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2010年11月14日日曜日

社会人という言葉に思うこと

 いきなり結論ですが、私は「社会人」という言葉をあまり好んではいません。理由は単純で一般的に社会人と呼ばれるカテゴリーの人間らがその社会人という言葉が意図する内容から程遠い人間が多く、人を貶めるために使われている事が多いように感じるからです。

 一般的な社会人という言葉の定義を簡単にまとめると、まず誰かの保護を受けずに自らの給料でもって独立して生活しながら一般社会で勤労する人間というのが無難かと思います。そのため日本で一番適用されるカテゴリーとしてはサラリーマンで、「社会人とはかくあるべし」としてサラリーマンとして心得なり訓示なりでよく使われています。
 ただこうした一方で、「社会人なんだから」などや「学生じゃないんだから」などと、よく上司が若手社員を叱る際によく聞こえ、聞いててよく「社会人って随分万能人間なんだな」と皮肉っぽく感じてました。

 恐らく叱る側の意図としては「もっと責任感を持て」という具合で叱っているんでしょうが、私は聞いててつくづく、そもそも日本のサラリーマンは皆が皆で責任から忌避していて如何にも「後は俺が責任を取る」っていう人が全くいないのに誰の事を指してんだ、って思ってました。また責任以外の面でも社会人以前に人間としてどうかと思う行動や発言をする人もサラリーマンには多く(そういうのに限って社会人という言葉を使って人をよく批判する)、なんとなくこの言葉に空々しさを感じます。
 さらにはこの「社会人」と言う言葉と対比して使われる「学生」と言う言葉についても、昔はどうだか知りませんが少なくとも私の周りではサラリーマン以上に責任感というか人間的にもしっかりした人間が多く、如何にもサラリーマンこと社会人に劣るような使われ方をするというのはどんなものかと思います。

 繰り返し結論を述べると、社会人であろうと学生であろうと、無責任な奴は無責任だし立派な奴は立派だと思うので、何も働いているからって何でもかんでも偉そうにするなとこの社会人という言葉を多用する人間には言いたいです。私はサラリーマン以上に無責任で卑屈な人間が多い集団は知らず(主婦の方がしっかりしてると思う)、むしろこれからは「社会人風情が」、「社会人の分際で」などと、下に見る言葉として使う方が適切なんじゃないかな。

  おまけ
 何でも先週、ロンドンにおいて学費値上げに反対する学生が与党本部にデモで押しかけたというニュースがありました。日本もこの数十年はスライド式に学費が値上げされてて私立大だと1990年時の平均が611,500円に対し、2009年時の平均は848,200円(「旺文社 教育情報センター)より:http://passnavi.evidus.com/teachers/viewpoint/pdf/20100303.pdf)と、約1.4倍にまで跳ね上がってます。暴動を起こせとまでは言いませんが、私大の経営が苦しいのは知っていますし、日本は先進国中でも国の教育予算が少ないことで有名ですからもう少し行動を起こしてもいいかとおもいます。

  おまけ2
 東京の大学で金持学生の学校とくれば慶応、貧乏学生の学校と来れば早稲田。これが京都だと同志社と立命館だと言われてましたが、最近は必ずしもそうではないと言うのでちょこっと学費を調べてみました。その結果は以下の通りです。

  各大学学費(初年度納入金から入学金のみを差し引いた金額)
慶応 :1,049,350円(経済学部)、1,513,350円(理工学部)
早稲田:1,054,500円(政経学部)、1,496,000円(基幹理工学部)

同志社:838,500円(経済学部)、1,301,000円(理工学部)
立命館:904,000円(経済学部)、1,358,000円(理工学部)

 ちょっと関西は安くしすぎじゃないか? でも関西の学生の方が学費に関する文句が多いような……。
 結果は慶応と早稲田はほとんど差がなく学部によって上だったり下だったり、同志社と立命館について言えばもう同志社の方が安かったりします。未だに昔の価値観で大学を見る人がいますが、もっと現実を見たほうがいいでしょう。実際金持ちの学生は同志社にも立命館にも多いんだし。

