2011年12月25日日曜日

自衛隊イラク派遣を振り返る

 先月に両親が香港に遊びに来た際に親父が、「やっぱこいつは大したもんや」と自民党の石破茂氏の昔書いた本を持って来ました。内容については細かく紹介しませんがやはり時期的に自衛隊イラク派遣関連について多くの紙幅が割かれており、折も折なのでこの点について振り返るとともに私の見方を紹介します。

自衛隊イラク派遣(Wikipedia)

 米軍によるイラク戦争後、日本の自衛隊はアメリカの求めに応じて2004年1月から2006年7月にかけてサマワ市に人道支援という名目で現地で医療・インフラ支援活動を行いました。派遣当時は自民党の小泉政権でしたが、野党などからイラク派遣は憲法9条に反するとかイラクへの支援ではなく単なるアメリカへの追従だなどととにもかくにも激しい議論が起こりました。ちなみに私個人の意見として、9条とかを引き合いに出すくらいなら野党は「カンボジアへのPKO派遣の際に最も反抗していたのはお前自身だろ!」ともっと小泉元首相に言えばよかったんじゃないかと思います。
 このイラク派遣に対する私の評価ですが、総論を述べると結果的には大成功だったかと思います。ただもし仮に同じような案件が持ち上がった際に自衛隊を外国へ派遣するべきかと問われるならば、可能ならば避けたいというのが本音です。

 早速解説に入りますが、まずこのイラク派遣前に私がこの件についてどのように考えていたかを紹介します。当時の私は大学生で、今現在と比べるとエンジンを載せ替える前のハチロクみたいな実力でしたが、成長途上にあったのである意味では突破力というか論の鋭さでは今以上に光るものがあったように思います。そんなどうでもいいことは放っておいて当時の私の意見ですが、以下のような立場から派遣に賛成でした。

1、イラク各地は既に混乱状態であり、米国に正義がないからといって放っておいていいとは思えなかった
2、歴史的にも日本は中東諸国と親交が深く、実際に戦争に参加した米英よりも中間的な立場の日本が復興支援を行うべきだと考えた
3、復興支援をせずに放っておけば、テロリストが力を得て日本に対してもテロの危険性が高まる
4、当時のイラクにはいくら金を出すことよりも、現地で実際に活動する支援が必要に感じられた
5、現地で活動するにしてもボランティアでは危険性が高く、自衛能力を持つ自衛隊でなければならなかった

 といったのが主な肯定意見です。ただなんでもかんでも賛成というわけではなく、いざ実際にテロリストに襲撃された際に現行法では自衛隊がすぐに反撃し辛いことなど反対意見も少なからずあり、そうしたものを考慮しても総合的には「行けるのなら行くべき」という結論になりました。
 当時に議論されていた話題、たとえば「戦闘地域か非戦闘地域か」などといったものについても事細かに解説してもいいですがそれは今回置いといて、現在何故私が「大成功だった」と評価する理由を挙げると以下の通りになります。

1、襲撃によって自衛隊員が誰一人死傷しなかった
2、活動中、サマワ市の乳児死亡率が三分の一にまで減少した
3、アメリカとの外交関係を強化できた
4、ついでに石油利権の確保にも成功
5、災害地域に対する自衛隊の運用、国際貢献の方法に大きく幅が広がった

 イラク派遣が成功したと言えるのはなんといっても上記1番目の理由、自衛隊員が誰一人襲撃で死傷しなかったという点に尽きるでしょう。ただこれについては派遣方法が良かったというわけでもサマワ市の治安が良かったというわけではなく、サマワ市民を含めて自衛隊も警護してくれたオランダ軍による貢献や諸々の偶然によるものと言わざるを得ず、、今後海外派遣を行うに当たってはより慎重な議論が必要でしょう。

 恐らく人によっては3番と4番の成功理由については怪訝に思う方がいるかもしれませんし、多分私の後輩なんてアメリカをかなり嫌っているので「とんでもない」と言いかねませんが、これについては個人的感情ではなく国家観で語らねばいけない問題であるため、毅然として私は立派な成果理由だと主張します。
 なおこの件について石破氏は最初に挙げた本の中で、

「野党などはアフリカなど、支援が必要な場所がほかにもあるのにどうしてイラクにだけ行くのかと言いますが、はっきり言いますがイラクには石油がありますがほかの場所には日本が支援しても得られるものがないから行かないのです。国というものは多くの国民を抱える上で、常に損得勘定で動かなければならないのです」

 というように言い切っていました。もちろん石破氏も個人的には助けを必要とする相手には可能な限り助けてあげたいと思うが国を維持する上ではそういった感情で物事を動かしてはならないと述べており、なかなか感心させられる意見を主張していました。
 実際にこのイラク派遣が日本にとってどれだけ石油確保に結び付いたかはもう少し時間を待たなければ評価できませんが、行かないよりは行っておいてプラスにはなったと思います。またアメリカとの関係好転も今になって思い起こせば、後の沖縄の普天間基地をめぐる問題で致命的な段階にまで発展するのを抑えてくれたのではとやや贔屓目かもしれませんが思います。

 また5番目の理由についても、このイラク派遣を経た事で自衛隊の運用の幅は格段に広がりました。私は今年の東日本大震災を始め日本で数多く起こる災害への対策には自衛隊が欠かせないと考えておりますが、中国や韓国といった周辺国では未だに警戒感が強く、こうした余計な感情を解くためにも医療支援といった国際活動を自衛隊が行っていくことがこれから大事になってくると思います。まぁ向こうの政府にとっては「自衛隊は恐ろしい組織だ」と国民に思わせることが連中の利益に適うんだけど。

 最後にあるエピソードを紹介しますが、自衛隊が撤退する間際、サマワ市で現地住民による大規模なデモが起こりました。一体何事かと自衛隊で内容を調べたところ、なんでも「自衛隊よ、今までありがとう」と感謝するデモだったそうで、これを受け基地では緊急にアイスクリームなどを準備してデモでやってきた住民らに振る舞ったそうです。このエピソード一つとってもこの派遣が如何に成功したものかがわかるし、現地で立派に活動してくれた自衛隊員には頭が上がらなくなるのですが、なんでもこのデモを聞きつけた米英軍関係者が自衛隊に、

米英軍「一体どうやってああいうデモをやらせられたんだ?( ゚Д゚)」
自衛隊「いや、現地の人たちが自発的にやってくれたんだよ(;´∀`)」
米英軍「嘘つけよ、もったいぶらずに教えろって(#゚Д゚) プンスコ!」

 と、なかなか信じてくれなかったそうです。

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