2015年7月15日水曜日

書評「新・観光立国論」

 どうでもいいネタ挟む余裕ないのでいきなり本題ですが、例の冷凍たこ焼き好きの友人が「これを読め」というので、元ゴールドマンサックスのアナリストで現在は日本で文化建築物の修繕事業を営んでいるイギリス人のデービッド・アトキンソン氏による、「新・観光立国論」を紹介します。もっとも、結構売れてる本だからそこまで宣伝しなくてもいい気はしますが。
 この本では日本の観光事業について元アナリスト、というより日本在住歴の長いイギリス人としての観点からあれこれ物を語っています。全体の内容を一言で要約するならば、「独りよがりの自己満押し付けてんじゃねーよ(#゚Д゚)<JAP!」(意訳)と言ったところです。


1、日本の観光産業の立ち位置
 基本的には元アナリストらしく種々のデータを引用した上で日本の観光産業の立ち位置を説明した上で、現在の課題と日本人の無知ぶりを厳しく指摘しています。いくつかそのデータを引用すると、世界銀行がまとめたGDPに対する各国の観光収入の比率を最初に囲繞し、世界平均が1.8%であるのに対して日本はたった0.4%と極端に低い状態にあるとした上で、国別の国際観光客到着数のデータを連投しています。こちらのデータは下記に私も引用しましょう

<国際観光客到着数ランキング>
1位、フランス:8473万人
2位、アメリカ:6977万人
3位、スペイン:6066万人
4位、中国:5569万人
5位、イタリア:4770万人
12位、香港:2566万人
22位、韓国:1218万人
26位:日本:1036万人

 見てもらえばわかる通り、日本は他の先進国はもとより東アジアの中でもかなり下位に属する位置にあることがわかります。なお24位はクロアチア、25位はハンガリーですが、日本人からしたらこの国は観光的にはそれほど魅力があるようには見えないと思いますが、欧米人から見たら日本も同じ程度のレベルに見られていると作者は指摘しており、意訳するなら「身の程を知れっ(#゚Д゚)<JAP!」、といったところです。

2、観光大国の四条件
 ただ日本の観光産業がこれほどまで小さいということは「伸び代はあるってことだ(#゚Д゚)<JAP!」(意訳)とも語っており、その伸びしろを認識する上で重要な要素となるのが観光大国の四条件だと作者は述べています。その四条件とは「自然」、「気候」、「文化」、「食事」の四つだと述べ、観光大国フランスはもちろんこの条件を備えており、また日本もフランス同様に満たしていると太鼓判を押しています。なお作者の故国である英国は「気候」と「食事」に欠いており、残念ながらフランスに大きく劣ると認めてます。

 ただこの四条件ですが、日本人はほとんど認識していないどころかまともなPRすらできていないと厳しく断言されちゃっています。では日本は外国人観光客を誘致するに当たって何をPRしているのかというと、何故だか「国としての知名度」、「治安の良さ」、「交通インフラの充実」が最も多いとした上で、「三つとも誘致に当たって何の効果もねぇよ(#゚Д゚)<JAP!」(意訳)と批判しています。
 一つ一つ述べてくと知名度があるからわざわざその国に行く奴なんていませんし、同様に治安がいいから観光に行くなんて、じゃあインドとかタイは日本より治安悪いのに何で観光客多いのか。でもって交通インフラが充実しているから見に来るなんて鉄道マニアくらいだと切って捨ててます。なおこの三つを三つともPR文に載せている意味の分からない会社として何故だか「星野リゾート」をここだけ名指しで批判しています。何か嫌なことでもあったのかなここに、俺もあるけど。

 総じて言えばPRのポイントが根本から間違えているとして、「逆にそういった点を少しずつでもいいから修正していけば、ポテンシャル自体は高いのだから高い成長を期待できるぞ(#゚Д゚)<JAP!」(意訳)と、フォローをきちんと入れる辺りは英国紳士です。

