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2012年5月16日水曜日

ヨーロッパにおける失われた十年

オランド新大統領が就任、経済成長重視の立場を強調 仏(CNN)

 先日、フランスで大統領選挙が行われサルコジ氏からオランド氏へ大統領の職の座が移りました。フランス政治、というかヨーロッパ市場に詳しいわけじゃないですが、報道を見ている限りだとオランド新フランス大統領はサルコジ氏と比べて積極財政派だと聞き、これまで債務削減を目指して緊縮財政政策を取ってきたサルコジ氏と、ドイツのメルケル首相をかねがね批判していたと聞きます。そのためフランスは今後、これまでより財政出動を増やして景気刺激策を取ることが予想されるのですが、仮にそうなればかつて日本が経験した「失われた十年」をフランス、ひいてはヨーロッパ全土がまた経験することになるのではないかと私は予想しています。

 ちょうど折も折というか今日のニュースで、ドイツの地方選挙でメルケル首相率いる与党が惨敗したと聞きます。どういう力関係や影響が働いたかはわかりかねますが、傍目に見る限りだとやはり緊縮財政政策にヨーロッパ諸国で不満が高まって異様に見えます。細かい話は抜きにしますが私自身は現在のヨーロッパにおかれた経済環境を考えるにつけて緊縮財政以外は取るべきではないと見ており、逆にここで「景気を刺激して危機奪回だ」とばかりに積極財政を打つことは破滅への道だと考えています。また「ヨーロッパの問題児」ことギリシャがいまだに連立で揉めているばかりか一向に打開策も決められず、スペインやイタリアといった規模の大きな国でも火を噴きつつある現状を見るにつけ、多分このまま90年代の日本と同じ失敗を繰り返すことになる気がしてなりません。

 なお、ここで使っている「ヨーロッパの失われた十年」というのは何も私が言い出した言葉ではなく、中国の経済紙ではこのところ頻繁にこういった見出しが躍っております。前にも一度書きましたが日本企業でヨーロッパとの取引が大きい会社は意外に少ないためにそれほど危機感が持たれていないというのが大きいでしょうが、元々取引額が大きかった中国では意外と影響は深刻で、何気に今日出た上海市の貿易額は輸出、輸入ともに金融危機以降で初めて前年同期比マイナスに転じています。

 最後に誰も言わないので私が言うことにしますが、去年は円高の逆風の中で日系自動車メーカー各社はみんな黒字を達成するという、すごすぎるというかありえない業績を出してきました。ただ一社、マツダだけは赤字となってその理由をいろんな経済紙では、「海外に自動車工場を持っていないため、円高が直撃した」と書いてありましたが、そんなこと言ったら我が愛する三菱自動車や最近評価を高めているスズキも、ないことはないけどそんなに海外工場持ってないんだから似たようなもんじゃないかと思い、なんかこの評論に納得がいきませんでした。
 ではなんで赤字だったのか、言ってしまえばヨーロッパの景気悪化の影響が一番でかいと私は見てます。実はマツダは日系企業の中でもヨーロッパ市場での売上げが意外に大きい稀有な会社で、それだけに日本人の発想というか視野に入っていないところで大打撃を受けたのではないかと考えてます。詳しい財務諸表を見れば確かめられますけど、さすがにそこまでして調べる気はありませんが。

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