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2012年5月29日火曜日

中小企業は本当に人手不足なのか

 5月病のシーズンを跨いだこともあって、このところよく失業問題に関する記事を多く見かけます。またどうでもいいことですが、先日に以前の会社の後輩から「花園さんも5月病に気を付けてください」というメールを受け取りましたが、なんか5月病の意味を勘違いしてるんじゃないかと思わせられる内容でした。第一、自分なんか転職して3社目で今年は2年目なのに……。

 そういうどうでもいい話は置いといて本題に入りますが、ちょっと前に見た若者の失業問題に触れた記事、というよりももしかしたらNHKニュースの報道だったかもしれませんが、ここ数年間も国は若者の失業対策に取り組んでいるが一向に効果が表れない、3年で新卒者の半分が会社を退職する、といった報道がありました。こうした事実を並べ立てた上でその報道では、「依然と若者は大企業志向が強く、人手不足に悩む中小企業とのマッチングを進めていく」と今後の失業対策などを挙げていましたが、はっきり言いますが若者の失業率が高い理由を個人々々の問題だと考えている限りは何一つ改善しないでしょう。社会学士の立場から言わせてもらえば今の若者の失業問題は構造の問題であって、当事者である若者をどう弄り倒したところで何も動かないと言い切ってもいいです。その上でもう一言言わせてもらうと、そもそも中小企業が人手不足で、人員の募集意欲が高いというのは嘘だと思います。今日はなんかやけに強気な発言が目立ちます。

 上記の報道に限らず、最近の若者は大企業ばかり受けるから内定がもらえないだけで、中小企業を探せばいくらでも募集企業はあるという言質をよく見ます。しかし私の見方はこれと真逆で、中小企業はそもそも募集しておらず新卒で入れるのは大企業だけであることから今の若者は大企業ばかり受験するのではと考えています。
 私が何故こう考えるのかというと、最も大きいのは私自身の経験からです。私の経験、といっても私が就職活動をしていたのはもう大分年季を重ねてしまったのでちょっと時間が経っていますが、その時の経験を振り返ると中小企業が人手不足というのは実感としてあるものの、「うちに来てくれるというのなら大歓迎」というのは真っ赤な嘘としか思えず、やや時間が経った現在においてはなおさらその傾向が増している気がします。

 もはや既に自慢と化してきていますが、私自身は学生時代の就職活動で100社以上の企業採用選考に落ちております。受けた会社にはそりゃ大企業ももちろん入っておりますが割合から言えば圧倒的に中小企業が多く、その後に就職した企業も間違いなく中小の分類に含まれる会社でした。当時の就職活動を通して言うことがあるとすれば、やはり大企業はまだこういった採用選考をどうするかということがわかっているものの、中小企業ではやり方すらわかっていない、下手したらいい人材を取ろうとするやる気が全くないところも珍しくありませんでした。いくつか例を挙げると企業説明会で選考過程も何も説明せずに「次は○日に来てください」と言われるから行ったらいきなり面接が始まったり、「じゃあ明日までに電話を掛けるからそれで面接日を打合せよう」と言われて待ってても梨のつぶて、というような例がたくさんあります。凄いところなんか説明会で、「花園君は○○大学から来たんだね」と、何故かほかの選考者もいる中で私だけ出身大学がばらされました。しかも終わり間際に、「それにしても花園君は○○大学なんだね」と時間差を置いて二回も。そんなにうちの大学の宣伝したいなら他所でやってくれって感じでしたが。

 こうした例はあくまで極端な例ですが、ほかの中小企業の面接ではどうも聞いてて、「そんなん聞いてどないするんやろ」と感じる質問が非常に多かったです。さらに言えば人事に求められるTPO(これももう死語か)もいい加減な面接官も多く、その点で大企業は多くの人間捌くだけあってまだ「この面接、変だぞ」と思うようなことは少なかったです。もっともSPIの問題、特に国語はとんちんかんなのが多いですが。

 こうした私の体験以前に、何故若者の失業率が落ちているのかをマクロで考えてみれば中小企業とのマッチングなんてわけのわからない話はまず出てこないでしょう。そもそもなんで若者の失業率が落ちているかというと、少子化で若者人口が減っている以上に求人数が激減しているからです。では何故激減しているのかと言えばいろいろ背景に複雑な構造があるので一言で語れませんが、結論を言えば新たに新人を雇って育てる余裕が企業にないということに尽きます。これは売上げや手持ち資金が減少しているからで、そのため今の企業はどこも即戦力の人材こと経験者しか雇いたがらないという傾向があります。逆を言えば、転職市場は昔と比べれば非常に広がってきている感があります。
 さてここでクエスチョンです。大企業が余裕がなくて採用者数を減らしている中、どうして大企業よりも銀行の与信や資金に余裕のない中小企業が新人を雇おうとする意欲が高いと言えるのでしょうか。現実はそんなわけなく、リーマンショック以降は特に顕著となりましたが大企業以上に中小企業の方が経営はどこも苦しく、新人を採用する力なんてほとんど残されておりません。私自身がこの目で見ておりますが、どの中小企業も絞った採用数をさらに絞り続ける、もしくは募集を初めからしないというのが今の現状です。

 中にはハローワークなどでは募集を続けている企業がたくさんあるのではと言われる方もいるかもしれませんが、私はハローワークの求人というものを非常に怪しんでいます。中にはギャグで書いているとしか思えない求人もあり、なんか求人出すことでお金がもらえるから採用する気ゼロで募集をかけているのではという疑念が強いです。昔見たのなんか23歳以下で司法試験合格者という、今の制度じゃありえない募集がありましたし。

 若者の失業問題の原因は何もこれだけではありませんが、中小企業とのマッチング云々に限っていうのなら上記のようなのが私の意見です。あとこれは蛇足かもしれませんが、就職活動前にやけに他人に厳しい友人が絶賛していた会社があったのでエントリーシートをかなり早い時期に送ったのですが、その会社は私に対して何も返事することなくその年の募集を打ち切りました。回り回って今年、っていうかタイムリーなことに今週の話ですが、いつも通りに仕事していると日系企業の進出リリースが発表されていたので見てみると、まさに私のエントリーシートを無視した会社でした。
 「ここの会社と俺には因縁がある」と言い切り、普段は面倒くさいリリース記事は同僚に回したがるくせにこの時だけは私がふんだくるように奪って直接この会社に電話取材して記事を書きました。なお電話かけた際に、「なんかお宅、最近中国に拠点を増やしているけど、以前は中国語使いに冷たかったのに急にどうしちゃったの?」って真面目に聞いてみたかったです。そこそこ大きい会社なのに、対応悪かったなぁこのメーカー。

 ちなみに中国語使いは今の時代、どこの業界も引手数多と言われますが、上記のように私はHSKという中国語資格試験でかなり上位の点数だったのに何故か就活で苦労しました。友人曰く、「人を見下す態度が見透かされてんだよ」と言われて何も言い返せませんでしたが。あと現在私のいる会社でも中国語使いが不足しており、上海市内に住んでいる方で留学経験、もしくはそれに準じる中国語の技能があって「お仕事したいかも」と考えている人がいたら真面目にメールください。この際、上海以外でも構わないけど。

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