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2012年2月1日水曜日

年収300万円が既婚率ボーダーの報道について

 昨日といい今日もブログに書く話題がなく、明日の仕事の準備しなきゃいけないのにどうしようかとちょっと焦っていました。そもそも仕事の準備するならブログを書かなくともいいような気もしますが。
 そんなわけでぼーっとネットをあれこれ見ていたら、ちょっと前に発見してじっくり読んだ上で取り上げようと思っていたYahooの「30代は生きづらいのか」の特集ページにて、ちょっと癇に障る記事があったのでよっしゃと思った次第です。

年収300万円が男性の結婚境界線?(No.361) 届かぬ非正規 対策急務に(東京新聞)

 この記事もさることながら、真面目に東京新聞こと中日新聞には自分が将軍様ならテポドンを打ち込みたいくらいに毛嫌いしております。それだけにこの記事の内容も、いやどっちかっていえば内閣府の調査もの記事なんだから中日新聞を批判してもしょうがないんだけど、ちょっと自分の立場もあるもんでなんかカチンと来る記事でした。
 記事の内容は見出し通りに、男性が結婚してるかしてないかは年収300万円以上であるか以下であるかで大きな差があるという内容です。該当箇所を引用すると、

「男性の年収と既婚率の関係では、二十代では三百万円未満が8・7%なのに対し、三百万円以上なら25~39%に上昇。三十代でも既婚率は、三百万円を境に変化していました。」

 真面目な議論をすると、これは内閣府か中日新聞かどちらを批判すればいいのかちょっと悩みますが、一見してこの調査結果は年齢という変数がどれくらい影響しているのか、というより年齢の影響度が低いということを立証せずには成り立たない主張をしているようにしか見えません。一応、「二十代でも三十代でも、年収三百万円以下は既婚率が低い」と言っていますが、そもそも論として日本人男性の平均初婚年齢は2010年調査で30.5歳です。また20代で今の給与構造だと年収300万円に届く層はあまり多くなく、この前も日テレ若手社員が年末に8万円のボーナス出すくらいならもっと昇給させろと主張したことが話題になったように、一流企業でも案外少ないんじゃないかという気がします。

 急いでいるのでやや飛ばし気味に書いていますが、要するに年収300万円以上の二十代人口はあまり多くないため、この調査結果は代表性があるのか深く疑問だと言いたいのです。逆に三十代だと300万円以下の層が何人いるのかとこちらでもまた疑問符が付くし、なんか元記事でも二十代は既婚率をパーセンテージでちゃんと出しているのに三十代は数字を出してない辺りにも作為的なものを感じます。
 第一、そんなに年収年収というのなら相関係数を出せばいいのにという気がしてなりません。バリマックス回転でもさせれば年齢と年収のどちらが相関度が高いかスパっと出るはずなのに、社会調査をなめているのかと内閣府はこの際無視して相手が中日新聞なので言っておきます。

 こんな感じでやや一方的な批判をまくしたてましたが、最初にも書いたようにちょっと自分の立場もあるのでイライラしてます。あまり不幸自慢をしてもしょうがないと思うものの、こういう数字を出すことで参考になる人もいるんじゃないかと思うのでこの際書いてしまいますが、現在の自分の年収は真面目な話、フルタイム就労ながら200万円を大きく切っています。明らかに逆恨みですが、たまにネットとかで「年収300万円も行かないことに悩んでいる」という話を見ると「なめてるんじゃねぇぞボケ(# ゚Д゚)カス!!」と本気で言いたくなります。
 もちろん望んで中国に来たんだし、現在の給与に納得した上で雇用契約を結んでいるので文句を言う筋合いではありませんが、3ヶ国語使って仕事してるのにさすがにこれはないよなぁと最近感じ始めてます(´Д⊂ヽ