 あと入学金について言えば慶応と早稲田はどちらも200,000円で、同志社は280,000円に対して立命館は300,000円でした。私が受験生だった頃はどこも一律300,000円だったと思うのですが、最近はそれぞれでちょっと色をつけてるようです。

2010年11月12日金曜日

前原誠二への中国の関心

 昨日の晩に友人からリクエストというか質問を受けたので、自分としても書く気満々の内容であったので早速記事にしようと思います。
 確か先々週辺りだったと思いますが、日本のネットニュースにて中国の環球時報という新聞が一面を使って日本の前原誠二外相を激しく批判する内容を載せたという情報が載っていました。昨晩の友人の質問はこれが本当だったのかという質問だったのですが実はたまたま私もこのネットニュースを見ていたこともあり、当時直接環球時報のサイトへ行って確認をしていました。

 結果から言うと、この情報は本当でした。環球時報時報の社説欄にて前原氏一人を取り上げて、私の見た印象だと日本のネットニュースの表現(外交ではタカ派で要注意人物と書かれていた)以上に強い調子で以って、批判を通り越して非難を行っていたように思えます。覚えている内容を抜粋すると、

「(前原外相は)尖閣諸島問題について日本に領土問題はないと否定した」
「かねてから中国の軍事拡大を批判している」
「彼一人の行動と発言によって日中は会談や関係発展が阻害されている」

 といった所でした。個人的には三番目の点についてこの前の東アジアサミットの日中首脳会談を中国がドタキャンした際に、「日本側が雰囲気を壊した」などと、夢見る女子高生みたいな理由を話したのはどっちだよとちょっと思いましたが。

 ただこの環球時報に限らず、中国の政府側が前原外相に対して良くも悪くも注目しているのは確かなようです。実は中国滞在中のある日の朝、たまたまテレビをつけていたら世界事情を取り上げるニュース番組にて前原外相を単独で取り上げる特集が組まれていました。内容は前原氏のこれまでの経歴から外交姿勢までを解説したのですが見ていて驚いたのは実に細かい情報まで逐一取り上げている事で、特に経歴については京都大学卒で松下政経塾を出ており、さらには鉄道オタクであることまで鉄道博物館訪問時の映像つきで紹介していました。その上で一時は民主党の代表を務めるなど要職を歴任し、これまでに何度も中国脅威論を唱えてきた人物であるといった具合でまとめられていました。

 ここから私の情報ですが前原外相は確かにかなり昔から中国脅威論を唱えており、今の日本の政治家の中でも中国に対して厳しい発言をする第一人者であることは間違いありません。特に軍事費の拡大については度々言及しており、中国を牽制する上でも自衛隊の拡充や運用について法整備すべしと主張するなど、外相としては中国にとって最も厄介な人物であるのは間違いありません。
 ただ個人的に一つ気になる発言として、小泉時代に前原氏が民主党の代表をしていた際に代表者質問でこんな発言がありました。

「米側に日中の接近を妨害するような、わざと関係を悪化させるような動きがあるのでは」

 さすがに外相となった今にこんな発言をしたらとんでもないでしょうが、なかなかに太平洋地域外交を考える上で重要な発言なので五年も前の発言ですがここで書いとこうと思います。
 米国側からしたら確かに日中が仲良くなるのは思わしくなく、露骨な事はしてませんが日中関係が悪化して欲しいと内心では願っていると私も思います。だからといって日本は中国と組んだ方がいいかとなるとそれも難しく、現時点では私はやはり日本は米国と共同して生きてくべきだとは思いますが、日中関係を考える際に米国を抜くことはありえないという意味ではこの前原氏の発言は含蓄深いものがあります。

 とにもかくにもこんな感じで中国は前原氏に良くも悪くもかなり注目しています。私としては外交というものは無関心であるよりは憎み合っている方がまだ関心が持てていいのではないかと思っており、小泉時代も散々日中で言い合いをしましたがあの過程を経てお互いの勘なりツボなりをそれなりに知り合えたのではないかと考えてるため、かえって前原氏が外相でいる方がこうして互いに特集組めるので日中関係的にはいいんじゃないかと思います。

