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2016年12月25日日曜日

日系企業は外国企業技術者をスカウトしないのか?

 まともなメディアなどでははっきり書けないのでこのブログで書きますが、このところ日本人ネットワークの中で旭硝子のとある部門の技術責任者が中国企業にスカウトされたという噂が出ています。真偽は確認できませんが仮に事実だとすればそこそこの人物だっただけにその方面の技術が全部流出するだろうと周囲は話して心配しておりますが、旭化成の事業は他分野に渡ってるから屋台骨は全然揺るがないだろうと一応私の方から述べておきました。

 この際、悪い癖ですがまた人と話をしながら余計なことを考え始め、これまでの日系企業の技術者がスカウトされる事例を思い起こしていました。90年代から00年代にかけてはやはり韓国企業からのスカウティングが多く東芝の半導体技術者の多くが週末アルバイト、もしくは転籍し、家電系メーカー技術者もたくさん移って行ったと聞きます。最近に関しては韓国よりも中国企業からスカウトされる事例をよく聞き、私の周りでも大手自動車部品メーカーの管理者やってる日本人の知り合いが、「もう何度もスカウトが来ていて、今よりも金を出すと言っている」と話しています。

 こうした話を聞いてて大半の日本人は、「スカウトを受ける方も受ける方だ」と、技術流出を行った日系企業技術者に対して非難めいた感情を持つのではないかと思います。私としてもこうした感情を持つのは自然なことだと思え、スカウトを受けた人を擁護することはしませんが、だからと言って批判する人たちに対して特段逆批判めいた内容を覚えることはありません。こういう言い方すると無関心すぎると言われるかもしれませんが、私としては「それが資本主義でしょ」といったところです。

 ここで終わればただのしょうもない雑談で終わりますが、ふと今回改めて日系企業技術者の流出なりスカウトを考え直している際、「日系企業は外国企業の技術者にスカウトをかけているのか?」という疑問を覚えました。詳しく調べたわけではありませんが具体例とか、大量にスカウトしたとか、スカウトした技術者が活躍したという事例は少なくとも私は知らず、上記の様に「スカウトされた」という事例が大量にあることを考慮するとなんていうか一方向的な流れが続いている気がします。

 先ほど私はスカウトされた日系企業技術者に対して擁護はしないと申しましたが、スカウトした韓国企業や中国企業に対してはアカっぽい資本主義者の立場から擁護をする気が満々です。何故なら彼ら外国企業からすれば自社発展のために最善の手を採らなければならず、また雇用・被雇用の自由は侵害してはならない上、退職後の機密守秘義務などを破ったりハッキングなどで情報を盗んだりするのでなければ技術者の引き抜きによる技術流出はある程度は認めなければならない面があると考えるからです。それこそ引き抜かれたくないのであれば、引き抜かれないための努力を敷く必要が日系企業にはあります。

 話は日系企業のスカウトについてですが、上にも書いた通り国内企業同士ならまだしも外国企業の技術者をスカウトしたという話はほぼ全く聞いたことがありません。経営者レベルであればソフトバンクや日産、武田薬品を始め海外の有能な人物をヘッドハンティングした事例がいくつもありますが、技術者となると恐らくはいるでしょうがその割合は韓国や中国企業と比べるとごくごく少数でしょう。では何故少数にとどまるのか、推測レベルで感がられる理由はいくつかあり、一つは日本我技術先進国で引き抜くより引き抜かれる立場に回りやすい事、もう一つの理由としては割と日系企業は自国の技術がナンバーワンだと信じ、海外企業の技術力を全体的に見下す傾向があるからではないかというのが長い前置きを経た今回の主題です。