 ただここで再び真面目な話をすると、こういう給与に甘んじなければ中国語を使う就労経験というキャリアが伸ばしづらいというのは間違いのない現実です。また上海で働いている自分と同年代の中国人は明らかに自分より少ない、下手すりゃ半分くらいの給与で働いており、中国人留学生からするとそりゃ日本で働こうとするのにハングリーさを持つよなという気もします。
 はっきり言っていくら中国での就労がブームになっているとはいえ、二十代で私のようにこっち来る人は明らかにレアです。ただこれからは否が応でも中国に就労経験を求めに来る日本の若者(中国語が使える、使えないは問わず)は増えそうですし、日系企業も日本人を中国で現地採用して、中国の一般的な給与を支払いながら日本国内勤務をさせるという逆上がり技をやってくるところも出てくるんじゃないかと思います。

 この記事は前半部と後半部で関係が少ない内容ですが、敢えて後半部を目立たせないような構成を心掛けてこうしてみました。最後に前半部の話に触れると、年収300万円以下か以上かでこう議論が出来るのはまだ日本が余裕ある証拠のようにしか今は思えません。

2012年1月29日日曜日

日本人のイエ意識についての考察

 初めにまた本題とは関係ありませんが、下記のインタビュー記事が面白かったので紹介しておきます。

【水内茂幸の夜の政論】民主津村氏宿舎で男鍋「反ポピュリズム再編だ」与謝野氏の遺産が民主救うか(産経新聞)

 内容は民主党の津村啓介議員の政策インタビューですが、インタビュー現場は津村議員の議員宿舎で学生さながらの鍋パーティをしながらという。しかも最初は一体改革論議、次期選挙の争点と真面目な内容なのに途中からまだ独身の津村議員の失恋話に発展していきしまいには、
「女が持つのは上書き可能なCDーRW一枚だが、男は一回記録したら上書きできないCDーRを何枚も持っている。男は未練がましいのかな。本当は不燃ゴミの日に全部出しちゃって過去を捨てるべきなのに」(津村議員)
 という名言まで飛び出る始末でした。なかなか面白いなこの企画。

 そうしたことはさておき今日の本題に移りますが、ほかの人はどうかはわかりませんが私は社会学を出身としているだけに物事に対して因果関係からまず疑います。勝手な想像で悪いですが物理系とか経済系は「原因→結果」というロジックを重視しているように見えますが、我々の社会学は「原因⇔結果」など、双方向的アプローチで物事を捉えようとするところがあり、ややもすればひねくれた見方をすることも多いです。今回ここで紹介する「イエ意識」についての内容も、過分にそのような要素を持っております。

 恐らく一見してみて「なんで家意識と漢字で書かないの?」と思われるでしょうが、特段思い入れがあるわけではないものの一応社会学としての専門用語を優先してカタカナ表記の「イエ意識」で今回は統一します。さてこのイエ意識ですが、どういったものを指すのかというと普通に想像される通りに「祖先や家族など血縁に対して強い意識を持つ」、「家系のつながり(系譜)を大事にする」といった価値観のことです。私がここで言うまでもなくこのようなイエ意識は昭和時代と現代とを比べると明らかに減少しており、もはや古い価値観や保守的な考え方と言われても仕方のない現状をしております。

 では逆に、どうして以前はこうしたイエ意識が大事に持たれたのでしょうか。こういうことを言うと中には「江戸時代に築かれた儒教意識が影響しているのでは」と考える人もいるでしょうが、私はこうした考えについては否定的な立場を取ります。根拠としてはいくつかあり、まず単純なものとしては儒教が存在しなかった国や地域、具体的には中東などでも先祖崇拝や家族主義的な価値観が強く、これらも立派なイエ意識と呼べるのではと考えるからです。また江戸時代の日本に限定しても儒教教育が強くなされていた武士層の人口割合は非常に小さく、逆に圧倒的大多数を占めていた農民層は儒教教育がどこまで施されていたのか、また武士との間でイエ意識に差があったのかといった点でも疑問に感じます。
 今回の件に限るわけじゃありませんが、儒教はよくいじめ問題とかにも引っ張り出されて悪者扱いされることがあるものの、私は世間で言われているほど儒教というものはそれほど日本人の思想に影響を与えているとは思えず、体のいいスケープゴートになっているだけじゃないかという気がします。

