・福島みずほ氏「宇都宮健児氏はまさにアンパンマン」(アメーバニュース)
本題とは関係ありませんが上記のニュースに対しネットの掲示板で、「アンパンマンを政治利用している!」などという批判の声と共に、「アンパンマンは自民党内にいるじゃないか」などと、アンパンマンにほんとよく似た石破茂幹事長をネタにする人がいて笑えました。去年の夏に日焼けした際は「焦げたアンパンマン」とまで言われてたし。
それでは本題に入りますが、このところ関係がすっかり冷え込んでいる日韓関係ですが、向こうからしたら「安倍首相が悪い」でしょうが日本からしたら「朴槿恵が悪い」と、双方の首脳が原因による関係悪化だという世論が大勢を占めているように見えます。そんな朴槿恵大統領の対日観に関する報道でやや気になるというか「はぁ?( ゚д゚)」って思う内容の記事がよく目につくので、なんで疑問に思うのかとともに私見を今日は述べようかと思います。
その目につく記事とは冷え込む日韓関係に触れた記事について書かれたものなのですが、どの記事も冒頭において以下のような文言が非常に多く見られます。
「就任前は父・朴正煕大統領の様に親日意識が高いと思われた朴槿恵大統領だが」
このように父親である朴正煕大統領は歴代の大統領の中でも親日意識が高かったことから父親の薫陶を受けた娘の朴槿恵大統領も親日派だろうとどこも書いているのですが、単刀直入に言ってそれはないだろうし、そもそも朴正煕は親日家だったのかというと私はこれも疑問に感じます。私がこのように考えるのは、去年に好評ではなかったもののこのブログで韓国の現代史に関する連載を行った際に少し勉強したことがきっかけなのですが、あれこれ調べてみると朴正煕はそれほど親日家だったとは思えないし、政権前半期ならまだしも後半期に対しては日本に対して怒りというか相当なわだかまりを抱いていたのではないかと思えるようになりました。
そもそも何故朴正煕が親日家であったと日本で報じられているのかというと、第一に国内の反対を押し切り日本との国交回復を切り開いただけでなく、戦前は植民地化にあった朝鮮領内で自ら志願して日本の軍人となり、当時に日本から受けた教育について賛美を示していたためとされています。こうしてつらつらと書いておりますが実は前者はともかく後者は事実ではなく、朴正煕は日本の陸軍士官学校に留学には来ておりますが正式な出身校は満州にあった陸軍軍官学校で、彼は日本陸軍ではなく満州軍の軍人だったのが正しく日本軍の軍人だったことはありません。とはいえ日本式の教育を受けたことは間違いありませんが、その教育を受けたのは彼が日本に強いシンパシーがあったからというよりは単純に教育を受ける機会として都合がよかったから選択したというのが本当な気がします。
ここで私の朴正煕のパーソナリティに対する見方を述べさせてもらうと、彼はリアリストこと理想よりも現実での利益を優先する打算型政治家であって、それが開発独裁という自分が正しいと思う事だったら手段はあまり選ばず、速攻に効果のあるものを強引に選択していくというスタイルを形成したように思えます。これが何を示すのかというと、日本との国交回復も日本へのシンパシーというより単純に経済開発のための資金引き出しと対日貿易による経済のテコ入れを求めたから実行しただけに思え、もしかしたら日本にあまりいい印象を持っていなかったかもしれないけど利益追求のためにそういう気持ちは棚上げして国交回復に踏み切れる人だったのかもしれません。
もっともこの辺の感情はイタコでも呼んで朴正煕大統領の霊に直接聞いてみないとわかりませんが、先ほど少し述べたように政権後半期においては明確にかつ確実に日本に対して憎悪を抱いていたと私は確信しています。何故憎悪するに至ったのかというと二つの事件からで、一つは金大中事件、もう一つは文世光事件からです。
金大中事件に関する説明は省略しますが、文世光事件は私も記事に書いてますが簡単にここでも説明すると、北朝鮮こと朝鮮労働党の指令を受けた在日朝鮮人の文世光が朴正煕をピストルで暗殺しようと試みた事件です。幸いというかピストルの弾は朴正煕を外れて暗殺は失敗しましたが朴正煕の妻であり朴槿恵大統領の母である陸英修が流れ弾に当たり、この事件で死亡しています。
