2011年12月11日日曜日

失われた十年を歩む欧州

 前にも似たような記事を書いている気がしますが、ちょっと香港の新聞でも書かれていたのでまた取り上げようと思います。
 昨日の香港の経済紙にて「日本の失われた十年を警戒する欧州」という見出しの記事が載ってあり、内容は見たまんまで日本のバブル崩壊後にのたうった失われた十年のようにこの不況が続くのではというものでしたが、はっきり言って私はそのように考えており、これから欧州各国はよほどの改革や事件が起きない限りは少なくとも2015年までは不況が続くと思います。

 日本は失われた十年と言われる1990年代、国内外から散々に「日本の金融は遅れている」と言われてきましたが、現代において改めて振り返ってみると私は日本の金融はあの時代にある意味で世界最先端を突っ走っており、それが故に真っ先に破綻して真っ先に復活したのではないかと見ております。住宅ローンの膨張から破綻、消費者金融を中心とする闇金の跋扈、メガバンク形成による資本増強など、一つ一つの過去に起きた事実が今他国で実際に起こっており、見ていても私には真新しさを感じません。
 それ故に今の欧州をはじめとした世界の金融界に対する処方箋こと、具体的にどうすればいいのかという対策もはっきりわかっていますが、その効果的な対策を各国政府が踏み切ることは出来ないだろうこともわかっています。もったいぶった言い方をせずに何すればいいのかというと、不良債権となっている資産を可能な限り早く処分した上に収益の上げない企業への融資を直ちに止め、中小を中心に企業をどんどん潰せばいいだけです。ついでに小さな銀行なんかも統廃合を進めればなおよいでしょう。

 これはやることだけ言えば実に単純明快ではあるものの、やるとしたらそれなりに覚悟が要ります。まず収益を上げずに銀行の融資で生き残っているゾンビのような企業を潰すということは失業者を増やす行為で、これにより社会不安が増大することは間違いありません。日本は小泉政権時にこれをやりましたが、今思うとあの時は中国の高度経済成長が始まった頃であったために失業者の増加がまだ最小限に食いとどまったような気がします。仮に今同じことをしたら社会不安はあの時の比じゃないでしょう。

 話は欧州に戻しますが、現在の債務危機は2008年のリーマンショックに端を発していることは間違いありません。ただこのリーマンショック後において、アメリカはまだ金融機関へのストレステストをしっかりやって現在のようにやや平静を取り戻した一方、欧州では金融機関はおろかギリシャのように国家財政まで粉飾決算しており、まだまだ調べたらいろいろ出てくると考えてもいいんじゃないかと思います。しかも日本の例を見ている癖に、こういってはなんですがまだ危機感がどうも足りていないような気がしてなりません。

 恐らく日本のメディアではまず報じられていないかと思いますが、こちら香港の現地紙では今の日本の金融機関は資本力も高く他国と比して有利な状況下にあると書かれてあり、私もこの説を信じます。なおかつ現在は円高が続いており、企業買収するにしても何するにしても、日本円が世界においてもうちょっと猛威を振るったっていいんじゃないかとも考えています。

 あとこれは蛇足かもしれませんが、こちら香港で毎日毎日金融関係の記事を見ていて、金融というのは複雑になればなるほど破綻リスクが高まると同時に、社会に対する貢献価値が減少するのではなのではとこの頃良く思います。一時期はMBA取得者がさも知った風な顔して複雑な金融工学がどれだけ素晴らしいかなどを喧伝していましたが、それらを使うことによって社会はどれだけ豊かになるのかと言えば現在においても非常に疑問です。私自身がマネタリズムが苦手ということもありますが、もっと単純明快なルールに縛る方が安定さを保てるのではというのが今日言いたかったことです。
 ……人民元のオンショア、オフショア相場の話でも今度解説しようかな。

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