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2009年5月25日月曜日

科目としての、中国の歴史教育

 昨日は延々とペルソナ3をやっててまたブログをサボってしまいました。そういうわけだから今日はきちんと書こうと思っていたら先ほどものすごい頭痛に襲われ、さっきまで寝込んでて今日も無理かと思ってましたが、さすがに二日も休むのはなんなので頑張って更新します。それにしてもこのところ、頭痛がどんどん激しくなってきています。何か霊に取り憑かれたのかな。

 実は先日土曜日に、前の記事でも書きましたが上海人の友人と親父を引き連れて筑波山にハイキングに行ってきました。筑波山へのハイキングについては前のつくばエキスプレスの割引チケットに関する記事で散々批判をしましたが、蓋を開けたら私はともかく友人と親父がへとへとになって、結局帰りは徒歩ではなくケーブルカーで下山することになりました。まぁ楽しかったのは間違いないけど。
 その筑波山からうちへの親父が運転する車での帰路、上海人と中国の歴史教育について簡単に話をしました。この時が彼とこの話題について初めて話をしたわけではなかったのですが、今回別の中国人の知り合いから聞いていた話と見事に一致したので、裏が取れたという意味でちょっと紹介しようと思います。

 まずは当たり前の話ですが、やっぱり私も連載で解説した文化大革命と天安門事件についてはほとんど教えてもらっておらず、日本に来てから両方の事件について概要を知ったそうです。特に天安門事件については、日本風に言うなら過激派の学生が暴動を起こしたというように教えられていたそうで、もうあの事件から二十年近く経とうとしていますが、大袈裟でなくともこの事件について知っている中国人はこのまま行けばほとんどいなくなってしまうかもしれません。

 そういうわけで基本、中国の歴史教育というのは戦後の現代史はあまり教えられないという背景から、日中戦争後の国共内戦の辺りで一区切りがつけられ、その後の現代史は曖昧な感じでほとんど教えられないというそうです。
 ここで今日の本題に移りますが、よく一部の日本の人なんかは中国は歪んだ教育をして日本への憎悪を強めさせているなどと言う方がおりますが、以前はともかく現在において私はそういった面はほとんどないのではないかと思います。それは何も現代史があまり教えられからというだけでなく、中国において「歴史」という科目が非常に低い扱いになっているからです。

 その上海人に限らずこれは私が知り合った中国人みんなが口を揃えて言う言葉ですが、「歴史」という科目を真剣に勉強する中国人などほとんどいないそうです。というのも中国の大学受験では「国語」、「数学」、「英語」の主要三科目の配点が非常に高い上に、学部として権威が高いのは理系学部であって、文系学部などではあまり社会でも相手にされないほどらしいのです。日本人なんかでは想像しづらいのですが、中国の大卒の政治家や会社経営者は基本的に理系出身者で、私が逆に日本はみんな文系出身だと言ったらそれでどうやって世の中回していけるのと、おおいに驚かれたことがあります。聞いた感じだと、中国で文系学部に進むということは趣味の世界に入るのと同じような感じじゃないかと思います。

 そんなわけで主要三科目でもない上にあまり相手にされない文系の科目である「歴史」というのは、受験時に役に立たないということから以前から中国の中高生で熱心に勉強する子はどんどん少なくなっているそうです。こうした話を聞いた中国人との会話で私が岳飛の扱いは現在どうかと聞いたら、「君は中国人より中国史に詳しいよ」とまで言われました。なおこの岳飛ですが、荊軻司馬光らと並んで時の中国の政権によって評価が変わりやすい人物の典型です。

 今回一緒に筑波山に行った上海人などはまさにこの典型で、自国の歴史にあまり関心を持っておらず恐らく通史で言えば私の方が詳しい気がします。これはその友人の言ですが、よく日本の右翼は中国の歴史教育は反日色が強いというが、そもそも歴史を真面目に聞く中国人の若者はほとんどいないとのことで、私も何人も中国人から話を聞いている限りそんな印象を受けます。
 逆に現代の中国人は漢文が読めないのに対して、書き下し文で読んでしまう日本人の方が中国史の勉強に熱心な国民なのかもしれません。

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