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2010年2月7日日曜日

レビュー「東京マグニチュード8.0」

 先日とあることがきっかけでフジテレビで放映された「東京マグニチュード8.0」というアニメを最初から最後まで見ました。このアニメはそのタイトルの通りに首都東京で直下型巨大地震が起きたことを想定したストーリーで、オープニングテーマが何をどう考えてあんな内容と噛み合ってない曲を採用したのかがわからないことを除けば全体的になかなか楽しめた作品でした。

 簡単にあらすじを説明すると、夏休みが始まってすぐ主人公である中学一年生の女子生徒、小野沢未来が小学三年生の弟である小野沢悠貴を伴って東京お台場にあるロボット展示会に遊びに行った所、その地で地震に巻き込まれ、現地で知り合った日下部真理とお台場から世田谷の自宅まで帰宅するまでのストーリーです。

 このあらすじで何が特筆するべきなのかと言うと、東京で起こる巨大地震の際に実際に想定されている問題で何が一番やっかいなのかというと、東京に通勤通学などでやってきている人達が交通手段やライフラインが破壊されて自宅に帰るに帰れない、大量の帰宅困難者が発生するという点で、それをこうしてピックアップしたのはみていて「ホホゥ(,,゚Д゚)」とされました。
 劇中でも帰宅するまで四日間かかっており、この帰宅困難者の問題がどれだけ根深いのかを考える上では格好の材料かと思われます。

 実は大分以前に災害社会学の授業を受けた際に阪神大震災の教訓、そして東京で予想されるこの帰宅困難者の問題などで詳しく講義を受けたのですが、こうした災害時には何をするべきなのか、どのような情報が必要なのかというのは平常時ではなかなかわかり辛く、個人でも出来る対策や自治体の災害計画などをある程度把握しておく必要があると強く説かれました。

 その授業の話も面白いのでまた今度詳しくやってもいいのですが、地震は予測もできなければ待ってもくれません。常に神経を張っているとさすがに疲れますが、忘れない程度に「もし起きたら」という気持ちを持っておくことは地震大国日本にいる上で非常に大事になるかと思います。

 ちなみに先程の災害社会学の授業にて講師が、何が災害現場にとって一番ありがたいかというと下手に復興ボランティアに来るよりも郵便局などを介してお金を送ってくれることだそうです。お金があれば現場でもいろいろと物資を調達することが出来るそうです。

検察批判 裏金の受け渡しの有無について

 久々に友人のSOFRANが記事を寄稿してくれたので、早速アップさせていただきます。内容としては、彼らしいなぁと思う記事内容です。


 先日2月4日、年明けから政界を騒がせていた、小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地取引に関わる4億円を政治政治収支報告書に記載しなかった問題が、一応の決着を見ました。東京地検特捜部は、昨日まで逮捕拘留していた石川知裕衆議院議員(36)、大久保隆規元公設第一秘書(48)、池田光智(32)を起訴しましたが、その容疑とされた収支報告書の不記載を決定した際に関与を疑われていた小沢氏は不起訴としました。検察当局は2月4日の会見で、「特定の政治家を狙い撃ちしたものではなく、法に則って、淡々と捜査をしただけ。」と説明していましたが、各週刊誌の報道や過去の検察の捜査手法から判断すると、この捜査の一番の目的は小沢一郎の起訴、願わくば逮捕まで持っていき、そのことによって民主党政権の基盤を崩したいという狙いがあったことは明らかでしょう。一部マスコミは今回の結果を受けて、【検察の敗北】と報じたりもしています。
 
 この、大きなスパンで見れば昨年の西松建設疑惑から始まる小沢氏に対する捜査は、一体、我々国民にとってどのような意味を持っているのか? この記事では、小沢氏のお金にまつわる疑惑というよりも、それを捜査する検察組織の問題点を指摘した上で、それらについて批判したいと思います。

 まず最初の問題点は、水谷建設による小沢氏側への裏金の受け渡しは本当にあったかどうかです。
 これは岩手県の胆沢ダム工事の受注見返りとして、水谷建設の幹部が2004年10月に石川議員に、2005年4月に大久保秘書に各々5千万円を渡したという疑いで、小沢氏側はこの合計1億円を含んだ4億円を元手に世田谷区の土地を購入した。このように単なる不記載ではなく、その4億円の中に不正な裏献金が含まれているゆえ、その犯罪性、悪質性が強調され、先の小沢氏関係先への強制捜査、異例ともいえる石川氏ら3人の逮捕に正統性が保障される。これが、検察側のストーリーです。

