大体材料が集まってきたので、そろそろまた政治解説でも始めようと思います。
まず今週最大のニュースとくれば言わずもがなの中川財務相の電撃辞任です。しかもその理由が酔っ払って会見に出たという、宇野宗佑元総理並にくだらない理由ゆえに世論からも大きく批判され、前の日曜日には日テレが恐らく仕込んだ結果でしょうが内閣支持率が9%台と発表されたのを皮切りに、他の報道各社でも10%前半という惨憺たる結果が続き、ただでさえ低い支持率がそれこそ森政権以来の低調ぶりを見せ始めております。
そこへもって小泉元首相の先週の会見です。公然の場ではっきりと、しかもきつい表現を用いて麻生内閣を批判し、その上昨日に至ってはモスクワにてもし二次補正予算案が衆議院で再投票されるのなら棄権すると明言したことにより、小泉氏に続いて麻生政権に反感を持っている自民若手議員も同調することで本当に三分の二可決ができるかどうかも怪しくなってきました。
しかも現実に後藤田正純衆議院議員のように、若手(しかもちょっとイケメン)でありながら公然と麻生総理に禅譲を迫り、代わりの候補としてぶれないという理由から石破茂氏と野田聖子を挙げてくる人物が出てくるなど、無鉄砲さが売りの渡辺喜美氏以外でこんな声も出てくるなんて私も予想だにしませんでした。どうでもいいですが、今朝のテレ朝のニュースでは後藤田氏の発言の中で石破氏を挙げたところでVTRを切り、野田聖子の名前を敢えて出そうとしていませんでした。私もこの人は嫌いなので、思わずグッジョブと思っちゃいました。
また先ほどの後藤田氏ほど直接的でないものの、麻生政権に元から批判的だった山本一太氏ももし選挙前に総裁が変わるのならば小池氏と石原氏を昨日のインタビューにて候補として挙げ、それを受けてか今朝のスポーツ新聞の見出しには「ポスト麻生」と書かれたリストを載せているのがたくさんあったように思えます。
誰かは忘れましたが今年初めの段階で麻生内閣は持たなくなり、選挙前ではあるものの自民はまた総裁を変え、恐らくその際には与謝野馨氏が総理に就任して総選挙になるだろうと予想した評論家がいましたが、現実に自体はこれに近い形で推移してきています。
こうした事態に対して麻生内閣を支える立場の自民党執行部の動きはどうかというと、脇雅史参院国対筆頭副委員長は「小泉元首相発言「笑っちゃう」 自民参院幹部が批判」の記事によると小泉氏の発言を「笑っちゃう」と非難していますが、正直この状況下で笑ってる場合かとこの人の危機意識をすこし私は疑います。
今回の小泉発言が大きく扱われるのも、なんだかんだいって国民が小泉氏の発言に同調する部分が大きいことからだと私は考えています。特に私は小泉氏の発言の中で、
「(自民党)執行部は若手が批判すると後ろから鉄砲を撃つなと批判するが、今の執行部は前から鉄砲を撃っているようなものじゃないか」
と言っていたのには非常に納得させられました。こうした例のように、国民が現政権にもつ苛立ちを理解せずに小泉氏の発言を非難するあたり、やっぱりこの小泉氏の言葉の通りという気がします。
さてこうした事態に対して野党の民主党はどんなものかというと、今日はなかなかいい論説があったのでまずそれを紹介します。
・【政論探求】これぞ「小泉アンコール劇場」だ (産経ニュース)
このところ産経はとんちんかんな事ばかり言っているかと思ったら、今回の論説は非常に内容も鋭く面白いことが書かれています。まずこの記事で小泉氏の発言力の大きさを改めて取り上げ、今回の発言によって再び小泉劇場といわれる政治状態が生まれるのではないかといい、実はそれで一番困るのはキャラ的な主導権を奪われる形となる民主党だと分析しているのには私も納得します。案の定というか、先週の小泉発言以降民主党の報道がめっきり減ってしまっています。
それで最後に今後どのタイミングでまた政局が動くかについてですが、やはり予算案が成立するであろう四月辺りが大きく動く可能性があります。もし自民が延命策をとろうとするのならここで麻生政権を総辞職させて現段階で与謝野氏が最も可能性が高いですが、また新たな総裁を出してくるでしょう。それに対して世間や党内の批判を無視して麻生政権が任期切れまで必死で逃げ切るか、はたまた民主党や自民党内の反乱勢力が押し切り一気に解散総選挙になるか、各プレイヤーの動き次第でしょう。
ちょっと踏み込んだ予想をすると、もし自民党執行部が報道されているように小泉氏が二次補正予算案に欠席することで何かしら党として処分を行おうとするものなら、恐らく小泉氏だったら離党をして、次の選挙で引退を宣言しているので代表にはつかないでしょうが、後見役のような立場で新党を作りかねないのではないかと思います。そうした場合は自民や民主の若手が集まるでしょうし、私としても理想的な政界再編の枠組みが作られる気がします。
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