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2009年5月7日木曜日

在日外国人の地方参政権問題について

 恐らく今日の記事は見る人によっては強く反発されるであろうことが予想されますが、それを知っておきながらも敢えて私は在日朝鮮人を始めとする、日本の地域に居住している外国籍の人たちに地方参政権を与えるべきだと考えております。

 目下この外国人の参政権問題について世論に強く訴えているのは民主党の鳩山由紀夫幹事長が代表的ですが、この人は以前にもそれまでタブーとされてきた憲法改正を90年代後半から主張するなどいろんな方面で批判を恐れない発言をする人で、今回のこの外国人に参政権を与えるべきという講演をしたところあちこちで槍玉に挙げられては批判されているのをよく見ます。しかし私はというと鳩山氏も選挙前にこんなことを世に訴えれば批判が集まるであろうことがわかっているであろうにもかかわらず発言した度胸といい、また私自身も鳩山氏の主張に共感するところがあり、小沢事件以降の対応などを見てこのところ鳩山氏の評価が急上昇しております。

 では何故私が外国人に地方参政権、つまり地方自治体の首長、地方議会議員選挙の投票権を与えることに賛成であるのかという理由を一つ一つ説明していきます。
 まず勘違いしてもらいたくないのは、あくまで私が与えるべきとしているのは住民票を元に振り分けられる地方選挙の投票権であって、国会議員の選挙などという国政選挙の投票権ではありません。国政選挙の投票権の場合は私は国籍を元に投票権を持つか持たないかをはかるべきであって、今回のように住民票は日本国内にあるが国籍は外国である在日外国人の場合は筋から言ってまだ不適当だと考えています。もっとも、この辺の議論は現在二重国籍を認めるか認めないかの議論に絡んでくる話なので、状況によっては今後の私の立場が変わることは大いにあります。

 それではまず一つ目の理由ですが、彼ら在日外国人も住民票を日本においている制度上、所属する地方自治体に税金を納めているからです。
 そりゃ短期の滞在でならば私も細かいことは言いませんが、数年以上の長期滞在で住民票までも日本において地域の税金をしっかりと支払っている人が、いくら国籍が違うからといって自分の住んでいる自治体の選挙権を持たないというのはちょっと筋が違うんじゃないかという気がします。仮にその自治体の首長がとんでもなく変な人間で、彼らが納めた税金をわけのわからないものに使っているとしても、その首長の対抗馬に投票して環境を変えようとするという行為すら出来ないのはあんまりな気がします。

 次に二つ目の理由ですが、そもそも彼ら在日外国人の絶対数が少ないためです。
 さすがに自治体ごとに細かい統計を見て言っているわけではありませんが、2005年度の国勢調査で日本在住の外国籍人口は全体の1.2%(統計局データより)ほどしかなく、多く見積もったとしても一つの自治体で外国籍の住人が一割に達する自治体は全くといってないと言っていいでしょう。先ほどの鳩山氏の発言への批判でよく見かける意見で、「外国人に日本を売り渡す気なのか」という意見がよく目につくのですが、選挙人口からいって仮に彼ら在日外国人が選挙権を持ったとしても地方政治に反映できる範囲は狭く、先ほどの批判をした方の言われる通りに在日外国人が悪意を持って自分らに都合の良い候補を議員や首長にしようとしても投票人数から言って絶対的に多数派を作ることが出来るはずがなく、先ほどの批判は最初から的外れだと思います。さらに選挙権を仮に与えるとしても入管法が変わらない限りは外国籍の住人が増えるわけでないため、少なくとも現在の日本において政治状況が一転することはあまり考えられません。

 そして最後の一番重要な三つ目ですが、上記二つ目の理由で書いてある通りに仮に選挙権を与えたとしても日本の政治に与える影響はほぼ皆無であるのなら、くだらないところで妙な差別化をするべきでないという私個人の、自分でもややおめでた過ぎるかなと思う気持ちからです。
 私自身はこれまで、出身や身体的特徴から周囲や制度から差別を受けたことはただの一度もありませんが、中学高校時代に自分でも取り立てて意識したわけでない過去の発言や行動を延々と引きずられて批判されたりした際、言いようのない悔しさや怒りを何度も覚えたことがあります。さすがに休日に古本屋にいただけで、わざと私に聞こえるように話の肴にされた時は怒りを通り越して呆れましたが。

 そんな私が仮に出身や国籍だけで差別や偏見を受けると考えたら、それがどれだけ悔しいかと想像するだけで複雑な思いになります。その上、先ほどの鳩山氏への批判の中には「そんなに投票したければ国籍を変えればいいだけだろ」という意見もよく見ますが、もし自分が在日外国人の立場であればやや都合が良過ぎるかも知れませんが、そんな簡単には国籍を変える決断には至れないと思います。例えば両親がまだ生きている場合や祖国への望郷の意識を持っている場合、日本に対していくら恩やありがたさを感じていてもそう簡単には変える気にはなれない気がします。

 たとえ外国籍でも地域で一緒に暮らしている場合、そこに何の違いがあるのか。そう考えるにつけ、こんな大勢に影響するわけでもないことでくだらない差別化をはかるというのは無駄なように思えて仕方ならないし、差別される側も決して気分のいいものではないと思います。特に先々週から土曜日九時からやっているNHKドラマの「遥かなる絆」という中国残留孤児の体験を元にしたドラマを見るにつけ、そうした思いが強くなってきました。
 これはあくまで私の中の例えばの話ですが、非常に善良で能力も優秀な人物が在日外国人として日本で生まれ育ったとしても、今の制度で日本に対して貢献意欲を持ってもらえるかどうかといったら如何なものだと思え、そうした優秀な人間を日本の味方につけるという意味合いでも、もうこうした差別は止めて彼らに地方参政権与えるべきというのが私の意見です。

2 件のコメント:

ai さんのコメント...

差別というのはなくそうとすればするほど「地下」にもぐってしまうものです。
特に景気が下向きになっているとどうしても弱者を探し、彼らを差別をしてしまう傾向が日本にもあるので、地方参政権を与える時期というのは景気が上向きかけている時ではないと、混乱が起きてしまうのかもしれないと思ってしまいます。今はその時期にあるかといえば・・・数年後の実現に向けて準備をする時期かもしれません。

花園祐 さんのコメント...

 aiさん、コメントありがとうございます。

 言われることまさにごもっともで、この時期にやろうとすれば確かに無用な反発や混乱を招く恐れがありますね。一朝一夕では達成できない内容ゆえに、言われる通りにここ数年はこの問題は土台を作る時期と認識した方がよいかもしれません。