 しかし、石川、大久保両氏は、聴取の始めから一貫して、「そのような不正なお金は断じて受け取っていない。」と否定しています。終始報告書の不記載に関して石川氏は、当初は「形式的なミス」と述べていたが後に、「故意にやったこと」と供述を変えているのとは対照的です。また、胆沢ダムの工事を取り仕切っていた鹿島建設が下請けの水谷建設に小沢氏側に裏金を渡すように命じたとも報道されていましたが、鹿島建設側は、「そのような事実はない」と否定しているのです。
 
 では、誰がうそをついているのか? そもそも、お金を渡したと証言している水谷建設の元幹部とは一体誰なのか? 実は、その証言の主は水谷建設の元会長・水谷功と見られています。彼は法人税法違反(脱税)の罪ですでに実刑判決が確定し、今は獄中の身。この人物は、2006年の佐藤栄佐久前福島県知事の収賄事件においても、「県発注のダム工事受注の見返りに、知事の親族会社の所有地を時価よりも高く買い取った。」という事件の核心に触れる重要な証言をしています。しかし、後に佐藤前知事の主任弁護士に対し、「一審での供述は、当時自分の裁判(脱税事件の方)が進行中で、実刑を回避しようと、検察から言われたままを証言した。」と語っております。この発言を佐藤氏側の弁護団は、昨年7月の最終弁論で明らかにしたそうです。

 このように、この人物は一度、検察の意向に沿って嘘の証言をしている過去があるのです。とすると、今回の小沢氏側への現金受け渡しの証言もその信憑性を疑わざるを得ないと言えます。

 また、この裏金授受に関する素朴な疑問として、当時、野党だった小沢氏に国土交通省の管轄する公共工事の受注を仕切るまでの権限があったのかというのもあります。
 結局、東京地検は先の会見で、記者からの「裏金の存在は解明できたのか?」との問いに、「小沢議員の説明(4億円の原資は個人資産である)をそのまま認定したわけではなく、資金の趣旨は公判で明らかにする」と述べるにとどまりました。ぶっちゃけて言えば、裏金の受け渡しに関しては、確たる証拠が得られなかったということでしょう。

 またこの件に関しての、マスメディアの報道にも疑問が残っています。この間の報道で、裏金を渡したとされる日に元幹部が乗った東京行きの新幹線の領収書があるとか、受け渡し場であったホテルの領収書があるとか。TBSにおいては、「ウラ献金疑惑、居合わせた人物が、核心証言」とのニュースを昼、夕方、夜と流しました。水谷建設に近いという関係者が、石川氏の5千万円授受の瞬間を目撃したという内容などですが、相当具体的に、その時の現場を再現していましたが、その後検察が重要証言として参考にした形跡もなく、どうも胡散臭いニュースのように思えます。

 最後に、昨日の保釈後の石川氏の肉声を紹介しておきたいです。それは鈴木宗男衆議院議員が毎日更新している【ムネオ日記】にある証言で、

「17時50分、保釈された石川代議士から連絡が入った。とても元気な声で安心した。その話の中で、『水谷建設の人がいればぶん殴ってやりたい。いい加減な調書を検事の誘導に乗って作られ、大変な目にあった。頭からウソ話に乗り、取調べをした検事もとんでもない』と憤っていた。」(注:2/5の日記内容)

 この「ぶん殴ってやりたい」との発言は過激で、聞く人がいれば、この人反省してないなーと思うかもしれません。
 ただこの発言の意を手前勝手に解釈すると、「まったくあの事は、黙っておくことが筋じゃないのか。ぺらぺらしゃべりやがって」なのか。「誰だか知らないが、嘘の証言をしやがって、不記載の件は認めるが、こっちがどんだけ裏金のことで検事に絞り上げられたと思ってるんだ。くそ、誰だ、でっちあげやがったやつは、コンニャロック。」なのでしょうか?もちろん、私は後者が真実であると考えています。

