2017年4月28日金曜日

アドベンチャーゲームにおけるキャラクター表現の変遷~没個性について

 パソコンデスクを変えてからキーボードの位置が素晴らしくいい位置に来たため、タイピング速度が桁違いに上がると共にミスタイプ率が極度に減りました。案外、見えないところでこうしたタイピング位置のズレが社会の効率を大きく下げているのかもしれません。うちの名古屋に左遷された親父は「HPのパソコンやとめっさ打ち辛い」と言ってましたが、私に言わせればそもそも安いだけのHPを買う時点で問題でしょう。まだLenovoの方がマシじゃないかな。

 話は本題に入りますが最近、昔流行ったとあるアドベンチャーゲームの開発者インタビューを読む機会があり、懐かしさを覚えると共に最近のゲームとの比較で考えさせられる点が多々ありました。その考えさせられた点というのは具体的に挙げると、「最近のアドベンチャーゲームはキャラクターを前面に出しており、作品全体のテーマ性やストーリーが軽んじられている傾向がある」というような指摘でした。
 多少ネタバレさせると、そのレビューで取り上げられたゲームは一見するとSFファンタジーですが裏テーマとしてはカニバリズムや近親相姦といった社会でタブーとされる概念が出てくる場面も盛り込まれてあり、私の言葉で言わせれば文学的な要素というか考えさせられる内容が多分に含まれていました。ただ、そのゲームについてはやや懐古による過大評価な面も多いのではないかという気もしますが。

 必ずしも全部の作品がそうだったわけではありませんが、確かに今現在と比べると90年代くらいのアドベンチャーゲームは作品全体を通したテーマ性が非常に強く重視されていたというのは間違いありません。一方、現代のアドベンチャーを含むゲームのストーリーではそうしたタブーに触れる様なテーマ性よりも圧倒的と言っていいほどキャラクターの造形が重視されているでしょう。キャラデザインという見た目はもとより性格やバックグラウンドなど、ライトノベルの指南本などでも「全体のストーリーはどうでもいいから読者に気に入られる魅力的なキャラを作ることが大事」という風に書かれており、現実に主人公やヒロインのキャラクター性でその手の売上げは全部決まりかねない勢いです。

 具体的に一例を挙げると、90年代におけるアドベンチャーやRPGのゲームでは主人公は「はい」か「いいえ」しかしゃべらないのが当たり前なほど没個性的でした。これはプレイヤーが主人公へより感情移入させるための措置で、何かしらの人格は与えてはならないというような不文律が少なからず当時にはありました。主人公が喋る必要のあるアドベンチャーゲームでも然りで、たとえばサウンドノベルの傑作である「かまいたちの夜」では主人公を含め登場人物はシャドウで表現され、見た目のバイアスがかからない様な処置が施されていました。
 しかし現代のゲームでは主人公がペラペラしゃべるのは当たり前で、見た目ももちろんのことその性格がどうかなどがプレイヤーに吟味されます。ヒロインキャラも同様で、悪かった例で挙げると「テイルズオブベステリア」と「俺の屍を越えてゆけ2」はそれぞれヒロインのロゼと夜鳥子の行動や性格がプレイヤーから大顰蹙を買い、ほぼこの一点でもってクソゲー扱いされる程でした。

 もちろん時代によって流行り廃りはあるのは当たり前ですが、確かによくよく考えてみると「キャラゲー」という言葉があるくらい、現代のゲームはキャラクターへの依存が強くなっている気がして、作品全体のストーリーやテーマで語られることが少なくなっている気がします。もう一つ例を挙げると、「氷点」という小説は知られていても主人公やヒロインの名前まで覚えている人は多くないでしょう。私もその口(ヒロインは「陽子」と覚えている)ですが、この作品における「汝、汝の敵を愛せよ」というテーマはしっかり覚えて今でも強く影響を受けています。

 この評論自体が懐古調なだけかもしれませんが、やはり私から見ても最近のゲームや小説はキャラクターが前面に出過ぎていて、作品全体で深みがやや足りないストーリーが多い気がします。やはりこの二つの要素は相互干渉し合い、キャラクターを追い求めると全体テーマは薄れ、その逆も然りとなります。
 特にアドベンチャーゲームでは遊んでいるというよりは遊ばされているというべきか、主体的というより受動的な印象を覚えるゲームがやはり多いです。そういった意味で敢えてこの時代に没個性的なキャラで挑むゲームがあったら遊んでみたいと少し感じたわけです。まぁドラクエはその姿勢をずっと貫いているけど。

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