一体何から書いていいものなのか、正直に悩みます。
先週金曜日の地震発生から数日間経過しましたが、事態はよくなるどころか被害状況が徐々に明らかになってきただけでなく、福島県の原子力発電所の事故続発などむしろ悪化しているような状況です。
私は学生の頃にちょうど災害社会学を専門としていた先生の授業を受けましたが、その先生の授業では主に阪神大震災の教訓や災害時の被災者の行動などが解説されてなかなか記憶に残るいい授業でした。その授業で言われていた内容でぜひ今回このブログの読者に伝えたいと思うことは、ボランティアと募金に関する内容です。
その先生が言うには医療など特定の技術がある人間であれば話は別ですが、ただの労働力としてのボランティア参加者は被災地ではかえって迷惑になる可能性が高いそうです。ただでさえ食料などが不足する被災地にボランティアが来るとその分の食料なども必要になってしまうそうで、もし来るのであれば十人程度のまとまったグループで来てくれた方が運用もしやすく助かるそうです。その上で先生は、ボランティアに来るよりもなによりもお金を募金などで送ってくれることが何よりも被災地は助かると話していました。今回の地震でその先生の授業を思い出して先ほど自分もネット口座から募金を行いましたが、何かの一助になればと願ってます。
中国ではいまだに今回の東日本大震災が最も大きく報道され続けておりますが、報道内容は徐々に被害状況から福島県の原発事故に対する内容が中心になってきております。私の上海人の友人も先ほど電話にてこの件について尋ねてきましたが、おそらくほかの皆さん同様に今の日本政府、ならびに東京電力から信用できる情報は得られないと私は答えました。私は何も政府と東京電力を根っから批判するつもりはなく、彼らの立場からすると混乱を防ぐために事態を最小限に伝えなければならないということは多少は理解できます。しかし事ここにまで至ると、もはやその努力も意味をなさなくなってきてしまっているのではないかという諦観も多少感じます。ただ現場でがんばっている方を考えると、今はただ信じるよりほかがありません。責任追及などは後からでもできるのですし。
個人的にあと気になったニュースというかすこし驚いたのは、アイレムというゲーム会社が「絶体絶命都市4」という発売間近だったゲームの発売を中止したことです。このゲームは文字通りに大地震を受けて崩壊していく街の中でサバイバルを体験するアドベンチャーゲームでこれまでのシリーズも好評を得ていましたが、まさに内容がずばりそのものだったということから今回の地震を受けて発売を自粛したとのことです。
自粛するというのは簡単ですが、ゲームというのは長い開発期間を経た上で発売して一気に元を取る業界なので、発売中止ともなるとその損害額は数億円にまで上るのは間違いありません。確かにこのゲームは見方によっては不謹慎に見えるでしょうし中身にはふざけが部分も多少含まれていますが、ゲームの監修に災害対策の研究者を招くなど「災害を疑似体験する」という意味ではまじめな方針で作られているので、ちょっと残念に思いました。
ただ実に7、8年くらい前になるのですが、この「絶体絶命都市」の第一作目が発売された際に漫画家のみずしな孝之氏が「いい電子」という漫画でレビューを書いていました。そのレビューでは変わったシステムのゲームであると紹介しつつ、「こんなゲームは平和な時だからこそできるんだよね」というようなコメントをしておりました。その次のコマではみずしな氏が阪神大震災の被災者から直接会った際の回想がかかれ、被災者は震災に対して言葉で言い表せない体験だったと述べるシーンが描かれていました。
そういう意味ではまさにみずしな氏の言うように、今は平和な時ではないからこそこのゲームは発売できなくなったのでしょう。ただ個人的には自粛を決めたアイレムの決断には頭が下がりますし、ぜひ後にきちんとした形で発売してもらいたいものです。
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