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2024年8月18日日曜日

日本は次どの産業を育成すべきなのか

 候補者が乱立する気配を見せている自民党総裁選ですが、敢えて各候補者に何か一つ質問できるとしたら、日本は今後、どの産業を国家として育成していくつもりなのかを聞きたいです。というのも、国際競争力という観点では日本が持つ中でコンビニ業界こそが最強だと信じて止みませんが、外貨を稼ぐ輸出産業という観点ではもはや自動車と化学品など素材産業しかなく、自動車が倒れたら一気に傾きかねない状況になっていると思うからです。

 かつての日本であれば繊維、家電、鉄鋼、半導体、ゲームなど数多くの強力な輸出産業が存在しましたが現在においてはもはや見る影もなく、ほぼ自動車一本足打法のような状態になってきています。もちろんまだ自動車が力を持っているだけマシなのですが、EVを含む転覆的技術が自動車業界では現れてきており、過去の積み重ねが文字通りひっくりかえされる状況も今後発生する可能性もあるだけに、自動車偏重で行くのはかなり危険だと考えています。
 であれば国家としてどの産業を今後育成し、日本の主力とするのかを政治レベルで決めていかなければなりません。その点について書く政治家に聞いてみたいのですが、ぶっちゃけどれを推していくかは私の中でもいまだ確としたものはありません。

 アプローチ方法は主に二つあると思え、一つは全く未知の産業に挑むという方法です。現在であれば、いまだ技術や規格が確立されていない3DプリンタやAIといった類で、ある程度知られていればいるほど競争も激しくなるだけに、誰も手を付けていない分野ほど成功確率も高いものの、そのまま市場が成立せず失敗に終わる可能性もあります。
 もう一つは、既存技術の水平再利用みたいなもので、いくつか例を出すとPHSの電波を使った全く新たな通信網とか、すでに確立された技術に対して新たな応用分野を作るというものです。自分の中ではドローン対策で効果を発揮しているゲパルトがいの一番に来るけど。

 どちらにしろ日本が世界で戦える、なるべくなら製品まで日本国内で作って輸出して外貨を稼げるような産業を、急ぎ日本は育成する必要があるでしょう。こうした新規産業に対する意識はまだ20年前、それこそ森元総理ですら「IT革命」などというなど当時の政治家は意識していましたが、近年においては口にする者すらいなくなり、密かに憂えています。最近唯一こうした危機感を持っていると感じたのは神田元財務官で、そういう点からも彼が今後日本の経済政策で主要な地位につくのをこれまた密かに期待しています。

2024年8月17日土曜日

朝からエイリアン(/・ω・)/<シャー

 最近友人が「朝一で映画を見るのが楽しい。明日はコナン見に行くんだ(´∀`*)ウフフ」などと言うので、「野郎、負けてられっか……」などと無駄に対抗意識を持ち、何かいい映画がないかと最寄りの映画館(チャリで10分)のプログラムを見たところ、「エイリアン・ロムルス」が昨日8/16から公開されていました。
 前にも書いたように、中国では同性愛とか幽霊が出てくる映画は非科学的だとして検閲で排除する傾向にあるのですが、何故だか宇宙人に対してはやたら寛容で、検閲とかでも「宇宙人ならOK(´・ω・)」として通すことが多いそうです。なのでこの「エイリアン・ロムルス」も中国では問題なく検閲をパスしたのではないかと密かに考えています。

 さてこの映画、日本ではまだ公開されていないとのことですが端的に言って面白かったです。内容はエイリアン1とエイリアン2の間の時代設定で、エイリアン1でエイリアンが出てきた星が植民星となってそこで働いている人が主人公らパーティとなります。エイリアンに襲われる舞台は放棄された巨大宇宙船で、舞台といい逃げ方といい、エイリアン1に非常に近いものとなっていました。
 またエイリアンにお馴染みの要素ももれなく出てきます。フェイスハガーはもちろんのこと、アンドロイドや揺れる椅子など、往年の回顧ファンからしたらどれも懐かしさを感じるとともに「わかっとるやんけ」と納得させられるオマージュ要素が盛りだくさんでした。

