2014年5月27日火曜日

伝えることに全く努力しない日本人

 上司が部下に対して作業を指示したものの部下がその作業をきちんと達成できなかった場合、日本では十中八九その部下が悪いことになると思います。しかし私が日頃見ている限りだと、案外上司の方があいまいな指示を出しててそのあいまいさゆえに部下が失敗してしまうケースの方が多いような気がします。更に言えば、上司の指示(リーディング)がまずかったのではという可能性を日本人ならほぼ誰も検証しないということ自体がやっぱ異常な感じがします。

 私がこう思うようになったのはやっぱりというか中国で生活した経験があるからですが、中国だと作業が上手くいかなかったので従業員を叱ると、「お前の指示(説明)が悪いせいだ」 と本気で言いかえしてくるケースがあります。自分が言われたわけではないですが横から見ていて、確かに上司の方に問題があるとは日本人は考えもしないなと思い、それと同時にこれまで付き合ってきた自分の日本人上司の中には何が言いたいのかよくわからない指示を連発して、うまくいかなかったら下のせいにする輩が多かったようなと思うに至ったわけです。しかもそういう上司に限ってやたら「5W1Hは大事だぞ」と連呼していて、人に言う前に自分を省みろと何度も思ったものです。更に言うと5W1Hだけでなく、想定外の事態への対応である「もし」こと「If」もしっかり付け加えられる人は仕えててやりやすいです。

 話は戻りますがこうした上下関係に限らず、日本人は説明など口頭での伝達に関しては全く努力しないというか、基本的に「わからない奴が悪い」というスタンスを取ることが多いです。もっともこれは中国人にも少なからず共通する点がありますが、日本の場合だと上下関係だと特にひどく、教育現場においてはこれがまかり通ってていろいろな面で悪い影響を与えている気がしてないません。

日本料理人ブラック過ぎワロタ(アルファルファモザイク)

 上のリンク先はその一例というか料理人の世界の話ですが、新人は一切包丁を持たせてもらえず雑用ばかりさせられて、肝心の料理技術を教える段階では「見て盗め」などといって何も教えない、何のための指導だよといいたくなる現場の例が紹介されています。
 大分前に京都吉兆の支配人が言っていた言葉ですが、新人に包丁を持たせないのは先輩からのいじめ以外の何物でもなく、料理の腕を上達させるためには初めから持って始動させた方がいいと、ごくごく当たり前のことを言っていました。しかし日本だとこんな当たり前のことが通らずに非合理な言い訳がまかり通り、挙句にさっきの「見て盗め」なんて自分に説明する技術というか会話能力がないと自信を持って白状するセリフまで出てくる始末です。

 さすがにブルース・リーくらいのレベルになったら「考えるな、感じろ!」といってもいい気はしますが、少なくとも日本の日常においてはこんなセリフみたいなことを言うのは無駄でしかないし相手するまでもないでしょう。相手を理解させるべき立場の人間が理解させるための努力を放棄する、もしくは理解する側の人間にだけ歩み寄らせるなど、責任放棄もいい所です。

 ではなんで日本はこのように伝えることに努力を払わなくなったのでしょうか。一番大きな原因はもう断言してしまいますが、基本的日本は上(=理解させる側)が馬鹿でも末端の人間(=理解する側)が優秀であることが多いいため、あいまいでよくわからない指示でも必死で歩み寄り、相手の意図を頑張って読んでくれるためなんとなくそれでうまくいってしまうことが多いからでしょう。逆に欧米なんかだと移民の労働者に対して必死で理解させてもらうためコミュニケーションを工夫するというし。

 もう一つの理由として私が考えるのは、司馬遼太郎みたいであんまりいい気分しないけど、やっぱ旧日本陸軍が悪かったんじゃないかとも思えます。旧日本陸軍がやっていた教練や軍事作戦なんてどれも合理的に考えたら全く意味がなく非合理的なものが多かった(うさぎ跳びなど)のですが、それに対してさも価値や意味があるように非合理的な説明というか言い訳を繰り返して、「非合理的な行為に対して非合理的な説明をする」というのが日本全体で一般化してしまったのでは、なんて思うわけです。そりゃ戦争にも負けるよ。

 紙幅が余ったので如何に旧日本陸軍が非合理的だったかという一例を述べると、「バーデン=バーデンの密約」といって、明治から大正にかけて長州閥こと山口県出身者が陸軍内部で主要な地位を占めていたのに対し、この時の密約に出た陸軍幹部らは「俺たちがえらくなったら長州閥を締め出そう」と約束し合うのですが、念願かなって幹部養成学校の陸大の教官になると長州出身者に対して面接試験において、「校門からここまで何歩かかる?」なんてむちゃくちゃな質問をしては無理矢理蹴落としていき、事実ある年を境に長州出身の陸大入学者は完全にいなくなってしまいます。派閥を打倒するために別の派閥を作る、悪しき典例といえるでしょう。

1 件のコメント:

  1. 上司に対し、日本人の反発能力はまだ低いですわ。上司の話が全部正しいと思っている人間は非常に多いと思いますわ。改革すべく。

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コメント、ありがとうございます。今後とも陽月秘話をよろしくお願いします。

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