 ただ前原氏は中国脅威論の第一人者であるものの、感情的な批判をしないからまだ安心して見てられます(その分脇が甘いけど)。中国が嫌いな日本人を挙げると石原慎太郎都知事などがいますが、この人なんか理屈とかそういうの抜きで感情的な発言を全然関係ないところで突然ぶちかますから、もう影響力なんて全然ないけど出来ればこのまま表舞台から去ってもらいたいのが私の本音です。逆に非常に理論立って批判するけどその批判振りが激しいのになると櫻井よしこ氏がいますが、中国は櫻井氏の特集は組まないのかな。

2010年11月11日木曜日

続、尖閣ビデオ流出事件について

 昨日就労ビザを取るために日本に一時帰国しました。日本は上海とかと違って空にもやがなく、視界が広いのが何故だか新鮮。

 昨日は前にも取り上げた尖閣諸島沖漁船衝突事故のビデオをYoutubeに流出させた海保職員が名乗り出たニュース一色でしたが、放りっぱなしもあれなので続きを書こうかと思います。

 まずそもそもの今回流出した映像について前の記事で書きそびれたことを書くと、そもそもこの映像を非公開にする必要があったのかどうかということに疑問を感じます。流出した映像はすべてではなく数分間に編集されているとはいえ、少なくとも映っている内容を見る限りでは漁船側から故意に衝突を行ってきたことを明確に映しており、船長を逮捕する根拠を示す上では日本が川からするとなんら恥ずかしい映像ではありません。民主党は中国側への配慮から映像をこれまで公開しなかったと行っていますが、今回の問題がなんでここまでこじれたのかというと、衝突が海保側からか漁船側からかどっちに責任があるのかはっきりせず、また日本政府が衝突時の映像を出し渋ったことでなおさら中国側に、「やっぱり日本は自分に非があるのを隠そうとしている」として付け入る隙を与えたことに尽きます。それであれば、事件発覚後に今回の編集された状態でもいいから衝突時の映像を日本、中国それぞれにはっきりと公開するべきだったでしょう。

 それで今回映像を流出させた海保職員の件ですが、他の評論家らも述べていますがこの職員一人を罰するというのは確かにお門違いもいいところでしょう。高級幹部が流出させたならいざ知らず、一職員が秘匿すべきとしていた映像を入手できたというこの事実一つとっても危機管理、情報管理の不徹底ぶりが窺え、幸いというか今回流出した映像は秘密兵器の隠し場所を書いてるような超重要な代物ではありませんでしたけど、今回のような情報管理の不徹底ぶりを考えるならば責任持つべき役職の人間が相応の責任を取るべきでしょう。

 また流出した映像の中身についても、先にも書きましたが非公開にする理由があるとは私にはとても思いません。むしろこの問題を日中ではっきり白黒つける意味では公開するべき映像で、先年に公開された米軍の核兵器持込みを容認する密約ならばいざ知らずいくら政府が公開するべきでない機密だと言っても私自身は納得できません。私は民主主義国だからと行って何でもかんでも情報公開するべきとまでは言うつもりはありませんが、言ってはなんですがこんな機密レベルが低いと思える情報まで非公開にしようとする現政府の意向は如何なものかと思います。中国じゃないんだから。

 日本に戻ってきてまだ本調子じゃなくやや凝り固まった文章になりましたが、私はそもそも今回公開された映像を非公開に扱う理由が見当たらず、今回流出させた海保職員の処分は形式程度に止めるべきでそれよりは情報の管理がなっていなかった責任をしっかりと問うべきだというのが私の意見です。
 あとあまりニュースとか見ていないですが、かつての西山事件と比較する人とかいるのかが少し気になります。西山事件も今回の事件も政府が隠したがっていた情報を公開したことで公開者が政府にプレッシャーをかけられることになった点では一致していますが、前者は国民がその密約の事実を全く知らなかった、後者はある程度と言うか伝聞で内容は知っていたという点ではっきり違います。これは逆に言えば、この程度でなに大騒ぎしてんだってことにもつながるんですが。