 ストーリーもエイリアン1のように閉じ込められた宇宙船の中でいかにエイリアンの襲撃から逃げつつ脱出するとかというもので、最近のCGを使ってエイリアンを画面狭しと大量に出すわけでもなく、きちんと場面を選んで登場し、むやみにセールのようにばらまかないことできちんと恐怖感を出す見せ方は見事だと感じました。
 それ以上に、単純に俳優の演技が非常に良かったです。主演のケイリー・スピーニーは往年のシガニー・ウィーバーに負けず劣らずの体当たりぶりを見せ、脇を固める俳優らもいかにもティーンエージャーっぽい探索者を演じていました。ただこうした俳優陣の中で群を抜いてよかったのは、アンドロイド役を演じていたデヴィッド・ジョンソンでした。

 脚本や演出の力と見ることもできますが、最初はとっぽいものの慈愛に満ちた視線を見せながらも、途中でバージョンアップするや機敏で冷静な判断を下す冷徹なアンドロイドへと変貌し、その作中における演じ分けの見事さが他の俳優を一線を画すレベルで非常に高いものありました。もしターミネーターで新作を作るなら、彼に敵役のターミネーター役を演じさせるのがいいのではないかと個人的に思います。

 唯一ケチをつけると、中国版のタイトルは「異形:奪命艦」となっていることです。今回の舞台となる宇宙船の区画名が「ロムルス」なのですが、「奪命艦」だと全くその名残がありません。この「ロムルス」という単語は暗に今回のエイリアンを指し示すワードとなるだけに、もう少し中国語版タイトルはどうにかできなかったものかと思いやられます。

2024年8月15日木曜日

エンドオブ岸田デイズ

 すでに各所で報じられている通り、岸田首相は次の自民党総裁選に出馬しないことを表明しました。現在の人気が来月末であるにもかかわらず、八月に入っても出馬を一切表明してこなかったことからもう辞めるつもりではないかと思っていただけに、あまり驚きはありません。しかし私個人としては就任直後は不安だったものの、その後は岸田首相の手腕を高く評価していただけに、今回の発表は素直に残念に思います。
 今思うと、優生保護法の国家責任認定、謝罪について前のめりな対応をしていた時点で腹をくくっていたようにも感じます。先週も麻生が「岸田はよくやってるよ」と言ってましたが、多分これも何らかの意を受けての発言だったのでしょう。

 前述の通り、私としては岸田政権を高く評価しており、小泉政権以降であれば最高の内閣であったようにも思っています。ただ世間の岸田総理に対する評価が低いというのは、理解できないわけではなく、在任中は統一教会問題や派閥のパーティ券代プール、略してパーケンプールの裏金問題などが発覚し、与党総裁という立場を考慮するとその批判の矛先になるのも無理からぬ立場でありました。
 とはいえ先の二つの問題は岸田首相というより主に安倍派の自民党議員の問題で、岸田派も若干プールしてましたがどちらかと言えば巻き込まれにあったようなもんでした。むしろこの二つの問題に対し自民党内から反発が強かったにもかかわらず、きちんと処分や対応に動いただけでも大したものだと思います。処分に物足りなさを感じる人が多かったようですが、きつい処分ができたなかったのはそうした人たちが岸田首相を支持せず、岸田首相も党内に強い行動が取れなかったためでしょう。

 特に後者の問題は自民党の派閥解消においては非常に大きな動きを見せました。ネットですでに言及している人もいましたが、自民党の派閥政治打破を目指した小泉元首相以上に岸田首相は党内の各派閥の影響力を弱めています。
 仮に岸田首相でなければ、統一教会を含めここまで対応を取ることはなかったでしょう。それこそ事の張本人にもあたる安倍元首相であれば、検事総長の定年を延長してでもこれらの問題をもみ消そうとしてと断言でき、私自身としては前述の通り岸田首相は良く逃げずにこの問題の処理を手掛けたものだと感じます。

