また朝日新聞が朝刊一面に、「中国が原子力空母 二隻建造へ 遠洋展開狙う」という記事を載せ、2020年に二隻の原子力空母の保有を目指すという記事を、同じ一面でも昨夜の小泉氏の爆弾発言より大きく載せてきました。最近中国に対して手厳しいな、朝日……。
それはともかくとしてちょっと今日は今後の中国の予想される展開について、特に誰が政治的主導権を握るかについて解説します。
まずこれは別のブログのコメント欄にも書いたのですが、現中国政権、もとい中国共産党の中で本気で共産主義による社会実現を信じているのはもういないと断言してもいいでしょう。では何故共産党の支配が今の中国でも続いているかですが、政策実行者たちも本音では相次ぐ汚職事件(年間二万件だったっけ?)に頭を抱えてて本音では民主主義に移行したいものの、ソ連崩壊の例があるためにやめるにやめられないと考えていると言われています。
これなんかも本来解説すべき内容なのですが、旧ソ連ことソビエト連邦はその末期のゴルバチョフ政権において、それまでのソ連からすると考えられないほど開放的な政策や情報公開が行われ、国民もまた民主主義の実現を強く待望しました。その結果、政権内部で急進派と保守派の争いが激化し、最終的に保守派のクーデターから急進派のエリツィンが台頭したことによってソ連が崩壊して現在のロシアが国家として生まれましたが、急激な社会転換によって経済から行政の隅々に渡って混乱が起き、確か2000年くらいのデータだと自殺率もリトアニアに次いで世界二位(日本は確か八位くらいだったかな)となるほど、社会の全面でロシアは大いに疲弊しました。
このように政体を共産主義や社会主義から民主主義になれば今ある問題が一気に解決できるわけでなく、一つの問題を解決した一方でたくさんの問題を生んでしまったのが現在の東欧諸国の歴史です。中国共産党もこの辺のことをよく研究しており、また同じ中国国内の地方格差によって広東州を始めとした南方の州が中央に対して反感的であるように、一党独裁くらいの強い権力を政権を握っていなければ即分裂する可能性も孕んでいることから、共産主義による弊害を理解していながらも現状で最も有意義な選択として現在の中国の政治指導者は政治の舵取りを行っています。
それで現在の実質的な最高指導者である胡錦濤総書記への私の評価ですが、日本人としては競争相手ということもあってあんまり喜ぶべきではないのですが、十年以上前に生前の鄧小平に指導者として指名を受けるだけあり実力面で非常に優れている指導者で、これほど難しい現状の中国をよく切り盛りしている方だと思えます。
日本は今も年金とかワーキングプアーなど様々な国内問題がありますが、中国における国内問題の数と質はメラミン混入事件から環境問題に至るまでどれも日本とは比べきれないほど大きなものばかりで、また国民の意識もきちんと統一されているとは言いがたく、一歩間違えれば地方から果てには軍部まですぐに反乱を起こしかねない状況で、そんな中で確かにいくつか問題が表面化はしていますがそれでもよく押さえ込んで運営している方だと思います。もし今の中国の指導者が今の日本の政治家だったら、三日で国家が破綻するんじゃないかな。
それだけにこの胡錦濤氏の後、中国共産党は五年ごとに党大会を開いており、総書記は二期十年を務めて次の総書記にバトンタッチをするのですが、胡錦濤2002年に総書記に就任して前回2007年の党大会で権力を不動のものにし、次の2012年で引退することがほぼ決まっています。その2012年の党大会で次は誰が総書記に決まるかですが、私は現状から言って現最高幹部の一人の習近平氏に決まったと見て間違いないと思います。
2007年の党大会ではかつての江沢民元総書記の取り巻きが最高幹部こと中央政治局常務委員から外され、代わりとして若手の習近平氏と李克強氏が入閣し、当時の彼らの年齢からもこの時点から両者のうちのどちらかが次の総書記になると言われていました。
私は当初、胡錦濤氏と同じく中国共産党のエリート養成組織の共産党青年団出身の李克強氏が有力ではないかと思っていましたが、その後国際外交やオリンピックなどの表舞台に関わる仕事は将来に向けた帝王学教育とばかりに習近平氏が担当することが多く、周囲の目も私同様に習近平氏へと注目されるようになって来ました。
それに対して李克強氏は非常に地味な役回りが多く、かつて地方幹部を多く歴任していることから次の中国政権では李克強氏が総理、習近平氏が総書記になると見られており、私もその説を支持します。
ついでに補足すると、中国共産党には意外と学閥というものが強く、日本で言うと東大と京大の関係に当たるのが北京大と精華大で、ちょうど李克強氏が北京大学出身で習近平氏が精華大学出身で、構図的にはなかなか見ていて面白いです。今の胡錦濤氏は精華大学の出身で総理の温家宝氏は中国地質大学の出身なのですが、中国地質大学には私も何度も行ったことがあり、その学内にあるレストランにて誕生会をしてたらウクライナ人とドイツ人がふざけあって誕生ケーキを投げあい、レストランの一室をケーキまみれにしてしまったのはいい思い出です。
2 件のコメント:
中国の事情はほとんどわからないので、解説してもらえると非常に勉強になります。中国はかなり大変なんですね。政治家自体は優秀なのに、国民性や共産主義のおかげでかなり足を引っ張られているのでしょうね。中国は。日本の場合は逆なのかな?日本の国民性は、お互い協調していくことを望むので、周りに流されがちですよね。つまり、優秀な政治家にぐいぐい引っ張ってもらうといいと思うのですよ。
だから、中国の政治家と日本の国民性があればうまい具合にいくのかなとなんとなく考えました。
よく日本のネット上などでは馬鹿にされていますが、向こうのエリートというのは非常に能力が高いと常日頃感じます。人口が多いから優秀な人間もたくさんいるのでしょうが、日本みたいに国民の一般教養が中国では高くない(識字率もやや低い)というのが足かせになっているのは事実でしょう。
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