 私はジャーナリストでも何でもなく、一介の素人にすぎませんが、今回の件に関しては大新聞やテレビの報道だけでなく、ネットであるとか、週刊朝日などの週刊誌、あくまでジョークですが日刊ゲンダイなど三流紙などの情報を積極的に読み取っていくと、一般に語られている小沢=巨悪の政治家という構図だけでは図りきれない事実が浮かび上がってくると思います。特に大新聞、テレビと他のメディアとの情報の落差は大きかった、それは確かな事実です。
 検察とは、果たして正義の組織であるのか? この組織は、日本社会に何をもたらそうとしているのか? 要チェックです。

  参考サイト
ムネオ日記
佐藤栄佐久 公式ブログ


  花園祐注
 今回のこの検察の捜査に対する報道で何が一番問題だったかと言えば、メディアが捜査対象となった小沢氏側、捜査する側の検察両方に問題性があると整理した報道をすることができず、メディアによって批判対象がそれぞれ異なっていたというのが大きかったように思えます。かくいう私も小沢氏の政治団体が自由党解党時に政党助成金を着服していたのではないかという疑いから終始小沢氏側を批判して、他のメディアがやっているのだからわざわざこのブログで検察の捜査手法を槍玉に上げる必要はないと取り上げませんでしたが、ここまでお粗末な結果になるのだったら始めの段階でもうすこし批判しておけばよかった気がします。

 それこそ今回寄稿してくれたSOFRANのように常に複数メディアに網張っている人間ならともかく、普通の人はテレビならテレビ、新聞なら新聞、週刊誌なら週刊誌と普段一つのメディアでしか情報を取らないため、今回の事件全体の構図がなかなか読み取れなかったのではないかと思います。
 ついでなので書いておきますが、週刊誌やタブロイド紙は情報のテレビや新聞と比べると信用性が低いとしばしば言われますが、今回朝青龍を引退に追い込んだスクープを取ったのは週間新潮で、たまにはいい報道をすることがあります。

2010年2月6日土曜日

最近のテレビCMについて

 大分前、恐らくこのブログを始めたあたりにも書きましたが、このところ悪い意味で目に付くテレビCMが多い気がします。

 この前総務省からも各テレビ局に注意が飛びましたが、現在どこの曲でもCMを放送する時間に限ってわざと音量を上げるようにしており、番組を見ているこっちからするとその度に聞きたくもなければ見たくもないCMを無理やり見させられているようでお世辞にもいい気分がしません。
 もちろん広告収入をテレビCMで上げることで我々視聴者は無料でテレビ番組を見ることが出来るのですから多少は我慢すべきでしょうが、それにしたって最近の一部のCMはいくらなんでも度が過ぎていて、見ていて本気で売る気あるのかと思うくらい不愉快にさせられるCMが見受けられます。

 そのような不愉快にさせられるCMの中で今私が一番カチンと来るのはほかならぬキムタクの出ているタマホームのCMで、なんか検索をかけるとどうやら私と似たような印象を持つ方が多いらしく、あの無意味に「( ゚Д゚)<タマホーーム!」と何度も叫ぶBGMがうるさいの何の。将来家買うことになっても、絶対にタマホームは使わないぞと私に決意させたCMです。

 その逆に見ていてほっとするというか、癖になってこのところ毎日視聴しているCMはしょこたんこと中川翔子氏の出ているアンチウィルスソフトのノートンのCMです。

しょこたん動画 - TVCM メイキング公開中 | Norton 2010シリーズ

 上記のノートンのページ内にてそのCMを見ることが出来ますが、なんというか音楽がゆったりと流れていて、映像も切り替えが少なく近年に見てきたCMの中では一番いい印象を覚えました。CMに限るわけじゃないですが、近年のテレビ番組などは展開がどれも速い上に音楽も聞いててなんか焦らされるようなものが多く、そうした中でこうしてゆったりと構えて見れるCMは本当に久々に感じました。このCMで私の中のノートンのイメージはぐっと上がり、もしアンチウィルスソフトを買うことがあるのであれば是非ここのものを買おうと思います。

 さてこの悪い方のタマホームのCM、いい方のノートンのCMも、それらの評価の分かれ目はBGMこと音にあります。これは以前に広告業界の人から話を聞きましたがやはりテレビCMで一番重要になってくるのはBGMだそうで、昔放送していたキリンビバレッジのアミノサプリのCMで使われた「麒麟戦隊アミノンジャー」のCMでは、五人戦隊のメンバーがそれぞれの名前(症状?)を次々と叫ぶシーンにて、「上の空」の番にて敢えてその症状通りに何も喋らせないことで視聴者を振り向かせるように仕向けてたそうです。
 実際に、「体脂肪!」、「お肌!」、「ヘロヘロ……」、「……………(上の空)」、「飲べえ(゚∀゚)」という順番で言われると否が応にも気になり、私もCMが放送されていた当時は何度も振り向いてしまっていました。もっともこちらの場合、「またもしてやられた(´Д`;)」と思う程度で、タマホームのCMほど不快感はありませんでしたけど。