 また外交に関してはサミットやウクライナ支援を含め申し分なく、経済に関しても円安誘導によるデフレ脱却を見事に果たしており、最後はプライマリーバランスの回復だけ残ってましたがその道筋をはっきりつけており十分評価に値します。中には先週の株価の乱高下に際して岸田首相を批判する人間も見られましたが、あれで総理や日銀を批判する人の方が私には理解できませんでした。実際、今週に入ってからはその手の責任追及論も一切なくなったし。

 唯一、岸田首相自身が招いて批判されもやむなしな失策としては、出来の悪い息子を秘書官に据えたこと程度でしょう。あれに関しては親心もわかりますが秘書官にするまでの教育が悪かったとしか言いようがなく、据える前にもしっかり見極めとくべきだったでしょう。

 今後に話を移すと、次は誰が総理をやるのかになります。明日から実質的に総裁選がスタートすることとなりますが、候補としては石破氏、河野氏、小泉氏の従来からの候補に加え、要職ながらいまいちキャラの出ない茂木氏も入ってくるかと思います。最低限の基準として、先のパーケンプール問題にかかわった安倍派議員は出馬してはならない気がしますが、今の安倍派にはタレントもいないしどのみち誰も出れないだろうとみています。
 現状では誰が勝ち上がるのか全く読めないし今後の展開によっていくらでも情勢はひっくり替わるので予想するだけ無駄でしょうが、敢えて次の総理に期待したいというか一番私が優先してみるのはウクライナに対する支援姿勢です。国内からどれだけ批判があるとしても、ウクライナを支援し続け、資金拠出も辞さない人に来てもらいたいです。

 もっとも外交に関しては米国との関係がより重要で、その米国が次の大統領にどっちがなるかがかなり読めないだけに、立候補者たちもあまり外交については姿勢を表明しなくなると思います。内政に関しては金融政策とかは下手に弄らずこのまま日銀の植田総裁に任せてればいいので、どの産業を育成するのかを口にする人を個人的には評価したいです。

2024年8月13日火曜日

みんなが注目するダイエー松戸駅西口店の行く末

ダイエー松戸駅西口店の跡地はどうするべきか?

 上の記事は閉店が決まっているダイエー松戸駅西口店について5月に書いた記事ですが、なんかやたらとアクセス多くてビビってます(;´・ω・) きっとみんなそれだけこの店に思い入れがあるのと、この先どうなるのかについて思いを馳せているのではないかと思います。

 書くいう私自身もこの店がかつてDマートと呼ばれていた時代はしょっちゅう訪れており、映画を見たりプラモを買いにきたりと松戸に来たら確実にこの店に寄っていました。また細かい思い出話をすると、小4の頃に何故か南流山から松戸まで一人マラソン大会をやろうと企図し、冬休みに実際やった際、Dマートを訪れ地下のフードコートで無料の水飲んで帰ったのも覚えています。っていうかあの地下フードコート懐かしい。

 そんなこの店に直近で訪れたのは2022年の10月で、上海のロックダウンを経て約2年半ぶりに日本を訪れ、馴染みの床屋で髪切ってもらおうと平日午前に行ったら11時からのオープンだったため、自転車求められるし店が開くまで時間潰しとばかりにダイエーを訪れました。
 その際、電池が切れて止まっていた腕時計もあったので2回の修理屋さんにもっていって直してもらい、これまた時計が直るまでの間はお店の中をぐるぐる回りつつ、ふと思い出したので友人に電話をかけ、「もしもし、俺今松戸にいるんだけど」とオレオレ詐欺みたいな切り口で無駄に松戸にいることをアピールしてました。ちなみに向こうはこっちの電話番号も登録しておらず、急に松戸に現れたことにビビってました。