この事件は韓国と北朝鮮間だけの事件ではなく日本も深くかかわっており、まず犯人の文世光は在日朝鮮人で暗殺時も日本人に紛争することで群衆に紛れこんでおります。そしてもう一つ、これがなかなか重要なのですが、暗殺に使われたピストルはこのところ不祥事続きの大阪府警ですがこの時もそうで、大阪府内の派出所から盗まれたものでした。なおかつ文世光が韓国に入国する際は偽造パスポートを用いていますが、これの取得審査と出国審査ももちろん日本が取り行っており、仮にこれらのうちどこかで日本の捜査なり審査が機能していればこの事件はまず起こらなかったでしょう。
朴正煕というか韓国側もこのように考え、日韓の政府間で関係が一気に冷え込んだと言われます。なおかつ事件後も日本は国内の朝鮮総連に対してやる気のない捜査しかせず、韓国側からしたら日本は北朝鮮スパイを要請して韓国に送り込んでくる中継基地に見えたとのことで、自分が言うのもなんですが韓国政府が怒るのも無理ない気がします。こうしたことからウィキペディアの記述では朴正煕はこの時に日本との国交断絶まで考えたとのことで、それが事実かどうかはわからないまでも日本に対して相当腑に落ちない感情を持ったのは間違いないと私は考えております。
話はここで朴槿恵大統領に戻りますが、上記のような文世光事件を22歳(当時はフランスに留学中)の多感な時期に直面したことを考えると、私はとてもじゃないですが彼女が親日家になるはずがないと思えます。そう思うだけに「当初は親日意識が高いと思われた」という文言を入れた記事を書く人間は何もこの辺の事情を勉強していないのか、そもそも日本にいい感情を持っているとうかがわせる発言を過去にこの人がしているのか、もう全部が全部書かれてることと現実が矛盾しているように思えてなりません。そんなクソ記事書いて金もらっていいと思うのか、その前に発行する前に編集はちゃんと事実関係をチェックしているのかと非常に強い疑問を覚えるわけです。
更にこうした事情を勘案するにつけ、朴槿恵大統領のいわゆる告げ口外交こと日本批判は自身の感情から実行しているように見え、そういう意味で父親とは対照的に実質的な価値を全部台無しにしてでも理想を追求する理念型の政治家の様に私には思えます。これが何を意味するのかというと、理念型の政治家というのはあれこれ妥協案や条件、もしくは金を出しても効果が薄いため今後何をやっても朴槿恵大統領は日本批判をし続ける可能性が高いと予想されるわけです。極論を述べると、彼女の要求通りに日本の歴史観を韓国の歴史観に即したものに変えたとしても、彼女はそんなものを本気で求めているのではなくただ単に日本が嫌いなのだからまた別の難癖をつけてくるように思えます。つまり、妥協したって無駄だからあまり関わろうとせず次の人が来るまでほっとくのが一番じゃないかなというわけです。
以上がこの記事で書きたかったこと全部ですが、最後にこのところこういう社会ニュースに対する論評を書いてて思うこととして、自分はもしかしたら社会に対してマルチな視点を身に着けて来たのかもとこのところほくほくしてます。私が世の中を見る上でベースにしているのは出身学問である社会学がやはり基礎にあって主題となっている人物がどのようなモチベーションでどういう行動をとるのかを一義的に考えており、言い方を変えると相手の感情を分析してから次の行動を予想しようと自然に考えます。これともう一つ、ある意味ではこっちの方が感覚的に古いですが歴史的な視点からで、主題となる人物たちの相関関係や過去の事例などを如何につなぎ合わせるか、どういった点でつながっているかをこちらもまた自然に分析するようになっており、意識していたわけじゃないけど佐野眞一氏のスタイルに徐々に近づいている気がします。まぁやっていた人類学自体が歴史考証学に近いスタイルを持つのだから、ある意味自然な流れでこうなったのかもなぁ。
2 件のコメント:
その通りと思います。
コメントありがとうございます。
この記事では理念型、打算型で政治家を比較してなかなかわかりやすくかけたなと思う一方、このところの癖で形容詞を無駄に繰り返すというミスが読み直しているうちに見つけました。反省反省。
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