 では儒教でなければ一体何が日本人のイエ意識に影響を与えているのかですが、ずばり私の仮説を挙げさせてもらうとそれは「相続されるべき財産の存在」じゃないかとにらんでいます。
 まず日本の財産相続の歴史を簡単に話しますが、平安時代については諸説あってまだ確としていないものの、鎌倉時代においてはどうも男女問わず分割相続されていたようです。ただこの方法だと田畑が縮小して生活を成り立たせ辛くなったために室町時代には嫡男への単一相続方式が確立され、江戸時代において嫡男には相続する権利が認められる代わりに相続権のない弟や妹といった庶子の生活の面倒をみる義務が発生することとなりました。

 こうした相続の過程で着目するべきなのは言うまでもなく嫡男で、嫡男からすると若いうちに家を守ったり両親を助けることは将来自分が相続する財産を守ったり増やしたりすることと同義で、自分が当主となった後も自分の嫡男へと遺産を相続させるためには家を保つことが肝心になります。また嫡男以外の庶子にとっても田地を新規開拓するなど独立して生計を立てるのならばともかく、成人後の生活は当主たる嫡男のおこぼれというか面倒を見てもらわなければ生きていくことは難しい一方、イエ意識を持ち実家を盛り立てようとする立場を持つことでいざという時の逃げ場所を確保することが出来ます。

 私はこのような財産相続という制度が下地となり、明治期においては長男は兵役が免除されるようになったというように法律上でも確立されたことで日本人のイエ意識が出来上がったと考えています。これは逆に言えば、相続するべき財産がなくなるということはイエ意識もなくなるということでもあり、儒教精神の退廃とか思想上の原因ではなく単純に金銭的な問題でイエ意識は現代において勢いをなくしたとも見ています。

 日本のイエ意識を語る上で戦後の高度経済成長期に起こった核家族化は見逃すことが出来ず、単純にこれによって地方にある実家との距離が離れたことや庶子らも独立して生計を立てられるようになったことでイエ意識が減少したとみることが出来ます。ただ敢えて財産相続に着目して変化を追うと、相続が以前の嫡男への単一相続から分割相続が増え始め、また相続されるべき家や土地といった財産も都市生活では扱いづらいものになってきたことによってイエ意識も揺らいだのではないかともみれないでしょうか。

 以上のような考察を踏まえて今後のイエ意識の予想を述べると、このまま減少していくのではないかと思う一方で強まる可能性ももしかしたらあるんじゃないかと考えています。その理由は今後、というか現在進行形で今の日本社会は過去の貯金を取り崩して生きているような状態で、ニートや引きこもりといった財産のある両親の支援なしでは生活出来ない人たちも増えており、相続という概念が以前より意味合いを増してくるのではないかと見ているからです。あとさらに付け加えると、私の仮説ではイエ意識は相続財産があって初めて成り立つものであるため、家系とかにやたらこだわるのは比較的余裕のある家、階層で言うならアッパークラスほどこの傾向が強いとも言えるんじゃないかと密かに考えているわけです。

ドコモの通信障害を見て

 日本にいるわけじゃないのであくまで伝聞ですが、なんかNTTドコモがこのところ何度も通信障害を起こして総務省に怒られているそうです。自分の記憶だと去年の夏頃から大規模な通信障害を複数回起こしており、総務省は改善と対策を要求し、ドコモ側も役員報酬を削減して責任を取るとしております。
 別にこれだけだったらわざわざ取り上げるまでもないんですが確か去年起きたドコモの通信障害の折に、「通信障害の間に通話やメールできなかった分を弁償しろ」と、なんかどっかからドコモが訴えられたというニュースを見ました。確かに現在進行形でYahooのトップページが開けたり開けなかったりしてかなりやきもきされることを考えると腹立つ気持ちもわからないのですが、1日くらいの通信障害で訴えられたりもするのかとニュースを見た際にはちょっといろんな意味で驚きました。それとともに、これで訴えられるんだったらソフトバンクは一体どうなるんだという妙な疑問も覚えたわけです。