ブログ更新の停止について

 毎度、陽月秘話をご贔屓していただきありがとうございます。

 前回の記事でアクセスが出来ないと書きましたが、これは「陽月秘話 出張所」の方では書きましたが当時私が中国に滞在していたため、中国国内ではこのBroggerへのアクセスでが禁止されているが故でした。また今度私は中国に長期で滞在する予定となってこちらのBroggerの更新は難しく、私自身が残念に思いながらも今後の更新は「陽月秘話 出張所」(http://yougetuhiwa.blog39.fc2.com/)に移行する予定です。

 誠にお手数ですが、ブックマーク、RSS登録をされている方は上記の出張所のアドレスへの以降をお願いします。なおこのサイト自体はバックアップ、または今後の活用の可能性を考えて残していこうと考えています。
 今後とも、陽月秘話をよろしくお願いします。

2010年11月9日火曜日

北方領土問題に対する中国の反応

 留学中もそうでしたが中国の街中を歩いてて何が一番気になるこというと、やけに中国人が自分に道を聞いてくることです。周りにも人はたくさんいるにもかかわらず何故か外国人の自分に道を聞いてきて、「あの、中国人じゃないんで……」といつも断っていますが、友人いわく顔が中国人そっくりでやさしそうに見えるからみんな声かけてくるんだそうです。

 話は本題に移りますが、先週の金曜日に私が中国に滞在中住む予定の部屋にインターネットを引きました。それほどヘビーユーザーというわけじゃないですが一応高速回線に越したことはないのでADSLを引きましたが、中国のADSLは日本のADSLと比べて回線速度はちょっと低いのが難点ですが工事も無事終わり、これでブログも安心してかけるぞとほっとしていたらこんな会話がありました。

「最近、日本はロシアと揉めてるよね」

 工事に来た中国電信の作業員の方が、不意に中国語でこんな風に話しかけてきました。
 恐らく先のメドベーチェフロシア大統領が北方領土に足を下ろしたことに日本側が抗議した事件についてですが、尖閣諸島の問題ならいざ知らず、いきなり北方領土について話しかけたことにやや驚きを感じました。
 しかもその次の日にテレビでニュースを見ているとまさにこの問題について特集が組まれており、日本側、ロシア側のそれぞれの対応を逐一報道していました。

 今回のこの北方領土問題に対する中国の反応ですが、私の感想は驚き半分納得半分、あとおまけが安心ちょっとといったところでした。
 驚き半分は先に書いた通りに思ってた以上に中国側が関心を寄せていたという事実ですが、納得半分というのは中国側が関心を寄せるのも決して土台違いな話じゃないと判断したからです。その理由はいくつかありまず一つ目は先の尖閣諸島沖での漁船衝突事故から起きた日中の領土問題で、日本の他の領土問題についてもこの事件の影響から気になるようになったという理由です。ただこれは自分で書いておきながら無理やりにでっち上げたもので、中国側がなんでこの問題に関心を寄せたかという本命の理由は相手がロシアだったからだと私は睨んでいます。

 ちょっとこの辺を説明するに当たって、中国とロシアの関係史を軽く紐解く必要があります。中国は蒋介石率いる国民党を台湾に追い出した後、同じ共産主義国の旧ソ連とは深い親交で結ばれてしばらくは蜜月関係が続きました。何気に私が留学のため初めて北京で住んだ学生寮はこの旧ソ連との蜜月時代にソ連の設計士や技術者が作った建物でしたが、この蜜月時代はそれほど長くなく、スターリンの死とともに終わりを迎えます。