京都にある大学について

 今日何気なく「Gogle analytics」でこのブログの検索ワードを調べてみた所、

「花園祐 京都大学」

 というワードが入っていて、やや苦笑しました。

 多分私が京都の大学に通っていたということをこのブログの中で散々言っていたからこういう検索をした方がおられたのかと思いますけど、結論から言えば私は京都大学出身ではなく、別に隠す必要はないのですが京都のとある私大出身です。
 ただ私がその大学に在学中、初対面の相手に、「京都の大学に通っている」と自己紹介すると決まって、「京都大学?」と聞き返されるのには辟易してました。近畿圏の人間なら京都にはたくさん大学があるということをわかってくれていますが、どうもそれ以外の地域となると京都の大学となると京大がすぐ出てきてしまうようで、恐らく私に限らず京都の学生は皆似たような経験があるかと思います。

 ではそんな京都には一体どれだけ大学があるのか、そこそこ名の通った大学であれば数え上げれば切りがなく、各大学ごとにそれぞれ特徴があります。ただいかんせん私がそれほど他の京都の大学生と頻繁に交流があったわけでないので知ったかぶりしてその特徴を個別に解説することは避けますが、京都はそれだけ大学が多いということもあって学生には住み易く、かつ学生生活に必要な施設も豊富なので個人的には東京の大学に行くよりも就職機会を除けば得られるものは多いと思います。
 というのも私は元々今も住んでいる千葉県の出身で、高校時代に私の周囲にいた人間はみんな東京の大学に進学していて彼らからいろいろ事情を聞いており、そうした伝聞の情報と自分の体験を比較すると、個人の体験や経験はともかくとして学生生活全体で見れば京都の学生のが恵まれている気がします。

 具体的に何がいいかというとまず圧倒的な利点は家賃の安さです。私なんかは特別で月三万円のアパートに住んでいましたが、敷金礼金が高いものの月五万円も払えばそこそこいい部屋も借りられて通学も京都市内であれば自転車でどこでもいけます。京都精華大学とか京都産業大学は北っ端にあるのでさすがにきついかもしれませんが。
 そうした居住条件に加え学術施設の豊富さも見逃せず、ちょっとした博物館から考古学の発掘現場など、興味があればいろいろと見識を深めるきっかけとなる施設が多く、しかも寺社仏閣に行けば重要文化財があって当たり前ですから至れり尽くせりです。

 ただこうした利点よりも、何が一番よかったかと言えばやはり山に囲まれていたという条件が私の周りで一番人気がありました。京都は盆地で南を除くと三方が山に囲まれており、ちょっと時間があれば簡単なハイキングがいつでも出来ます。やはり日本人は農耕民族ゆえにDNAに山のある風景が染み付いているというべきか、山に囲まれた生活を経験していない関東出身の私や同じく山のない上海出身の知り合いの中国人もあの京都の風景を折に触れて懐かしがっています。

 ただ残念なことに、私の周りではそのような近くの山へ実際に行楽に行く学生はそれほど多くありませんでした。私なんてアホなもんだから、「極寒、信楽サイクリングツアー」で書いたように山越えて滋賀県行ったり伏見稲荷に何度も行ったり、叡山電鉄に乗って比叡山にも行くなどしてましたが、こういうのはごく少数で大抵の学生は盆地の中で止まり続けていました。折角なのだから、見ているだけじゃなく足を運んだ方がいいのに……。

  おまけ
 京都の北西部に「保津峡」といってトロッコ列車が走り、川下りで有名な景勝地がありますが、ここの近くまで自転車で行ったことがありますが、保津峡と言うだけあってすごい坂道だったので自転車を降りて進んでいき、途中まで行って帰ろうと自転車に乗って坂道を下ろうとしたら物凄い加速がついてちょっとビビりました。どれくらいの加速かというと、全力でブレーキ握っているのに自転車がピタッて止まらず、まるで自動車みたいに緩々とスピードが落ちていく感じで、未だかつてあのような感覚は保津峡以来感じておりません。

