先日に書いた「世界終末論と中国経済崩壊論」の記事がやけにアクセスを稼いでいるので、調子に乗ってもう一本関連した記事を投稿しようと思います。内容は前にも一度に多様なのを書いておりますが、中国バブル崩壊論者が挙げる「崩壊する理由」に対してそこは違うぞという私なりの主張です。
1、少子高齢化の進行
この理由は最近挙げる人が多いですが、要するに「中国では一人っ子政策によって少子高齢化が急激に進んでおり、高齢者の介護負担や年金負担によって遠からず破綻する」といったような主張がよく見受けられます。
確かに中国ではもうそろそろ終わると何度も言われるつも一人っ子政策が継続されており少子高齢化は進んでおりますが、高齢者に対する社会負担によって中国経済が破綻するのは少なくとも今ではなく、まだずっと先です。このように私が主張する根拠というのも、皮肉にも崩壊論者たちが主張する上海の高齢化率です。
この辺りの事情は以前にも調べて特集記事を書いたこともあったので詳しい自信があるのですが、人民網の記事によると中国で最も少子高齢化の激しい都市である上海市では2011年末時点、60歳以上の高齢者人口が全体に占める割合が24.5%に達しており、実質的に4人に一人が60歳以上という計算となります。
一見すると上海の高齢化率は高いのだなという印象を受けますが、日本の高齢社会白書によると、日本は2011年10月1日時点で65歳以上の高齢者人口の全体に占める割合は23.3%に達しており、ほぼ上海と同じく全国規模で4人に1人が高齢者となっております。しかも中国の水準に合わせて60歳以上で計算すると確か30%近い数字にまで引き上がり、今後も上昇することはあっても下がることはありません。
ここまでの内容を簡単にまとめると、中国で最も少子高齢化の激しい上海ですら日本全国よりも高齢化率は低く、中国全土で見ればさらに低いということです。確かに一人っ子政策は中国の将来的なリスクではありますが、少子高齢化による社会負担が大きな問題となるのはまだまだ先、少なくとも10年以上はかかるでしょう。更に言えば少子高齢化で破綻するというのなら今のままだと中国よりも確実に日本が先に破綻することになるので、人の心配してる場合じゃないってことです。
2、GDP成長率の急激な落ち込み
このところ中国のGDP成長率が前年同期比を下回ることが多いことから崩壊論者たちは、「中国の成長減速が始まった」、「これから本格的なバブル崩壊が始まる」などという言葉をよく使います。ちなみにGDP成長率が前年同期比で上昇していた頃は、「これはバブルが膨らみ続けいるが中国政府は放置」「もうすぐ経済は破裂する」などと言われており、一体どっちやねんと突っ込みたくなります。
まず直近こと今年第1四半期(1~3月)の中国のGDP成長率ですが、これは市場予測の8.0%を下回り7.7%となり、前期比の7.9%を2ポイント下回りました。ぶっちゃけ自分も8%台になると予想していたもんだからちょっとショックを受けましたが、少なくとも崩壊論者が主張するほどの急激な落ち込みとは言えないでしょう。
崩壊論者たちは00年代の頃は10%超の二桁成長が続いていたなどとかなり昔のデータを引用して今の成長率が一桁に留まっていることを揶揄しますが、そもそも絶対値が違うことに気が付いていないのか強い疑問を感じます。確かに以前の中国はGDP年間成長率が毎年二桁に達しておりましたが、そもそも中国のGDP額はこの10年ちょっとで倍以上に増加しております。仮に10年ちょっと前のGDPが100だとすると現在は200ちょっとで、次の年の成長率がそれぞれ10%増、7%増だったとしても、
<GDP増加額の比較>
以前:100×0.10=10
現在:200×0.07=14
という計算となり、GDPの増加額の絶対値では現在の方が上回っていたりする年もあります。単純に成長率という割合だけで見ては本質を見失うと言ってもいいでしょう。
第一、中国は現在既に米国に次ぐ世界第二位の経済大国です。これだけ大規模になってもまだ7%超の成長をしているのはやはり大したもので、しかも昨日たまたまテレビニュースで見ましたが、今年第1四半期のGDP成長率では新興国と呼ばれているフィリピンやミャンマー、インドネシアなどアジア各国を中国が全部上回っておりました。もちろん日本に対してもです。
崩壊論者は「落ち込み方が激しい」と言いますが、じゃあ適正な成長率はどの辺なんだよと深く問いたいです。私からするとこれだけ大規模になったんだから徐々に落ちていくのが当たり前なんだし、仮にいきなり成長率が5%台に落ち込んだら確かに大ごとだけど、少なくとも落ち込み幅が前期比1ポイント以内ならまだアリじゃないというのが私の意見です。
まだまだあるけど、今日はこの辺で終えときます。続きは……なんかめんどいなぁ。
2 件のコメント:
キミの意見に賛同します。中国総人口が減少しない限り、GDPは継続的成長していくだろうと信じております。
先進国のGDPが伸び悩んでいるのは人口減少だから、人口が増えると自然にGDP伸びてくると思います。
面倒な作業かもしれないですが、引続き頑張って書いてください!
改めてこの記事を読み直すと政治体制とかブランディング、格差問題に対する言及がなくて、やっぱ不足している感があるね。続きは書くことにするけど、ちょっと今日は風邪引いて気分悪いからまた今度ね。
コメントを投稿