今日も時間が少ないのでまた短く書ける話です。
日本の文豪の中で誰が一番好きかと問われるなら、私は迷わず芥川龍之介を挙げるようにします。具体的に彼の作品のどのようなところが好きなのかまでは説明しませんが、彼のあまり有名でない作品の一つに、題は忘れましたが海軍の学校で芥川が英語教師をしていた時代の話があります。
この話自体がフィクションなのかノンフィクションなのかまではわかりませんが、当時の芥川は週末になると煙草をふかしながら汽車に乗って横浜から東京へ行き、旧知の友人らと夕食をともにして語り合い、また日曜の晩には横浜に帰るという優雅な過ごし方を習慣としていたのですが、ある週末、いろいろ無駄遣いしていたのがたたって、往復分の汽車代がなかったことがあったそうです。
さりとてあきらめがつかず駅にはいくもののお金がない、はてどうしたものかと考えつつ知らず知らず売店へと向かい、「朝日をくれ」と芥川は言ってしまいました。「朝日」というのは当時の日本でポピュラーな煙草のことで、喫煙家の芥川もよくこれを吸っていたのか他の作品にもよく出てきます。
この時、芥川は注文したものの内心ではしまったと思いました。煙草を買うお金はまだあるもののそもそも汽車代がない。こんなところでちびちびお金を使ってどうするのだと焦りだします。
そんな焦りまくる芥川に対して売店の親父は、「新聞ですか、煙草ですか?」と注文を確認してきて、咄嗟に芥川は、「ビール!(゚Д゚;)」と答えたそうです。この答えには親父も、「ビールはありません」と答えるので、芥川も、「そ、ならいいんだ≡(;゚д゚)」と、帰ってったそうです。
その後、まだ依頼を受けていなかった執筆依頼を受ける事で前金を受け取り、その周も無事に芥川は優雅な週末を過ごせたわけなのですが、意外とお茶目な所もあるのだと別の意味で感心した話でした。
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