2010年2月5日金曜日

こんなに上がった漫画の価格

 先日店頭に並んでいたのでのコミックフラッパーで連載している「殿といっしょ」(大羽快氏作)という漫画の1巻を買ったのですが、内容は戦国大名に題材をとったギャグ四コマ漫画でなかなかディープな歴史ネタが盛り込まれており、女性キャラの書き分けができていなくて見分けがつかない点を除くとそこそこ読める内容だったわけなのですが、そういった内容以上にこの漫画で一番気になったのはそのあまりのページ数の薄さでした。基本的に四コマ漫画はどの雑誌でもページ数が少ない中で連載されるため単行本は薄く、かつ発行ペースも間隔が大きく空きがちなのですが、この「殿といっしょ」の1巻に至ってはなんと127ページしかなく、それでいて値段は他の通常の漫画と変わらず540円(税込み)だと言うのですから、なんというか値段に見合わない気がして読後感は正直言ってとても悪かったです。

 この「殿といっしょ」はメディアファクトリー社出版ですが、ここに限らずこのところ漫画の値段の高騰振りが目に付きます。大分前にデフレについて記事を書いた際に日本の物価は消費税5%導入後は総じて低下しているものの何故か書籍だけは上昇を続けていると書きましたが、このところ各漫画出版社が古本屋やインターネットでの不正アップロードによって漫画が売れなくなったと自らの窮状を訴えるのを見るにつけ、そもそも値段を上げ過ぎなのが販売、業績低下の原因ではないかと苛立ちとともに感じていました。
 そこで今日は週末で力も入れられるということもあり、ちょっと頑張って如何に漫画の値段が上がってきているのか自宅内で検証してみようかと思います。

 まず漫画の値段ときたら、避けては通れないのが漫画雑誌の値段です。ちょうどよくウィキペディアに少年ジャンプの値段の変遷がまとめられているので、早速下記にて引用します。

・週間少年ジャンプの値段の変遷
創刊時 - 1970年6月 90円(100円?)
1970年7月 - 1970年11月 80円(不明)
1970年12月 - 1973年3月 90円(100円)
1973年4月 - 1973年11月 100円(不明)
(1973年11月16日 第一次オイルショックに伴う「石油緊急対策要綱」を閣議決定)
1973年12月 - 1976年6月 130円(150円)
1976年7月 - 1980年6月 150円(170円)
1980年7月 - 1989年3月 170円(180円、または190円)
1989年4月 - 1990年8月 180円(190円、または200円)
(1989年4月1日に消費税3%が導入された)
1990年9月 - 1996年1月 190円(200円、または210円)
1996年2月 - 1997年8月 200円(210円、または220円)
1997年9月 - 1998年4月 210円(220円、または230円)
(1997年4月1日に消費税税率が5%に変更)
1998年5月 - 2004年4月 220円(230円)
2004年5月 - 2008年8月 230円(240円、または250円)
2008年9月 - 240円(250円)
※括弧内は特別定価



 自分が記憶している限りでジャンプが最も低い価格だったのは180円で、その頃と比べると消費税が導入されたとはいえ60円も高い240円、率にして13%も上がっているとは、こうしてみると改めて驚きです。とても今の世の中がデフレだとは思えない上がり方です。
 ただこの値段の上昇の仕方についてはいくつか意見があり、確かに値段は上がったもののページ数も同時に増えていて1ページあたりの単価はそれほど上がっていないと下記のサイトでは主張されております。

週刊少年漫画雑誌はここ30年くらい値上がりしていない(情報中毒者、あるいは活字中毒者、もしくは物語中毒者の弁明)

 上記サイトでは時代ごとにページ単価を比較しているのですが、何故かはわかりませんがジャンプやマガジン、サンデーなど複数の雑誌を一緒くたにしているうえに発行年もかなりバラバラなまま比較しているのでちょっとどうかと思うデータではありますが、結論としてはオイルショック後はそれほど変わっていないとまとめております。
 しかしこのサイトで紹介されているデータで少年ジャンプのデータだけに注目すると、以下のような変遷が確認できます。