 個人的に上の体験がダイエーとの最後の思い出になるのかと思うとなんか若干物足りないというか妙なことをしたなという気がして満々であるものの、今後リニューアルされるのであればキテミテマツド同様にまた訪れることもあるでしょう。そのキテミテマツドの方は出だしこそ丸々空いているフロアもあったりと不安な漕ぎ出しでしたが、出入りこそ激しいもののテナントは結構埋まり、また年数も重ねて定着していったことから、ほかの都市の大規模店舗跡のリニューアルとしてはまだ成功した部類じゃないかと思います。関東以外の地方とか、結構悲惨なリニューアルとかも珍しくないし。

 ただこのキテミテマツドの存在は、ダイエーのリニューアルにとっては一つの障害になる可能性もあります。まっつど駅周辺ではこのほかにも東口にイトーヨーカドーもあり、狭いエリアに中大規模商店が密集しており、ダイエーもこれが閉店の一つの要因になったと思う節があります。私自身としては前回の記事にも書いたように駐車場などになって、松戸駅前の道路混雑緩和に貢献してほしいとか思っていますが、もし商店で行くならば近くのキテミテマツドとどう差別化するのかが最大の懸念事項になると思います。

 いっそのこと、商店というよりかはアミューズメント施設みたいな感じにした方がいいかもしれません。もしくはすでに松戸で絶えて久しい映画館にして、映画館に付帯する施設として飲食店を中心にするのがベターかもしれません。松戸にある有力なラーメン屋とかにも出店してもらいミニラーメンアリーナみたいにしたら意外と人来るかもしれません。まぁ自分としてはカレーの方が好きだけど。

2024年8月12日月曜日

四苦八苦と安楽死による救済是非

 先日「ドボポプププププ」という記事で描いた「女神転生外伝 新約ラストバイブル2」というゲームを昨夜クリアしました。Steamのレビューを見るとUIが古いとか勝手が悪い、エンカウント率が高いなどという批判をよく見ますが、ファミコン時代のゲームを体験している私からすればあんなの障害に入らず、実際気になることありませんでした。むしろエンカウント率高いから、普通に戦ってればレベリングの必要なくていい感じだった気すらします。

 さてこのゲームですが女神転生シリーズの亜種として世界観は西洋ファンタジーで、出てくるキャラクターも歌舞伎っぽいのもいますが基本西洋名で、武器もドスを除けばファンタジーチックです。なのにシナリオのテーマは仏教で、ラスボスも「衆生無辺誓願殺」などと漢字いっぱいな仏教用語で攻撃してきます。
 っていうかゲームバランスはかなりおおざっぱで、終盤のボスはこっちが先に必殺技を食らわせるか、向こうが先にこちらをワンパンかましてくるかの二択でした。この辺はちょっと難ありで批判されても仕方ない気がします。

 話を戻すと前述の通りシナリオのテーマは仏教が大本となっており、ラスボス前の前座となるボスキャラも「四苦」と「八苦」というキャラでした。この四苦八苦ですが自分も今回初めて知りましたが単なる四字熟語ではなく実は仏教用語でその意味は臨済宗円覚寺の解説によると以下の通りらしいです。

①〔仏〕生・老・病・死の四苦に、愛別離苦・怨憎会苦・求不得苦・五陰盛苦を合わせたもの。人生の苦の総称

 この説明の通り、ゲームのラストバイブル2では上記の苦しみの種類がゲームイベントを通してプレイヤーに示されます。特に激烈なのは「病」で、ゲーム中の世界は不治の病が流行しており、感染して末期症状の患者には植物状態のようになる薬によって延々と寝かしつけたりしています。
 また薬が手に入らない人の中にはあまりの苦しみから自殺を選ぶ人もおり、あるイベントではそのような患者に敵キャラが安楽死を施すシーンすらあります。もちろん主人公たちは勝手なことはやめろとこの敵キャラを倒して安楽死を食い止めるのですが、その後助け出された患者は病の苦しみから結局自殺することとなります。このほか無理やり恋人を死に追いやられたパートナーの男性も夜を悲観して自殺するというイベントもあり、全編において陰鬱なストーリーが展開されます。