 スターリンの死後のソ連はフルシチョフが書記長となっていわゆる雪解けことデタントが始まり、アメリカとの冷戦も一時和らぎます。ただこれに反発したというかフルシチョフの路線に反を唱えたのは何を隠そう毛沢東で、共産主義の路線対立から中国とソ連の外交関係は一気に冷えました。
 その後ソ連が共産圏から離脱しようとする東欧諸国に対してプラハの春など武力を以ってしてでも強行に従わせようとする行動を見て、中国こと毛沢東は非常に焦りを感じるようになります。というのも当時の中国の人民解放軍はお粗末なくらいに弱く、ソ連軍が攻めてこようものならあっという間に制圧される可能性が強かったからです。

 そのために毛沢東が取った選択はというと、「敵の敵は味方」ことソ連と対抗するアメリカと手を結ぶことでした。俗に言うパンダ外交を展開して日本とも田中角栄政権時に国交を開くなど世界外交に劇的な変化が起こったわけですが、この外交転換のそもそもの原因は中国が抱いたソ連への脅威においてほかなりません。こうして形だけでも米国と手を結んだ中国ですがその後もソ連への恐怖は拭えず、国境も直に接していることもあって事実上2000年に入るまでは最大の仮想敵国はソ連ことロシアであったでしょう。これに限るわけじゃないですが、行くところまで行った同属嫌悪というのは始末が悪いです。
 ちなみに大友克弘氏の「気分はもう戦争」という漫画は、ソ連がアメリカの許諾を得て中国(ウイグル自治区のあたりへ)に侵攻するという仮想のお話です。

 中国は日本に限らず韓国、ベトナム、インドネシアなどたくさんの国々と国境問題を抱えていますが、その中でもこれまで一番中国が深刻視してきたのはロシアとの国境問題でした。ただこれは種明かしをするとすでに解決済みの問題で、確か去年か一昨年くらいに中国とロシアはきちんと国境線を定めてようやくこの領土問題はケリがつきました。私はこの中露の領土問題が終わったと報道された際に内心、中国とロシアがお互いの問題が片付いたのを機に揃って日本へ尖閣諸島、北方領土の問題で圧力をかけてくるのではないかと懸念してまずいことになったと思ったのですが、幸いというか今の今までそんなことは起こりませんでした。

 今回、九月に尖閣諸島の問題であれだけ揺れたのに続いて今度はまたロシアが突然北方領土に対して強気の姿勢を見せてきました。尖閣諸島の問題についてはまだともかくとして今回のメドベーチェフ大統領の北方領土訪問は、確実とは言い切れませんが尖閣諸島の日本側の対応が影響してとの可能性も考えられます。それだけに漁船衝突事故の政府の対応がやや悔やまれるのですが、幸いというか私の見立てだとこのロシアの行動に対して中国側は関心を持ったものの、ロシアの行動をあまり支持していないのではないかと思います。

 元々中国はソ連と対立していたという歴史上、これまでの世界地図でも北方領土については「日本領(ロシア占領中)」と書くなど、うれしいことしてくれるじゃないのと言いたくなるような態度を取っていました。現時点でもそれは変わらず、私が見たテレビ番組中でも同じような説明で、まだ両者の立場を説明するような中立的な報道でしたが端々に日本、ロシアそれぞれへの警戒感を感じる内容でした。

 中国としても大連港を始めとする東北地域はロシアの国境とも近く、軍事的な観点から言えば北方領土までロシアが出張って来るのはあまりうれしくはないでしょう。ただそれは日本にとって都合のいい考え方で、状況が変われば先ほど私が言ったようにそれぞれの抱える日本との領土問題に対して中露が共同歩調を取ってくる可能性もまだあります。そういう意味ではこれらの領土問題を相手を一国と考えず、別の相手も意識しつつ毅然とした態度を取ることが今後必要となってくるかもしれません。