1992年:190円 422ページ 1Pあたり単価:0.450円
2007年:240円 474ページ 1Pあたり単価:0.506円


 大まかに言って0.45円から0.50円の、率にして約11%の値上がりが92年から07年の間に行われたということになり、先程のジャンプの価格の変遷で私が挙げた89年から07年の間の13%の値上がりと比較しても遜色がない気がします。
 第一、ページ数が数パーセント増えたところで印刷にかかるコストなんてそれほど変動するとは思えませんし、いくらページ数が増えたからと言ってそれが販売価格の値上げに直結するというのは出版社の低の言い訳にしか私には聞こえません。

 こうした漫画雑誌の価格に対し、今回私がむかっ腹を立てた漫画単行本の価格はどのような変遷を辿っているのでしょうか。まずは今回槍玉に挙げた「殿といっしょ」と同じ四コマ漫画で価格を比べてみると、今手持ちの漫画だとこの様になります。

  四コマ漫画価格比較
・殿といっしょ 大羽快 2007年出版 メディアファクトリー 540円 127P(4.25円)
・うめぼしのなぞ 三笠山出月 1996年出版 エニックス 500円 110P(4.54円)
・あずまんが大王 あずまきよひこ 2000年出版 メディアワークス 680円 160P(4.25円)
・ほんとにあった!霊媒先生 松本ひで吉 2009年出版 講談社 560円 157P(3.56円)
※すべて単行本は1巻のデータ 括弧内はページ当たり単価


 我ながらディープな組み合わせとなりましたが、結果をまとめると「殿といっしょ」は極端に高くなく、逆に講談社は非常に良心的であるということだけがわかりました。ただ少し言い訳をすると、「殿といっしょ」と「ほんとにあった!霊媒先生」はB6サイズ(128×182mm)の本に対して、「うめぼしのなぞ」と「あずまんが大王」はA5サイズ(148×210mm)の本です。

 というわけで初っ端からしょっぱい出だしですが、今度はまだ比較しやすい同じ出版社から出ている単行本の価格を比較しようと思います。まずはジャンプコミックスからで、折角なので敢えて同じ作者で少年誌系コミックスと青年誌系コミックスを比較してみました。

  少年誌、青年誌系ジャンプコミックス価格比較
・エンジェル伝説 八木教広 1993年出版 集英社 390円 215P(1.81円)
・クレイモア 八木教広 1993年出版 集英社 420円 191P(2.19円)

・エルフェンリート 岡本倫 2002年出版 集英社 530円 203P(2.61円)
・ノノノノ 岡本倫 2008年出版 集英社 530円 211P(2.51円)
※単行本はすべて1巻のデータ 括弧内はページ当たり単価


 岡本倫氏の単行本については私も以前に書いたように作者自身が値段を抑えようとあの手この手と手段を講じているだけあってさすがのページ単価ダウンですが、八木教広氏が悪いわけではないですが、少年誌系のジャンプコミックスの値段の上がり方はさすがに目に余ります。何度も言いますが、この間日本はずっとデフレで他の物価は下がり続けております。

 しかし、こうしたジャンプコミックス以上に私が問題視しているのは何を書くそうアフタヌーンのコミックスで、前にも岩明均氏の「ヒストリエ」が値段が変わっていないのに巻を重ねるごとに薄くなるのは何事かと書きましたが、それ以上に問題なのは藤島康介氏の「ああっ女神さまっ」です。百聞は一見に如かずということで、早速比較を行いましょう。

  「ああっ女神さまっ」(講談社)単行本価格比較
1巻 1989年出版 430円 180P(2.38円)
10巻 1994年出版 450円 172P(2.61円)
20巻 1999年出版 530円 241P(2.19円)
30巻 2004年出版 490円 148P(3.31円)


 まだ20巻までの変遷は理解できるにしろ、20巻から30巻への高飛び振りはこうしてみるとえらい数字になって調べた本人ですら驚いております。ページ単価でみると2.19円から3.31円への1.12円上昇で、率にして約51%の上昇です。
 私個人の意見ですが、いくら人気作家でこの値段でも売れるとしても、作家や出版社はこんな売り方をしていて恥ずかしくないのかと一度聞いてみたいものです。

 ここまで手持ちの漫画単行本に対してあれこれ価格を比較してきましたが私の中の結論として、やはり漫画業界はデフレ下の日本においてこの十数年間、一貫として価格の値上げを行ってきたのは確かだと言える気がします。売上げが落ちたから値上げをしたのか、値上げをしたから売上げが落ちたのか、どっちが先かまではわかりませんがその値上げに至るまでに企業内でどれだけコスト削減に取り組んだのかなどが私には見えてこず、こうした一方的で一貫とした価格設定の仕方だけを見ていると古本屋に客を取られるのも自業自得なのではないかと人事ながら感じます。