 多少ネタバレで話すと、このゲームのラスボスはそのような世の中の不条理や苦しみ続ける人たちを見て、「生きているからこそ苦しみがあり、悲しみが繰り返されるのだから、いっそ人類全員安楽死させる方が苦しみから解放させることとなる」として、人類絶滅を企図することとなります。これに対してやはり主人公らはそんなことさせないと抵抗するのですが、「お前らがやろうとすることは世の中で、人の苦しみを増やすだけだ」と向こうにも言われたりします。まぁこの辺はお約束か。

 ただこの辺の「生きているからこそ苦しみも生まれる」というのは、確かに一種の正しい見方だと思います。上記の四苦八苦の概念もまさにその点をついており、円覚寺の解説によると生きることそのものが苦であり、不完全であり、一時の幸福感は苦の裏返しでもあるという風に説明されています。これ自体に私も異論はなく、安楽死というのも一つの救済手段であるという風に感じます。

 まぁゲームでは最終的に人類絶滅を図るラスボスを倒して計画を食い止めるのですが、生き残った仲間の一人は実際にこれでよかったのかと戦後に自問しつつ、かつて生きろと言ってくれた者らの思いに応えるため今後も生き続け、世の中の多くの人の苦しみを少しでも減らしていくため努力すると言って幕を閉じます。落としどころとしては、まぁこんなもんでしょう。

 以上の流れを見て自分の中でポンと浮かんできたのが、地味に「進撃の巨人」でした。この作品の中では特異な能力を持つために世界中から迫害される民族について、迫害から守りつつ今いる人たちを救う手段として、今後この民族から子供が生まれないようにして民族全体でゆっくり安楽死する案が提唱されます。ちょっと観点は違うかもしれませんが、生まれながらに迫害という苦を追う民族に対し、民族そのものを消滅させることでその苦から解放するという見方では、上記のラストバイブル2のラスボスとも共通する箇所があると思います。

 ただ進撃の巨人でも、「子供は未来そのものであり、そんな手段は認められない」として主人公勢力は上記案に抵抗することとなります。もっともその中の一人は、「迫害する他民族を絶滅させればいいじゃん(・∀・)」って結論に至って実際に実行するわけなのですが。

 こうした創作の中だけではなく仏教においても、「生きていくことは苦に満ちてはいるが、自殺や安楽死によって解放されるわけではない」という風に説かれているように思えます。あくまで自分の理解ですが、苦も楽もともに受け入れることで初めて生を理解する一歩が踏めるという風に解釈しており、苦は忌避すべきものではないと言っているように感じます。

 この辺、考えれば考えるほど追い付かなくなっていく面もありますが、かといって考えないとそれはそれでもったいない概念ではないかとも見ています。最初に私は、安楽死は苦の解放手段の一つと申しましたが、今回こうしてラストバイブル2のエンディングを見て進撃の巨人とか見た後だと、果たしてそうかなという疑問が少しもたげました。元々安楽死については肯定派なのですが、この辺に関してはもっと仏教関係者とも話してみたくなりました。

 どちらにしろ、現代社会は幸福について論じたり考えることを求めることが多いですが、苦についてももっと考えるべきかもしれません。大前提としては苦を否定してはならない、一方で安楽死のように苦を求めてもならないといったところじゃないかと思いますが、これらを踏まえて「苦とは何か」、「自分にとっての苦とはなんなのか」といった点や、避けるべき苦、受け入れるべき苦とは何なのかとかももっと考えてみた方がいいのかもしれません。

