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2011年3月4日金曜日

中国でのここ数ヶ月のインフレ

 私が以前に中国に長期滞在した時期は2005年から2006年の北京に留学していた時期ですが、それから約五年経ち現在また中国に来ております。今回再び中国での生活をしていて気になる点を挙げるとすればそれはいくらでも挙げられるのですが、以前の留学期との比較となると最も気になるのはほかでもなく中国の物価です。普段生活をしていても、「あれ、こんな値段したっけ?」と思うようなことが数多く、以前は学生で現在は給料をもらう勤め人という立場から購買力の差が出ているだけかもしれませんが、当初は世間でも言われているように北京に比べて上海の物価が桁外れに高いゆえにこのように感じているのかと考えていました。

 しかし周囲の情報を比較してみるとどうやらこれは間違いで、どうも私が中国を留守にしていた五年間で中国全体で物価が上がってきているというのが真実だったようなのですが、その期間も五年間というより正しくはここ数ヶ月で急激に物価が上がってきているというのが実情のところのようです。
 私は独り暮らしということもあってあまり食材などを買ったりする機会はないのですが、自炊などして購入している人から聞く限りですとパンや野菜の値段がこのところ急激に上がってきており、生活に支障が現れるほど影響を受けているという話をよく聞きます。デフレ下の日本ではあまりピンと来ない話ですがでは何故今中国で物価が上がっているのかですが、石油価格の高騰など世界的な要因も全く影響していないわけではないものの、その最大の理由はやはり最低賃金の上昇にあるのではないかと私は見ております。

 ここ数ヶ月の中国の経済ニュースで主要なトピックはどこそこの企業が不祥事を起こしたとか決算が同だったかという内容ではなく、一に最低賃金の上昇、二に不動産投資の制限です。後者はともかく前者の最低賃金について詳しく解説すると、中国は日本同様に各地方ごとに条例のような形で最低賃金が決められているのですが、去年から上海、香港を初めとした各主要都市で一斉にこの最低賃金額がそれ以前と比べて大幅に引き上げられてきております。最低賃金がどうして引き上げられるのかというと表向きの理由は当然底辺労働者の保護で、去年はホンダの部品工場でストライキが起こるなど賃金に対して労働者の不満や要求が高まっている背景から中国もこの点に対して大分ナーバスになってきております。
 またそうした社会問題対策以外にもマクロ的な見方で言えば、海外からの人民元切り上げ圧力が高まっていることや、ベトナムなど中国以上に人件費の安い国の勃興など、これまでのように輸出依存型の経済から脱却して一定度の内需を高めなければならないところにまで中国は来ており、中産階級層の増加を国全体で図る必要に迫られていることも影響しているでしょう。

 具体的にどれくらい物価が上がってきているのかいい指標がなくて説明がし辛いのですが、高級品はそれこそ日本の物価とほとんど変わらないにもかかわらず食品や乗り物代などはこれまでの中国は非常に安い価格で利用することが出来ました。それが今回のインフレでは食料品を筆頭に値段が上がってきているため、最低賃金の上昇で中産階級が育つのが先か、貧困層が食料品の価格に追いつけなくなるのが先かという、なかなか厳しい綱渡りを強いられているようにも見えます。
 ただいくら先延ばしにしようともこのような問題にいつか中国はぶつからなければならないこともあり、逃げずに最低賃金を引き上げて今現在で対応するというやり方の方を私は支持します。しかし一部ですでに言われておりますがこの物価高が原因となってさらなる暴動が起こる可能性も否定できず、ひいては人件費の上昇から投資が減り、バブル崩壊のきっかけになるのではないかという否定的な見方も存在し、私も否定するつもりはありません。

 現在私が最も懸念しているの不動産の価格というか、賃貸料の価格です。友人に上海市の比較的中心部に近い家賃はどれくらいかと聞いたところ、ワンルームで2000元(約24000円)は厳しく、最低でも2500~3000元(約30000~36000円)はすると言われました。この前何気なく千葉県の実家近くの不動産情報をネットで見たら普通につきの家賃が20000円台の部屋がたくさんあり(駅から離れてたけど)、何で日本より給与水準の低い中国で家賃がこんなに高いんだよと思うのと同時に、こんなに安いんだったら千葉県の実家に住みつつ一部屋借りて、秘密基地みたいにいろいろ使ってもよかったなという考えがもたげました。

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