昨夜しゃべりだすと自分以上に止まることのない先輩がスカイプチャットで唐突に、「掃除機壊れたから捨ててくる」といって会話を中断して園に出て行き、数分後にまた戻ってきました。その先輩によると捨てられた掃除機はなんと購入から20年も経った代物で、吸口のゴム部分が腐食して使えなくなったもののフレーム部分には全く問題はなく、ゴムさえよければまだ使えるほどの代物だったそうです。
戻ってきた先輩は軽くこの事実を自慢するとともに、「昔の日本製品はほんと丈夫だったけど、最近のはなんか壊れやすい気がする。そうは思わんかね?」と自分に聞いてきました。それに対し自分も、「ソニータイマーに代表されるように保証期間内はもつものの、20年以上も壊れないとかいう桁違いに丈夫なのは確実に減りましたね」と話し、ちょっと盛り上がったのでこの辺について今日は書いてきます。
ソニータイマーについては過去に書いた「ソニータイマーの真実」という記事でも触れていますが、ソニーの製品は保障期間を過ぎると都単位すぐ壊れるという妙な都市伝説があります。ただあながち都市伝説として流せるものでなく、ソニーに限らず自動車を含む日本製品は一定の期間を過ぎるとほぼ同じタイミングで壊れる傾向があるという噂が中国では割と一般的です。自動車なら購入してから8年後とかにぴったりどこかしら壊れるとか、電化製品も友達同士で一緒に買ったら同じ時期に壊れたりといった具合に。
こうした日本製品の特長について過去の記事では、日系メーカーは製品を構成する部品の耐久度をきっかり分析しており、保証期限をギリギリ越える時期に合わせて品質を調整しているためだと指摘し、耐久度を正確に計算しつくした製品に仕上げているためある意味ですごい品質管理能力だと分析しております。しかし逆を言えば、現代の日系メーカーは耐久度を品質保証期間まで持たせればいい、必要以上に耐久性を高める必要はないという方針を取っているともいえ、それが最初に挙げた20年物の掃除機が現代だと見当たらないという事態を招いているといえます。
どうして耐久性を必要以上に高めなくなったのか、答えは簡単で生産コストを削減するためです。そうした目的の下に公然と品質を落としたのは何を隠そう天下のトヨタ自動車で、ここは三代前の社長の奥田碩氏が社長在任中、「普通のドライバーは新車購入から7~8年で乗り換える。何も10年以上も壊れない車にする必要はない」と述べ、社内でのコスト削減を指揮したと聞きます。実際に奥田体制下でトヨタは純利益を増大させるなど躍進しましたが、こうした方針が後の大量リコール問題にもつながったと指摘されており、評価の難しいところです。
私個人の見方で述べると、一企業経営者として奥田氏の決断は決して間違っていないように思えます。しかし私が子供の頃、日本製品は何年経っても壊れないほど丈夫だと海外で言われているという話を何度も聞きましたが、ここ数年、というか2000年以降は決して誇張ではなくそういう話はついぞ聞かなくなりました。私もかれこれ中国にも長く滞在していますが、日本製は中国製や韓国製より品質がいい(デザインは悪いが)という話は聞きますが、「絶対に壊れない」、「何年経っても丈夫」という言葉までは出てきません。
日系メーカーは中国をはじめとした海外で品質の良さをアピールしますが、それは相対的な比較レベルでの品質の良さで、絶対的な品質の良さではないでしょう。確かに製品も複雑化していて耐久度の概念が昔と違うのかもしれませんが、バブル期以前の日本製に対する絶対的な信頼度を勝ち取るまでの品質はもはやないと言っても過言ではありません。
私がこの記事で言いたいのは、オーバースペックと言われるかもしれませんがかつてのコストを度外視したかのような品質を取り戻すのか、それともコストを優先して他国のメーカーよりはマシな品質に落ち着かせるのか、この問いを一回は持つべきじゃないかと思います。無論、昔と違って現代は激しいグローバル競争の中にありますが、短期的な利潤よりも長期的な信頼を勝ち取るのが日系企業と常日頃ほざいておきながら今の状況はちょっと乖離しているように思えるとともに、少なくとも昔ほどの信頼性が今の日本製品にはなく、品質重視というのもそろそろ厳しいのでは、言うほど品質の良さに違いがあるのかと言いたくて書いてみた次第です。
2 件のコメント:
Japan qualityは下がっているかもしれないが、むしろChina qualityが上がっていると思いますわ。
キミもハイアール製品を買っては如何でしょうか?
仮に今の日本製と中国製の品質の差が10対1だとすると、2000年くらいまでなら100対1くらいの差があったと思う。100対1なら多少高くても買うだろうが、今の子の品質差じゃあ日本製は高いだけでコストパフォーマンスは見いだされないだろうな。あと俺はハイアールSUPORのが好き。
コメントを投稿