3、おもてなしに対する疑問
 恐らく友人が何でこの本を私に勧めたのかという理由の一つとして、この日本の「おもてなし」という言葉に対する作者の意見も大きかったんじゃないかと思います。作者はこの本の中ではっきりと、「もうおもてなしなんて言葉は使うな(#゚Д゚)<JAP!」と述べており、去年あたりからずっとこのブログで私が主張してきた内容と同じことを主張しています
 はっきりいますが日本人の言うおもてなしというのは自己満足そのもので、外国人からしたらそれ程質の高いサービスでもなければむしろ邪魔くさくて鬱陶しいマナーに見えることのが多いです。サービス対応一つとっても日本ではちょっとした注文というか変則オーダーですらやれ規定が、ルールが、上司がなどと言っては対応を断ることが多く、また飲食店などで英語がほとんど通じないというのも地味に問題です。私の方から断言してもいいですが、日本の「おもてなし」は上海市の一般的なサービス水準と比べても質が劣ります。

 更に作者はこうした「おもてなし」に代表される日本人の自己満足に外国人がケチをつけたり満足しなかったら、「あいつらはモノのわからない野蛮人だ(#゚Д゚)<鬼畜米英!」」などと逆批判をして、彼らが求めるサービスを探ったり、能動的に対応していこうとすることに無関心すぎるところがあると指摘してますが、はっきり言えば私もこれに同感です。結局、日本の価値観に合う外国人しか誘致しようとせず、折角誘致できる可能性の外国人を自ら排除して稼ぎ的に非常にもったいないことをし続けているのが日本人だと分析しているわけです。

 以上がこの本の主だった内容ですがこの記事の目的上、敢えて辛辣な文体で書いております。この文体に対して読者がどのように感じるかはさておきこの本の中で作者は実際には、卑屈なくらいにへりくだった文体で内容を説明しております。どれくらいへりくだっているのかというと、「私は日本が嫌いなわけではなく本当に大好きなんです。だからこそ潜在力の高い日本の観光産業はそのポテンシャルを生かし、大きく伸びてもらいたいのです」、といった内容の言葉が一体何回出てくるんだよと言いたくなるくらい繰り返されています。
 これは私と友人の想像ですが、多分作者は日本での駐在生活で相当苦労したんだろうなぁという気がしてなりません。会社の同僚に、「もう彼は半分中国人ですから」とリアルで言われたくらいに日本離れしている私に言わせると、きちんとデータに基づいた当たり前の内容を指摘すると何故だか日本人は強い拒否感を示した上で怒り出す傾向があります。この本に書かれている内容も徹頭徹尾、普通に考えたらその通りだと思える当たり前な内容で占められていますが、恐らく普通に口頭で話したら、「お前は日本を貶そうっていうのか?」とまず反感を買うことが私にも予想できます。それこそ、「日本のおもてなしは日本人の自己満だ」なんて言ったらどうなることやら。

 だからこそ作者は耳を傾けてもらうためにも卑屈なくらいに、「悪気はない、ただ君たちにはもっと良くなってもらいたいだけなんだ」という言葉を繰り返したのでしょう。しかし私としては外国人であるのだからここはびしっと、「いちいちめんどくせーんだよてめーら日本人はよ(#゚Д゚)<JAP!」、というくらいきつく言ってもらった方が案外日本人にとってよかったのではと思う節があり、敢えてこの記事では辛辣な文体に意訳しました。
 もちろん日本の観光産業について、当たり前だけど日本人は当たり前の事すらまともに言えないだけに貴重な意見をたくさん提供してくれてて非常に価値がありますが、それ以上にまともなことを普通に言っても日本人は全く聞いてくれないんだなということがこの本読んでて強く感じ、そっちの方が私の印象には強く残りました。ある意味、海外に出ている人間の方がこの本読んで思うこと多いんじゃないかな。

 勢いで一気に書きましたが、我ながら有り得ない書評になったなという気がしてなりません。




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