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2009年5月10日日曜日

今、政治で何を優先すべきなのか

 今日友人とも話をしてきましたが、政治の議論というのはとかく複雑にならざるを得ず時間と共に何が大事だったのか、どんな政策が必要なのかということが段々とわからなくなってくるということがよくあります。何でそうなるのかといえば単純に片っ方の問題の対応を話していたら別の問題が持ち上がり、そっちの問題に構っていたらまた別の問題が沸き起こっていわば忙殺される具合で段々とわからなくなっていきます。そのため政治家の資質として「一貫性」というべきか、他の問題に振り回されず一つの問題に集中できるかどうかというのは非常に重要な要素だと考えており、私もこの二ヶ月何も更新していないけど「陽月旦」の方ではわざわざ評価項目の一つとして加えております。

 この一貫性をとことん追求して一応の成功を収めた政治家としては、近年では小泉純一郎元首相が挙がってきます。彼は父親の急死を受けて留学先のイギリスから日本に戻って初めて総選挙に出馬しましたが、初めての選挙の際にそれまで彼の父親を応援していた郵便局員の組織票五千票が丸々ライバル候補へと裏切り、蓋を開けてみた結果はなんと五千票の差での落選だったのでこの時に郵政をめっためたにしてやろうと考えたのか、初当選時から郵政民営化を主張していました。
 その後首相に就任後もこの郵政事業の民営化を改革の本丸と位置づけ、在任中に道路公団民営化や年金問題などに一応は手をつけたものの解決の目途が立たなくなるやほとんどの問題を中途半端に放り投げ、郵政民営化においてのみ注力し続けて最終的には実現にこぎつけました。何はともあれ、本人としては満足だろうけど。

 この郵政民営化を行っている最中、様々な評論家が「こんなことより景気対策だ」、「いや社会保障問題だ」などという批判意見がある中で、ある評論家(確か塩野七生氏)からは

「いろいろと他の政策を優先すべきという意見もあるが、彼(小泉元首相)の言う通りに財政問題や構造改革において郵政民営化をまず最初に実現しなければ、何も始まらないという意見も一理ある」

 という評論があり、実際に財政投融資などの特別会計など点で的を射た意見だったように思えます。
 そういうわけで随分と前置きが長くなりましたが今日は何をしたいのかというと、今の日本において一体どんな問題を優先して行うべきかというのを私なりに順位をつけたいと思います。

 ではまず今、政治でどの問題が一番優先しなければならないかですが、それはずばり言って公務員改革だと私は考えています。というのも今の年金問題をはじめとして起こっている問題に対策を作ったとしても、それが実行する官僚が知らない間に骨抜きにしてまともに運用されないばかりか形骸化されてしまっていることが近年非常に多いからです。その上財政の健全化をはかろうとして経費節減に取り組もうとしても、無駄金を使う妙な天下り団体を潰そうとするやかつての安倍政権のように激しい抵抗を起こされ、実現が阻まれる恐れが大いにあります。

 そのほかいわゆる「霞ヶ関文学」とも言うべき、報告書等に責任を逃れるために「等」や「努める」といった言葉を盛り込んで曖昧にしたまま結論を先送りし、全然実態と合っていない調査報告書を平気で提出する点もどうにかしなければなりません。この前の年金についての委員会でも全国民の支払い率が実態は約五割のところを八割と言い張って出してきた実例もあるし。
 そういう意味で、安倍政権が目指した内閣人事庁案は抜本的な解決法としてなかなかの妙案だったのですが、他の政策同様に骨抜きにあって今の計画ではあまり期待が持てません。こうした点をまずどうにかして、政治主導の政策の実現力を日本全体で高めることが急務だと私は考えています。

 その次に優先すべき課題ですが、これは私の属性ゆえですがやはり若者の雇用対策をどうにかしてもらいたいです。日本全体の失業率は今4.8%辺りのところ、20代の失業率は数年前より二桁の10%を越えており、このまま行くと貯蓄も何もない非常に不安定なままで今の若者は40代、50代と社会的にも体力的にも厳しい年代へと突入してしまいます。これなんかは私の持論ですが、現代の若者の就業、生活支援を行って生活を安定化させることこそが最大の少子化対策になると考えており、ただ単に子育て支援金などを現金で配るよりまずもって家庭の地盤を作ることこそが第一だと思います。

 そんでもって三番目に優先すべき課題ですが、ようやくここで財政の健全化が来るのではないかと思います。というのも今の20代の若者に就業してもらえねば所得税率の高い日本では十年後、二十年後の税金が入ってこないため、若者の雇用対策を行って将来の税源の目途を確保した上でなければ財政健全化もなにもないと考えるからです。まぁ抜け道を使うんだったら、間接税の増税という手段もありますが。

 そういうわけで私の案をまとめると以下のようになります。

1、公務員改革→政策の実現力、速度を高める
2、若者の雇用対策→少子化対策と共に将来の税負担者の確保
3、財政の健全化→赤字体質の脱却


 あんまり煮詰めていませんが、今挙げた三つの政策はまさに上から順番にやらないと下まで実現できない政策だと考えております。なお今回外交については検討せずに内政のみで優先順位を定めましたが、ミクロな政策についてはもっとやるべきものはあると思いますがあまり細かい話になってもしょうがないのでちょっと省略しました。もし一つ挙げるとしたら、2と3の間に税、年金体系の抜本的改革を入れるべきだとは思いますが、その頃にはまた別の問題が起きているんだろうなぁ。

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