 最後に個人的な意見ですが、確かに読者となる子供の数が減って出版社として本当に苦しい状況かもしれませんが、少年誌系コミックスについてはただでさえお小遣いの少ない小学生がメインの購読者層であることを考え、もう少し価格努力を行って欲しいと願います。

2010年2月4日木曜日

小沢一郎の不起訴について

石川議員ら3人を政治資金規正法違反で起訴(産経新聞)

 本日東京地検は、かねてより政治資金規正法の違反容疑で取調べを行ってきた小沢一郎民主党幹事長の起訴を見送るとの発表を行いました。その一方、この関連の容疑で逮捕された小沢氏の元秘書であった石川知裕議員ら三人は起訴するとのことで、結論から言えば私にとってこれはいろんな意味で残念な結末でした。

 私は過去の四億円の土地購入にまつわる小沢氏の周辺に及んだこの一連の捜査が始まった際、検察の狙いは報道されていた鹿島建設などからの裏金の授受ではなく、「小沢一郎、政党助成金私的流用疑惑について」の記事で書いた自由党解散時の政党助成金流用疑惑だろうと踏んでいたのですが、今回のこの一連の捜査ではこの流用疑惑については一切触れられてきませんでした。
 まぁこの政党助成金の流用については後で自分も調べてみた所、どうも自民党も武部勤氏や中川秀直氏が幹事長時代に彼らの政治団体に振り込んでいたそうなので、政界では暗黙の了解となっていたということがわかったのですが……。

 ただこの流用疑惑が取りざたされないにしても、この結末はいくらなんでも問題なのではないかと思います。私は当初、この事件が建設企業からの裏金が渡されたかどうかなどについてはあまり興味を持っていなかったのですが、事件が進むにつれて四億円の土地購入資金の原資についての小沢氏の発言が次々と変わっていったのを見て不自然さを感じ、もしかしたら本当に全額裏金で買ったんじゃないかと疑うようになりました。以下に軽くその変遷をまとめると、

1、銀行から担保を出して四億円を借りて出した→融資を受けたのは支払い後だとばれる
2、これまでこつこつと自宅の金庫に貯めていた金で出した
3、金庫のお金は貯めていった金ではなく小沢氏の父親の遺産だった→本人が昔、遺産はからっきしなかったと述べていた

 何故こうも原資に関する内容がコロコロ変わるのか、素人目に見たってやはり怪しく思えます。虚偽記載にしたって、最初の銀行から融資を受けたって言っている時点で小沢氏も今回の件を了承していたと見るのに十分じゃないかと思います。
 とはいっても、証拠不十分で安易に逮捕されるというのもまた問題で、どうせだったら石川議員らも不起訴でこの事件は終えるべきだったんじゃないかと私は思います。たださっき書いた朝青龍の引退に追い込んだ事件をスクープしたのは週刊誌だったので、ひょっとしたら時間が経てばこの事件は急激に何か動くこともあるかもしれません。

朝青龍の引退について

 ちょっと前の記事で朝青龍のことばかり書いてちゃいけないと言っておきながら、やっぱり書かずにはおれません。
 本日、場所中に知人に対して暴行を行ったことからかねてより去就が注目されていた横綱朝青龍が相撲協会に自ら引退を申し出ました。この朝青龍の引退について私は、自らその進退を決めたことを評価する一方、相撲協会ともども遅きに失した判断だったと考えております。

 これはあくまで私の経験則ですが、世の中にはいくら反省を促しても同じ過ちをくりかえす繰り返す人間というものは絶対に存在していると思います。朝青龍もご多分に漏れずその例に当てはまる人間で、これまで何度も即刻引退物の不祥事を引き起こしてはもう酒は飲まないとか、真摯に反省しているなどと口先では言うものの結局すぐまた同じような問題を引き起こしておりました。個人的に一番呆れたのは怪我を理由に巡業をサボっておきながらモンゴルでサッカーに興じていたあの事件ですが、私は相撲協会はあの時に朝青龍を即刻解雇するべきだったのではないかと思います。
 厳しい言い方になりますが、何度更正のチャンスを与えられても反省の出来ない人間は時間を与えるだけ無駄で、早い内に厳しい処分なり追放をすることこそが必要だと私は思います。