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2009年2月24日火曜日

中国と日本の現役層のバックグラウンドの違い

 前にも一回書きましたが、出張所のFC2ブログの方ではクリックするだけでその記事を評価したことになる拍手ボタンというものがついており、案外目立たないのですが管理者の側からすると一ヶ月前までの履歴はすべて把握でき、やっぱり押してもらっているとなかなかうれしいものです。それがまた他の記事より手の込んだものであればなおさらというものでしょう。
 それでこの前ふとしたことから出張所の方で文化大革命の連載記事を読み返していると、「紅衛兵」についての記事だけ七拍手も集まっており、ほかの連載記事とは一線を画して拍手が多いということに気がつきました。実際にこの紅衛兵の記事、ひいてはその次の下放に関する記事はつたない知識ながらも頑張って書いた記事だったので、これほど拍手が集まっていたのは素直にうれしく思いました。

 それにしても、この紅衛兵と下放の下りは読み返す度にいろいろと思うことがあります。その現実としての歴史の凄まじさは言うまでもありませんが、果たしてこんな時代を生き抜いてきた中国人に対し、自分たち日本人は対抗できるのかという疑念も必ず湧いてきます。
 意外と知られていない、というより報道なんてほとんどされないで当たり前ですが、現在中国の常務委員のメンバーにて次期総書記として最も有力視されている習近平氏、そしてその次に有力視されている季克強氏の二人ともこの下放を受けており、特に習近平氏なんて父親が元副総理という立場ながら追放された上での下放でしたから相当な経験をされたことが予想されます。

 下放についてはリンク先の記事でも書いてあるのでここでは細かく語りませんが、それこそ一生を賭すような壮絶な体験です。そんな体験や苦難を乗り越えてきた彼ら二人に比して、今の日本の政治家の中でそのような塗炭の苦しみを乗り越えた人間がいるかといったらまずいないと言っていいでしょう。
 更に言えば、今の中国において財界、政治界で指導者として活躍している壮年層のほぼすべてはこの下放を乗り越えて現在の地位におります。なんでも文化大革命が終了した後、中国政府は文革で失った人材の穴埋めをするために全国からエリートを集め、半年間猛勉強させた後に大量の留学生を東大に送りこんでいます。なおその際の入学試験はもちろん他の学生と同じ日本語の試験だったそうで、この時に日本に留学した者たちが現在の中国の財界のリーダーとなっているそうです。

 なにもなんでもかんでも苦労すればいいってもんではありませんが、それこそ生死の狭間を歩き、自らの概念を毛沢東思想などの様々な影響の中で反芻してきた末に乗り越えてきた文革世代に対し、とてもじゃないですが私なんか敵う気がしません。幸いというか私の世代に当たる1980年以降に生まれた世代は中国でも「80後(パーリンホウ)」といって、恵まれた環境下で甘やかされて育ってきた貧弱世代とも言われているようで、直接的にぶつかる同世代の相手は文革世代に比べればまだ互せそうな相手ですが、少なくも現役指導者世代の人材の質を見る限り、今の日本の政治界の混乱振りを見るにつけ中国の方が遥かに上だと私は考えています。

 若いうちの苦労は買ってでもしろとは言いますが、やはり人材全体の質の底上げという意味では、皮肉な言い方ですが悪い時代というのは格好の時代となります。現在の日本は若者の雇用が年長世代のために犠牲になっているなどあれこれ言われていますが、逆を言えばこの時代を乗り越えることで他国にも負けない強靭な世代を作れるのだという前向きに捉えることも出来ます。また私自身は現在割合に恵まれた環境下で公私共に充実した生活を現在送っていますが現在不遇を囲っている同世代の若者に強く言いたいこととして、現在の苦労は決して無駄にはならないし、中国のあの文革が行われた時代からも這い上がった人たちはたくさんいるので、今つまずいているからといって希望を決して投げ出さずに自己研鑽に励んで頑張ってほしいということです。

 ところでまた話は変わりますが、中国の文革期のように日本にも多大な苦難があった時代を乗り越えた末に各界に大量に優秀な人材を生み出していったある時代と場所があります。もったいぶらずに言うと、それは満州こと、わずか十数年で滅んだ戦前の満州帝国のことです。
 以前から友人にこの時代のことを書いてくれといっていたので、次回からあの満州帝国はなんだったのかという近現代史の分析という意味でまた連載を始めますので、どうぞよろしくお願いします。

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