 私自身は日本にいた頃は一貫してドコモを使っており、通信状態とかそういったものには全く不満を感じたことはありません。3G(FOMA)に移行した際も特段困るような事態も発生せず、ほかの通信キャリアより通話料とかが高いとは言われていたものの余計なサービスをほとんど取っ払ったら費用は基本料込み、ってかほぼ基本料だけで毎月2500円だったので個人的には十分でした。
 ただ同じドコモ、しかも大学で初めて会った時に全く同じ携帯電話を持っていた友人がソフトバンクへ鞍替えすると、「やっぱりドコモの電波はよかった」と何度も愚痴るようになりました。何もこの友人に限らずあっちこっちでソフトバンクはちょっと都市部を外れるとすぐ繋がらなくなるとみんな言っており、方々で言われておりましたが「メガソーラー計画」に凍死するくらいならもっと基地局増やしたらどうかという気持ちを私も覚えました。

 そんなソフトバンクですが、大学時代の後期、具体的には中国留学から日本の大学に復学した際には下宿でのADSL回線契約でお世話になったことがあります。何気に留学前に使っていた部屋は月家賃3万円の安いアパートながら光回線が引いてあったのでスピードはダウンしましたが、こちらの方は携帯電話と違って通信状態で困らせられることは全く以ってありませんでした。
 ただ契約の際にソフトバンクの店員さんと話をして、なんか京都のややひなびた場所に住んでいると聞いたらうちの親父が、「そんな山奥やったら、ソフトバンクの携帯は電波届かんのとちゃう?」と嫌味なことを聞きました。するとその店員さんは、「大きな声では言えませんが、業務ではソフトバンクですが家ではドコモ使ってます……」と答えたのが何故だか今でもよく覚えてます。ってか、社員の住所くらいは電波カバーしろよなソフトバンクも。

2012年1月27日金曜日

ヒーローの活躍できる都市

 ここだけの話ですが、実は私は映画の「スパイダーマン」が大好きで、一番好きな2なんかもう五回は確実に見ています。今度キャスティングを一新したスパイダーマンが公開されるようですが、個人的にトビー・マグワイアが気に入ってただけに少し残念です。多分見るけど。
 そんなスパイダーマンですが、彼の見せ場はなんといってもニューヨークの摩天楼を飛び回るシーンで間違いなく、あの場所あってのスパイダーマンと言っても過言ではありません。それでこの前ふと思ったのですが、「香港ならスパイダーマンも活躍できるかも」と、同じくビル群が林立する香港ではどうだろうかと妙な想像をしました。

 香港もニューヨーク同様に高層ビルが隙間なく立っており、恐らくあの場所ならスパイダーマンの特性を生かして十二分な活躍が期待できます。ただこれが東京となると、意外に東京はビルがびっしり立っている地域は少なく、ど真ん中には皇居というだだっ広い平地が広がっているため空中を飛び回って移動することは叶わないでしょう。交差点を全力疾走するスパイダーマンではちょっと見ていて楽しくありません。
 では同じアメコミヒーローの、今度三作目が公開されるバットマンは東京だったらどうでしょうか。彼だったらその土地に影響されることなく活躍が期待できますが、そもそもアメコミヒーローが巣鴨とか板橋をうろついてたりしたら明らかに浮きますし、秋葉原だったらコスプレイヤーで片づけられます。そういう意味では、仮面ライダーとかはまだ日本の風土に合ったヒーローと呼べるかもしれません。

