つい先週までアクセス数トップだった「奈良ドリームランドを偲ぶ」を追い抜き、いつの間にか「足利事件の真犯人について」が二位、「地下鉄サリン事件、医療現場での奮闘と奇跡」が一位に繰り上がってきました。二位についてはこの前小学生の女の子が行方不明になって公開捜査された影響が大きいと考えますが、一位の地下鉄サリン事件についてはどうやらまとめサイトでリンクを貼ってもらったことが原因のようです。ただこのところ地下鉄サリン事件に関する掲示板まとめ記事を数多く見て、これも恐らくは平田被告の裁判が始まった影響でしょうが、事件を知らない世代も増えていることからどういう事件だったのか興味を持つ人が増えている気がします。ちなみに自分の記事ですが改めて読んでみるとよくまとまっていて、まぁこれなら人に見せても恥ずかしくはないかなと勝手に考えてます。
話は本題に、というかちょっと手のかかる内容なだけに休日じゃないと書けないと思って今日まで引き延ばしてきたのですが、このところあまり自慢できないNexus7で電子書籍を買う機会が増えています。と言っても買うのは全部コミックスこと漫画ですが、日本の出版業界事情は世界的にもやや特殊でこれら漫画がメインであることを考えると電子書籍業界の先行きを占う上で重要なカテゴリーであると私は考えます。そんな電子書籍の漫画ですが、冷静に分析してみてみると出版社ごとに性格があるというか戦略が分かれており、今日は各社が今現在でどのように販売しているのか、どんな戦略を持っているのかを私なりにまとめてみようと思います。
先に今回の分析での前提を説明しておくと、私が電子書籍を購入しているのはAmazonのKindleなので、今回の分析も基本的にKindleでの販売方法というか価格を前提にしております。
1、集英社:発売時期をずらした上での割安な固定価格
「少年ジャンプ」を擁する漫画界の王者こと集英社ですが、ここが一番特殊というかもっとも際立った販売の仕方をしております。それはどんな売り方なのかというと、集英社は少年漫画、青年漫画の区別なくほぼ全ての漫画で同じ売り方を展開しており、その売り方というのも実体書籍が発売されてから約3か月後に1冊368円で売るという手法です。
実体書籍と電子書籍の発売時期をずらしているのは印刷会社への気兼ねでしょうが、販売価格をどの本も368円という固定価格にしているのは実に面白い取り組みです。固定価格せいなので割引率は発行媒体によって異なっており、少年ジャンプコミックスの実体書籍が420円に対しヤングジャンプコミックスの実体書籍が540円であることを考えると、青年コミックスの方が割安で購入できる計算となります。
2、秋田書店:同時発売で小幅な割引
調べたサンプル数が少ないのでもしかしたら本によって違うかもしれませんが、ここはどうやら実体書籍と電子書籍を同日に発売した上で、電子書籍の方はやや値引いて売っているようです。今回調べたのは私も購入した「実は私は」のコミックスですが、実体書籍が440円に対し電子書籍だと400円(または399円)で買うことが出来ます。こうした売り方が出来るのも、後で説明しますが集英社同様に印刷会社にあまり気兼ねする必要のない出版社だからじゃないかと推理しています。
3、講談社:小幅割引はあっても発売日は書籍別にバラバラ
価格に関してはたとえば実体書籍価格が450円の漫画だと420円と30円引きになっていることが多いです。しかし発売日は書籍ごとに完全にバラバラになっていると言ってもよく、人気作の「進撃の巨人」や「ダイヤのA」は実態書籍と電子書籍が同日に発売している一方、「七つの大罪」という漫画は電子書籍版の発売日が数ヶ月ずらされております。さらには「はじめの一歩」に関してはどうも新しい単行本は電子書籍化すらされていないようです、最初の方はしてるのにね。
上記三社を今回のサンプルに選んで調べましたが、やはり特筆すべきは集英社でしょう。電子書籍版の割引率で言えば群を抜いており、またどの単行本も区別なく同じ売り方で売っているのは確信犯でやっているように思えます。
この売り方で効果を発揮するのは、連載開始当初は読んでいなかったけど途中から読み始めて最初の方の単行本を買おうとする購買層でしょう。368円であれば古本価格にも十分対抗できる金額であり古本で買うくらいならスマホやタブレットなどで読めるんだしと、私自身がそうですが電子書籍版を買う人が少なくない気がします。こうした売り方が出来るのは先にも述べた通り、集英社は出版する書籍のうち漫画が大半を占め小説など文芸書が少ないことからほかの出版社と比べて意見力の強い印刷会社を気にせず、独自販売がしやすいためではないかと私は考えます。
