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2008年5月5日月曜日

靖国神社に中国人を連れて行ったぞ!

 明日にはチンタオさんが来日してくるので、急遽特別企画でこんなのを立ててみました。

 実は以前から、「中国人を靖国神社に連れて行ったら、どんな反応を示すんだろう?」と思っており、昨日たまたま知り合いの中国人ともう一人知り合いの日本人と東京で落ち合ったので、一つ試しに靖国へと連れて行くことにしました。
 最初にその中国人のプロフィールを紹介すると、彼は生まれは香港ですが育ちはずっと上海で、本人も上海人としてアイデンティティを持っています。故あって日本にやってきて日本の大学を卒業して現在に至るのですが、能力的には日本語、中国語、英語をほぼ完璧に使いこなせるくらいに優秀ですが、上海人らしく金のことばかりしか考えません。モデルを用意するなら、「ゲゲゲの鬼太郎」に出てくるねずみ男そっくりで、「なにかいい儲け話ある?」が口癖です。

 それだけ経済的な話題には執着する一方で、政治意識はあまり高くはありません。北京の政府についても特別な感情を持っておらず、最近の私へのメールには「Free Tibet」を毎回語尾に入れてくるくらいです。実際にチベットについても、騒動ばかり起こるのなら独立させてしまえ、とも言っております。
 これはなにも彼だけに限らず、彼に近い上海人一般の考え方だと私は見ています。現在の中国の若者は一人っ子政策がすでに浸透しているので、生まれた頃からある程度裕福なのもあり政治的信条より身の回りの安定を望む、いわゆるノンポリが増えているとも聞きます。

 そんなおもしろ中国人の彼を連れて靖国へ行きました。ちなみにスタート地点は上野からで、そっから歩いていきました。
 まず最初に神社の鳥居を見て、物々しいと言いました。靖国神社の鳥居は朱色に塗られているわけでもなく、無骨なデザインで私も同感です。そして神社の境内へ向かうと、途中の売店で旧日本陸軍の制服を着たおっさんが軍歌をテープで流しながら道端で他の人と話しているのを見て、「面白いねぇこのコスプレ。秋葉原だけじゃないんだ」と言って気に入ってました。実際、面白かったです。

 そして寺社のところまで来ると、これが靖国なのかと再度私に聞いてきました。彼が言うに、もっともA級戦犯を前面にだして崇拝しているようなイメージを持っていたようですが、「こんなのただの神社じゃん」とまで言っていました。さすがに、賽銭投げてお参りまではしませんでしたが。
 そうしてその後は靖国神社に併設されている博物館である「遊就館」を見学しに行きました。この遊秀館の説明を軽くすると、ここは靖国神社が立てた博物館で、中にはゼロ戦やら旧日本陸軍の戦車、野砲などの模型があり、展示コーナーでは幕末から終戦までの歴史をパネルで説明している施設です。このところは中国大使館の職員が他の外交官をしょっちゅうつれてきて、「日本はこのように二次大戦を正当化している」と喧伝し、実際にそれを見たアメリカ大使館に日本はこの前怒られました。

 で、この博物館を見た彼の感想はと言うと、
「正直、日本の歴史がわからないからあまり面白くなかったよ。ただ二次大戦のコーナーで第二次上海事変だけが紹介され、第一次が紹介されてなかったのが不満だった。なにかやましいことでもあるんじゃないかな。それと、なんで神社がこんなの施設を持っているのかがわからない。いっそここは国の施設にして、軍事博物館として売り出すほうがいいんじゃないかな」
 という感想で、実のところ私も同じような感想を持っており、なぜこんな大そうな施設を一神社が所有しているのかは疑問に思っています。一説によると、あまりにも金をかけすぎて靖国神社側も財政が悪化したとすら聞いています。
 あと靖国に封ぜられた一般兵士の遺影を見て、こういうところなんだと感心して、その上で神社にさせずにやっぱり国立追悼者施設を別に作るべきなんじゃないかなぁとも言っています。

 大体がこんな感じです。私の意見はというと、そもそも靖国神社を神道としてみるべきかどうかに私は疑問を感じます。確か戦後のGHQ改革で靖国を国の施設から除外する際に、とりあえず宗教法人として神道にしておくかで決まったと聞いていますから、最初の時点であれこれ問題の火種を作っています。最近はこの靖国の議論があまりされていませんから、ひとまず一中国人の体験談として読者の考える種になれればと思い、ここに報告しておきます。

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