2011年4月18日月曜日

複数人による犯罪の裁き方 後編

 昨日の記事に引き続き、複数人による犯罪をどう裁くかについて書いていきます。
 簡単に前回のおさらいをすると、人間は一人でいる時よりも複数人でいる時の方が抑制が効き辛く、犯罪にも手を出しやすくなるなるということを前提にします。その上である犯罪を複数人が実行した場合、一人がその犯罪を実行した時に課す刑罰を三人全員に課すべきか、それとも役割分担などによって分散などといった差別化を行うべきかという問題提起を行いました。

 この問題について以前に友人と議論したのですが、議論のポイントは集団心理による心理的ハードルの低下を人間性として考慮すべきかどうかでした。これは以前にも書きましたが日本の刑法というのは基本的にはどうすればその犯人を更正できるかという視点で組まれており、更正させるために一年が必要なら懲役一年の判決となり、更正が不可能と判断されれば死刑となります。この更正できるかどうかを判断する上で何が重要となるかといえば言わずもがなの人間性で、私利私欲で犯罪を行ったのか、始めからその犯罪を実行することによって起こり得る結果を知っていたのか、実行後に後悔や反省をしているのかというのがポイントとなり、実際の裁判でもこういった点が審議されるようになります。

 私が複数人の犯罪に対する刑罰について考えたのは、一人では自己抑制が利いてためらうような犯罪行為を複数でいたために実行してしまった場合についてです。一人だったらきっとそんな犯罪を実行しなかっただろうけど、仲間にほだかされて実行してしまった人に対してはまだ更正の余地があるとみて通常より減刑するべきかどうかといった具合に考えたのですが、この問いに対する友人の意見はというと、少なくとも犯罪を実行する段階でそれがどのように帰結するかは大抵わかるはずだとして、確かにそれを人間性と見ることは出来るとしても減刑の必要はないと答えました。その上で最初の問いである一つの犯罪を複数人で実行した場合でも役割によって分散させることなく全員が等しく同じ刑罰、つまり一人がその犯罪を実行した際に受ける刑罰を受けるべきだと主張しました。この友人の意見に私も同感です。

 ただ二人とも全部が全部この原則を当てはめるべきでないとして、たとえば主犯格に強く脅迫されて加担してしまったとか、オウム事件などのように強力なマインドコントロールなどを施された場合はその程度に応じて減刑、場合によっては無罪とする必要があるという意見で一致しました。原則は原則として持つとしても杓子定規的に当てはめるのではなく、やはりケースバイケースで一つ一つの事件を裁くべきだとしました。

 今回この記事で書いた内容は当初は頭の中にしまっておいて書くまでもないだろうと考えていたのですが、昨日に取り上げた連続リンチ殺人事件に続きちょっと考えさせられる事件の判決が出たことをきっかけに書く決心をしました。

闇サイト殺人事件(Wikipedia)

 この事件は「闇の職業安定所」というサイトを通じて知り合った男三人が大金を稼ぐ目的で始めから犯罪をするために集まり、帰宅途中の女性を殺害して現金やクレジットカードを奪ったという事件です。一審では二人に死刑、自首した一人に無期懲役刑という判決が下りましたが、一審判決に対して控訴しなかった主犯格の男は死刑で確定したもののつい先日に下りた二審判決では一審で死刑だった男、無期懲役刑だった男の二人に対して無期懲役が下りました。
 普通に考えるなら、あくまで普通に考えるのなら確かに自首してきた男に対しては減刑もあり得るかもとも思えますが、そもそもこの三人は始めから殺人をも想定した犯罪を行う目的で集まって実際に殺人を実行しております。そんな人間に対して果たして自首したからといって減刑を行う必要があるのかとなると強く疑問を覚えます。また一審死刑から二審で無期懲役刑となった男についても、死刑が確定した主犯格の男が殺害を主導したとしても始めから殺害をも想定した犯罪に加担しておきながら何をかという思いがします。

 この記事では敢えて「複数人による犯罪」と記述し、「集団犯罪」とは書きませんでした。法律的な定義を知っているわけでもなく具体的な違いを意識したわけではありませんが、集団犯罪と書くとなにか意味が異なるような感じがして使う気にはなれませんでした。私自身が個人主義思想が強いことが影響していると思いますが、すべての行動の帰結や責任は集団ではなく基本的には個人が請け負うべきだと考えております。今回取り上げた例はやや極端なものといえるかもしれませんが、集団や組織にいるからといって責任が分散されることはないという原則は集団に染まりやすい日本人だからこそ大事にするべきではないかということでまとめさせていただきます。

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