 ただそんな仮面ライダーも、北京市では日本みたいな活躍は期待できないでしょう。というのも北京市では交通渋滞が激しいために基本的にバイクの乗用は認められておらず、ライダーなのにバイクがないという笑えない事態に陥る可能性があります。さらに無理して乗ったりすると、中国はリアルに暴走族が一人もいないくらいに治安警備が厳しいところなので出撃の度にパトカーに追いかけられることになるでしょう。それ以前に、中国で仮面ライダーとなると怪人はやっぱり「毒餃子男」とかになるんだろうか。

中国繊維業界からの日本企業の見方

 以前に知り合いから、中国で繊維業を営む経営者(中国人)から聞いた話だとしてこんな話を聞きました。その経営者が言うには、日本企業は発注の際にあれこれ細かい要求を突き付けてくるには値段を安く買い叩いてくるので、発注量は確かに大きいが取引をしても得られるメリットがほとんどないそうです。その逆に、アフリカ諸国の業者は「なんでもいいから送ってくれ」と言ってくれるのでこちらは単価が低くとも非常にやりやすい相手で取引量も拡大してきているそうです。
 この話を聞いたのは去年の夏くらいでその場ですぐにブログに上げても良かったのですが、ちょっと思うところがあって敢えて今日まで書きませんでした。では何故今日になってこんなことを書こうと思ったのかですが、裏が取れたというか別ソースでも全く同じ情報を耳にできたからです。

 これは去年の香港出張中の話ですが、同僚が香港の繊維業界でそこそこ顔の聞く人にインタビューをする機会がありました。前もって伝えておくと中国の繊維業は華南地方、具体的には広州とかで盛んで、その工場の多くは香港資本で経営されております。
 話は戻ってインタビューの内容ですが、去年になって華南の中小企業や工場が資金繰りの悪化から潰れ始めていることに触れると、「今生き残っている繊維系企業はみんな、日本企業との取引をやめたところだ」と言ったそうです。こっから先の内容は最初の話と同じで、日本企業は文句ばかり言ってくるくせに全然お金を出そうとしないということで、日本企業との取引を一挙にやめてそれまで対応に費やされていた時間を別方面の開拓に使ったかどうかが生死の境目になっているそうです。

 私はこの二つの話を聞いて、恐らく事実に間違いはないのだろうなという印象を覚えました。自分も以前に日本企業で働いていた際に取引先はこっちの利益のことなんかまるで無視してひたすら値段の引き下げばかり要求され、こっちがもう無理だと何度言っても「じゃあその理由を詳しく説明しろ」と半ば脅迫的に言ってくることも多く、「値段的にこっちの商売が成り立たない」と何度も言ってるのに日本語通じないのかこのアホはとよく思いました。なもんだからもし私に決定権があるのならどうせ利益もほとんど出ないんだし、とっととそんな会社とは縁切って新規開拓に走るのですが、生憎下っ端の身分ではそんなこと出来るわけもなく嫌々対応せざるを得ませんでした。なんか日本で働いている友人にもこの話をすると、「ようわかるわぁ……」と言ってたので多分どこも似たようなもんだと思います。

 ここで真面目な話をしますが、「こっちは物を買っているんだから何を言っても許される」のはあくまで日本だけのドメスティックな価値観です。いくら発注量が大きかろうと長年取引しておろうと、中国の企業なんかは相手していてうんざりしてきたら日本人みたいに甘くないので取引も普通に切ってきます。
 またこのドメスティックな価値観ですが、日本の中でも機能しているかとなったら私は非常に疑問です。言ってしまえばこんな価値観がまかり通ってしまったためにデフレが加速した上に余計なクレーマーとかも生まれてきたと思っていますし、場合によっては若手従業員の負担もぐんと跳ね上がってしまったと考えています。

2012年1月26日木曜日

猛将列伝~袁崇煥

袁崇煥(Wikipedia)

