今日たまたま上のような記事を見かけましたが、得票数がどれも非常に小さくなんかあまり真面目に調査してねぇなという感じがプンプンする記事です。それはともかくとして、これ読んで果たして自分の人生に影響を及ぼした漫画を挙げるとしたらなんだろうかと考えてみました。
1位、三国志(横山光輝)
仮にランキングを取るとしたら、ぶっちぎりでこの「三国志」が自分の人生に影響を与えた、っていうか大きく変えた作品になってきます。これ読んで中国史にはまらなければこれほどまでに中国に係わる人生になるはずがなく、その影響度は下手すりゃ親の教育以上あるかもしれません。
なお私と三国志の出会いは、ゴミ捨て場に捨てられていた三国志の1巻をたまたま拾って持ち帰り、読んだことがすべてのきっかけでした。まさかあれで自分の人生がこんな中国まみれになるとは全く思わなかった。
2、時の行者(横山光輝)
小学校中学年の段階で自分は歴史に対する強い興味を持ち始めていましたが、それがはっきりと形になったのは多分、小4の頃に読んだこの「時の行者」という漫画からじゃないかと思います。この漫画がほかの漫画と一線を画していたのは、安土桃山から江戸時代にかけての事件をオムニバス形式で展開していたという点です。またその内容も本能寺の変や島原の乱など有名なものだけでなく、天一坊事件や火付け盗賊改めなどマイナーなものも入っており、特定の人物や年表形式に流れに沿って行く歴史ではなく、紀伝体のような事件単位での歴史の見方を初めて学んだような気がします。
ちなみにJBpressで連載するに至ったのは、このブログで以前書いた火付け盗賊改めの記事をJBpress編集部が見つけたことがきっかけでした。
3、頭文字D(しげの秀一)
大学に入ったあたりまで、自分の価値観はやはり精神的、観念的要素が非常に強く、物質的な価値観は非常に希薄だったと思います。そんなもんだから物質的豊かさなんて不要、人はいかに心を強くするかだと言わんばかりにやたら俗世的な価値観や欲望に対しやや蔑むような見方を持ってました。もしかしたら「今もそうじゃん(σ・∀・)σゲッツ!!」とか言われるかもしれませんが……。
そうした価値観がひっくり返ったのは今思うとこの「頭文字D」からだったように思え、この作品に出会って初めて自動車に興味を持ち、また実用性皆無なのに価格が高いスポーツカーに対して名で多くの人が恋焦がれるかという感覚を初めて理解できるようになった気がします。その変貌ぶりは当時の友人からも、「花園君が車に興味を持つとは思わなかった」と言われたほどでした。
またこうした車への関心を抱くことがなければ、「ものの形、デザイン」というものに興味を抱かず「価格が低ければ低いものこそ価値がある」といった価値観を維持し続け、今のように戦闘機や戦車に興味を持つこともなかったことでしょう。さらに言えば、そうした人々の物質的欲望に対する理解や感覚がなければ、その後に経済記者としてやってくこともできなかったように思えます。
そう考えるとこの作品も三国志に負けず劣らず自分の人生をかなり左右している感じます。
4、坊ちゃんの時代―秋の舞姫(関川夏央、谷口ジロー)
自分はこの作品を、中学生の頃に確か床屋の順番待ちの時にたまたま読みました。舞姫というか森鴎外のエピソードについては当時から把握していましたがそれ以外にはバックグラウンドがなく、なんか古臭い絵柄の漫画だなと思いながら手に取りつつ、丁寧にほぐしていくかのようなストーリー展開と、ややもするとシュール感のある谷口ジローの絵を見て変に引き込まれました。
その後も、タイトルは思い出せないものの舞姫関連であんな漫画を読んだなとずっと覚えており、社会人になった後であの漫画は「坊ちゃんの時代」の一部だと知り、後から全部買いなおして読み直しましたが、今現在においてもこの「秋の舞姫」編が一コマ一コマ強く覚えており、無意識レベルに強く刷り込まれた作品であるような気がします。
具他的にこの作品を読んで何かが変わったとかそういうのはないですが、元からの歴史好きと相まって、各時代の背景や価値観に対する感覚はこの作品を見て研ぎ澄まされたような気がします。割と平成時代の折々について妙に細かく当時の事件や空気感を自分は覚えていますが、もしかしたらこの作品が原因なのかもしれません。
5、水木しげる伝(水木しげる)
ぶっちゃけ自分のバイブルというか、何度読み返したかわかりません。大学時代、1000円出すのも30分は躊躇するほどケチだった自分がこの水木しげる伝に関しては何の躊躇もなく購入しており、その後の価値観、特に幸福に関する意識には間違いなく多大な影響を及ぼしています。
秋の舞姫同様に具体的にその後の人生に物理的な影響は及ぼしてはいませんが、割とその後の人生で結構周りにもひかれるくらいの逆境に何度か置かれつつも、くじけず、っていうか逆境になればなるほど妙な底力を発揮できたのはこうした水木しげる伝から得た価値観が源泉だったように思います。特にこの本の中にはないものの、「戦争で左腕を失ったことを惜しむ気持ちはないか」という質問に「全くない。生きて帰ってこれたのだから」という水木しげるの言葉は今も自分の心を強く打ち続けています。
以上の五作品が自分の人生に影響したと思う漫画ですが、改めてみるとどれもかなりの影響を及ぼしているような気がします。それを踏まえて言うと、今の自分は「横山光輝が40%、しげの秀一、関川夏央(谷口ジロー)、水木しげるが20%ずつ」で構成されているということになります。だからなんだと言われたら困りますが。まぁもっと厳密に言えば水木しげるが40%で、しげの、関川は10%ずつかなという気もしますが。
それにしても「東京ラブストーリー」じゃないけど、あの日あの時あの場所(=ゴミ捨て場)で三国志に出会わなかったら、本当にどんな人生歩んでいたんだろうかと思うくらい全く別の人生になっていたかと思います。真面目に中国語の読解に関しては若干極めつつある領域に入ってきてるし(;´・ω・)