2010年11月8日月曜日

尖閣ビデオ流出事件について

 多分期待されている方も多いでしょうから、ちょっと日は経ってしまっていますが一応触れとくことにします。

 九月に発生して日中関係を冷めるところまで冷めさせた尖閣諸島沖中国漁船衝突事故について、つい先日にその少し前に国会の委員会にて公開された衝突時の映像がインターネット上のYoutubeにアップされました。この映像の公開者は未だにわかってはいませんが与党民主党としてはこれまで野党に何度も催促されてきたにもかかわらず公開を拒んでいたこともあって今回の流出は痛手となり、早くも流出者に対しては国家公務員法に照らして厳しく対処すると息巻いております。

 実はこの流出したとされる映像についてですが、中国ではYoutubeにアクセスできないために(前は出来たのに……)私はまだ視聴しておりません。ただネット上で視聴した方の意見や友人から話を聞く限りだと、

・中国漁船の方から明らかにぶつかってきた
・実際に公開されている海保の船の傷と衝突箇所が一致する
・衝突時の船の揺れなども確認できる

 といった風に私は伺っています。
 個人的に気になっていたのは、「乗り込んできた海保職員を中国漁船船員が銛で突いてきた」とされる噂なのですが、少なくとも今回流出した映像にはそれは入っていないようです。今回流出したのは国会議員に公開された、民主党の編集を受けての映像で全体からするとごく一部だそうですが、私個人としてはさすがに銛で突いてきたというのはネット上で過熱して出てきた噂に過ぎないんじゃないかと現時点では考えております。

 それで今回の流出について私の感想を述べると、一番気になるというかなんでと思う点は、民主党はどうしてこれまでこの映像を国民に公開しなかったということです。
 少なくとも今回流出した映像で海保の船と漁船が衝突した、それも漁船側からの故意の衝突が伺えるはっきりとした映像で、漁船船員や船長の逮捕の根拠をはっきりと示すものです。私個人としては不当逮捕だと主張していた中国、ならびに日本が正しいのだと思っていた日本の国民に対して公開して然るべき映像だったと思うのですが、民主党はこれまで公開要求を頑なに拒否し続けてきました。

 恐らくこの民主党の姿勢は中国側を刺激しないようにとの配慮からの態度だったと思いますが、今回の流出で後味の悪い結果(民主党にとって)になってしまったのは非常に皮肉です。私は自他共に認める親中派ですが、真に信頼の置ける関係を築くためには譲るところは譲り、譲れないところはたとえ衝突することとなってでも強く主張をすることが一番大事だと考えております。特に中国については、市井においても自分の都合のいいように勝手に話を進める中国人が多いだけに、拒否するところははっきりと強い態度で拒否する必要があります。

 今回の衝突事件についても、船長を起訴せず帰して、ビデオも非公開にしていたにもかかわらず中国は一切日本に対して追撃の手を緩めることはありませんでした。基本的に中国という国は「一歩引けば相手も一歩引いてくれる」という価値観は通用せず、相手に一歩引いてもらいたい時は敢えてこちらが無理やりにでも一歩進もうという素振りを見せるなど牽制で以ってしか引くことはありません。
 そのため今回流出した映像については私は事件が起きた直後にでもすぐに、「こういう理由で日本は船長を逮捕をしたのだ」とはっきり公開するべきだったと考えます。恐らく公開したところで中国の態度は軟化することはなかったでしょうが、極端に硬化することもなかったのではないかと思います。どっちにしろ中国はレアアースの輸出阻止や逆人質など露骨な手段は取ったのだし。

 ただ事件直後に公開していたことで明らかに今の情勢とは変わったこととして、国民の政府への信頼感があります。今回政府は中国側に配慮し、国民の要望を遮ってでも映像の公開を拒否してきました。機微な外交を取り扱う上でこのような態度を起きには取らざるを得ないというのは理解できないでもありませんが、伝え聞く映像の内容を考えるとそこまでして秘匿するほどの映像なのかという気がしてなりません。それであれば船長を帰すやまた謝罪と賠償を中国が請求したすぐ後にでも情報公開の原則に照らして公開しておけば、まだ国民は納得したんじゃないかなぁと思います。今に始まったわけじゃありませんが、一体民主党はどっち向いて政治しているんだと今回の件では強く言いたいです。

