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2007年12月15日土曜日

続、ミクシ発の自爆炎上について

 前回に引き続いて、ミクシ発の自爆炎上について書きます。
 さてここで言うまでもなく、このような騒動が起こる一方、何でこんな自らを不利にさせるような自爆をわざわざやらかすのかという疑問は、誰もが一回は思いつく事でしょう。
 2ちゃんねる内では単純にその原因はいわゆる「ゆとり脳」と、最近の子供はあまり賢くなくてどうなるかがわからないという理由を挙げる人が多いような気もしますが、そんなこといったら「私の友達の友達はアルカイダだ」といった例の法務大臣なんかは立場がなくなっちゃいます。

 実を言うとこの手の事件を見るたびに、私は一つの納得みたいな感情を覚えます。それと同時に、ある童話のタイトルが浮かんできます。もったいぶらずに言うと、「王様の耳はロバの耳」です。
 何もこの童話の内容までいちいち説明まではしませんが、最近よく、本当にこの童話は良くできているなぁと感じる事が多いです。というのも、この童話でかかれているように、人間って言うのは本質的に秘密が守れない生物なんだと考える事が増えてきたからです。

 誰しも、人に言えない秘密を抱えると、言ってはいけないのにうずうずするという事があるでしょう。私なんかは文系の社会学士出身の癖になにかと人間の行動原理をリチャード・ドーキンスに全部求めがちな理系かぶれで、大体の行動を「本能ゆえに」という結論に落としたがります。今回の例も同様で、人間ってのは秘密を、というより情報を抱え切れず、人になるべく伝達しようという本能がある気がします。
 まぁ単純に、動物行動学なんかでも情報をなるべく伝達する事が種の生存に繋がるということで、決して突飛な発想ではないと思います。心理学なんかはタブーの心理学としてこの手の分析を行いますが、社会学的に敢えて考えるのなら、他人が欲する情報を自らが持っているということを示し、優越感を感じたいという心理行動とでも分析するのですかね。

 それはともかくとして、このミクシの自爆炎上というのもそのような本能が破滅へと追いやるのが原因だと思います。それこそ昔ならばごくごく小さい輪の中で、ごく親しい友人らに洩らす程度だったのが昨今のIT革命の影響で、一挙に押し広がるようになった事が、今だよくわかっていない連中がこうした事件を起こしている気がします。
 それはいわば慢心とも取れますし、うかつとも取れます。しかし逆に感がるのならば、このように一挙に情報を発信できるようになり、その秘密をばらした際の快感も増大しているとも取れます。それゆえにあからさまに自分に害を成す情報といえども、その快感に負けるのか洩らしてしまうという風にも考えられるのではないでしょうか。実際にこうしてブログを始めた自分も、少なからずその情報発信の快感を感じています。

 このような秘密を守れないという心理を書いたものは先の「王様の耳はロバの耳」だけに限るわけではありません。もっともこの手の心理を事細かに追究した作品というのはほかでもなく、「罪と罰」でしょう。簡単にそのくだりを述べると、殺人を犯した主人公に対して刑事が、「こういう事件の犯人ってのはね、こっちが知らぬ存ぜぬ振りして事件について大枠に話していると、へへっ、面白いことに自分からぺらぺらやったことをしゃべりだすんですよ」と話しており、この作品の愛読者達にとって名シーンに挙げられています。そして実際に、主人公は殺人を最後は告白するに至ってます。

 そういう意味で、秘密を守れる人材というのは非常に貴重な気がします。たとえ他の能力がなくとも、その秘密を守る能力があるだけでも身近に取っておくべきかもしれません。特に外交や諜報に関わる人間でしたら尚更でしょう。
 先日、私の住むマンションで自殺があったらしいのですが、その当時の自治会長をしていた女性はその立場からその自殺者の葬式に出ていたらしいです。その女性に対して下世話なうちの母親はというと、あの手この手でようやく掴んだ苗字から、その苗字に該当する二人の人物のうちのどちらかだろうと詰め寄ったものの、「私の口からは言えない」と、とうとう口を割る事は出来ませんでした。世が世なら、この女性はタフネゴシエーターとなった事でしょう。

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