同様に秋田書店も印刷会社を気にしなくていいというか、そもそも少年チャンピオンの発行部数がジャンプやマガジンと比べて極端に低いことからも集英社同様に気兼ねすることがないためだと推察されます。秋田書店のコミックスだと実体書籍にこだわりがない場合は電子書籍で購入した方が価格といい携帯性といい有利な点が多く、また先にも述べた通りに少年チャンピオンはお世辞にも売れている漫画雑誌ではないため、人気漫画だけでも単行本をより多く売るためにこういう手法を取っているのではないかと思えます。「バキシリーズ」といい、なんか単独の作品がバカ売れする傾向が多いしなここは。
最後の講談社ですが、こう言ってはなんですが中途半端な売り方に思えますが、これは印刷会社への気兼ねから実体書籍の売り上げを維持せざるを得ないためにこういうやり方になっているように見えます。ここは超人気作の「進撃の巨人」などはためらいなく電子書籍版を同時発売していますがそれ以外は大した割引もせず、発売日もずらしているので「だったら実体書籍で買った方がいいじゃん」ってな状況を作ってるようです。多分「進撃の巨人」なんかは電子書籍版を同時発売しても実体書籍も確実に売れるからこうできるのでしょうが、ほかの漫画なども同時発売されると印刷会社に文句とか言われる可能性があるため、こうなっているのではないかとこれで今日何度目だと言いたくなるくらいに勝手に推察します。
あまり出版業界に詳しくはない(新聞業界のが詳しい)のですが、人づてに話を聞いているとどうも印刷会社に出版社は頭が上がらないそうです。なんでそんな印刷会社がえらそうなんだと色々腑に落ちない点も多いのですが、電子書籍が普及すると間違いなく大打撃を喰らうのは出版業界ではなく印刷業界なので、それこそ嫌がらせとかだってしてくるのも理解できなくはありません。
話を本筋に戻しますが、売上げ的には集英社のやり方が一番うまく、でもって奇策的には秋田書店のやり方もうまいように思えます。秋田書店のやり方についてもう少し深く書くとこの方法なら最悪、漫画雑誌が売れなくて赤字になっても人気作を作ることにさえ成功できればそこそこ稼ぎ出すことも可能になり、かえって発行部数が少ない少年チャンピオンだからやれるやり方なのかもという風に見えます。私個人としては旧作についてはもう少し割り引いてもいいような気がしますが、同時発売に踏み切る出版社が今後増えることによって漫画業界も今後、売り方がいろいろ変わってくるんじゃないかと思う次第です。
一旦書き終えた後で再び書き加えますが、これら漫画の電子書籍版販売において何を一番念頭に置かなければいけないのかというと、私は古本との競争ではないかと考えています。特に旧作などは価格も安いということでただでさえ古本に購買層が流れやすい現在の状況からすると、電子書籍を多少割り引いてでもこれらの購買層に買ってもらうという風に誘導することで単行本当たりの収益がかなり変わる気がします。このように考えるなら、集英社がやっぱり一番うまいのかな。
おまけ
4:スクウェア・エニックス:発売日ずらした上で割引なし
電子書籍版の漫画販売で一番ファッキンな所となるとここですかね。というのも「EIGHTH」って漫画を読み始めてみようかなと思い電子書籍を見てみたのですが、一切の割引なしのフルプライス売ってやがって、これならブックオフで古本を選んだ方がいいやとなって購入に至っていません。ついでに発売日を調べてみたら最新刊の11巻は同時発売ですがそれ以前の巻は電子書籍版がややずらされています。ただでさえ「鋼の錬金術師」が終わってから不安定なのに、こんなんじゃやってけないぞと言いつつ、頼むからもう少し割り引いてくれという希望を書き残して筆をおきます。
追記(2014年4月15日)
この記事中で集英社コミックスの電子書籍版の価格は「368円」に統一されていると紹介しましたが、今日たまたま確認してみたら旧作は「300円」に統一されていました。タイミングとしては今年4月の消費税増税のタイミングで価格改定をしたのかもしれませんが、値下げするならもっと早く下げてくれてればよかったのに(´;ω;`)
2 件のコメント:
AV書籍の出版各社の動向も注目していきたいです。
あんま書籍だと出版してないんじゃない?
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