 なんか思うところあって中国の明の時代を調べていたら面白そうな人がいたので、ちょっと取り上げておきます。
 袁崇煥は明末期(17世紀前後)の武将ですが、元々は軍人ではなく文官でした。35歳で当時の官僚採用試験である科挙に合格後は地方官でありましたが、38歳のころに諜報関係の役職に就くと当時から力を持ち始め国境を侵食し始めていた、後に明を滅ぼして清王朝を作る女真族こと満州族について徹底的に調べ上げます。その後、報告書にて当時の対満州族最大の防衛拠点であった山海関の外に寧遠城という要塞を築くように進言して自らがこれを築城します。
 この寧遠城ですが、Wikipediaの記述をそのまま引用すると、「城壁の高さは10.2m、城壁の厚さは基底部で約9.6m、上部で約7.7mあり、ほぼ方形で、4つの門をもっていた。」となっており、非常に大規模な要塞だったことがわかります。さらに袁崇煥はこの城に周囲の反対を押し切ってポルトガルから直輸入した大砲を取り付け、「紅夷砲」と名付けて満州族に備えました。

 こうして準備万端整えた袁崇煥に対し、満州族を統一して「清」を作った太祖ヌルハチ率いる軍が1628年に一斉に攻め寄せてきたのですが、なんとこの戦いで袁崇煥率いる寧遠城守備隊は敵を散々蹴散らすほどの大勝を挙げて見事撃退に成功しております。しかもこの戦闘の直後にヌルハチは病死しており、一説には戦闘で負った傷が元となって戦死したのではないかとまで言われています。この翌年、ヌルハチの後を継いだ二代目ホンタイジも、何気に瀋陽市でこの人のでっかい墓を直接見に行ったこともありましたが、父の敵を討たんとばかりに再度攻め寄せますがこれも見事撃退しております。

 こうした活躍から袁崇煥は明朝で昇進を遂げ、恐らく文官出身ということもあるでしょうが三国志の名軍師である諸葛孔明になぞらえるまでに讃えられたそうです。ただいつの世もいいことは長く続かないというか、二度も大敗したことによって相対するホンタイジも袁崇煥は一筋縄でいかないと考えたのか、迂回策を取って彼を追い詰める作戦に出ました。
 なんていうか中国史では本当によくあることで真面目に「またかよ」と言いたいのですが、ホンタイジはスパイを使って北京にいる宦官を買収し、袁崇煥が謀反を考えているという噂を宮中に流したそうです。でもってそれをまた真に受けちゃった当時の皇帝こと崇禎帝は袁崇煥を召還するとあっさりと袁崇煥を処刑してしまい、その後はセオリー通りというか同じ漢民族である李自成による反乱軍に北京を包囲されたことによって明朝は崩壊することとなりました。

 こうして袁崇煥の活躍は「亡国で善戦した名将」として決して報われることのない歴史に刻まれたわけなのですが、彼の子孫らはその後、袁崇煥が戦った清軍に身を投じてあちこちで活躍するなど脈々と受け継がれ、なんと8代目の人なんか日清戦争にも従軍していたそうです。名将の血は裏切らないと言うべきか。

 最後に一つ北京の観光案内をしておきますが、北京で一番の観光地とくれば天安門こと紫禁城です。この紫禁城はまさに今回紹介した明代から使われているのですが、ここのかなり奥まった場所には景山という裏山があり、そこにはなんと追い詰められた崇禎帝が首を吊った木というものが存在しています。実際には元の木は文革期に切り倒され、っていうか明らかにそれ以前からもうなかったんだろうけど、今植えられている木は新しく植え直した木だそうです。まぁその木の辺りで首吊ったのは間違いじゃなさそうですけど、こういうのも案外観光地になるんだなといろんな意味で感心させられる場所です。

