先に昨今の日本のアニメ事情について述べると、やはり全体的に大人向け、言うなればマニアック向けな作品が増えているように私には感じます。なんでこうなっているのかというと一番大きいのは制作費の回収方法が昔と今とで大きく変わっており、昔はアニメ放映と共におもちゃを始めとした子供向けキャラクター関連商品を売ることで制作費を回収しましたが、最近ではアニメそのものを収録したDVDの販売で回収するパターンがほぼすべてとなっており、DVDを販売するということからターゲットとなる視聴者層は購買力のある大人がメインとなり、こうした影響から子供向けから大人向けに作られるようになったと考えています。
また単純に子供向けアニメの本数が私が子供だった頃と比べても減っています。私が子供だった頃は毎日夕方5時半からかつて放送したアニメの再放送が流れ、また土日はどちらもも6時半から8時の間は3本程度のアニメがほぼ必ず放送されていました。現在だとこの時間帯はバラエティがメインですし。
こうした子供向けから大人向けアニメが増えている現状について最初に述べたように私は快く思っておらず、やはりアニメはあくまで子供向けに作られるべきで、子供をメインターゲットとしたライト層向けな作品をもっと増やすべきだと思います。理由は昨日の記事でも書いたようにコアユーザーの層が増えすぎるとライトユーザーの拡大が止まり、そしてコアユーザー自身も減っていって最終的にはユーザー総数が減少していく傾向があるからです。
数学的にこうした現象を分析するなら、コア層とライト層の割合比で一つの壁となる数値があるのだと思います。たとえばこの割合が2:8を保っている間は全体のユーザー層は拡大を続けますが、コア層が徐々に拡大して3:7で拡大が止まり、4:6にまで至ると逆に縮小し始めるというように適頃な数値というのがあるのではというのが私の意見です。
そうしたことを踏まえて日本のアニメ界の現状はコア層がやっぱり多くなりつつあり、将来コア層を形成するライト層の拡大に今のうちに力を入れてかないとよくないのではないかと勝手に懸念しています。何も大人がアニメを見るなということを言うつもりはさらさらなく、ただベースは子供向けアニメでこっちを中心にというのが私の主張です。
ちょっと主旨が違うかもしれませんが、どんな作品が質が高いのかを突き詰めるなら私は時代や年齢を問わずに視聴される作品がやはり質が高いと思います。たとえば宇宙戦艦ヤマトなどは子供から大人まで幅広い層に支持されたため今でも人気がありますが、それ以外でも現在において古典的とされるほど支持される作品は子供向けに作られながら大人も巻き込んでおり、いい作品というのは客を選ばないからいい作品である気がします。
ちなみに上記の動画は私が子供の頃に放映されていた水木しげる氏原作の「悪魔くん」のアニメOPです。懐かしさ補正もありますが、なんか今のアニメとは異なる不思議なパワーを持っているとこのOPを見る度に思うので、このところやたらと繰り返してみながら、「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」なんて呟いてます。
あとどうでもいいですが昔にデーモン小暮閣下は自身のエッセイ本として「我は求め訴えたり」というタイトルで出版しましたが、悪魔なんだからお前が求め訴えられる側じゃねってこの頃よく腹の中でツッコんでいます。
4 件のコメント:
大人向けアニメですが、放送が終了しても視聴者はその作品のファンでいてくれるかどうか
という問題があります。 放送が終了して1年 下手すれば数ヶ月もたてば忘れ去られ、
アニメファンは別のアニメに群がります。 ハルヒや けいおんといったヒット作品ですら
今ではオワコン(終わったコンテンツ)として忘れ去られようとしています。
子供向けについてですが、子供の時に親しんだ作品というものは大人になってもその評価は
変わらないものなのです。 たとえその作品が整合性がなく、矛盾だらけの作品だとしても
大人になってからも楽しんで見るものです。 だから子供の視聴者・購買層を甘く見ては
いけないのです。 例えば 機動戦士ガンダムは最低でも中高生向けの作品でしたが、
ガンプラという子供向けの商品を出す事によって、視聴者の幅を増やすことに成功しました。
放送開始から35年たってもオワコンどころか未だに新展開が続いています。 もっとも
1990年代後半に子供向け商品展開が手薄になったのか、その隙をカードゲームや
ポケモン、 最近では特撮や妖怪ウォッチに奪われつつあります。 ガンダムは過去の
遺産によって食いつないでいますが、あれだけ隆盛をほこったロボットアニメは子供向け
としてはほぼ全滅状態となりました。ガンダムも放っておくとヤマトのように往年のファン
だけが見るだけの存在になるかもしれません。
悪魔くんですか、私も見ていましたよ。この時代のアニメ化でよかったです。もし今の時代に
アニメ化されたら使途筆頭がメフィスト2世ではなく幽子か鳥乙女ナスカになっていたでしょう。
(典型的なダメ大人向けアニメとしての発想)
最後に、上記の 整合性がなく、矛盾だらけの作品にもかかわらず親しまれている作品とは
「キン肉マン」です。 読者は作品の矛盾を見つけても「だってゆでだからしかたない」と
笑ってすませます。
いつもながら見事なご指摘で、自分の方から追加することはほぼありません。実際、「けいおん」とか聞くだけで懐かしさを感じる当たり、その風化の早さを実感します。それと「悪魔くん」の鳥乙女ナスカは、現代でも通じるビジュアルではないかと密かに見ています。
あと「キン肉マン」の整合性のなさですが、多分一定の度合いを越した漫画というのは逆にそれが面白がられるものなのかもしれません。現在連載中の漫画だと知っていると思われますが「彼岸島」が突きぬけており、「このおにぎりがシャケだからちくしょう」を始めとして作者は本当に頭大丈夫なのかと心配しつつ笑えます。
確かに今のアニメは深夜アニメが増え、DVD購入を前提としたマニア層向けの作品が増えているのかもしれません。アニメの起源をみてもやはり子供向けに作るのがベきなのではないかと考えさせられました。ただ子供も見れて大人も観れるようなアニメを作ることは至難の技だとも思います。
そう考えると、そういった作品をコンスタントに出し続けているディズニーやジブリは流石としか言いようがありません。
ディズニーやピクサーが何故あれだけ巨大なのかというと、やはり子供から大人まで幅広く見られる良質な作品を作り続けていることにあるでしょう。日本だとジブリのアニメがそれに当たりますが、最近はやや視聴年齢層が高くなりつつあり、ピークだったのは「千と千尋の神隠し」だったのではという気がします。
あと前回コメントし忘れましたが、実は私は押井守監督の作品はそれほど評価しておらず、「攻殻機動隊」の映画版も原作がただ良かっただけじゃないのと見てたりします。「イノセンス」に至っては意味不明だし。「攻殻機動隊」はむしろ、テレビ版の方がいいと昨夜後輩と一致しました。
でもって、一番評価しているアニメの監督は今敏です。知らない人多いだろうけど。
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