2024年8月11日日曜日

ロシアの戦略転換の背景

 3年目も一向に止むことなく続いているウクライナ戦争ですが、先日ウクライナ側が開戦前からロシア領だった地域に突如進軍して大きな話題となっています。これまで戦火はロシアが侵略してきたウクライナ領土とクリミア半島に限られており、これはロシア領への攻撃によってエスカレートすることを恐れた米国などが、武器支援の代わりにロシア領への攻撃は控えるよう指示していたためと言われています。
 しかし一向に停戦の兆しが見えないことから、昨年秋ごろよりはロシア領へのミサイル攻撃に関しては米英も承認したとされ、実際にウクライナも兵站を中心にロシア領へのミサイルやドローン攻撃は活発化させていきました。

 それがここにきてミサイルではなく兵隊によるロシア領への進軍が始まりました。端的に言えばタイミング的にも妙手だったと思え、これまで「ミサイル攻撃はあっても進軍はない」と油断し切っていたロシア軍の裏を大きくかき、戦闘が続けられている既存地域でウクライナにかかる圧力もこれで確実に薄まると言い切れます。
 無論、戦線が拡大することとなるためウクライナ側もその戦線を維持するため兵員の確保などがこれまで以上に重くなることは間違いないでしょうが、これまで攻められっぱなしだったのがある程度イニシアチブを握ることとなり、また殴られる覚悟のなかったロシア国民の厭戦気分を高めた上、今後の停戦交渉において領土交換という手段を手に入れられることからも、奪える領土は今のうちに奪っておくことがやはり最善手であるように思えます。


  そんなウクライナ戦争についてJBpressでおなじみの西村氏の評論ですが、この評論は非常にストンと納得のいくもので、ここ数ヶ月で読んだもの中では白眉でした。

 概要を私の方で簡単にまとめると、開戦直後にキーウ攻略に失敗したロシア軍は戦線を縮小し、戦力を突破可能な地域に絞って攻めるという方針に切り替えました。これ以降、ロシアは負けはしないものの勝ちもしない状態が続きましたが、バフムトでプリコジン率いるワグネルが損害を気にしない大量投入作戦で戦果を挙げると、これを戦訓とばかりにロシア軍は他の戦線でも効率を無視した大量投入作戦を導入したばかりか、一度は縮めた戦線を再び拡大させ兵員の犠牲が急拡大するようになったとの分析です。

 実際にここ数ヶ月のロシア軍の損害は、戦術の拙かった開戦当初よりもひどいと言われています。それでいて目立った戦果も挙げられず、ウクライナ側も防戦に苦しいものの、仮に限界があるとしたらロシアは自らその限界に近づくだけの始末となっています。
 そんな風にロシア軍を犠牲に駆り立てたのは西村氏によると今は亡きプリコジンですが、この分析を踏まえて生前のプリコジンの発言を振り返ると、彼自身はバフムト占領を機に停戦を考えていたのかもしれないと思いました。

 というのも誰がどう考えたってああした無秩序な突撃戦術は短期的な効果はあるものの長くは続かず、戦術の通りどこかで限界を迎えます。そうしたことをプリコジン自身も理解していたように思え、バフムト占領後は度々「ウクライナ軍は大した連中だ」などと自嘲めいた言葉も口にしていました。
 その後、彼は知っての通りにロシア国防部に反乱を起こしましたが、恐らくそれはもうあんな戦術は今後も使えるわけないし、これ以上は戦っても得るものがなく、停戦しなければかえってロシアがやられることになるという風に考えたのではないかと思う節があります。というのもプリコジンの乱のときに、「このままではロシアは滅びる」という言葉を何度も口にしており、それはロシアの戦術よりも、戦争継続能力について向けられていたように今となっては思うからです。