 最後にこの映像について中国現地はというと、ちょっとごたごたしていた時期であるので生憎ニュースとか見ていないのであまりわかりません。ただ今日新聞買ってきて読んだ限りだとこの件についての記事は何もないので、恐らく政府側が何らかの規制をかけているんだと思います。

 これから俺、毎日中国のニュース番組とか新聞見ることになるんだろうな……。

2010年11月7日日曜日

私が中国に来た理由

 また大分日が空いてしまいましたが、前回の記事にてこのところブログの更新が休みがちなのは所用で中国に来ているためと書きましたが今日はその理由をちょこっと書きます。実は先々月九月いっぱいでそれまで勤めていた日本の会社を退社し、先月十月から転職活動のために中国に来ておりました。結果はというと訪中するや案外あっさりと日系企業に内定をもらえて、先週は勤務先となる場所に赴いて就労ビザの発行手続きやら借りるアパートの部屋探しなどをやってたためにブログの更新を行うことが出来ませんでした。
 それにしてもこんなに早く決まるのであれば、なにも一ヶ月も滞在日程を作る必要はなかったな。

 話は戻り、そもそもなんで私が今回中国へ転職しようと思ったかについて簡単に話します。プロフィールやらにも書いてある通りに私はかつて北京に一年間語学留学をした経験がありますが、中国語というのは入りづらく極めづらい言語で、一年いたからといって何でもかんでもぺらぺらしゃべれるほどのレベルには到底至れませんでした。日常会話であれば何とかなるものの、今後中国語を武器に生きていくのであれば中国現地にて実際に働くよりほかがないだろうとかねてから考えていました。
 そのため在学中の就職活動も中国に駐在する可能性の高いメーカーなどを受けてはいましたが結果はどれも惨敗で(景気よかったころなのに100社以上落ちた)、なんとか以前勤めていた会社に拾ってもらったものの機会があれば中国に行きたいという考えはずっと持っていました。

 別段、前の会社に特別不満などを持っていたわけでもないですが、日本の企業である以上は明らかにこちらに理があるとしても立場によっては頭を下げざるを得ません。全く我慢が出来ないというわけじゃありませんでしたが、一回本当にしょうもないことで周りから自分に頭を下げてくれと言われて下げた際に、こんなしょうもないことでいちいち頭下げてたら今後もずっと卑屈に生きてかないといけないんじゃないのかとふと感じ、それであればもっと卑屈にならざるを得ないかもしれないけど自分が納得するような場所、将来の自分に可能性を残せるところに行ったほうがいいと考え、割とすぐに転職を決意しました。

 また海外に転職するに当たって、今回強く意識したのは自分の年齢です。現在自分はまだ二十代ですが、これが三十代だと多少中国語が使えるからといって恐らく雇ってくれる企業はずっと狭くなるように思え、また体力的にも持つかどうか怪しく、行くんだったら若い時分に越したことはないと判断しました。

 ひとまず今週中に就労ビザの手続きなどをするために一旦日本に帰りますが、今後自分がずっと中国で働くのか、またいつか日本に帰ってくるつもりなのかは現時点では全く予想がつきません。少し前の記事で近年はあまりにも社会変化が激しすぎるために十年先、五年先は全く読めず、下手に先を読もうとするとドツボにはまるのではという記事を書きましたが今の自分がまさにそうです。現在自分は一年先までしか見ておらず、一年後にどれだけ自分を鍛えるかという視点で以って今回の中国への転職を決意しました。

 そういうわけで今後はより中国関係の記事が多くなるでしょうが、今後ともご贔屓の程よろしくお願いします。

  おまけ
 ちなみに、転職に当たって最後の一押しというかとどめの一言をくれたのはリンクを結んでいる「フランスの日々」のSophieさんの、「行くんだったら若い方がいいよね」の一言でした。中国だとBroggerとTwitterがアクセス禁止を食らって開けないので最新記事は読めてませんが、いろいろお世話になりました。