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2014年9月6日土曜日

朝日新聞の池上氏コラム問題について

 すでに各所で報じられているので説明する必要がないでしょうが、ジャーナリストの池上彰氏が朝日新聞紙上で連載していたコラムにて朝日新聞の従軍慰安婦記事が誤った事実を根拠に書かれていたと朝日自身が認めたことについて、誤報を流したことを正式に謝罪すべきではないかと書いたところ修正を求められ、掲載が見送られたという事実が池上氏自身の口から明かされました。記事掲載の見送りについては朝日新聞も認め、またその後に激しい批判にさらされたことから一転して掲載見送りは誤った判断だったとして掲載すると発表し直しました。
 今回の朝日新聞の対応について私個人の意見を述べると、やっぱこの会社って責任とかが緩いなぁなんて思います。共同通信なら担当編集長が間違いなく解任くらうのに。

 今回の掲載見送り判断のどこが問題なのかというと、単純に朝日が日頃から批判している「検閲」そのものを自身でやってのけたという点に尽きるでしょう。池上氏のコラムの内容は朝日にとって耳に痛い批判そのもので、そうした批判文などを意図的に載せようとしないのは戦前の日本と何も変わらず、こんなことしでかしておきながらどうにかなると判断した人間の頭はきっときれいなお花畑が広がっているかと思います。
 折しも、週刊文春など週刊誌数誌がまさに同じ従軍慰安婦誤報関連の記事を載せた号の広告を朝日新聞に載せようとしたところ、朝日は広告の掲載を認めないと拒否し、最終的には該当記事の見出しを黒塗りにする、これまた戦前、というよりは戦後ですが、検閲そのものという荒業をやって広告掲載を認めています。あまりこの週刊誌の広告問題と絡めて報じるメディアはまだ見ないですが、全く同じベクトルの問題だというのに池上氏には謝って、週刊誌には謝らないというのは報道機関、というより普通の人間の神経からしてどうかといったところでしょう。

 もっともこの問題はほかでも言われている通りに、当事者が池上氏だったからこそ朝日は対応を変えたと見て間違いないでしょう。仮にほかの人、それほど有名でなかったり、連載を中断するというような骨のある人間じゃなかったら黙殺して、そのまま知らぬ存ぜぬで無視していたと思います。今回の逆転劇も世間の批判が予想以上に大きかったからで、こういってはなんですが「都合の悪い内容は無視して載せない」という点については何も反省していないだろうし、近いうちにまた同じことをやらかすと私は予想します。古い話ですが、まだフジサンケイグループはホリエモンのニッポン放送買収事件の際は身内の出来事ながら逐一自分とこのメディアでも報じていた分、しっかりやっていたなと改めて感じます。

 問題の発端である従軍慰安婦誤報問題についてですが、事実概要についてはちょっとあれだけどこばやしよしのり氏の漫画「ゴーマニズム宣言」が比較的わかりやすく解説されていると思います。ちょこっとだけ説明すると、朝日新聞や韓国政府が従軍慰安婦が存在していた根拠とする本があるのですが、その本は全くのでたらめで、書中にある部隊名や命令書の番号などどれもこれもいい加減で作者本人も後で嘘書いたと認めているくらいです。それが今回の誤報問題の根源なのですが、最初に従軍慰安婦問題が持ち上がった頃と比べて現在はネットでの伝播力というものは高まっており、今とは時代が明らかに異なっております。

 何が言いたいのかというと、恐らくこの問題はまだまだ続くだろうし、朝日も同じような検閲を続けるでしょうし、変に長引くことによって部数もどんどん減っていくのではと私には思えます。ただでさえ新聞業界は不況だというのに、今後は明確な意思の下で購読を拒否する層が出てくるのではないかと思えるのに対し、朝日新聞側は未だにそれなりの緊張感というか危機感を呆れるくらい持っていないなという風に見えます。

 なお先ほど誉めたフジサンケイグループですが、フジテレビの韓流偏向について批判デモが行われた際は今回の朝日新聞同様に見事黙殺にかかってきました。結果はというとその後フジテレビはじりじりと視聴率を落としていき、韓流番組がすっかり減少した現在においてもかつての栄光どこ吹く風というくらいに丁重な視聴率順位に甘んじています。デモ当時にあのデモは韓国に対する排外主義的なデモだと批判する声もありましたが、今となってみると偽らざる単純な視聴者の声だったものではないかと思え、フジテレビは明らかに対応を誤ったなと考えてます。それにしても、フジテレビは韓流ゴリ押しだったのに同じグループの産経新聞は韓国大統領に因縁つけられるって面白い関係だなぁ。

2 件のコメント:

若生わこ さんのコメント...

>>フジテレビは韓流ゴリ押しだったのに同じグループの産経新聞は韓国大統領に因縁つけられるって面白い関係だなぁ

この「られる」が受身でも可能でも解読できるのは花園様の工夫でしょうか?だとしたら非常に面白いです。とりあえず私の以下のコメントは可能として受け取って書いてみました。尤も文脈としては受身でもさほど変りはしませんが。

フジサンケイグループのその姿勢に関しては私も「なんか足並みとれなてないよなぁ」と思っておりました、しかしちょいと年をとった今となってはお互いに言いたいことを言えてやりたいことをやれるという点で健全な共同体と言える気がします(どの程度の繋がりがあるのかは知らないのですが)。
先日の日中友好記事ではありませんが、やはり友人同士であってもただ相手に合わせるだけではなくお互いに言いたい意見を言い合える状況こそがお互いの理解を深めるものですし、関係としては良好なのではないでしょうか。

あまりにグループの意向が固まりすぎる、というのは「上が下の意向を決定している」と見える部分もあり周囲から見ても異常性が浮き出てきますし、だからこそむしろグループでの統一感がない、というのも一種の「ウリ」とできる気がします。えーっと…ボトムアップ的と言いますかねぇ。
そういう姿勢では「統一性がない!」と非難されそうではありますが組織である以上は十人十色の人間の塊なのですから「こういう意見も出ているよ」と発信してそういう人間がいるということを示すのはその組織の義務と言えるのではなかろうかと思う次第です。そこまで個人に気を使うと企業が回らないのでしょうけれど…。

花園祐 さんのコメント...

 いつもながらコメントありがとうございます。
 件の「因縁つけられる」の「られる」はあんまり意識せず「受け身形」として書きましたが、言われている通りに「可能形」でも読めますね。
 自分もフジサンケイグループはテレビと新聞で別々の意見を述べたりするのは長所だと考えています。変に知った風な人間はグループ内で統一感がないだとか意見の不一致だと批判しますが、同じグループ内とはいえ複数のメディアが意見を統一しようとすることの方が街代だと思います。といっても、フジテレビは一時期確かに韓流への偏向があり、産経新聞は逆に政治問題だと変に自民党をかばったりと、どっちも偏向気味であるので手放しに褒められるメディアじゃないってのが痛いところですが。
 なお今回の朝日新聞の問題ですが、こっちはテレビ朝日が歩調を合わせて報道ステーションではあんま大きく扱われなかったと聞きます。やっぱこうして比較すると、朝日のメディアグループの方が体質的に問題があるでしょうね。