 断言してもいいですが、部品レベルならまだしも携帯電話を製造する技術で言えばもはや中国企業の方が日本より圧倒的に上です。私も愛用しているMEIZUの携帯を今日昼間まで会っていた親父も驚きながら使ってましたが、逆に親父の持っていたソニーエリクソンのスマホのレスポンスの悪さになんやこれと私の方は思ってました。カメラ切り替えなんてやけにラグあるし。
 しかし、日系企業がこうした携帯電話分野で中国企業、っていうよりむしろ米アップル社から技術者を引き抜いて自社技術の発展を促したという事例はありません。真面目な話、アップル社からはあの手この手で技術者を引き抜くくらいの凄みが日系企業には足りません。

 携帯電話に限らずとも自動車分野などでもドイツ系やフランス系企業から引き抜きをしたって話も聞かず、むしろ日系企業は引き抜きをすることに対して必要性すら感じていない振りすら覚えます。その背景こそ、「ジャパンアズナンバーワン」じゃないですが密かに日系企業は日本の技術は世界トップだという、誇張した言い方をすれば自惚れに近い感覚があり、引き抜きという選択肢を頭から外しているのではないかと密かに思うわけです。

 結論を述べると、私は日系企業はもっとスカウトによる引き抜きを率先して行う、もしくは選択肢に入れるべきだと思います。何故ならこうした引き抜きを選択肢に入れることで、自社の技術者の流出リスクが把握しやすくなり、対抗策も組み立てやすくなるからです。またそれにより本当に評価されるべき技術者が正しく評価されることに繋がれば社内活性化にもつながるように思え、比較的技術者に対して冷遇だとする日系企業の習慣に新風が吹きこむことも期待できます。

 あくまで仮定に仮定を重ねた上での提言ではありますが、スカウトについて日系企業は取られてばかりではなくたまには「奪う側」に回るというか、「やられたらやりかえす、倍返しだ!」っていうセリフの一言でも言ってみろというのが私個人の意見です。

2 件のコメント:

おっさん労働者 さんのコメント...

またまたレスをつけさせていただきます。
以前のところ、ご指摘のように寺田屋事件と近江屋事件を
かんちがいしていたようでお恥ずかしい。
何度も同じ店で事件が起こる寺だ屋がややこしいんだ!ということでw

外国人技術者の引き抜きについてですが、
自分も一応技術者の端くれとして意見をさせていただくと、

まず、優秀な外国人研究者だと日本のメーカーもヘッドハンティングに動くこともありますが、
たいてい研究機関での研究などに従事されており、まず引き抜くことは無理です。
なので、共同研究ということで自社の研究者を送り込んでいるのが実態です。
その中で研究機関内で研究者仲間内でリクルートをやっていることは非常によくありますが
これは厳密な意味ではヘッドハンティングではないような、、、。
もうひとついうと、本当に優秀な研究者は若いうちから結果をだしているのでだいたい研究者としてのエリートコースにのっています。
わざわざ他国の企業にヘッドハンティングされる物好きはいないでしょう。

次に、外国の優秀な技術者の引き抜きは現実的にまったく需要がありません。
本当に優秀ならば、その人はそもそも研究者として活動しています。
言い方を変えると中途半端に優秀な人の需要がありますか?ということになります。
一方で、国内でポスドク問題というものがありまして、、、
ぶっちゃけ東大出のポスドクでもアカデミックをあきらめて日本での就職を探すのにわりと苦労しているのが実態であります。
さらに、自分のやっているような技術系派遣もいるんでよけい需要がないですね。

日本の旧帝大の院卒よりも技能面で確実に優秀で、言語風習の壁を越えられる優秀な人材が年収300万くらいで雇えるならさすがに需要があるかもしれませんが、、

花園祐 さんのコメント...

 コメントありがとうございます。並びに、研究者や技術者の引き抜き現況についてご解説いただき、大変ありがとうございます。
 おっしゃられている内容によると優秀な人は研究所に入るため実質引き抜けず、技術者レベルであれば中途半端なため引き抜く需要がないとのことですね。となると日本だけがやたら海外から引き抜かれているということになり、技術者余みたいな状況なのかなと想像しています。それはそれで、待遇の改善なりで対応する必要がありそうなのですが。