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2009年2月5日木曜日

同一賃金同一労働への壁

 どうでもいいですが先週に熱出して寝込んで以来、どうも文章の書き方が自分でも変わってきているような気がします。今までもそういうことがなかったわけじゃないですが、こうも毎日書いているとなぁ。

 それで本題に入りますが、さてどっちを向いても不況不況の現在、企業はどこも経費削減を行っておりその一貫としてワークシェアリングや前に私も書いた一時帰休ことレイオフなどの制度導入を議論し始めています。その一方で首切りの真っ先の対象であった派遣社員らとの格差問題に触れ、同一賃金同一労働の議論も一部では行われています。

 この同一賃金同一労働の中身というのは、要は単位時間当たり同じ作業を行う人間は年齢、職位、性別、正規雇用か不正規雇用かの区別なく同一の賃金を払うべきだという考え方で、この制度を現在のところ先進国で唯一実施、維持しているのはオランダで、昔見た統計だと確か正社員と非正社員の単位辺り賃金の差が90%と、実際にほとんど差がなく推移しています。なお日本の同じ統計結果では60%くらいだったかな。

 言ってしまえばこの制度、当たり前といえば至極当たり前の制度と言えますが、現在の日本では同じマクドナルドの仕事でも正社員とアルバイトでは受け取る給料額に大きな差があるだけでなく、残業代などが真っ当に支払われないことから正社員同士でも職位によってやたらめったらな給料差があり、労働の内容というよりも待遇の違いによって給料が決まってしまう、なんかこう書いてて身分制じゃないかというような社会が続いています。
 もちろんこんな社会では社会に活力が生まれるわけもなく、自分でもくどいと思いますが日本の若者が派遣や非正社員といった不遇な立場が見えており、何をしたところで、どんなに頑張ったところで報われないというあきらめの意識からやる気をなくすのも自然なことで、そういう意味で同一賃金同一労働によって、ある程度その労働によって報われる社会を目指そうとするのもあながち方向性としては間違っていません。

 しかし私はここで断言しますが、この同一賃金同一労働は不完全な状態ならともかく、完全な状態で実施されることは今後50年間はないでしょう。それはなぜかというと、外国人労働者の問題があるからです。現在派遣切りの問題がクローズアップされてその対策なども各地で行われていますが、私は今最も深刻な状況に追い込まれているのは愛知県や群馬県などで出稼ぎで働いていた外国人労働者たちだと考えています。
 彼らは日本国籍がないために日本人に適用される最低賃金枠がないためにそれこそ時給あたりに換算すると奴隷のような待遇で働かされ続けてきましたが、今回の世界的不況のあおりを受けて真っ先に解雇されたのも彼ら外国人労働者たちで、以前の報道で見た内容では帰国費用すらままならないまでに追い詰められている方もおられるそうです。

 正直に言えば、私はこの外国人労働者の状況を聞くたびに日本人として非常に申し訳ない気持ちになります。散々安い賃金でこき使った挙句にいらなくなったらぽいっと捨てて、挙句に日本人の派遣労働者みたいに保護や対策も一切為されずにおります。中にはここは日本なのだから日本人を優先して当たり前だと言われる方もおられるかもしれませんが、彼ら外国人は日本語も日本の文化もわからず、生活や家族のために日本の企業に請われてやってきています。そんな状態で職もお金も尽きるとなると、その不安も相当なものでしょう。ましてや外国人であるために再就職をしようともなかなかうまくいかず、行政の援助や支援も全く行われない状況ではもはやどうしようもないでしょう。

 こんな風に思うのも、私が留学経験があるからかもしれません。やっぱり外国ではちょっとしたことでもものすごい不安を感じ、感情の起伏が大きくなって急にハイテンションになったかと思えばがくっとやる気をなくすことも留学当初はあり、やはり母国で過ごすのと比べていろいろと大変なことが多くありました。そういった背景があるため在日の外国人に対して強い同情心を覚えているのかもしれませんが、やはり今の状況は見過ごすことが出来ません。

 大分話がそれましたが、たとえ今回の不況が去ったとしても今後日本は大量の移民労働者を抱えなければならない事態に遅かれ早かれなることが予想され、そんな時代において国籍までも問わない同一賃金同一労働は達成されることはなく、外国人賃金という一段低い賃金率はますます世の中に横行することが予想されます。
 私は日本の事を思ってくれて、実力のある人間ならば正当に平等に評価されるべきだと考えています。しかし日本人の中でも未だに実力通りに正当に評価されない現在においては、そんなことは夢のまた夢なのかもしれません。

2 件のコメント:

サカタ さんのコメント...

 ソフィーさんの矢島美容室の記事も外国人に対しての同情心を言ってましたね。留学経験者はそういうところに気づけるのかもしれませんね。日本人全体は、そういう認識は低いので、なおさらそういう意見に耳を傾けるべきなのでしょうね。

 それに、花園さんの言われるように確かに外国人に対しての賃金は安すぎますよね。しかし、日本人にやらせるっていうのも難しいでしょうね。本来は日本人がやらなければいけないのだけれど。

 僕が思うのは作業工程のロボット化が進めばこの問題は解消するのかもしれないと考えています。最近では工場のロボット化の流れがあると聞きます。さらに人工知能を搭載した工業用ロボットもあるみたいです。より複雑な作業も、人間よりも正確に迅速にできるようになっています。さらに、外国人労働者の働く工場での作業は、言葉の壁があるために、簡単なものが多いと思うので、ロボットでもできるものが少なくはないでしょう。

 そして、行く行くは居酒屋などの飲食店でも小型化した皿洗いロボット、接客ロボットなどの開発を行っていき、安価な賃金の労働者を削減することができるのではないでしょうか?後半はSFチックになってしまいましたが、僕らが生きているうちには見られるのではないかと思っています。工業用ロボットはあと20年もすればかなり普及されているでしょうし。

 ただ、その場合必要なくなった労働者をどうするかがまた問題ですが、ロボットの管理には必ず人が要ります。ロボットの故障により、店の回転が悪くなるとメンテが早急に必要なときがおそらくあるでしょう。そのときのためのメンテ要員として、店に一人は技術者を置くようにしたら良いのではないでしょうか?僕の妄想の世界では、未来では多くの技術者の存在が必要不可欠になっています。

花園祐 さんのコメント...

 理想論を言えば、サカタさんの言われる通りに労働力をロボットにというのが市場いい未来だと思いますし、現在の潮流もそれに向かってきています。
 ただ一つの不安として、IT化によって事務作業に必要な人間が大幅に省力できる世の中になったにもかかわらず未だに雇用問題や労働問題が続いており、それを言い出したら産業革命時の自動紡績機の出現によるラダイト運動など、延々とこの手の問題は続いています。

 これは私の推論ですが、まだしばらくは人間は労働の需給においていろいろ悩まされるのだと思います。それこそ本当に先が読めないみたいに。