 実際に、あの北朝鮮に頭を下げるほど今のロシアの地位は低下しています。以前の記事にも書きましたが、ロシアは仮に今停戦したら戦争中以上の苦境に立たされる可能性が高く、これは停戦が遅れれれば遅れるほどより顕著となるきらいすらあります。普通に考えたって、現代において3年以上も1ヶ国で戦争を継続すること自体が経済的にあり得ず、このツケはロシア自身が払うこととなるでしょう。
 まぁウクライナに関しても同様で、だからこそ戦後の復興支援が本当に大事だと思うし、それがロシアに再戦をあきらめさせる上でも重要なってくるのですが。

 以上を踏まえて改めて西村氏の記事見出しを見ると、まさに今のロシアの現状はプリコジンの亡霊に悩まされている状態のように見えます。仮にあの時、もしかしたらプリコジンが考えていたかもしれないように適当なところで停戦しておけば、ロシアは戦後の破滅的状況をいくらか緩和できたかもしれません。
 それが今回のウクライナによるロシア領への進軍によって、戦略的にも外交的にも内政的にも、ロシアは以前に比べかなり弱い立場に落とされたという気がします。こういうのを見ていると、やはり民主主義でない国は一人の独裁者によって、払う必要のない犠牲を払って落ちていくものだと思えてきます。

2024年8月10日土曜日

中国の夏、ダニのいない夏

 北京の方は最高気温32度とかですが、上海はこの1週間は毎日39度で、多分実際には40度も行っている気がします。数年前と比べて明らかに気温が上がっており、先日日本出張から帰ってきた同僚も上海の方が暑いと申していました。
 今日自分はやや距離の離れたニトリとユニクロまで買い物に行くためそこそこ自転車に乗りましたが、熱中症対策に帽子を被ってはいたものの、現在やや頭痛を起こしています。マジで宇宙空間並みに野外活動が制限される状況で、さすがにこれほどの暑さはいい加減にしてほしいです。

 ただそんな中国の夏ですが、かつてと比べて劇的に改善している点があります。それは何かというと寝るときのダニ被害で、このブログでも散々書いたしJBpressでもわざわざ記事化するほど悩まされた問題でしたが、2年前にこの問題を抜本的に解決することができました。その解決策は何かというと、さっき出てきたニトリで買ったダニ対策ベッドマットです。

 ニトリの商品にはこれまでいくらか当たりはずれがありましたが、ことダニ対策に関しては大当たりで、過去の因縁を水に流してもいいくらいにとりにはマジで感謝しています。言うまでもなく中国はベッド文化なためベッド本隊とかにダニがいると天日干しにすることもできずダニと共生する羽目になり、夏場なんかはほぼ毎夜噛まれては上手く寝れない日が続いていました。
 しかも中国のダニは日本のダニと比べて明らかに強く、ダニ駆除用の薬品などの対策グッズをあらん限り試したものの効果が薄く、唯一効果があったのは地味にファブリーズでした。ほかのダニ除けスプレーかは逆に効果ありませんでした。

 そんな毎年のダニに苦しめられていた2年前の春、かねてよりニトリの店頭でダニに強いベッドマットが打っていたのを見ていたことから上海ロックダウン明けに注文して使ってみたところ、特にダニ対策グッズとか前述のファブリーズなども使ってなかったにもかかわらず、その年はほぼ全くダニに噛まれることがありませんでした。この傾向は買い替えをしなかった去年、今年も同様で、夜暑くてうなされはするけどダニによって眠れないということは一切なく、安眠を得られ続けています。
 逆を言えばダニ対策のベッドマットでこうして足とかをかまれることがなくなったということは、やはりこれまでの被害は他の変な虫とか皮膚の病気とかじゃなくダニが原因だったのでしょう。日本でもよくダニに悩まされたけど中国の比ではなく、アースマットとかも中国ではほとんど効きませんでした。

 こうした経験を踏まえ、ダニに悩まされている人にはマジでニトリのダニ対策ベッドマットがお勧めです。敷布団の人に対策は悩むところですが、寝具の素材一つで劇的に変わるので本当におすすめです。