北朝鮮の今後の予想

 この旧正月休暇の間は空気もきれいなことだし、食事量を増やした上でジョギングなど運動をすることによってウェイトアップを図っているのですが、今日また例のショッピングストアで体重計に乗ってみたらたった500グラムですが体重が落ちていました。現在の体重(60キロ以下)はある意味私の適正体重というか高校時代からほぼ一貫として保っている数字ではあるものの、意識的に食べる量を増やしているのにこの結果はなんだか腑に落ちません。

 最近書く文字数が減っているのでこういうどうでもいい近況から始めることが多いですが、そろそろ本題に入って北朝鮮についてちょっと書きます。去年の12月に北朝鮮の将軍様こと金正日が死去したことについては今更言うまでもない事実ですが、生前から彼の後継者は誰になるのかと様々な憶測が流れていた中で現在は彼の三男、金正恩が世襲によって地位などを継承しております。はっきり言って私は北朝鮮事情について何か勉強したこともなければ普段から追っているわけでもない完全な素人ではありましたが、その上で意見を述べさせてもらうと、やはり数年内に金正恩は暗殺される可能性が高いんじゃないかと勝手に推測しております。

 何故金正恩が暗殺されるのではと思う根拠ですがこれには複数あって、まず彼が北朝鮮の政治舞台に立って日が浅いことが挙がってきます。父親の金正日は1972年に党の役職についてから金日成の死によって相続するまで実に22年もの時間を経ており、この間に軍事指揮権の掌握から他の幹部らとの人脈も作っておりました。それに対して金正恩が表舞台、少なくともテレビ放送に出てきたのは一年にも満たず、それ以前の準備期間を考えても年齢的に確固たる地盤が築けているとは思いません。いわんや、中国共産党とのパイプについては以ての外です。

 さらに言うと今の北朝鮮の指導層にとって、金正恩を生かしておくメリットより彼を暗殺するメリットの方が傍目には高いような気がしてなりません。何故金正恩が最高指導者になったのかというと決して実力からではなく父親の金正日の遺言以外に何もありません。逆を言えば金正恩が最高指導者になるということで得られる北朝鮮のメリットというのは、金王朝制を維持することで軍幹部層がその地位を維持できるということしかないということです。
 ただ北朝鮮の現状は食糧事情に始まってどれもよくなく、恐らくこれからは特権階級といえども以前のように好き勝手もできなくなるのではないかという気がします。ではどうすればいいかですが、こういってはなんですが今までの悪いことを全て金親子のせいにして体制を転換させるのが最も手っ取り早い気がします。それこそかつてのルーマニアのチャウシェスクのように。

 現在の北朝鮮の最大の支援者である中国ですら「あの国は金正日の死後は持たない」とアメリカに言っていたとウィキリークスに暴露されていましたし、どうせ潰れるのならすべての呪縛を金正恩に背負わせて暗殺で始末する方が私にはすごく簡便に物が運べる気がしてなりません。その上で中国の改革開放モデルを取り入れて、徐々に資本主義経済を導入していくことが私が想定しうる最高の軟着陸案です。
 あとこれは恐らくまだ私しか主張していない意見でしょうが、仮に北朝鮮と韓国が戦争になった場合には中国はまず北朝鮮を支援せず、場合によっては逆に攻撃を仕掛ける可能性すらあるんじゃないかと見ています。このように考える理由としては中国と韓国の貿易量は日本じゃまず報じませんが意外に大きく、いきなり関係を絶てと言われても中国内で影響を受ける業者が多過ぎておいそれとできない関係にあります。逆に北朝鮮との間の貿易量はたかが知れており、むしろあの国を生かすための支援で余計な出費を背負わされているくらいです。

 オチがちょっとパッとしませんが、よく国際外交というものを政治のパワーゲームだけでいろいろ考える人がいますが、現代ではむしろ国民感情とかよりも通商関係で見ることの方が重要じゃないかと思います。ちょっとこういうことが言いたくてこういうトンデモ予想を書いてみたわけです。