは、どう考えられますか?
>takedowngateさん
コメント、ありがとうございます。自分もまさに今回の報道を見て真っ先に思い浮かんだ言葉が、「大本営発表」でした。テレビに限らず、新聞などもこのところは支持政党をはっきりと打ち出す紙面をしており、言われるとおりに余裕のない報道振りが目に付きます。なんでもかんでも中立にする必要はありませんが、もうすこし全体像を把握した報道をしてもらいたいものですね。
>SOFRANさん
自分が今気になっているのが、そのリオを批判したとして抗議されたとされる石原氏の発言内容です。具体的にどのような発言だったのか、ちょっと調べればそれらしいものが候補くらいは出てきそうなものなのですが、なかなか出てこないのが疑問です。
2020年の開催地候補に広島は私も悪くはないと思いますが、もし広島が出るとなると長崎は黙っていないでしょう。今回の立候補も長崎と同じ急襲の福岡が落選した経緯もあるし、被爆都市というだけではかなりまた国内で揉めそうな気がします。
おまけに、被爆をあまりに打ち出しすぎると政治的要素も強まり、中にはボイコットとまで行かずとも愚痴を言う国も出てきそうですし、やるのであればただ「赤ヘル王国、広島」として出る方がよいのではないでしょうか。
引用した牧師さんの文章にも広島、長崎を並べていましたが、都市規模などを考慮して広島を選んでいました。 石原発言は、何度かテレビで聞いたのは「力学的な要素が働いた」だとか、「ブラジル大統領はかなり思い切った約束をアフリカ諸国としたようだ」「目に見えない非常に政治的な動きがICO内にある」とかでしょうか。ふむ。
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