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2012年1月27日金曜日

中国繊維業界からの日本企業の見方

 以前に知り合いから、中国で繊維業を営む経営者(中国人)から聞いた話だとしてこんな話を聞きました。その経営者が言うには、日本企業は発注の際にあれこれ細かい要求を突き付けてくるには値段を安く買い叩いてくるので、発注量は確かに大きいが取引をしても得られるメリットがほとんどないそうです。その逆に、アフリカ諸国の業者は「なんでもいいから送ってくれ」と言ってくれるのでこちらは単価が低くとも非常にやりやすい相手で取引量も拡大してきているそうです。
 この話を聞いたのは去年の夏くらいでその場ですぐにブログに上げても良かったのですが、ちょっと思うところがあって敢えて今日まで書きませんでした。では何故今日になってこんなことを書こうと思ったのかですが、裏が取れたというか別ソースでも全く同じ情報を耳にできたからです。

 これは去年の香港出張中の話ですが、同僚が香港の繊維業界でそこそこ顔の聞く人にインタビューをする機会がありました。前もって伝えておくと中国の繊維業は華南地方、具体的には広州とかで盛んで、その工場の多くは香港資本で経営されております。
 話は戻ってインタビューの内容ですが、去年になって華南の中小企業や工場が資金繰りの悪化から潰れ始めていることに触れると、「今生き残っている繊維系企業はみんな、日本企業との取引をやめたところだ」と言ったそうです。こっから先の内容は最初の話と同じで、日本企業は文句ばかり言ってくるくせに全然お金を出そうとしないということで、日本企業との取引を一挙にやめてそれまで対応に費やされていた時間を別方面の開拓に使ったかどうかが生死の境目になっているそうです。

 私はこの二つの話を聞いて、恐らく事実に間違いはないのだろうなという印象を覚えました。自分も以前に日本企業で働いていた際に取引先はこっちの利益のことなんかまるで無視してひたすら値段の引き下げばかり要求され、こっちがもう無理だと何度言っても「じゃあその理由を詳しく説明しろ」と半ば脅迫的に言ってくることも多く、「値段的にこっちの商売が成り立たない」と何度も言ってるのに日本語通じないのかこのアホはとよく思いました。なもんだからもし私に決定権があるのならどうせ利益もほとんど出ないんだし、とっととそんな会社とは縁切って新規開拓に走るのですが、生憎下っ端の身分ではそんなこと出来るわけもなく嫌々対応せざるを得ませんでした。なんか日本で働いている友人にもこの話をすると、「ようわかるわぁ……」と言ってたので多分どこも似たようなもんだと思います。

 ここで真面目な話をしますが、「こっちは物を買っているんだから何を言っても許される」のはあくまで日本だけのドメスティックな価値観です。いくら発注量が大きかろうと長年取引しておろうと、中国の企業なんかは相手していてうんざりしてきたら日本人みたいに甘くないので取引も普通に切ってきます。
 またこのドメスティックな価値観ですが、日本の中でも機能しているかとなったら私は非常に疑問です。言ってしまえばこんな価値観がまかり通ってしまったためにデフレが加速した上に余計なクレーマーとかも生まれてきたと思っていますし、場合によっては若手従業員の負担もぐんと跳ね上がってしまったと考えています。

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